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ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究 (未発選書20)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: 西田谷 洋
定価: 3,240 円
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    「ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究 (未発選書20)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

       新海誠の作品「雲の向こう、約束の場所」についての論考「恋愛機械」のみ読んだ。最初の印象は、非常に難しく、ソーカル事件で暗い影を落とされた、ドゥルーズやデリダ等の現代フランス思想を援用していることから、こじつけをそれらしく見せているだけなのでは?と訝しく読んでいたが、結論の部分で、全体が明瞭に見えてきて、読み直すことでその枝葉に至るまで理解することができた。今となっては、この類の論考の中で最も面白く思えてきている。
       特筆すべきは、ヒロインのサユリと主人公のヒロキがそもそも結ばれることがなかったのではないか、という指摘である。自分含め、多くの人は結ばれるはずだった二人が結ばれない悲劇、という風に見ていたと思う。しかし、確かに話を見返してみれば、サユリがヒロキを特別視しているのはほとんどなかったし、パイロット版の予告では、直接的な拒絶が描かれている。ラストシーンのサユリの記憶喪失は、拒絶の婉曲表現という指摘は今まで見たことがなかったが、二人の別離を前提として見れば、頷ける話である。
       前作でも主人公とヒロインの再開を描かなかった新海だが、それは二人が互いを思っている(今となってはこれも推測に過ぎないが)上での別れであった。それによってミスリードされたかのように、今作の別れも悲劇的な運命に翻弄される「セカイ」の男女かと思いきや、必然的な帰結を有耶無耶にされることで、浅い傷を付けられたまま、中学生の頃の記憶にすがる主人公が、冒頭に描かれている。新海作品に対して、切ないという言葉がよく向けられるが、もしかしたら、最も切ないのは、この作品だったのかもしれない。
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      2017/06/14 by

      ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究 (未発選書20)」のレビュー


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