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カテゴリー"記録、手記、ルポルタージュ"の書籍一覧

      ランチのアッコちゃん

      柚木麻子

      3.1
      いいね! riripop KEMURINO
      • ポトフのような優しい味つけ。ビアガーデンの話は良い。

        2019/07/30 by hiro2

    • 他9人がレビュー登録、 32人が本棚登録しています
      困ってるひと

      大野更紗

      3.9
      いいね!
      • ほんと困ってるよこの人。
        そりゃこんな状況になれば誰だって困るよ。
        困んないわけないよなー。

        という訳で難病患者への制度拡充は大事である事が実感できる一冊。
        >> 続きを読む

        2016/03/03 by W_W

    • 他5人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      きけわだつみのこえ 日本戦没学生の手記

      日本戦没学生記念会

      4.5
      いいね! ayumi
      • あのような時代にあっても、

        時代や社会に対する批判的な知性を多くの若者が持ちえていたこと。

        豊かな感性や繊細な心をほとんどの若者が具えていたこと。

        そして、そういうすぐれた人材が、無謀な戦争であたら貴重な命を捨てなければならなかったこと。

        おそらく、心ある人ならば、誰が読んでも、それらのことに胸を打たれ、考えさせられると思う。

        ただ、大事な事は、感傷にひたることではなくて、こうした戦没学生たちが、ぎりぎりまで見つめた、あの戦争の愚かしさや無謀さを、
        忘れることなく、二度と繰り返さないような知性と批判精神をくりかえし自分のものとしていくことかもしれない。

        そして、そうしたいろんな不条理にもかかわらず、限りなく彼等が愛した家族や郷土や日本の尊さを、しっかり引き継いで、責任を持って愛していくことなのかもしれない。

        左翼とか右翼とか、そんなものは関係なく、人間として、ときどきは、この本の声に耳をかたむけて、今の自分の生き方やあり方、今の日本の現状やあり方について、思いをめぐらしてみることも、とても大事なこと、忘れてはならないことなのではないかと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      五体不満足

      乙武洋匡

      4.0
      いいね!
      • 言わずと知れた乙武さんが有名になった作品です。

        よんでみて乙武さんって強い人間だなーって思ったのが率直な感想です。障害を持って生まれたことでつらい思いもしたと思いますが、そんななでも充実した人生をおくっている乙武さんが羨ましくなりました。 >> 続きを読む

        2014/05/02 by spra

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      償いは済んでいる 忘れられた戦犯と遺族の歴史

      上坂冬子

      4.0
      いいね!
      • 同著者の『巣鴨プリズン13号鉄扉』を短くわかりやすくした内容がほとんどで、若干そちらには載っていない話もあった。

        写真も多く、わかりやすい叙述だった。

        ただ、上坂冬子さんの主観や意見が、「償いは~」では前面に出されている。
        「13号鉄扉」がノンフィクションに徹していたのと、若干そこが異なる。

        また、「13号鉄扉」で取り上げられていた朝鮮半島出身のBC級戦犯の話もこちらには出てこない。

        BC級戦犯1061名の戦後になってからの死刑、および本人や遺族の筆舌に尽くしがたい受難を思えば、日本の戦後補償はすでに終わっている、というのが本書での著者の主張なのだと思う。

        心情としてわかる部分もあるが、若干問題を整理した方が良い部分も多いと思う。

        著者自身が言う通り、いわゆる戦犯裁判は先の大戦の戦勝国と日本との間に行われたものであり、韓国や北朝鮮が関わっていないものだったこと、それゆえにその狭間で著者自身が「13号鉄扉」であげていた朝鮮半島出身のBC級戦犯の人々などの犠牲者が出て、そのことについて十分な歴史的な解決が図られてこなかったことが、戦後多くの時間が流れても未だに難しい問題が存在していることの一つの原因なのではないか。

        BC級戦犯とされた人々のことを記憶にとどめるためには、本書も有益な書物だが、最初と最後に記されている著者の主張については、読者は多角的な観点からよくよく検討することが必要なのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2016/04/10 by atsushi

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      若き数学者のアメリカ

      藤原正彦

      4.4
      いいね!
      • 日本の青年が、数学者としてアメリカでの暮らしを綴ったエッセイだ。

        1972年から2年間のアメリカでの生活を当時の日本人の視点で語っている。極めて日本的な、そして、人間的な目でアメリカ人を観察している。その記述がすばらしくリズムがあって引き込まれる。ホントに数学者の文章なのか。

