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高松宮と終戦工作―和平を希求した宣仁親王の太平洋戦争 (光人社NF文庫)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: 工藤 美知尋
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    「高松宮と終戦工作―和平を希求した宣仁親王の太平洋戦争 (光人社NF文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

       日本の終戦工作はどのようにして行われたのか、昭和天皇の弟高松宮とその周辺の人々の動きを各人の日記から描いています。高松宮の「高松宮日記」のほか、細川護貞の「細川日記」高木惣吉の「高木日記」、木戸幸一の「木戸日記」などからも多数引用されているので、当時の政情内部をかなり正確にあぶり出せているのではないかと思います。

       この本では、太平洋戦争で日本の戦局が明らかに敗北に向かいはじめた昭和18年頃から終戦までについて高松宮がどうかかわったか、大きく三部に分けて書かれています。そのうち最も大きなテーマとして挙げられるのが東条内閣倒閣および高木惣吉らが中心となって図られた東条英機暗殺計画です。

       驚いたことに高松宮は東条内閣倒閣はもちろん、東条英機暗殺計画についてかなり深い所で関わっています。直接的な行動は流石に取っていませんが、当時の皇族がどのような権限を持ち得ていたかが分かる一面です。所謂「お飾り」では無かったのです。

       また、敗戦後の状況によっては高松宮が国政に深く関わる可能性があったなど、目から鱗な情報も多くあります。他にも昭和天皇と高松宮の微妙な気持ちのすれ違い、同盟関係にあった細川・高木とも必ずしも全ての考えが一致していないことが各人の日記から読み取れるなど、人間模様についても良く書かれています。さながら群像劇ですが、まさに「事実は小説よりも奇なり」といった内容になっています。

       この本でもう一つ特筆すべきと思う点は、太平洋戦争時の政治を語る上で避けて通れない「陸軍悪玉論・海軍善玉論」を殆ど感じさせないところにあります。高松宮の所属が海軍であったため陸軍が悪者のように書かれる部分は無くはないのですが、当時の陸海軍、そして内閣・重臣会議などはそんな言葉で片付けられないほどに複雑であることがこの本を読むと理解できます。むしろ「陸軍悪玉論・海軍善玉論」という議論自体がとてもくだらないと感じてしまいます。歴史の二元論とはいかにナンセンスであろうか、と。ただ、やはり高松宮が海軍所属である以上関係する人物も海軍(高木惣吉・岡田啓介など)や宮中(近衛文麿・木戸幸一など)関係者が多いため陸軍の事情は余り言及されず、悪者にされてしまっている感はあります。テーマからすると欠点とは思いませんが、その点は注意して読む必要があるでしょう。そうでないと典型的な「海軍善玉論・陸軍悪玉論」に陥りかねません。

       太平洋戦争時だけでなく、昭和初期からの政情について事前に知っておかないと難しい本ですが、戦争や政治の難しさ、危うさについて非常によく纏められている本だとおもいます。他の戦時の回顧録なども合わせて読んでみると面白いかもしれませんね。
      >> 続きを読む

      2017/01/24 by

      高松宮と終戦工作―和平を希求した宣仁親王の太平洋戦争 (光人社NF文庫)」のレビュー

    • 太平洋戦争は興味分野ですが、この話は知りませんでした。
      是非読んでみたいと思います >> 続きを読む

      2017/01/25 by ice


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