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海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 平野 義昌
定価: 2,052 円
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    「海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      阪神淡路大震災が起きる以前だった。仕事の関係で月に一度、宝塚市
      に通っていた。1泊か2泊になるこが多く、空いた時間は自由に使えた。

      よく神戸を散策した。書店を見掛ければふらっと立ち寄った。本書の
      海文堂書店も、そんな書店のひとつ。多分、2~3回くらいしか訪れて
      いないのだがブックカバーが素敵だったのと、海関連の書籍が充実し
      ていたことが印象的な書店だった。

      仕事をいくつか変わり、箱根の山を越えることもなくなって随分と
      経過した頃、神戸在住の友人から海文堂書店閉店の報せが届いた。

      本書は書店員の目線で海文堂書店の約100年の歩みとエピソード、
      閉店の当日と「その後」が綴られている。

      私は数回、ふらりと訪れた客に過ぎないが、本書を読むといかに地域
      に根付き、愛された書店だったかが分かる。特に閉店が公表されてか
      ら、同店を訪れた幾人もの客が「これからどこで本を買えばいいんだ」
      と口にしている。

      ふと、思い出したことがある。地元駅前には子供の頃から2件の新刊
      書店があった。仮にA書店とB書店とする。売り場面積はB書店の方
      が広かったのだが、私のひいきはA書店だった。

      小学校高学年の頃、毎月母からもらった千円札を握りしめて図鑑を
      1冊ずつ購入するのが楽しみだったし、長じてからは棚を眺めながら
      面白そうな本に出会う楽しみを与えてくれた。

      そんなA書店は駅前の再開発と共に街から姿を消し、再開発後は
      B書店しか残らなかった。海文堂書店の常連客と同様に、私も
      思った。「ああ、これからはどこで本に出会えばいいんだろう」
      と。

      当たり前にずっとそこにあって、これからもあるだろうと思っていた
      ものがなくなってしまう寂しさ。きっと、海文堂書店の閉店を惜しんで
      足を運んだ人たちも、私と同じような気持ちだったのではないか。

      地域に根差した書店は遠くない将来、本当に絶滅してしまうのかも
      しれない。本を愛した店員たちがいて、客に愛された書店があった。

      こうやって、その足跡が書籍と言う作品として残る書店の方が少ない
      のだろうが、きっとどの地域にも、誰にでも、海文堂書店のような
      書店の記憶があるのではないかと思った。
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      2018/07/11 by

      海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録」のレビュー


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