        と、思っていたら、なんのことはない。彼は新田次郎の次男なのである。おなじ感性を受け継いでいるのだろう。そうでないと、こんなにうまい表現はできっこない。それにしても、目の前に浮かぶような情景だなあ。たった2年だが、深くアメリカとつきあった青年の感慨が心に響く。
        >> 続きを読む

        2017/04/22 by KameiKoji

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      遥かなるケンブリッジ 一数学者のイギリス

      藤原正彦

      4.6
      いいね!
      • イギリスのリアルを知った気がした

        外から見る私たちには決して見えない
        イギリスの中だけのルールや価値観
        彼らの考え方を垣間見れた

        面白かったしイギリスのそういった伝統
        時代遅れだとしてもイギリスだから許される点もあり、そんな独自の価値観をこれからも続けて言ってほしい

        私もイギリスが好き
        >> 続きを読む

        2016/12/10 by snoopo

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      海軍めしたき物語

      高橋孟

      4.0
      いいね!
      • 軍隊の主計課って漠然と経理を管理するところだと思っていたのだが、
        軍艦などでの烹炊、いわゆる乗組員の食事を用意する部署でもあった
        のね。

        本書は昭和16年に徴兵で海軍主計課に配属され、戦艦「霧島」の
        「めしたき兵」だった著者の回顧録だ。

        真珠湾攻撃にもミッドウェイ海戦にも参加した「霧島」だが、めしたき
        兵だった著者は戦闘は一切知らず。ひたすら烹炊所で乗組員の食事作り
        に精を出す。

        それも事あるごとに先任のめしたき兵からしごかれながら。ビンタは
        日常茶飯事、同年兵の連帯責任で不意に行われる腕立て伏せ。完璧な
        いじめだが、添えられたイラストの雰囲気もあり文章もユーモラス
        なので陰惨さはあまり感じられなかったのが救いかな。

        戦艦に乗り組んでいながら海を見る機会もほとんどなく、艦がどこを
        目指して航行しているのかも分からない。

        もうひたすら飯炊き。野菜や魚を切って、味噌汁を作って、ご飯を炊い
        て、後片付けをしての繰り返し。

        夜食のお汁粉が甘くならないからとどんどん砂糖をぶちこんで、「塩を
        入れんか!」と怒られ、一握りの塩を入れたらめちゃくちゃ甘いお汁粉
        になって、甘さを薄める為に水を追加するなんて失敗もしている。もれ
        なくゲンコツが飛んでくるのだが。

        いや~、太平洋戦争時の回想録でまったく戦闘場面のない作品も珍しい。

        尚、戦艦が戦闘状態に入っている時の食事は、五目御飯のおにぎりなのだ
        そうだ。それも鶏肉ではなく牛肉を使うらしい。牛肉の五目御飯かぁ。
        作ってみようかな。

        著者は「霧島」乗艦時に経理学校の試験を受け、見事合格。艦を降りて
        のちのエピソードもあり、この人には運がついて回っていたのだなと
        思った。

        こんな戦争の思い出話もいいかも。

        >> 続きを読む

        2018/03/19 by sasha

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記

      小林和彦

      3.3
      いいね!
      • 自分が何を期待してこの本を手に取ったのか分からない。ひょっとしたら、自分にも精神障害の端緒があり、その共通項を探ろうとしていたのかもしれない。
        そういう意味ではある種の落胆した感じはある。

        統合失調症の患者が正確にその病状を書きつづっているということは非常に稀有なことであるらしく(状況を考えれば、至極当然であるが)、社会的な観点からも精神疾患の方々を考える上ではこのような文献は貴重であろう。

        ただ、読み物として、私にとってはつかみどころのないものが多く、読み進めるのはなかなか難しいところもあったため、評価を3とした。
        >> 続きを読む

        2013/04/29 by Ponta

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      はなちゃんのみそ汁

      安武信吾 , 安武はな , 安武千恵

      3.5
      いいね!
      • 改めて生きるとは何か?

        親子とは何か?

        何を伝えるのか?

