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廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: ジェラルド カーシュ
定価: 1,944 円
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    「廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      【摩訶不思議な物語の詰め合わせ】
       ジェラルド・カーシュは、『壜の中の手記』という短編集が秀逸だったことから、もう一冊読んでみたくなって本書を手に取りました。
       本書には13編の短編が収められていますが、どれも不思議な物語です。
       ただ、個人的な趣味から言えば『壜の中の手記』に収録されていた作品の方に面白いものが多かったように感じます。

       本書には、4編のカムージンのシリーズも収められています。
       これは自称天才的犯罪者のカムージンを主人公にしたシリーズなのですが、カムージンは、天才的犯罪者と言う割にはいつも金に困っており、聞き手でもある文筆業者に煙草やコーヒーをせびり、それを味わう間になんともけったいな自分の手柄話を聞かせるという構成になっています(本当に天才的犯罪者だったら金に困るなんていうことはあり得ないわけで、だから聞き手も『法螺話』じゃないのか?と眉唾で聞いているのですよ)。

       収録されている短編の中に、銀行を騙して大金を手に入れるという作品があるのですが、巻末解説によれば、これはカーシュが実話をもとにして書き上げた作品だということです。
       でも、本当にこんなことで銀行が騙されたのだろうか?と思ってしまうような話なんですよ。

       シニカルな味の話もあります。
       例えば、『飲酒の弊害』という作品は、共感性を持った双子の兄弟の話です。
       兄はアル中になってもおかしくない程の大の酒好きで、しかも強い葉巻をのべつ幕なしに吸っているような男なのですが、まったく健康そのものなのです。
       他方の弟は、酒も煙草も一切やらないというのに、その身体はアルコールと煙草の影響でボロボロになってしまっているのです。
       これは、つまり兄の大量飲酒、大量喫煙の悪影響が弟の方に出てしまっているという共感性の表れなのだという話なんですね。
       兄は、その傲慢な性格から、「酒と煙草をやめてくれ!」という弟の懇請をまったく聞き入れず、大酒を飲み続け、葉巻を吸い続けるのですが、さて、その結末はというと……。

       『クックー伍長の身の上話』という作品もなかなか面白い作品です。
       既に400年以上は生きてきたと自称するクックー伍長の秘密に関する話なんです。
       クックー伍長は、400年以上前に、ある戦場で瀕死の重傷を負ったのですが、その際に、アンブロワーズ・パレの治療を受け、パレ特製の『消化薬』を処方されたところ、それ以来不死身になり、また、年も取らなくなったというのです。
       にわかに信用できない話なのですが、クックー伍長の身体には、それこそ致命傷になってもおかしくない程の深い傷跡が無数に刻まれているのです。
       クックー伍長は、パレの秘薬の処方箋を奪ったことから作り方を知っており、自分でもずっと再現しようとしているのだけれど、どうしたわけか効果のある薬を作り出せないでいると言います。
       それは何故?
       この物語の聞き手によってその理由が解明されるのですが、なるほどね~と思わせる理由になっています。

       どの作品も不思議な味わいのある物語であり、また、気軽に読める一冊になっています。
       いわゆる『奇譚』がお好きな方には楽しめる作品ですよ。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
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      2020/09/21 by

      廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)」のレビュー


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