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【これはほんの始まりに過ぎなかった】 出来事の始まりは米ロングアイランドのある街からでした。 突然、人々が何か黒い物に覆われ、絶叫しながら死んでいくということが起き始めたのです。 黒い物が去った後には白骨化した死体が残されていました。 最初は何が起きているのかまったく分からず、マスコミもこの正体不明の黒い物について『埃』などと呼んでいたのです。 私も、最初はこのような記述や、『ダスト』というタイトル、防毒マスクのようなものをかぶっている人物のイラストが描かれた表紙絵などから、この黒い物は何かのガスのようなものではないかと思って読み始めたのですが、そうではありませんでした。 この黒い物は、膨大な数のダニだったのです。 何らかの原因で肉食化したダニが異常発生し、大軍をなして人々にたかり始めたのです。 うげげ。 ダニは猛烈な勢いで人々を喰い始め、異常なスピードで繁殖して広がり始めました。 既に死者は1500人に達するというとんでもない事態になっていくのですが、最初のうちは米政府も事態をさほど深刻には捉えていませんでした。 いや、十分深刻だろうと思うのですが、例えばイナゴの異常発生のようなもので、所詮はダニなのだから早晩沈静化できると考えたのですね。 ところがそうそう簡単な話ではなかったのです。 このような事態はロングアイランドにとどまらず、米の別の地域でも発生し始めたのです。 地理的な状況からみて、ロングアイランドで異常発生したダニが広がっていったということではなく、複数の地域で同時発生したと考えるべきです。 米でこのような事態が発生しているということが知られるようになると、まず、米との間の飛行機の発着が他国により拒否されるようになりました。 米本土からどこにも行けなくなってしまったのです。 こりゃあ、ダニによる生物パニック作品なのかと思っていたら……それだけの話ではなかったのです。 ダニはほんの始まりに過ぎませんでした。 他の国でも原因不明の異常な出来事が色々起き始めるのです。 インドでは何らかの理由により広範囲にわたって作物が枯死し始めます。 ある地域では蠅やアリ、蜂の姿が消えてしまいます。 はたまた、従来の考えではあり得ないことなのですが、チスイコウモリが大挙して人を襲い殺し始めた地域も出てきます。 これはダニだけの問題ではなく、どうやら生態系がおかしくなっているということが分かり始めてくるのです。 まず、虫が消えたことから始まったようにも思われます。 虫がいなくなるのは一見良いことのようにも思えるのですが、そうではありませんでした。 生物のバランスが崩れるとあちこちで異常が発生してしまうのです。 インドの例のように植物にも大きな被害が広がり始めたことから、経済にも影響が出てきますし、事態を知った人々の間でパニックが広がっていきます。 米政府も単にダニを駆除すればよいという問題ではないということに気付き始めるのです。 どうやら、地球上の生物が大規模で死滅したということは過去に何度か起きたことのようなんですね。 そのサイクルがまた巡ってきたのか? だとしても、何が原因でそうなるのか? それは生物に最初から組み込まれている仕組みなのか? というわけで、本書は生態系を基にしたパニック・サスペンス作品です。 この手の作品でお馴染みの、あちこちで異常事態が起き始め、人々がパニックに陥っていくという典型的な展開になっていくようです。 上巻ではまだその原因が明らかになっていませんし、有効な対策も打ち出せずにいます。 さて、下巻でこの事態はどのようになっていくのか。 ちょっとこれはマズいんじゃないの?というさらなる事態の悪化をほのめかすような記述で上巻は終わってしまうのですが……。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/08/27 by ef177
「ダスト〈上〉 (ヴィレッジブックス)」のレビュー
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ダスト〈上〉 (ヴィレッジブックス) | 読書ログ
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