        などを考えずにはいられない。

        限られた時間の中で、その子のことを思い、長い目でみて伝えるということの尊さと厳しさを感じる1冊。

        今が良ければという風潮がますます強くなっていると思う中で、今一度、振り返るきかっけにもなる。

        身体で覚えたことは、決して忘れることはないし、そこから次へもつながる。

        人は、そうやってつなげてきたのだから。
        >> 続きを読む

        2017/06/10 by けんとまん

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      収容所から来た遺書

      辺見じゅん

      5.0
      いいね!
      • 太平洋戦争が終わってるにも関わらず、シベリアでは壮絶な抑留生活を送っていた日本人がたくさんいたことを改めて知った。生活の細かい点まで描写してあり、著者の精緻な取材により我々がその実態を知ることができる。遺族に向けた遺書はまさしく愛する家族への最後の叫び、帰国できなかった無念さが痛いほど伝わり、一行一行が胸に響いた。それを分担して暗唱し、それを遺族に伝えた人々の責任感、連帯感にも心より感動。平成初期の今後も読み継がれるべき作品。 >> 続きを読む

        2018/01/30 by MT1985

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ツレがうつになりまして。

      細川貂々

      3.5
      いいね!
      • 夫がうつ病になった漫画家の妻による,闘病コミックエッセイ.ライトで,あっという間に読みきれます.

        うつを患った自分にとっては,共感できる部分が多かったです.特にPart4-その11「ありのままを受け入れる」は,現在(2011/05/07当時)休職7か月目で近日中の復職を目指している自分にとっては,自分の今の心境(完璧に元通りになることなどできない.けれど,それで良いのだ)を後押ししてもらった気になりました.また,支えてくれている妻のありがたみに気づかせてもらえたことも,良かったです.

        うつ症状の描写も,自分の経験と照らして,共感できるものでした.なので,妻にも読んでもらいたいと思いました.

        ただ,意図的にシリアスにならないように笑いを織り交ぜ軽い感じで描かれているので,読み手によっては,「うつなんてさして心配する必要もない容易い病気」と解釈される恐れは感じます.そこは差し引いておく必要があると思います.
        >> 続きを読む

        2014/08/25 by medio

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録

      市橋 達也

      3.5
      いいね!
      • コレはまたセンセーショナルな本である。
        こんな本が売れたりすること自体にはらわたが煮えくりかえるという意見はご尤も。
        でも興味は俄然わいてしまうでしょう?
        そういう意味では大変おもしろかったです。
        なぜ犯行に至ったかの心理と行動も読んでみたかったけれどソコは肩すかし。

        でも、この本の賛否はともかく興味はつきないでしょ。
        >> 続きを読む

        2018/07/28 by motti

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      いとし子よ

      永井隆

      5.0
      いいね!
      • とても素晴らしい本だった。
        多くの方に読んで欲しい。
        読み継がれて欲しい。

        長崎で被爆した永井隆博士が、我が子に向けて切々とつづった、
        深い愛と貴重な人生のメッセージ。

        「わが子よ、言葉を知っているということと、
        その言葉の命ずるとおり行なうということとは、
        大きな違いがあるのである。
        何千年来、何千億とも数知れぬ人々がこの言葉を知っていた。
        しかし、この言葉のとおり行った人は、
        おそらく指折り数えるほどしかなかったのではあるまいか?」

        「なんじの近き者を己の如く愛すべし」
        >> 続きを読む

        2015/08/17 by atsushi

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      長崎の鐘

      永井隆

      4.5
      いいね!
      • 歌は耳にしたことがあったのに原作は読んだことがなかった。

        終戦目前の八月九日午前十一時二分。人類二発目となる原子爆弾が長崎に投下された。

        終戦の象徴として何度も流されるキノコ雲の映像は見慣れたが、雲の中で何が起きていたのかを想像する力をなくしていたことを、70年経ったいまこの本が教えてくれた。

        爆心地からわずか七百メートルの長崎医科大学(現長崎大学医学部)で助教授を務めていた医学博士・永井隆氏が重傷を負いながらも、生き残った医師や看護スタッフたちとともに救護活動を行なった壮絶な体験を克明に記した手記だ。

        突然「ぴかり」と閃いた静かな閃光に人々は一瞬「?」と静止。その直後、辺りは夕暮れのような闇に包まれる。

        雲の中に発生した強烈なエネルギーは、一瞬に人も建物も、自然も圧し潰し、吹き飛ばす。いったい何が起きたのか?「太陽が爆発したのでは?」と驚愕する未曾有の恐怖が、その後も人々を容赦なく襲い続ける。

