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最期の九龍城砦 完全版

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 中村 晋太郎
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    「最期の九龍城砦 完全版」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【何故ここまで密集したのか】
       本書も香港に存在した九龍城砦というう超スラム、魔窟の写真集です。
       もともと九龍城砦は、19世紀初頭に清朝の砦として生まれたものですが、阿片戦争後、1989年の新租界条約により、香港が英国の植民地となった後は、九龍城砦が中国の主権下にあるのか英国の主権下にあるのかが曖昧なままとなり、そこに多くの不法入居者が入り込んだということです。

       1949年に中華人民共和国が成立すると、経済的貧困から香港に大量の難民が流入し、九龍城砦もスラム化の一途を辿り、バラックが増殖し続けました。
       そして、香港の地価高騰と住宅不足に目をつけた九龍城砦内部のデベロッパーが1960年代から1970年代にかけて鉄筋コンクリート造りのビルを建設しはじめ、300棟とも500棟とも言われるビルが超密集状態にせめぎあう地区となったのだそうです。
       この地区の広さは、約2.7ヘクタール。
       1974年のピーク時には、この広さに約5万人もの人が住んでいたと言います。

       全く無計画に、次から次へと建物が建てられていきました。
       一応、それぞれの建物は独立はしているのですが、建物同士の間隔は極めて狭いか、あるいは全くありません。
       ある建物の外壁が隣の建物の壁でもあるのです。
       また、ある部屋のバルコニーは隣の建物の外壁と密接しているといった具合。

       そんな状態でどんどん建物が増殖していったため、建物の下部にある通路にはまったく日が射さないか、わずかな明かりしか入らないような構造になってしまっています。
       そんな暗闇通路は、怪しげな電灯の灯りで照らし出されているだけです。

      九龍城砦内には、住居があっただけではなく、ありとあらゆる商店、病院、酒場、売春宿等が複雑に混在し、工場までがこの建物の中にあったと言います。
       そこはスラムであり、マフィアの巣窟であり、まるで廃墟とも言うべき様相を呈しています。
       本書は、モノクロの写真によりそのような九龍城砦の様子を描き出していきます。

       そんな九龍城砦も、1993年に解体が始まり、その跡地は公園となっているそうですが、本書にはその解体されていく九龍城砦の様子の写真も収録されています。
      その解体写真を見ると分かるのですが、一つの建物が取り壊されてみるとその隣の建物には全く外壁がない(つまり一つの外壁を複数の建物で共有している)様子など、生々しさが際だつ写真が見られます。
       以前ご紹介した類書の『九龍城砦』という写真集も秀逸でしたが、本書の特筆すべきところは、この解体時の写真が収録されている点ではないでしょうか。

       いずれにしても、何ともすさまじい建築物が実在し、そこにひしめくように人びとが蝟集していたのだという迫力には圧倒されてしまいます。
      >> 続きを読む

      2020/07/26 by

      最期の九龍城砦 完全版」のレビュー


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