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カテゴリー"軍事施設、軍需品"の書籍一覧

      基地はなぜ沖縄に集中しているのか

      日本放送協会

      5.0
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      • 題名にあるとおり、「なぜ沖縄なのか?」という疑問を率直にぶつけて取材した力作だと思います。沖縄のことをまったく知らない初心者から、基地は絶対反対という側、安全保障のためには必要だという側、双方が読んで勉強になると思います。

         意外と語られてこないのが「第一章 基地集中の原点」「第二章 固定化」にある、本土から基地が減り、沖縄に基地が集中していった経緯です。知らなかったことが多かったです。特に本土の人間として知らなければならないことは、本土に基地があった時代、今の沖縄と同じ論理で地元住民が反対し、政府も同じ論理で住民を「納得」させてきたという事実です。横田基地の米軍戦闘機による騒音問題が、沖縄への移転によって「解決」されてきたことや、巨額の振興策によって地元に受け入れを納得させる政策が沖縄基地政策の雛形となっていく様子など、本土の人間は少なくとも必須知識として持った上で、沖縄について口を開くべきでしょう。横田基地を受け入れた当時の福生市長の秘書の言葉「当時の石川市長は、本来、全国民が等しく負うべき国防の責務、基地があることによる無用の困難を、なぜ基地周辺の住民だけがしわ寄せを受けなければいけないのか。誠に不公平だという思いでした。ただ、国がおやりになることについて、地方自治体が抵抗するということは、なかなか難しいという思いを強く感じていました」。この言葉の主語を沖縄に置き換えてもなんら違和感はありません。1972年の話です。福生市はどうせ抵抗しても無駄なのであればということで、破格の振興策を要求し、国もそれに従っていきます。これは辺野古が米軍を受け入れていく姿と重なります。どうせ抵抗しても無駄なら、自分たちにとってよりプラスになる方向で受け入れ、共存していく道を選ぼうというわけです。辺野古はもっとそこは徹底していて、米兵の祭りへの参加など、ハード面だけでなくソフト面でも交流を図ることでトラブルを軽減してきました。そうしたやむを得ない共存とでもいうべき姿を、単純に「基地と引き換えに多額の税金を投入されている」などと批判するのは実に無責任な発言だとわかります。そして本土でもそうした事実がありながら、沖縄だけがまるで基地を使って金を引き出すかけひきをしているかのように非難されるのもおかしなことです。

         第三章では、アメリカ、米軍という当事者に「なぜ沖縄なのか?」という問いを投げかけています。沖縄の海兵隊の司令部はハワイにあって、世界戦略の一環として沖縄を位置づけていることや、アメリカが対テロ戦争に向けて世界の様々な軍隊と共同訓練をくり返しているが、沖縄は日本政府へ断りを入れなければならない分、やっかいでグアムへの機能の移転を考えていることや、沖縄でアフガニスタンに向かう海兵隊の訓練を本格的にしていることなど、日本人のあまり知らないことが語られています。

        日本が沖縄を考える場合に、その視野に「世界」はほとんど入っていません。この感覚はこの問題だけに止まらない、極めて日本人的なものなのかもしれません。本書の中でも本気なのか脅しなのかという疑問符をつけて上で、リチャード・ローレス元米国国防副次官の「もし日本国政府から沖縄から出て行ってくれと言われれば我々は即座に出て行く」という言葉について書いています。日米安全保障条約第五条に基づいて米軍は日本を防衛する義務がある、しかしそれがないなら、アメリカが日本に駐留する根拠はないという論理です。第一章・第二章に出てきますが、沖縄の基地軽減に反対したのは当時の日本政府です。この人の発言には一定の説得力があります。

         ローレス氏は日米同盟はうまくいきすぎたと言っています。東アジアの平和と安定がそれなりに保て、長い時間過ぎたために、これからも続くだろうという幻想に囚われていると。この問題は突き詰めれば、日本が軍隊を持ち、自立した「普通の国」になるというあの問題に行き着いてしまうのです。そこを見ないようにして、問題そのものを本土から離れた沖縄に置いておくことで、見ないようにしてきたわけです。そしてそれでうまく行ってきてしまった。本書でも触れていますが、この差別的構造は原発を思わせるものがあります。あるいは水俣も。犠牲者がいることを知らないわけではない、しかしそれは見ないことで、済ませてきている。最大多数の最大幸福の原理に基づき、地方と少数者は切り捨てられる。政府を批判するのはたやすいけれども、その政府を選んでいる自分たちに批判を向けるのは容易ではありません。

