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完全なる首長竜の日

3.0 3.0 (レビュー3件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 590 円

第9回『このミス』大賞受賞作品。植物状態になった患者とコミュニケートできる医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により意識不明の弟の浩市と対話を続ける。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。弟の記憶を探るうち、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こり―。衝撃の結末と静謐な余韻が胸を打つ。

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    「完全なる首長竜の日」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      第9回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作。
      全員一致で決まったとのことで、そろそろかなと積読の山かkら下ろしてきた。
      テーマが「胡蝶の夢」。読んでいくうちにそれらしい雰囲気も感じられるようになってきたが、時代が違うので夢を探る機器も現代的で、夢なのか現実なのか、作者の意図はとても面白い。

      主人公は漫画家の女性。奄美の島で幼い頃弟を亡くしている。

      西湘にある病院で、技師が立ち会って昏睡状態の弟の意識と繋がる実験(セッション)を受けている。そこで弟が強い自殺願望があるのを知る。
      一時的に頭にチップを埋め込むSCインターフェイスを採用して、脳を刺激してお互いの感情を呼び出し、ドリームボディを共有する(センシング)、技師は記録をとっている。

      漫画を描くには様々な行程があり、忙しくなったので助手を雇い、指導をうけた編集者もいる。だが時代の波で漫画雑誌が刷新され連載が打ち切りになった。時間が出来るがマダ仕事が残り後始末の段階になっている。リビングに不意に弟が現れる。そして部屋でピストル自殺をするが、気がつくと夢か現実か弟は既に跡形もない。
      編集者は、実験の様子をまるで「胡蝶の夢」のようだねといった。私の意識か、弟の意識か、現実なのか、幻なのか。

      繰り返し思い出す、奄美の海。そこの磯で満ちてきた潮にさらわれていく弟を助けようとして繋いだ手を、離してしまったのだ。
      父は母と別れて去り、母は死んだ。時々現れる弟は、カウンセリングの終わりに自殺をして消える。消えるために自殺をする。
      弟はなぜ自殺したのか。

      そこに新たな人物が介入する、憑依(ポゼッション)なのか。
      そしてついに、それが日常にまで入り込んでくる。
      関わった多くの人たち、現れては死んでいく弟。

      ついに奄美のあの島に行ってみる、歳月の影響はあるが確かに記憶の場所に家があり、海岸は護岸工事で形は変わっているが海は満ち干を繰り返し、若い両親や伯父たちが周りにいる。そしてついに過去の風景から逃げて帰ってくる。

      病院のそばの海岸で、首長竜の置物を見つける。仕事部屋にあったあの置物なのだが。

      この物語は様々なモチーフがちりばめられている、それらの作品が何らかの形で、テーマを繋ぎ、弟や周りの人たちとの意思疎通の形をささえ、強め、読者を物語の中に引き込んでいく。まず最初に「胡蝶の夢」サリンジャーの「ナインストーリーズ」マグリットの非現実的な風景画等々。こうして登場人物を取り巻く現象が終盤になって、大きな展開を見せる。

      「胡蝶の夢」のようでもあり、また夢から醒めてもまた夢の世界のようでもあり、現実はどこにあるのか、うまく構成されて最後まで興味深い作品だった。
      ただ、登場人物を語り終えるには、ちょっと多すぎて、それぞれの存在理由を一気に閉じることは、無理があるように感じる部分があり、終わりに向かって失速気味なのがとても残念だった。
      表紙のイメージはぴったりだと思った。



      随分前に「胡蝶の夢」らしい映画を見た。モノクロで、老人(荘子だったのだろうか)が若返って美女に会いに行くというようなストーリーだったと思うが、記憶もあやふやになってしまっている。あれはなんだったのだろう。どこにも記録が見当たらなくて、もやもやしている。ビデオを探してみたい。
      ポロックのそれとは大幅に違っていた。
      >> 続きを読む

      2016/08/16 by

      完全なる首長竜の日」のレビュー

    • この作品、原作も読みましたし、映画も観ました。

      原作は正直読むの辛かったです。なんかこう遅々として進まないところがちょっと。。。でも、おもしろいかおもしろくないかと問われればおもしろいという方に傾きますね。

      映画は、正直ハズレでした。
      主人公の漫画家を綾瀬はるかさんが演じたのですが・・・全然ハマっていなかったですね。演出面もなんか下手な3流ホラー映画みたいな感じでつまらなかったですね。

