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カテゴリー"アメリカ合衆国"の書籍一覧

      コモン・センス 他三編

      トーマス ペイン

      4.0
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      • この本には、「コモン・センス」の他に「厳粛な思い」「対話」「アメリカの危機」が収録されている。
        どれも、アメリカがイギリスから独立する頃、多くの人々の魂を揺さぶり、独立へ鼓舞した、当時非常に多くの人が読んだパンフレットだったそうだ。
        当時のアメリカの人口が250万人で、「コモン・センス」は50万部売れたというからたいしたものだ。

        内容もとても興味深い。

        政府よりも社会が先に存在し、重要だというペインの持論は、ずっと後年のアレントの「革命について」でアメリカ独立革命の重要な点として指摘されるところとまさに呼応している。

        聖書に基づく王制・世襲制批判や、イギリスの立憲制度への批判は、今日の日本人には縁の遠い話とはいえ、そのメラメラした熱烈さに、なんだか当時の共和主義の情熱や息吹みたいなものを感じさせられる。

        ペインの一連の文章における「イギリス」と「アメリカ」を、今の「アメリカ」と「日本」に置き換えてみたら、案外と面白いのではないかと読みながら思えた。

        隷従の拒否や、多元外交、自由貿易などを熱烈に説くペインは、今の日本を見てもおそらく同じことを言ったのではなかろうか。

        「対話」の中の、イギリスに逆らうことを恐れる議員に対して、

        「わたしは、隷属という破滅的な結果しか考えていません。
        戦争の災いは一時的なもので、その及ぶ範囲も限られています。
        しかし隷属の不幸は広い範囲に及び、またその影響も長引きます。」
        (107頁)

        という言葉は、なかなか戦後の日本では発せられにくい、しかし本当は一番大事な言葉ではないかと思う。

        「アメリカの危機」の中で、
        「ともかく、わたしが生きている間は平和であって欲しいんです。」
        という態度を退け、
        「もめごとが避けられないとすれば、わたしの時代にそれを片づけて、子供には平和な暮らしをさせてやりたい」
        という態度や精神をこそ唱えているのも、今の日本人の多くが聞くべき言葉ではないかと思った。

        人の魂を揺さぶる、正義感と独立への希求のこもった書物だと思う。
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        2012/12/22 by atsushi

    • 2人が本棚登録しています
      JFKを撃った男 テロリストの眼から暗殺のナゾを解く

      柘植久慶

      4.0
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      • 学生時代から特別の思い入れを持って臨んで来たJFK。
        フランス外人部隊で活躍した著者がその暗殺の背景を分析する。

        暗殺者の土壇場での極度の緊張と冷静な作業に改めて乾いた怖さを感じた。

        本物の軍隊に所属したという稀有な過去を持つ著者。
        いわば現場を語ることができるという点で、他の日本人作者に比較すると大きなアドバンテージを持っている。

        あの時代、時代やパワーの象徴だったことは疑いも無いジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。
        あまりにも悲しいその最後の一幕を、柘植氏が分析していく。

        その中で「私ならここから狙う」とか「遠ざかるより近づく標的を狙う」とか「陽光が深く差し込む場所からは狙わない」とか、暗殺者の立場での分析が有り、狙撃のプロが冷静に仕事を進めている姿を連想してしまった。

        同じ題材の有名作品として、落合信彦氏の「2039年の真実」が有るが、フランス外人部隊出身という著者の前歴から、銃や実行場所など狙撃部分だけに限定して言えば、本作品の方にリアリティを感じた。

        やはり軍産複合体とマフィアなのか?2039年まで約30年。
        >> 続きを読む

        2012/05/20 by ice

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      戦争指揮官リンカーン アメリカ大統領の戦争

      内田義雄

      4.0
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      • リンカーンと聞けば、誰もが南北戦争を連想するだろう。

        では、如何にしてリンカーンは南北戦争で勝利を収めることができたのだろうか。

        おそらく、これを知るものは少ないであろう(私は知らなかった笑)。

        確かに、人口や鉄道、工場数、穀物生産量など、あらゆる点で北軍は南軍を圧倒していた。そのため、北軍の誰もが(リンカーンでさえも)この戦争が短期間で終わると予想していた。

