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生きる歓び

3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 3,990 円

ゾラが造型した近代の女性像と世紀末のペシミズム。貧漁村に後見されたパリ娘、ポリーヌ。後見人一家が羅った“精神・痛風・心臓”病に、自らの多額な遺産は蚕食されていく―近代社会の厭世と献身の物語。

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    • 評価: 3.0

      【とことん気が滅入る話だなぁ】
       本書は、ゾラのルーゴン=マッカール叢書の第12巻に当たります。
       主人公のポリーヌは、両親に早く先立たれてしまったため、10歳の時にシャントー夫妻が引き取ることになり、パリから海辺の漁村であるボンヌヴィルにやって来ました。
       その後のシャントー夫妻一家とポリーヌの人生が語られるのですが、いや、本当に気が滅入ることが連続する物語なんです。

       まず、ルーゴン=マッカール叢書の中の本作の位置づけからお話しておくと、本作の主人公のポリーヌは、マッカール家の血をひく者で、『ナナ』の主人公であるナナとは従姉妹という関係になります。
       ちなみに、ポリーヌは叢書第3巻の『パリの胃袋』でも既にちらっと顔出しをしているそうなのですが、まったく気がつきませんでした。

       また、シャントー夫妻がポリーヌを引き取るに当たり、家族会議を構成しなければならないということから、シャントー夫人によって3人の親戚が指名されるのですが、その3人とは、オクターヴ・ムーレ(『ごった煮』と『ボヌール・デ・ダム百貨店』に登場しますね)、クロード・ランチエ(『制作』に登場します)、ランボー(『愛の一ページ』に登場するエレーヌ・ムーレの再婚相手です)なんです。
       とは言え、この3人の親戚はここで名前が挙げられるだけで、本作では何の役割も負いませんが。

       さて、ポリーヌには両親が遺したまとまった財産があり、シャントー夫人がポリーヌが成人するまで管理することになっていました。
       しかし、シャントー夫妻の一人息子のラザールがとんでもないダメ男なんです。
       いい加減仕事に就くようにと言われているのになかなか腰を上げず、最初は作曲をして立つのだなんて言うのですが、満足に作品を仕上げる根気もありません。

       見るに見かねたポリーヌが医者になることを勧めると、今度は医学に入れ込み始め、パリの学校に通い始めるのですが、ほどなくして医学に飽きてしまい、今度は化学の道に進むと言い出すのです。
       もちろん、その間の仕送りはシャントー夫妻の負担になっています。

       ボンヌヴィルに帰って来たラザールは、海藻を加工して様々な製品を作るという計画をぶち上げ、大々的に工場を作るなどと言い出すのです。
       そんな金は……。
       ここでシャントー夫人のいやらしさが発揮されるのですね。
       ポリーヌにラザールとの結婚話を持ち掛け、いずれ夫婦になるのだからと言って、ポリーヌの財産を工場に投資させるのです。
       ポリーヌもラザールを愛していましたので、自分から進んで金を出すと言ったのではありますが。

       ところが、予想通り、この工場も失敗してしまい、投資した金は消えてしまいます。
       ラザールは、すぐに工場を投げ出してしまい、今度は堤防事業をやるのだと言い始め、またまたポリーヌに金を出させます。
       堤防ももちろん失敗です。

       こうやってどんどんポリーヌの財産は食い潰されていくのです。
       にもかかわらず、シャントー夫人は息子の失敗はすべてポリーヌがそそのかしたせいだなどと言い出し、ポリーヌの損失にはまったく責任がないと言わんばかりです。
       それだけではなく、シャントー夫人は家計が苦しくなると勝手にポリーヌの財産を使い込んでもいたのです。

       じゃあ、夫のシャントー氏は何をやっているかと言えば、この人、美味しいものを食べることしか頭になく、痛風が慢性化しているのにフォアグラを食べたりワインを飲んだりばかりして苦しんでいます。
       妻や息子がやることにも無関心な様子で、何の役にも立たない男なんですね。

       さらに、ラザールは家に遊びに来る知人のルイズに魅惑されてしまい、ポリーヌと結婚の約束をしているというのにルイズに手を出そうとしてポリーヌに見つかったりもします。
       シャントー夫人は、ポリーヌにあれだけ恩があるはずなのに、ポリーヌを逆恨みするようになり、ルイズに持参金があることに目をつけ、ラザールとルイズを結婚させた方が金が手に入ると考え始めたりもするのです。

       とことんポリーヌは喰われていき、結局破産してしまうんですね。
       この後も、気が重くなるようなエピソードが連続し、読んでいてとにかくラザールらの不甲斐なさにイライラするわ、気が滅入るわ。
       決して心地よい読書にはなりません。
       そしてまた、この唐突なラストは何なんでしょう?(それはご自身でお読みいただきたいのですが)。
       なんでこんな終わり方になってるの?

       というわけで、ルーゴン=マッカール叢書の中では、本当に救いの無い話になっています。
       読んでいてすっかり気が滅入った一冊でした。


      読了時間メーター
      □□□□    むむっ(数日必要、概ね3~4日位)
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      2020/05/26 by

      生きる歓び」のレビュー


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