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文学刑事サーズデイ・ネクスト

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 2,100 円

わたしはサーズデイ・ネクスト。一介の“文学刑事”だったが、古典文学破壊犯ヘイディーズから『ジェイン・エア』を救ったことでいまはインタビューに忙殺される日々。そんなわたしのもとに、また悪い知らせが舞い込んだ。最愛の夫ランデンがこの世界から忽然と消えてしまったのだ。ご丁寧にも彼は二歳で死んだことになっている。軍事産業と遺伝子ビジネスを牛耳るゴライアス社のしわざだった。ランデンを助けたくば、ポーの『大鴉』のなかに閉じこめられた幹部ジャック・シットを連れ出してこいという。いっぽう、時空を飛び回る父からは、もうすぐ地球上の生命がピンクのべたべたになって絶滅するという恐ろしい警告が...。「本世界」の強者たちわ巻き込みながら、必死の捜査がスタートした。英文学へのオマージュを搭載し、ブリティッシュ魂が炸裂する“文学刑事シリーズ”第二弾。

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    「文学刑事サーズデイ・ネクスト」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      【今度は文学作品の中を渡り歩いちゃいますよ~】
       本作をお読みになる方は、もう第一作は読了されていますね?
       まだという方は、どうぞ第一作からお読みください。
       そうじゃないと話が分からなくなりますぞ。

       というわけで、サーズデイ・ネクスト・シリーズの第二弾です。
       彼女は特別捜査機関(スペックオプス、SOと略される)の特別捜査官です。
       彼女が所属するのはSO-27と呼ばれる文学刑事局。
       文学にまつわる奇怪な事件(当然警察は取り扱わないような)を専門に扱う部署です。

       第一作で、彼女は伯父のマイクロフトというほぼほぼマッド・サイエンティストが発明した『文の門』という装置を使い、『ジェーン・エア』の物語世界に入り込み、稀代の大悪党アシュロン・ヘイディーズによって物語が滅茶苦茶にされるのを防ぎ、アシュロンを倒すという大活躍をみせました。
       まぁ、その際に、(非常に不評な)『ジェーン・エア』の結末が書き換わってしまったんですけれどね。

       その後、サーズデイは、ランデンと結婚し、目出度くご懐妊されました。
       ところが、ランデンが『根絶』されてしまったのです。
       どういう仕組みなのかはよく分からないのですが、どうも時間を遡ってまだ2歳のランデンを殺されてしまったようなのです。
       そのため、この世界からランデンは消えてしまったのですね。

       通常は『根絶』されるとその者の記憶は誰にも残らなくなるはずなのですが、サーズデイはランデンのことをしっかり記憶していました。
       また、お腹の中の子供も健在だったのです。

       こんなひどいことをしたのは、世界中を支配しているゴライアス社です。
       あくどい超巨大企業で、人間生活に必要なほとんどすべての物を一手に製造、販売しているというとんでもない企業です。
       そして、自社の利益しか考えないというウルトラ・エゴな会社。

       なぜ、ゴライアス社がランデンを『根絶』したかと言えば、第一作で、下衆極まりないゴライアス社の幹部のジャック・シットを、サーズデイがポオの『大鴉』の中に閉じ込めてしまったから。
       ジャックを『大鴉』から連れ戻せ、そうすればランデンを復活させてやるという脅迫なのですね。

       とは言え、『文の門』をゴライアス社によって悪用されることを恐れたマイクロフト伯父は引退を宣言し、妻と共にどこかに消えてしまったので、もはや『文の門』はありません。
       ゴライアス社も独自に開発しようとはしているのですが、どうにも上手くできないのです。
       サーズデイだって、『文の門』が無ければ自由に文学作品の中に入ることなどできないのですが……。

       しかし、サーズデイはこれまでにも不可能だと思われていたことを可能にしてきたという実績があります。
       方法はどうでも良いので、ジャックを連れ戻せ、お前なら何とかできるだろうというわけなんです。
       なんともご無体な……。

       さらに、さらに、何者かが偶然を操っているようで、起きるはずが無いような事故が三度にわたりサーズデイを襲うという事態も出現してしまいます。
       どうやら、エントロピーが操作されているようなのですが。

       こんな四面楚歌的な状態で、サーズデイは独力で文学作品の中に入ることに成功します。
       そして、実は文学作品の内部には、SO-27とちょっと似たようなジュリスフィクションなる組織が存在していることを知ります。
       ジュリスフィクションは、文学作品の保全、維持を使命とする組織だったんですね~。 サーズデイは、ジュリスフィクションに所属するミス・ハヴィシャム(ディケンズの『大いなる遺産』の作中人物です)に弟子入りし、ブック・ジャンプ能力(文学作品の中を自由に行き来できる能力)を磨くことになります。
       そうした上で、『大鴉』の中に入り、ジャックを連れてきてランデンを助けようというわけです。

       ということで、本作でも文学ネタが満載ですし、サーズデイは様々な文学作品の中を行き来したり、あるいはSO-12の時間警備隊に所属していた父の力によりタイム・トラベルもすることになります。
       第一作からさらにパワー・アップした内容になっているんですね~。
       ユーモアたっぷりな作風も健在であり、小ネタで笑わせてもくれます。

       本作中でイジられる文学作品を挙げてみると……
      『大いなる遺産』/ディケンズ
      『大鴉』/エドガー・アラン・ポー
      『ドン・キホーテ』/セルバンテス
      『審判』/カフカ
      『不思議の国のアリス』/ルイス・キャロル
      『鏡の国のアリス』/ルイス・キャロル
      『スナーク狩り』/ルイス・キャロル
      『クマのプーさん』/A・A・ミルン
      『アッシャー家の崩壊』/エドガー・アラン・ポー
      『アモンティリャアドの酒樽』/エドガー・アラン・ポー
      『早まった埋葬』/エドガー・アラン・ポー
      『ハムレット』/シェイクスピア
      『ヘンリー六世』/シェークスピア
       まだまだその他沢山です。
       原典から引用されている部分は太字になっていますので、読んでいてすぐに分かります(私、『審判』のところで不覚にも笑ってしまいましたよぉ)。

       本好きな方だったら面白く読めること請け合いです。
       なお、物語は第二作だけでは完全に完結していないのです。
       これは、第三作も読まなきゃ~です。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
      >> 続きを読む

      2020/12/18 by

      文学刑事サーズデイ・ネクスト」のレビュー


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