        しかし結果的には、南北戦争は4年間続き、戦死者は全体でおよそ61万8千人にまで及んだ(第二次世界大戦でのアメリカの戦死者がおよそ31万8千人であることを踏まえれば、この数字が異常であるとわかるだろう)。

        そのため、北軍の勝因を総合的な国力の優劣に帰することは間違いだ。

        では、何なのか。

        答えは「電信」だ(ネタバレではありません笑)。

        本書を読み通せばわかることだが、北軍の勝利には電信の使用が極めて大きく関わっている。
        電信が北軍を勝利に導いた、と言っても過言ではないだろう。

        リンカーンが如何に電信を使い、北軍を指揮し、その結果勝利を収めることができたのか。
        また、いつ、どこで、誰に、なぜ、リンカーンは暗殺されたのか。

        この先は読んでからのお楽しみ。
        >> 続きを読む

        2016/09/05 by Soma

      • コメント 1件
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      学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史

      StefoffRebecca , 鳥見真生 , ZinnHoward

      5.0
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      • とても面白かった。
        若者向けに書かれているので、すぐに読める。
        庶民やマイノリティの視線から再構成されたアメリカ史である。

        上巻では、コロンブスから19世紀後半の労働運動やキューバやフィリピンへの侵略まで描かれている。

        この本によれば、イギリスから独立する前の初期のアメリカでは、白人の奉公人など、極めて貧しい白人が多数いて、反乱の騒動も起こったという。
        ベーコンの反乱など、私は恥ずかしながらよく知らなかったので、とても興味深かった。

        白人富裕層が最も恐れたのは、そのような白人貧困層と黒人奴隷が提携して反乱を起こすことだったらしい。
        黒人差別は、決して自然発生的なものではなく、貧しい白人と黒人奴隷が提携して反乱を起こすことを防ぐために、人為的につくりだされ、両者の間を引き裂くためにつくられたものだ、著者は指摘する。

        そのあとの、たとえば十九世紀後半において農業の組合的な運動だった「ポピュリズム」が失敗したのは、「ポピュリズム」内部での白人貧困層が、他の移民や黒人を蔑視して、提携できなかったからという指摘を読んでいると、なるほどと思う。

        人種差別や民族意識というのは、えてして経済的な利害対立を隠蔽したり分散させるための巧妙な仕掛けなのだろう

        また、この本を読んでいて驚いたのは、七年戦争のあと、アメリカは、インディアンを掃討するために、病院で使われた毛布をインディアンに与えたというエピソードである。
        それによって天然痘を広める「細菌戦」を仕掛けていたという。
        その他にも、インディアンから土地を奪うためのさまざまな策略や侵略は、悪辣を通り越して形容する言葉すらなかなか見つからない気がする。

        アメリカというのは、独立前から、そして独立の時から、一部の富裕エリート層が政治的実権も経済的な利益もほぼ独占するものだったことが、この本ではわかりやすく描かれている。
        独立戦争に参加した将校や士官は、戦争中の俸給の半分が生涯年金としてもらえたのに対し、一般兵卒はそんなことはない上に、戦争が終った後も貧困や失業に苦しめられたそうである。

        メキシコ戦争のいかがわしさもこの本ではわかりやすく描かれており、勝ち戦だったにもかかわらず多くの脱走兵が続出したこと、そして一般兵卒に土地は約束通り与えられたものの、現金の必要や借金の返済義務のためにその多くがすぐに土地投機家に二束三文で買いたたかれたことも、読んでいてなんとも言えぬ気持になった。

        南北戦争期、北軍は三百ドルを支払えば徴兵が免除されたという記述も、なんとも考えさせられた。
        南軍も同様のシステムがあったそうだ。
        結局、いつの世も、金持ちは安全なところで暴利をむさぼり、前線で戦死するのは貧しい庶民なんだろう。
        ベトナムやイラクの戦争での構図は、アメリカの場合、ずっと昔からのようである。

        こうした状況にもかかわらず、時に挫折や失敗や鎮圧されることを繰り返しながらも、黒人やインディアン、あるいは女性や白人労働者などにより、さまざまな抵抗の試みがなされてきたことも、この本はわかりやすくよく描いている。