        雲の中にできた真空は、全てを上空に吸い上げ、投下。高熱がすべてを焼き尽くし、空からは火の玉が降りそそぎ、大地は灼熱地獄と化した。

        パニックを起こす間もない殺傷力と熱傷力を持つ原子爆弾の破壊力。大粒の黒い雨、投下後米軍機がばらまいたビラ。

        救護にあたりながら、じわじわと人々の身体を蝕む放射能の被爆症状も医師の目で記録、観察を続け、混乱の中でいち早く有効な治療法も実践している。

        屍しかない絶望の「原子の野」に生き残った人々の地獄のような苦しみが時間軸にそって、目をつむりたくなるほど鮮明に描かれている。

        終盤で博士として、書き残した原子力の平和利用への想いや、浦上天主堂に投下された奇遇に関する著者の見解も現代とつながるミステリアスに感じた。

        著者は闘病の中、精力的に執筆活動を行い、被爆6年後に白血病で他界している。
         
        ひと夏を謳歌するようにひびく蝉の合唱を聞きながら、

        見慣れたキノコ雲は、終戦の象徴ではなく、大地に存在する生命を根こそぎ消滅させるために利用した大量殺戮兵器と再認識したいと思った。




        >> 続きを読む

        2015/08/15 by まきたろう

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      フィリピン戦逃避行 証言昭和史の断面

      吉見義明 , 新美彰

      5.0
      いいね!
      • 著者の方の回想の聞書。
        とても考えさせられる、すごい戦時中の体験談だった。

        著者の方は、夫がフィリピン勤務だったために夫婦でフィリピンに住み、平和に幸せに暮らし、赤ちゃんも生まれた。

        が、やがてアメリカ軍の空襲が始まり、夫は徴兵される。

        赤ちゃんを連れて、山の中に逃げていくが、食べるものもないし、軍もろくに守ってくれない。

        大変な苦労がリアルにこの本には描かれているが、とうとう赤ちゃんは飢えと病気で死んでしまう。

        その数日後、戦争は終わる。

        夫は、すでに戦死していたことを後で知る。


        この本を読んでいると、いくつもの不条理な話に、なんとも言えない気持ちになる。

        著者の夫は、急に徴兵されて、ろくに訓練も装備もない中で、マニラの防衛を命じられ、戦死したらしい。
        当時、本当の職業軍人たちは山の中に兵力温存の大義名分のもとに自分たちだけ逃げていき、ろくな訓練も装備もない部隊がマニラで死ぬとわかっていて防衛を命じられほぼ全滅していったらしい。

        また、著者の方をはじめ、当時フィリピンには何千人という女性や子供たちもいたので、せめてもこれらの民間人だけでもアメリカ軍に降伏させるようにすれば被害はずっと少なったはずなのに、何の世話もしないのに山中に逃れるように軍は指示したそうだ。

        そのため、逃避行における飢えと疲れで、多くの女性や子供が死んだそうである。

        女性たちが歩いて道を苦労しながら逃げているのに、軍人たちはトラックに乗ってどんどん山の中に撤退していったという話を読むと、どうも当時の軍隊は民間人を防衛するという意識や任務がほとんどなかったのではないかという気がしてくる。

        また、この本を読んでいて考えさせられたのは、現地の人々、特に山の中のイロゴット族という少数民族の人々は、戦争の末期も敗戦後も、まずほとんど日本人に報復しようとはせず、むしろしばしば食べ物をくれたり、非常に親切だったという話である。
        日本人は生きるために仕方がないとはいえ、随分と田畑を荒らしたり、物を盗んだり、住居を奪ったり、山を荒らしたそうだが、ほとんどのフィリピン人たちは日本人に対して報復や攻撃をしなかったとこの本に書いてあった。
        かえって、何度か食べ物をくれた話が書かれているのには、なんともこのような極限状況の中だけに、胸を打つものがあった。

        この戦争の苦労の体験談を聞いていると、理屈ではなく、戦争はやっちゃいかんし、平和というのは本当に尊いものだと、あらためて思わざるを得なかった。
        >> 続きを読む

