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カテゴリー"地史学、層位学"の書籍一覧

      凍った地球 スノーボールアースと生命進化の物語

      田近英一

      5.0
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      • 記録的な大雪が降り、寒い日が続いています。しかし今の寒さなど比較にならないほどの超寒冷だった過去の地球の姿が本書では紹介されています。過去の地球はスノーボールアースと称される、凍りに完全に覆われた姿をしていたそうです。本書は、このスノーボールアースがいつ頃、なぜ生じたのか?その役割は何か?現在を生きる我々人類や生命との関係は?さらには遠く宇宙の中に地球のような星が存在するのか?といったことについてまで書かれた本です。

        まず本書についてですが、本書の著者は東大の準教授の方です。ですので本書は理科系の科学書、と言ってもいいかと思います。しかし難しい数式などはなく、専門用語も極力抑えられていますし、ページも二百ページ程度と薄く、この手の本にしてはだいぶ読みやすいと感じました。


        本書では著者が専門とされている地球惑星システム科学の立場から、スノーボールアースとも称される全球凍結状態の地球、つまりは完全に氷に覆われ、赤道付近でさえも−30度にもなる状態が生じていた過去の地球の姿について語られていきます。全球凍結と呼ばれる地球が完全に凍りつく状態が過去には何度もあったこと、全球凍結には地球上の二酸化炭素濃度やメタンガスの濃度が大きく関係していること、そのような全球凍結状態の地球でも絶滅することなく生き延びた生命があること、などなど本書には驚くような内容があちこちに書かれています。

        しかし読んでいて本当に凄いと思ったのは、こうした数億年も前の地球の状態を地層内の物質を分析することで解き明かしていく科学者達の姿です。ジョセフ・カーシュヴィンク博士、ポール・ホフマン博士をはじめ、多くの科学者が分析結果を元に様々な仮説をたて、議論を交わし過去の地球の姿を解き明かしていきます。地層内の物性や地磁気、炭素同位体から過去の地球の姿を想像し、その想像の裏づけを取るためにまた研究を重ねていく—。数十億年前という、地球ができたばかりの頃の姿までをも特定できるというのは本当に凄いです。彼らの姿はまさに謎を解き明かす探偵のようですね。科学書なのにSFやミステリのようで、読んでいて熱中してしまいます。

        上でSFのようだ、と書きましたが、本書を読んでいるとつい先日読んだばかりのSFの名作「星を継ぐもの」を思い出します。月の裏で発見されたチャーリーと呼ばれる五万年前に死んだ人類の謎を巡って激論を交わす科学者達の姿は、そのまま本書の中の科学者の姿に重なります。しかも本書で書かれているスノーボールアースという現象は想像の産物ではなく現実なんですね。これがなにより凄いと感じます。

        こうした惑星や地球について書かれた本を読んでいると、そのスケールの大きさにまた驚かされます。全球凍結と呼ばれる完全に地球が凍り付いていた時期は数千万年にも及ぶそうです。そしてまた一方で、極地にさえも氷の張らない温暖な時期もやはり数千万年に渡って続いたそうです。数千万年とか数億年とか、もはや想像できない時間の長さです。ちなみに数千年レベルの変化は地球史的にはごく短期間の変化とみなされるようです。

        こうした本は、読み終えた後に外に出て想像を逞しくしてみるととても面白いです。
        今立っているこの場所が、数億年前には氷に閉ざされ、氷点下五十度の世界が広がっていた—。または今よりも遥かに温暖な状態だった—。そんなことを考えて空を見上げたりすると、今いる場所がまた違って見えてくるようにも感じます。

        本書は科学書ですが、著者の熱意がこれでもかと伝わってくるエキサイティングな本でした。少し難解な部分がなきにしもあらず、ですが、個人的には満足の一冊です。
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        2014/02/15 by taka2

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      スノーボール・アース 生命大進化をもたらした全地球凍結

      WalkerGabrielle , 川上紳一 , 渡会圭子

      5.0
      いいね!
      • 6億年前、地球は氷で覆われていた。
        そんなスノーボールアース仮説について、科学者の苦労について書かれた本。
        信憑性や、生命進化と凍結の関係など、小難しいことは分りませんが、
        氷で覆われた地球やその当時の世界を想像してみるのは、意外と楽しいですよ。
        そして、この本の主人公ともいえる、ポール・ホフマン教授。
        問題児っぽいけど、憎めない。。。むしろ、好きかも。
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        2013/12/05 by che_k

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      スノーボール・アース 生命大進化をもたらした全地球凍結

      WalkerGabrielle , 川上紳一 , 渡会圭子

      5.0
      いいね!
      • 5億数千年前に起こった「カンブリア紀の大爆発」と呼ばれる、生物の爆発的な進化。

        れをもたらしたものが「スノーボール・アース(全地球凍結仮説)」
        これは、かつて地球が全面的に厚い氷に覆われていたとする説。

        この説では、それまで地質学の世界で信じられていた「斉一説」(現在のような気候が、過去も続いていたと考える説)をひっくり返す事になり、地質学界は大騒ぎになる。

        本書は「スノーボール・アース」を提唱したポール・ホフマンだけでなく、それ以前の先達が積み上げた理論も紹介し、ポール・ホフマンが如何にして自説にたどり着いたかを紹介している。
        また、提唱後の激烈な論争についても描かれている。

        小さな岩の標本から、この説を引き出した様子から、ふと思い出した事がある。

        それは、明治の頃の物理学者、寺田寅彦。
        知り合いの火山学者がフィールドワークをしている所へ陣中見舞いに行った後、
        「この石ころ一つにも地球創世の謎が刻み込まれている。ただ、そこに書かれている”言葉”を読む術を知らないだけだ」
        という旨の事を随筆に書いている。

        寺田寅彦の弟子の中谷宇吉郎は、もっとキレイに
        「雪は天からの手紙である」
        とまとめている。

        この言葉、雪を手紙にたとえたものだと思っていた。
        が、本来の意味は、雪の結晶の形はそれが形成される上空の気温によって決まってくる。
        だから、雪の結晶の形を調べれば、上空の気温が分かる。
        その意味で、雪を”手紙”に例えたのだ。

        この「スノーボール・アース」に賛成するにせよ、反対するにせよ、どんな科学者でも、その根拠としたものは「岩が語ること」であった。

        別に科学の論文を発表するわけではないが、季節の変化を楽しむためにも、自然が語りかけてくる事に敏感でいたい。
        >> 続きを読む

        2012/11/18 by Tucker

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