        メキシコ戦争へのソローの抗議、フィリピンへの侵略をマーク・トゥウェインが批判したことや、ウィリアム・ジェームズのキューバ侵略への批判など、さまざまなアメリカ内部での政府の帝国主義への批判が同時代にあったことも記されている。

        黒人奴隷制廃止運動と、女性の権利獲得運動が密接な関連があったことも興味深い。

        アメリカというのは、非常に多様な側面があり、一面でどうしようもない欺瞞や独善がある一方で、常にそれに対する対抗運動や浄化への努力があったところが、アメリカの歴史の面白いところなのかもしれない。

        下巻もこれから読むつもりだが、誰でもほんの数時間もあれば読める本なので、ぜひ一読をお勧めしたい本だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/03/18 by atsushi

      • コメント 8件
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      学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史

      StefoffRebecca , 鳥見真生 , ZinnHoward

      5.0
      いいね!
      • 上巻に引き続き、下巻もとても面白かった。

        二十世紀初頭のアメリカでは、労働組合の運動が盛んに行われ、IWW(世界産業労働組合)が果敢にストライキやゼネストを行っていた。
        アメリカ社会党も非常に大きな勢力となっていた。

        しかし、政府は、さまざまな方法でそれらの動きを圧殺しようとした。
        特に、第一次大戦によって、国をあげての愛国主義的ムードをつくりだし、戦争反対者を取り締まるスパイ法を制定して、それらを巧みに利用して労働運動や社会党をつぶしていった。

        それでも、1919年にはシアトルでかつてない規模のゼネストが行われたりした。

        社会党は分裂もあって衰退していったが、その後、アメリカでは共産党が力を地道に伸ばし、労働運動などでも大きな力を発揮していった。

        大恐慌によってアメリカは深刻な失業や貧困問題が起こり、さまざまな抗議運動も非常に活発となったが、再び体制の側は、ニューディールによる修正資本主義と、第二次世界大戦での挙国一致ムードの創出によって、体制の危機を未然に防いでいく。

        大戦後は、冷戦構造を演出し、共産主義の脅威を喧伝して、徹底して共産党や共産主義者が弾圧を受けた結果、50年代にはほとんどラディカルな勢力は窒息し、消滅した。

        しかし、60年代には、黒人やインディアン、女性の権利などを求めた運動がかつてなく進展し、ベトナム反戦運動も盛り上がった。

        著者のハワード・ジンは、それらの民衆の抵抗の歴史に光を当てつつ、戦後のアメリカが、いかに共和党も民主党も、軍事覇権を追求し、社会保障には力を入れず、貧困や福祉の問題にはあまり力にならないという点で似たようなものだったかを、鋭い筆致で指摘する。
        レーガンやブッシュにおける貧富の格差の拡大にはもちろんのこと、ハワード・ジンは、カーターやクリントンに対してもなかなか手厳しい。

        そのような中で、児童の食糧事情についてのエデルマンの啓蒙活動や、環境保護運動、反WTOのデモや、湾岸戦争やイラク戦争への反戦運動など、抵抗の運動はさまざまな形で80~2000年代も行われ続けてきたことをハワード・ジンはわかりやすく浮き上がらせる。

        なるほど、こういう流れの中に位置づけることができるのかと、いくつか記憶にあるかつての出来事も思い出しつつ読んだ。

        アメリカは、ハワード・ジンが指摘するような、一部の富裕エリートが権力を握り、戦争や貧困を再生産し続けるどうしようもない面もある。
        その一方で、果敢に抵抗し、批判精神を発揮し、実際に世の中を変えようと人々に働きかけ続ける一群の人々が常に存在している。
        この両面の歴史が、アメリカの歴史をつくってきたのだなぁと、あらためて思わされた。
        そして、この「ふつうの人々の抵抗の歴史」こそが、アメリカの本当の活力と魅力の源なのだと思う。

        著者のハワード・ジン自身も、黒人公民権運動やベトナム反戦に大きく関わって生きてきたそうである。

        通り一遍では、本当の生きた歴史とは何かを教えてくれる、貴重な一冊だったと思う。

        日本や、他の国々でもぜひこうした歴史書が書かれて、多くの人に読まれるようになって欲しいものだ。
        >> 続きを読む

        2013/03/20 by atsushi

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