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日本の「安心」はなぜ、消えたのか

社会心理学から見た現代日本の問題点
4.0 4.0 (レビュー2件)
カテゴリー: 社会学
定価: 1,680 円
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    「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 評価なし

      256ページ: 武士道に代表される統治の倫理とは、結局のところ、社会体制を維持するために権力者が守るべき道徳律に他なりません。人々から権力者として畏敬・尊敬されるためには、利益に惑わされず、公平無私の心を貫き、秩序や伝統を尊重する精神が必要とされます。そこで生まれてきたのが統治の倫理であり、武士道であるというわけです。

      2015/03/19 by

      日本の「安心」はなぜ、消えたのか」のレビュー

    • 評価: 4.0

      開国以来、一貫して日本人を捉えてきたテーマ、「日本らしさ」。和を大事にする集団主義的社会という視点が一般的だが、現在、その倫理が失われつつあるのは、それを支える構造に対する誤解があるためだとし、隠された本当のメカニズムを探る本書。

      導入で、20世紀の社会主義国が、利他の精神、奉仕の精神をイデオロギー教育で植え付けることに失敗した原因を、「タブラ・ラサの神話」を信じてしまったからと指摘する。タブラ・ラサとは白板のことで、タブラ・ラサの神話とは、人間の内面を真っ新なものと捉え、適切な教育を施せば理想の人間になるという発想とのこと。
      これが誤りであることが分かった今、元々組み込まれている基礎となる「人間性」を明らかにすることで、事実に則して現実を作っていきたいというのが著者の願い。

      まず、いくつかの実験から、集団主義である日本人が個人主義といわれているアメリカ人と比べ一般的他者に対する不信が強いことを挙げる。
      そして、集団主義型社会を、集団内部での監視がメカニズム化(村八分など)しているため信頼がなくても暮らせる「安心社会」と呼ぶ。
      つまり集団主義では、倫理に反する行動が強く抑制されているが故に、個として信頼できるかに関わらず同じメカニズムに乗っているのであれば「安心」して接することができるということ。
      対して、強い拘束力を持つ集団に属していない個人主義者は、他者が信頼に足る人間なのかを選別する目を養う必要がある。そして、自分のしたいことを通すためには信頼される自分であることを示す方が功利的であるという認識があるため、まず相互信頼を目指す方が得であるとみなす。こんな社会が「信頼社会」とのこと。

      ここで日本人の集団主義に付随するイメージを相対化した上で、安心社会を村型、信頼社会を都会型と位置づけ、日本社会が都会化していく中で、村的な監視や教育を行っても利他的な人間が増える訳がないことを示し、信頼社会に適合する仕組みを日本に組み込むことが大切なのだと展開していく。

      と、ここまでの実験の内容については納得しづらいものもあるとはいえ、概ね理解でき、想定内といえるものだったが、最後に紹介されているジェイン・ジェイコブズという学者が提唱しているという『市場の倫理 統治の倫理』は目からウロコだった。
      これは古今東西の社会を調べる中で、人類には市場と統治の二種類のモラルの体系)があり、これら二つの倫理の混用は「救いがたい腐敗」を生むが、身分性がなくなってきた現代はこれらの境界線がなくなり、何でもありの混沌とした世界になってしまうということらしい(原典に当たっているわけではないので詳しくはわからない)。

      ここで面白いのが2つの倫理それぞれに挙げられている15条の特徴。いわば商人道と武士道の対比なのだが、所謂商人や武士のイメージとは違うような要素もあるのに、全体的には確かにその通りだと頷いてしまう。また、自分に当てはめると、場面によらず相当混用してしまっている。


      最後に著者は、「市場の倫理=信頼社会のモラル」、「統治の倫理=安心社会のモラル」であるとし、境界がなくなったのであれば日本を信頼社会型にシフトすべきだと再度提唱する。

      ただし、立場や状況が変わったら採用する倫理を変えるべきだというというのが著者の主張ならば、個人にとって倫理というのは内面化されてしまうもので、競技が違えばルールも違うというように技術的なものではなくなってしまうという側面への働きかけが弱いと感じた。
      また、例えば国防の問題などは統治の倫理に属するものだろうが、そういう領域に市場の倫理を入れることこそ混乱を招くのだろうから、日本を全体的に信頼社会にシフトさせることなどできないわけで、切り分けておかなければならない領域をいくつか提示してくれるようならより信頼できたのに。。と思う。
      >> 続きを読む

      2012/06/14 by

      日本の「安心」はなぜ、消えたのか」のレビュー

    • > 商人道と武士道の対比
      なるほど。訴求力の有る表現だなぁと思いました。

      Pettontonさんのレビューは深いなぁ。 >> 続きを読む

      2012/06/14 by ice

    • >iceさん
      深いだなんてとんでもなくて、このところこの本のフレームに縛られて色々よく分からなくなってしまってる感じです。。

      なので、「市場の倫理 統治の倫理」で調べていたら↓が出てきたんですが、これも面白かったですよ。
      http://www.tachibana-akira.com/2010/10/761
      >> 続きを読む

      2012/06/16 by Pettonton


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