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レオナルドのユダ (エディションq)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: レオ ペルッツ
定価: 1,944 円
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    「レオナルドのユダ (エディションq)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【なぜ、ダ・ヴィンチは『最後の晩餐』製作にあんなに時間をかけたのか?】
       ダ・ヴィンチは、『最後の晩餐』の製作を依頼されたものの、一向に筆を取る気配がありませんでした。
       じっと壁面と向かい合ったまま、ほとんど何も描こうとしないのです。
       マリア・デッレ・グラーツィエ修道院長は業を煮やし、ミラノのスフォルツァ公に窮状を訴え、何とかして欲しいと直訴に及んだところでした(実際には、1945年に製作を開始し、1948年に完成しているので、そんなに無茶苦茶長いという程でもないんですけれどね……長いと思う?)。

       スフォルツァ公は、レオナルドに製作が進まない理由を問いただしたところ、ユダの顔が見つからないのだと答えるのです。
       ユダにふさわしい男を探し続けているのだが、これぞという男に巡り合えないのだと。
       頭の中では構図はできているのだが、ユダだけが思い描けないのだというのです。

       レオナルドは問います。
       ユダとはどういう男なのか?と。
       裏切者、卑劣漢……それはそうなのだろうけれど、それだけでユダを現わせるのか?
       ユダは、何故裏切ったのか?
       そこにはどんな感情があったのか? と。

       さて、そんなミラノに馬の商いにやってきたドイツ人商人ベーハイムがいました。
       彼は、商いを終えた後、たまたま非常に美しい女性を見かけてしまうのです。
       一目惚れでした。
       すぐさま彼女の後を追いかけようとしたのですが、人混みに紛れて見失ってしまいました。
       彼女が落としていったスカーフを拾えたのが唯一の手がかりでした。

       ベーハイムは、馬の商いの他に、ミラノにはもう一つの用事がありました。
       ベーハイムの父がボッチェッタという男と取引をしたツケが17ドゥカーテンにも溜まっているのに一向に返済してもらえないため、それを取り立てようと思っていたのです。
       それはそれで重要な仕事なのですが、ベーハイムとしては、一目惚れした彼女に再会することの方が、ミラノに居残る強い理由になっていました。

       ところで、債務者のボッチェッタですが、人々は口々にボッチェッタのことをとんでもない吝嗇家だとののしり、あんな男から金を取り立てることは不可能なので忘れてしまった方が良いと言うのです。
       そんな馬鹿な!
       間違いなく正当な権利がこちらにはあるし、証文もある。
       自分もヤワな商人などではない。
       これまでにも債務を払わない者から搾りたててきた実績があるのだ、と。
       必ずやボッチェッタから17ドゥカーテンを取り立ててみせると豪語し、賭けまでするベーハイムでした。

       ベーハイムはさっそくボッチェッタの家を訪れ、取り立てにかかるのですが、体よくあしらわれてしまい、面目は丸つぶれになってしまいました。
       ベーハイムははらわたが煮えくり返る思いをし、こうなったらどんな手を使っても借金を払わせてやると誓い、恥知らずなボッチェッタを心から憎んだのです。

       その後、ベーハイムは偶然の差配も手伝って、一目惚れした女性であるニッコーラと再会することができ、二人は深く愛し合いました。
       ベーハイムは、ミラノを去る時にはニッコーラを連れて行き、妻にするつもりでした。
       ニッコーラも、もちろんベーハイムと結婚したい、ミラノから連れ出して欲しいと願っていたのです。

       ということは、少なくともニッコーラの件はうまく行きそうに思えますよね。
       でも、運命というのは恐ろしいものです。
       実は、ニッコーラは、あのボッチェッタの娘だということが分かったのです。
       なんということだ!
       あんなとんでもない男の娘を妻にすることなど絶対にできない!
       とは言え、ニッコーラに魅かれる気持ちはそう簡単には捨てることもできずにいました。
       加えて、ボッチェッタには何が何でも落とし前を付けさせなければ収まらない!
       なんともひどい状況に追い込まれてしまったベーハイムです。

       さて、ここまであらすじをご紹介してきましたが、タイトルにもなっているダ・ヴィンチと『最後の晩餐』の話はどうなったんだ?とお思いでしょう。
       私も、読みながら、これは何の話なんだ?といぶかしく思っていました。
       でもですね、最後にちゃんとまとまるところにまとまる物語なんですよ。
       大変寓話的な話で、きれいに決着をつけてくれました。
       お見事!
       あと、付言すると、このレビューでは触れなかった重要な人物が一人います。
       実は、その人物に関することがこの作品では非常に重要です。
       
       作者のレオ・ペルッツは、幻想的な作品を書きますので、私もこれまでに何作か読んできました。
       巻末解説によると、ペルッツの『石橋の下の夜』は、グスタフ・マイリンクの『ゴーレム』、カフカの『審判』と並んで、プラハ三大小説と呼ばれているのだとか。
       なるほど、と納得できる評価です。
       本作は、そういった幻想味はありませんが、小気味良い大変上手いプロットを持つ小品ではないでしょうか。


      読了時間メーター
      □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
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      2020/09/26 by

      レオナルドのユダ (エディションq)」のレビュー


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