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カテゴリー"中国思想、中国哲学"の書籍一覧

      中国の思想

      西野広祥 , 市川宏

      4.0
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      • この本は、韓非子のとてもわかりやすい現代語訳と原文が載っていて、韓非子のエッセンスが味わえる。
        とても良い一冊と思う。

        韓非子が言っていることは、要するに、

        賞と罰(刑徳)の二柄をしっかり君主が握り、人々を統率するということだと思う。

        そのために、人の言葉(名)と実績(形)とをきちんと照合し、物事を見通し簡単には人にだまされない「術」と厳格なルールとゆるぎない意志である「法」の二つ、法術を駆使するということなのだと思う。

        聖人とは現在を問題とし、その解決をはかるものだとはっきり定義し、時代錯誤を排して、時代の変遷をきちんと理解し、現在に対応することを繰り返し力説しているところは、同じ中国の古代思想とはいえ、儒家とはやはりだいぶ異なるリアリズムとダイナミズムを具えた思想と思う。

        儒教の道徳はおもちゃの玩具(戯)に過ぎないと喝破するに至っては、今もそうだけれど、当時においては相当に衝撃的だったのではないかと思われる。

        いろんなユーモアとウィットに富んだ説話の数々もとても面白い。

        韓非子がたくさん列挙している亡国の兆し(亡兆)は、戦前の日本や今の日本や各国など、いくつかあてはまりそうなものもあり、とてもためになる。

        小忠と大忠、小利と大利の区別というのも、本当に大切なことだろう。

        思うに、韓非子は一見冷酷なマキャヴェリストのようにも見えるけれど、あくまで国家理性の立場から必要な法術を論じたのであり、個人の倫理とは明確に区別をしていたのだと思う。
        儒家の道徳の方が、それは個人として接する場合の道徳としてはすぐれているとは思うけれど、そんなことは韓非子も重々わかったうえで、一国の運営という見地から、小忠や小利を排して、大忠や大利のためにさまざまな法術を真摯に説き明かしたのだろう。

        空理空論を排し、事実と実績を参照する、だまされない力量ある君主。
        現代の民主主義の国家の主は国民だとしたら、国民ひとりひとりが理想的にはそのような力量を持つことが、韓非子の見地からすれば望ましいのかもしれない。

        国を害する五匹の害虫「五蠹」も、今風に解釈すれば、新興宗教とポチ保守とヤクザと天下り官僚とインチキ商法の五つということになり、なかなかリアルに現代日本にもあてはまることかもしれない。

        そして、韓非子が、そのように真実を認識し、リアルな法術を説く人は、「孤憤」、つまり孤独な憂いと義憤を抱えて生きていくしかないことを述べているところも、なんともアイロニーとペーソスを感じさせられて共感させられる。

        そうしたことを考えれば、韓非子はいつの時代も、最も大事な古典のひとつと言えるかもしれない。
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        2012/12/22 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      中国の思想

      村山孚

      5.0
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      • この本には、孫子・呉子のとてもわかりやすい現代語訳が原文と対照されながら収録されている。
        また、尉繚子や司馬法なども抜粋で収録されている。

        これらの兵法書は、どれもとてもシビアで面白く、現代人にとっても教えられることが多い内容と思う。

        孫子が説いているのは、「事前の見通し」の大切さであり、責任倫理である。

        態勢を万全にするためのできる限りの努力をすること。

        勝利は人がつくり出すものであり、自然の成り行きでえられるものではないこと、つまり「勝は成すべきなり」ということ。

        勝つための条件をなるべく多く整えるという孫子の教えは、今もとても大事なことだろう。

        こうした責任倫理としての思惟と努力こそが、孫子の説くことであり、これは現代人もともすれば耳に痛い、必ずしもできていないことだと思う。

        また、勢いを重視することや、実をもって虚に勝ち、奇と正を縦横無尽に組みあせることなど、いろいろインスパイアされる部分は多い。

        自然な勝ち方こそ最上で、目立つ勝ち方はたいしたことはない、人に気づかれぬほど自然に勝つこと、そのための勝ちうる条件を自然なほどに充実して整えていくことこそ最上だという孫子の教えも、考えさせられる。

        孫子の知恵に学ぶことは、今なおとても多い。

        また、呉子も、私は大好きな古典で、「必死則生」、つまり必死になってこそ生きる道も開ける、という言葉は心に響く。

        孫子に比べて呉子はコンパクトだし、覚えやすく、内部の一致や将の気魄の大切など、いろいろと教えられることが多い。

        また、尉繚子もとても面白い。
        吉凶占いを迷信だと喝破し、徹底した合理的な思惟と人事を尽すことに主眼を置く尉繚子は、現代でもオカルトや迷信に走る人々が多いことから考えれば、これほど昔の人物なのにその合理性に驚く。
        「上満下漏」、つまり上層階級は富み栄えて下流は貧乏な国は滅びると指摘しているのも、今の日本に耳の痛いことだと思える。

