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      傭兵の生活

      高部正樹

      4.0
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      • 本書の著者、高部正樹さんはこの本を書かれた当時、現役の傭兵でした。本書には先日読んだ「外注される戦争ー民間軍事会社の正体」から辿り着き、最初は「傭兵って何?」「日本人で傭兵?なぜ?」という感じでしたが、読めば読むほど面白く読むのを止めるタイミングの見つからなくなる本でした。

        傭兵というのはまさしく金で雇われた兵隊のことですね。正規軍に属することなく、金で雇われ、世界各地の戦場を転々とするフリーの兵隊のことです。著者は東南アジアを中心にボスニア・ヘルツェゴビナ、アフガニスタンなどの戦場を転々とし、傭兵生活を続けていきます。

        戦争の本、というとすぐに「戦争の悲惨さ」にばかり目にいきますが、本書で書かれているのはそうした「戦争」よりも「傭兵」として生きる著者の人生観、さらには様々な国出身の傭兵仲間達の人生についてです。著者は現在では無事に現役を引退していますが、著者の仲間の多くはやはり戦場で還らぬ人になっているようです。しかしそうした仲間達のエピソードであっても決して暗いトーンでは書いていません。平和な日常を生きる我々の生活と同じトーンで書かれているため、かえって戦争と言うのが遠い世界の出来事ではないのだ、と実感できます。


        「元気?今何やってんの?」
        「元気ですがただいま戦闘中。また今度」


        本書で紹介されている、まさに銃弾が飛び交う中、届いた日本からのメールへの返信です。思わず笑ってしまいますが、生きるか死ぬかのまさに瀬戸際でこんなメールが飛び交うなんていうところが逆にリアルさを感じてしまいます。

        本書ではそのタイトルの通り「傭兵の生活」について書かれています。その内容はもちろん過酷なのですが上にも書いたとおり面白いエピソードもたくさんあります。特に傭兵達の死生観は凄く面白かったです。「死ぬよりは痛いのがやだ」とか、「身体の一部を失うとしたら、どこがいやか?」といった会話は痛々しいけれど普通すぎて、戦場のど真ん中で生きる「傭兵」も我々と感覚は同じなんだな、と感じました。

        本書の後半のほうでは、イラクに多国籍軍を送った当時の日本政府の姿勢について語られていますが、非常に優秀な自衛隊の能力を束縛してしまうような条件をつけて送り出した日本政府に対して痛烈に批判しています。これは我々も認識する必要があるのでしょうが、平和とは決して無償で手に入れられるものではないということが本書を読んでいると良く分かります。

        またあとがきに書かれている著者が戦場に立つ理由もよく理解できます。我々が平和な社会に生きることができているのは、誰かが平和な社会を築いてきた結果でもあります。そして今まさに戦争で苦しんでいる人たちをまさにその場で救えるのは巨額の援助金でも外交交渉でもなく、そのすぐ側に立ち、闘うことのできる人だけなのだ、ということなのかな、と感じました。

        「無責任な傍観者になりたくなかった」

        この言葉は胸を打ちます。私も、少なくとも「傍観者」ではなく、もう一歩進んだ何者かではありたいなあ、と感じさせる本でした。
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        2014/04/09 by taka2

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