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部活の後輩に迫られています

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者:
カテゴリー: 漫画、挿絵、童画
定価: 680 円
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    「部活の後輩に迫られています」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

       美術手帖という雑誌を知っているでしょうか。古代から現代までの美術、最近開催される展覧会、最新の美術動向などの情報を総合的に取り上げてきた雑誌です。最近は、マンガ、アニメ、ゲーム、音楽なども特集し、分野横断的な雑誌となってきています。

       その美術手帖の2014年12月号は、BL(ボーイズ・ラブの略称)コミックを特集していました。マンガの歴史のなかにBLコミックを位置づけ、なおかつ美術的な観点からも考察を加えることで、客観的な立場からBLコミックを評価しようという姿勢が大変印象的でした。

       さて、その特集を僕が読んだのが一週間前ほど。それからKindleでBLコミックをポチポチ購入し、中でも特に印象に残ったのが本書なのです。まずは、本書の大まかな内容を整理したいと思います。いやぁ、前置きが長い(笑)

       高校2年の守屋は困惑していた。部活の後輩である吉武から、気合の入った重箱の弁当をもらってしまっていたからだ。最近、吉武から熱い視線を感じていたこともあり、守屋は少し不安になる。
       とりあえず、守屋はお弁当のお礼を吉武に伝えた。守屋は、明日もお弁当を作ってきていいですかと吉武にいわれ、流れで承諾する。すると、流れに乗った吉武から告白までされる。守屋に断る暇はなかった。流れに任せて、心に少しばかりの罪悪感と違和感を抱えながら、守屋は吉武と「付き合う」ことになってしまった。
       守屋は吉武と付き合うことには乗り気ではない。でも、吉武がわざわざ料理を作ってくれたり、猛烈にアタックしてきたりするのをみると、拒絶するなんてできやしない。守屋はどうすればよいのか、相手との適切な距離をどう確保すればよいのだろうか。
       あれ、でも吉武に流されている部分はあるけれど、吉武を拒絶しないのはあいつへの好意が少なからずあるからじゃ…いや、そもそも自分のために何かをしてくれる吉武って悪く無い…むしろ…。守屋は自分の気持ちと向き合い始める。いつもは吉武が先に行動して守屋に好意を示してくれていた。けれど、今度は守屋の方からも行動をおこす。そして、2人の関係性が変わっていく。
       とまぁ、真面目なお話はこのあたりまで。関係性が変化したあとは、見ているこっちが恥ずかしいくらいにあまあまな物語が展開していく。キスしたり、抱き合ったり、料理を作ってもらったり、プールで遊んだり、花火大会に行ったり。相思相愛(ときどき吉武のアタックが強すぎるときもあるけれど)の2人は、互いに衝突するときがあっても、対話を通して互いの気持ちを再確認しながら前へと歩んでいく。2人の関係は末永く続いていくに違いない。

       大まかな内容は以上になります。次に、個人的に気になった点を述べていきたいと思います。

      ①対話と関係性
       本書の登場人物たちはよく話します。イチャイチャしたいときも、怒るときも、うれしいときも。登場人物どうしのリズムの良い対話は、同時に登場人物どうしの関係性の変化を如実に示すことを可能にしており、本書が対話を重要視していることがみてとれます。「語らずして語る」ことも面白いのですが、「語ることで語る」というのも面白いですね。登場人物たちの対話の妙は、要約じゃわからないですから、気になる方は本書に向かわれんことを。

      ②権力関係ではない愛
       登場人物2人の愛は爽やかです。支配-被支配の関係ではなく、同じ人間として対等な立場で互いを愛そうとしているからでしょう。

      ③愛を描くということ 
       ボーイズ・ラブコミックというジャンル分けは不思議です。愛を描くという点では、異性愛を描くマンガとの差異はないはず。それでも、ボーイズ・ラブコミックは「普通の」異性愛のラブコメと区別され、それを愛読する人々は「腐女子/腐男子」と呼ばれます。こうしたところに、社会の中で同性愛(者)が置かれている立場が逆照射されているのかもしれません。

      ④きっと、救われる人もいる
       本書のように、少しばかりの葛藤はあるものの、基本はあまあまのラブコメを描くボーイズ・ラブコミックには批判があるようです。同性愛が置かれている現実や同性愛者が受ける差別を描いていない、格好良い男性キャラクターを消費しているだけだ、同性愛者をステレオタイプ化しているなど。
       たしかに、現実世界で差別や抑圧に直面している人のことを考えれば、本書のようなボーイズ・ラブコミックには賛同しかねる部分があるかもしれません。でも、同性同士が当たり前のように愛しあうことができる夢のような世界に触れることで、救われる人もいるはずです。現実が厳しいのは事実だけれど、「ファンタジー」が人の心を支えたり、変えたりすることも忘れてはいけないような気がします。それと、差別や過酷な現実を直視するマンガは別個に存在しますから、様々な作品が共存していけばよいのだと思います。多用な作品があることを認識し、多用な作品に触れて思考する。こういったことを実行する責任は、読者が担っているのだということを忘れたくないものです。

       好きな人を好きになっていい。もちろん、相手の気持ちをかんがえないといけません。ただ、狭い規範(異性愛中心主義とでもしておきましょうか)にとらわれる必要はないはずです。でも、現実世界には、同性愛に対する制度的、社会的な差別構造がいまだに存在してしまっています。そうした社会の在り方を少しずつでも変えていき、みんなが生きやすい社会をつくりだしていかないといけないのだと思います。

       と、真面目な話が続いてしまいました。難しいことを考えるのも良いですが、単純に愛を描いた物語として楽しんで読むのも一興でしょう。興味のある方は、ぜひ御一読あれ。
      >> 続きを読む

      2015/03/17 by

      部活の後輩に迫られています」のレビュー

    • BLというジャンルの作品を読んだことが有りませんが、レビューを拝見して随分印象が変わりました。

      でも実は、美術手帖と言う雑誌のスタンスに大いに共感しました♪
      >> 続きを読む

      2015/03/18 by ice

    •  美術手帖は面白いですよ~(宣伝) 最近は、ロボット特集なんか組んじゃって、ロボット好きにはたまらないんじゃないでしょうか。 >> 続きを読む

      2015/03/21 by ゆうぁ


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