        司馬法もなかなか面白く、ある意味、マキャヴェリズムの神髄と思う。

        時折は、これらの兵法書をしっかりと読んで、自分の組織の経営や方策を練ったり、あるいは国家全体の方針について考えてみるといいのかもしれない。
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        2012/12/22 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      中国の思想

      松本一男

      4.0
      いいね!
      • 管子は、古代中国の諸子百家の一人だけれど、非常に現実的で、とても面白かった。

        心にのこった言葉は、

        「曙戒勿怠」

        (曙に怠るなかれと戒めよ)

        という言葉。

        毎朝起きては、国家の安泰や繁栄、人民の生活に心を配り、心を砕いていた管子の様子が彷彿とされるし、管子自身の自戒の言葉だったのだろう。

        管子は、とても現実的で、

        「財、天下を蓋わざれば、天下を正す能わず」

        と、いかに理想や信念があろうとも、それを実現するための物質的条件がなければ何もできないというリアルな認識がある。

        そのために、市場の需給バランスを図ったり、さまざまな施策による富国を目指している。
        単なる精神論ばかりになりがちの儒教に比べると、管子の方がはるかに経済や富国のための実際的な知恵や工夫の精神に満ちていると言えよう。

        管子は、政治の要諦は、「人民の願いを察してかなえることにある」(在順民心)とし、庶民の苦労を除き、生活を豊かにし、安全を図り、繁栄を図ることを提言する。

        苦労を除き、生活を豊かにし、安全を図り、繁栄を図ること。
        たしかにこの四つを政治がきちんとできていれば、国民はおのずとその国を愛し、政府を信頼するだろうし、逆であればいかに美辞麗句を重ねようともそうはならないかもしれない。
        精神論やスローガンよりは、まずこの具体的な施策こそ、本当に管子の時代から今に至るまで必要なことだろう。

        「愛之、利之、益之、安之」

        ((国民を)愛し、利し、益し、安んじる)

        ことこそ、最も大事だという管子の思想は、今でもあらためて胸に刻むべきことのように思う。

        法令重視の発想も、空理空論の儒教よりはよほど実際的である。

        「経臣、経俗、経産」、
        つまりまっとうな人材とまっとうな生活スタイルとまっとうな産業があってこそ国は成り立ち、この三つがなければ亡国だというのも、なるほどなーっと思った。

        国にとって最も根本的に大事な精神を四つ、「四維」として、礼・義・廉・恥の四つを挙げているけれど、この四つも、本当に大事なものだと思う。
        一方で法令を重視しながら、こうした精神・道徳も重視しているところが、管子のバランスがとれていて面白いところかもしれない。

        人のめざすべきこととして、「長年・長心・長徳」、つまり、健康や寿命を伸ばし、心を広げ伸ばし、徳を広げ伸ばす、という三つをあげているのも、なるほどと思った。

        管子は、現代人にもいろんな示唆を与えてくれるとても面白い賢者の書物だと思う。

        あと、個人的に面白かったのは、「不牧の民」という言葉だった。
        管子自身は、この「不牧の民」を悪い言葉として使っている。
        管子の理想としては、本当の政治は「牧民」で、よい羊飼いや牛飼いが牧場の牛馬を飼育するように、きちんと国民を世話できる役人が良いということで、その世話に素直に従わない不逞の輩が「不牧の民」ということなのだと思う。

        ただ、管子の政治理想の良し悪しはとりあえず置くとして、あんまり政治権力に飼いならされた人間ばかりになれば、それはそれで問題だろう。
        良き牧民官をめざす人も世の中には必要かもしれないが、一方で独立不羈の「不牧の民」がいくばくかいる方が、社会や時代は元気かもしれない。

        たぶん、春秋戦国は、一方では管子や晏子のようなすぐれた牧民官がいた一方で、決して飼いならされない墨子や侠客の人々がいたから、あれほど思想も文化も活況を呈したのだろう。

        その後の中国が、空理空論ばかりの儒者になり、管子のような大政治家も乏しく、「不牧の民」も乏しくなったことを考えると、管子や墨子は、後世、やっと今こそ、あらためて注目されて、読み直されるべき本かもしれない。
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        2012/12/22 by atsushi

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      賢人の中国古典 論語、孫子、三国志から得る珠玉の言葉。現代ビジネスにも通じる人間力を学べ!

      北尾 吉孝中野 明黒鉄 ヒロシ守屋 洋荒俣 宏

      4.0
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      • 宮城谷昌光さんの小説にハマって、次から次へと読んでいた時期があったが、さほど意識しなくても学ぶべきことは少なくないと感じていた。
        三国志は何度も違った形で読んではいるが、いつも新たな発見をさせてくれるし、論語は常に自分の人生を振り返り反省を促してくれているような気がする。

        この本自体は要点だけが抜き出されて書かれているので、より深く理解して身につけたいなら、それぞれをしっかり読むことが必要だと思う。
        改めて今までに読んだ中国古典を読み直したくなった。
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        2013/10/18 by freaks004

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