         第4章では「最低でも県外」の鳩山発言によって噴出した沖縄の怒りについて様々な立場の人々にインタビューした内容を報告しています。民主党政権が第一章第二章で本書が書いているような、日本と米軍の関係、本土が沖縄にしてきた政治的な中身をまったくわかっていなかったということが明らかにされています。少数者を切り捨てても多数の幸福を目指すために調整を行うのが政治だとしたら、民主党は政治団体ではありません。違う道を示し得たのであれば、まだしも引っかき回した上に自民党が行ってきた路線に戻る民主党は、悪を悪として理解しながら、より少ない悪を選ぼうとする自民党よりはたちが悪いと言えます。「結果はともかく頑張った。結果は裏切りだけど、気持ちは裏切っていない」という感じでしょうか。こんなどもっぽい精神は今や学生の間にさえ通用しないでしょう。誰も責任をとらない国、日本。沖縄から見えてくるのは末期的な日本人の姿です。
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        2012/07/09 by nekotaka

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      エリア51 世界でもっとも有名な秘密基地の真実

      田口俊樹 , JacobsenAnnie

      5.0
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      • アメリカ最大の政府管理区域に存在するエリア51。

        公でないのにかかわらず、誰もが知っているという不可思議な秘密(?)基地だ。アポロ月面着陸捏造説や、ロズウェルの未確認飛行物体墜落説とともに語られ、長らく大衆の好奇の目に晒されているからに他ならない。

        本書は関係者のインタビューと、機密解除された公文書をもとに、エリア51の真実に迫るノンフィクションである。

        当然ながら僕は、未確認飛行物体や宇宙人にまつわる噂の真相が知りたくて本書を手に取った。だが、ここにロマンを求める読者は、期待を裏切られることになるだろう。

        著者は、エリア51(および隣接するをネヴァダ核実験場)で実行された数々のプロジェクトを、アメリカとソ連の核開発におけるチキンレースや、国防総省とCIAの権力闘争を絡めながら述べていく。本書は、現実をとことん追求しているがゆえに衝撃的である。

        第二次大戦、マンハッタン計画、朝鮮戦争、ケネディ暗殺、キューバ危機、ベトナム戦争、湾岸戦争、アルカイダという70年におよぶ歴史上のトピックの、ちょうど裏面史になっている。

        第二次大戦終結にともなってアメリカとソ連がドイツ人科学者の争奪合戦を繰り広げ、軍事研究に従事させているのには驚かされる。ネヴァダでは、杜撰な管理下で、地上、地下計1千発に近い原発実験がおこなわれていたという。人体に対する放射能の影響がわかっていなかったときから、実験が繰り返されていたのだ(これが後の人体実験につながる)。

        訳者あとがきにもあるとおり、汚染された土壌をミミズが摂取し、それを鳥が捕食して、拡散するという恐ろしさは永遠に続いていく。プルトニウムの半減期が2万年であることを考えると、対岸の火事ではない。

        エリア51内での従事者は、情報適格性によって区分けされ、誰が何をしているかを理解していないという。情報適格性のもとでは、大統領ですら触れることのできない情報が存在する。ここでおこなわれているプロジェクトの全体を把握し、統制しているのは、いったい誰なのだろう。全世界の命運を、得体の知れない組織体が握っているという危うさが、ここにある。

        エリア51での、CIAによる高高度音速偵察機の開発経緯や、知られざる事件・事故、試行錯誤するステルス技術、ソ連の対抗策、空軍による主導権の奪取、ミグのリバースエンジニアリング、無人爆撃機等、読み所はてんこ盛りになっている。すらすらと読み進めることは難しいが、知的好奇心は十分に満足させてくれるだろう。

        特に興味を引くのは未確認飛行物体についての著者の論述だ。ここだけは、多くの人が突拍子もないと思うのではないだろうか。どちからというと、僕は未確認飛行物体そのままの方が理解しやすかった。この珍説を拝見するだけでも、本書を読んだ価値はあったかな。
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        2013/02/04 by hit4papa

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