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崩壊

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 2,100 円

軍事政権、ゲリラ、クーデター、内戦、隣国同士のサッカー戦争―人びとを翻弄する中米現代史を背景に、架空の名門一族が繰り広げる愛憎のドラマの行方は?もっとも注目を浴びるエル・サルバドル人作家の作品を初紹介。

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    • 評価: 5.0


      日頃なかなか接することの少ない中南米の文学。
      たまたま書店で目にしたホンジュラス出身のエル・サルバドル人の作家・オラシオ・カステジャーノス・モヤの「崩壊」を読み終えました。

      アメリカでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された日、ホンジュラスの名門ブロサ家では、もうひとつのドラマが繰り広げられていた。

      骨の髄まで国民党派で反共主義者のレナ夫人が、娘の結婚式に夫を出すまいと、バスルームに閉じ込めてしまったのだ。

      ケネディ暗殺は、中南米の政治に直接的な影響を与え、様々な闘争を引き起こすが、この小説ではまず、ブロサ家の玄関で戦争が始まる。

      レナ夫人の狂気を抑えられない政治家の夫、母の思惑に反してエル・サルバドル人の夫について故国を出ようとする娘、そして、祖母の溺愛の対象である孫。

      すごい吸引力で、我々読者はいきなりブロサ家を支配する感情の渦に巻き込まれてしまうのです。

      ロルカの悲劇を間近で見ているような迫力ある第一部に続いて、主に娘と父の書簡から成り立つ第二部では、1969年のワールドカップ・メキシコ大会の予選に端を発するホンジュラスとエル・サルバドルの「サッカー戦争」が、鮮やかに描かれる。

      さらに、1972年にエル・サルバドルて起きたクーデターに絡む事件について語られ、1990年代に入った第三部では、レナ夫人が守ろうとしていた全てのものが、跡形もなく崩れ去ってしまったことが明かされる。

      30年にわたる家族の愛憎劇と一族の破滅を二百ページちょっとの中篇として描き切る、そのテンションの高さと魔術的な語り口にすっかり魅せられてしまいました。

      家族の闘争は、戦争の暗喩ではなく、戦争は、家族の諍いの背景ではない。
      どちらも渾然一体となり、生々しい争いとして迫ってくる。

      描かれていることの全てが象徴ではなく、事実だという重みに圧倒されましたね。

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      2019/01/13 by

      崩壊」のレビュー


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