      映画を観て改めて原作おもしろかったんだなあと思いました。

      因みにこの作品で初めて「胡蝶の夢」というものを知りました!
      >> 続きを読む

      2016/08/16 by 澄美空

    • 澄さん

      読んで、映画も見られたんですね。
      これを映画にするのは難しそうで、私も検索してみたのですが、この原作の深い所が感じられなくて、軽そうでした。脚本が良ければ面白かったかもしれませんが。
      配役もですが少しストーリーも違ってなかったですか。

      言えない部分ですが、ネタバレになるかも、でもお姉さんが途中でおかしいなと気付くんですね。そのおかしい部分が最後にしっかり書けてないように思いました。なんか大急ぎでそれで終わらせるのという感じでした。
      胡蝶の夢は、有名な言葉が先行して、ストーリーは、レビューに書いたように映画を覚えていたんですが、それが何処で、どんな題名だったかがさっぱり思い出せません。印象的なシーンは浮かぶんですが。探して見直してみたいです。モノクロの古い映画だったような、5 、6年前に見たのにがっかりです。

      澄さんがおっしゃるように、テーマはとても面白かったですね。
      >> 続きを読む

      2016/08/16 by 空耳よ

    • 評価: 3.0

      この手のジャンルは限りなく不得意に近いのですが、やっぱり不得意だった・・・

      ただ、センシングやポゼッションどうこうより印象的だったのは、日常の仕事の中に、時折浮かぶ情景。
      祖父とのエピソードや島での出来事が鮮やかでキレイ。

      そして、リアルとは・・・?

      現実をつかめたのかどうなのかわからないラストにもやもや。


      映画版は観てないけど、現実の姉と弟の関係がよかったので恋人じゃなくてもいいかな。
      恋人だったら同じストーリーでも全然違う捉え方になりそうだ。
      >> 続きを読む

      2014/11/20 by

      完全なる首長竜の日」のレビュー

    • この作品随分前に読みました。
      >現実をつかめたのかどうなのかわからないラストにもやもや。
      ほぼ同意見です。作者は一体何を伝えたかったのか・・。

      映画も観ましたが、やはりダメダメでした。
      綾瀬はるかの役と作品に対しての合わなさが際立っていました。
      こういう作品には合わないですね・・。あと、映画だとなんか怪獣みたいなものが出てきてそれから逃げて最後は戦うという・・なんのこっちゃさっぱり分からない展開になっていてなんか逆に笑ってしまいました。
      >> 続きを読む

      2015/04/08 by 澄美空

    • 評価: 3.0

      このミス大賞受賞作品です。

      チームバチスタ以来の審査員が満場一致で受賞が決まった作品ということでしたので、とても期待していた半面、実際に読んだ方に聞くと「そうでもない」という意見が多い不思議な作品でした。

      もはや慣れて来ましたが、このミスの受賞作品は、ミステリーだとは限りません。
      この作品もまさにその例に漏れず、どちらかというと、ミステリではなくSFホラー寄りじゃないかと感じました。

      一応、ミステリの体裁は取っていますが、このオチでは結構読めてしまう人が多いはずです。
      それでも、文章が上手いと言うか、すごく読みやすいのでストレスなく結構楽しんで読み終えることができました。

      「植物状態の人間と会話できる」装置が開発され、それでも自殺した原因を話してくれない弟。

      設定は魅力的なんですけどね。

      上手く言えませんが、ミステリだという先入観を持たないで読めば、普通に面白い作品だと思います。
      >> 続きを読む

      2012/12/13 by

      完全なる首長竜の日」のレビュー

    • ここだけの話。
      chibadebuの首は短くて有名なんだな。

      2012/12/13 by chibadebu

    • ならば、ミステリーではなくファンタジーとして読めばいいのかな?と思いました。

      2012/12/14 by iirei

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      • 評価: 4.0

        仮想と現実が入り混じる不思議なお話。
        読んでいくと頭がぐるぐる。
        夢と現実の境界線があやふやになってくる・・・

        自分が生きている世界が現実だなんて証明できない。
        なーんて哲学的なことを考えたくなった。

        結末が気になって一気読み。
        私はこういう話、好きだなー。
        >> 続きを読む

        2012/11/29 by

        完全なる首長竜の日」のレビュー

      • このミス大賞受賞と聞くと、読みたくなりますね。
        文庫版を本棚登録♪

        2012/11/29 by ice

      • 勝手に「のび太の恐竜」みたいなストーリーを妄想中・・・w

        2012/11/29 by makoto


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