        2013/05/22 by atsushi

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      ヒロシマ・ノート

      大江 健三郎

      5.0
      いいね!
      • 今日、大江健三郎さんの『ヒロシマノート』を読み終わった。

        今からちょうど半世紀前、原爆の落ちた日から二十年近くが経った広島を、若き日の大江さんが何度も訪れて、いろんな人々の話を聴きながら書いた文章を集めたものである。

        その中に、原爆で息子夫婦が死に、生き残った孫を大切に育ててきたが、貧乏に苦しんだ上に、孫も二十年後に原爆症を発症して死んで、発狂したおじいさんの実話があり、胸がつぶれた。
        この悲惨さに、何を言えるというのだろう。
        原爆とは、このようなもの。
        そう、あらためて思わずにはいられなかった。

        また、四歳の時に被爆し、二十になった頃に原爆症に起因する白血病になりながら、なんとか病院の治療で二年ほど命を伸ばし、その間に印刷工として一生懸命働き、恋人もできて婚約しながら、亡くなったという若者のことと、
        その若者の恋人が、若者が白血病で死んだ後、二十歳だったが、後を追って自殺した、という話に、なんとも、言葉では言えない深い悲しみを感じずにはいられなかった。

        原爆投下から二十年近くが経った当時も、次々に原爆の影響による病気のせいで、また心の傷や絶望や孤独から、自殺していく人々が多くいたことに、なんとも胸が痛まずにはいられない。
        それはおそらく、この本が書かれた半世紀前の時点で終ったことではなく、そのあとも、あったことなのだろう。

        その一方で、大江さんがこの本で書いているのは、「それでもなお自殺しない人びと」(76頁)の姿である。

        これほどの悲しみや嘆きや痛みがあっても、なお自殺せず、生き続けた人々の姿を、具体的にこの本は丹念に描いている。

        原爆投下直後で、自らも被爆しながら、必死に治療に従事した医師たち。
        ケロイドの顔に苦しみながらも、被爆の体験を勇気をもって語る女性。
        時にユーモアも交えながら、政治を諷刺し、原爆の日のことも語り続ける女性。

        大江さんは、それらの人々が備えている「人間的な威厳」ということについても語っている。
        この威厳という言葉は、言い換えれば、英語のdignity であり、尊厳ということだと思うが、人間が体験した出来事の中で最も絶望的な悲惨な体験を経ながら、なおかつ威厳を持ち、尊厳を持っている人々の姿は、本当に、なんといえばいいのだろう、心動かされるものがある。

        人間の悲惨を引き受け、なおかつ、そこからすべての人間が恢復するために、努力を続けていくこと。
        そこに、人間的な威厳、尊厳というものは、あるのだと思う。

        「広島の現実を正面からうけとめ、絶望しすぎず、希望をもちすぎることもない、そのような実際的な人間」

        のことを、大江さんは「正統的な人間」とも表現しているが、これはつまり、最もまっとうな人間、真人間の中の真人間、ということなのだと思う。
        そして、このような人間的な威厳をそなえたまっとうな人間以外の人間というものは、つまり非正統的な人間、言い換えればまがいものの人間ということなのかもしれない。
        これは広島に限らず、厳しい状況であれば、「~の現実」に何か別の状況を入れ替えても、言えることなのかもしれない。

        さまざまなエピソードの中で、もう一つ印象的だったのは、原爆投下の時にちょうど三十才だったある女性の人が、原爆が落ちた時から三日後、焼けただれた身体で、立ち上がることもできず、ただ横たわっていたら、十四、五才ぐらいの少年が話しかけてきたという話。
        その少年は、言葉が不自然だったので、すぐに朝鮮人だとわかったそうだが、その女性に、救護所が近くにできたが、そこに行くか?と尋ねてきて、女性がうなずくと、背負って連れて行ってくれ、救護所に運んだあとには、いつの間にか姿を消していたという。
        それ以来、二度と会っていない、という話だ。
        見返りを求めるわけでもなく、人助けのために働いたその少年のエピソードは、これほどの悲惨な中にあって、そしてその背景にある状況を考えると、今日から見ても、とても貴重なエピソードの一つのように思える。

        この本は、最も重い、絶望的な状況や出来事を語るのと同時に、それらを直視すればこそ、その中にある、希望を確かに見つけ、しっかりと描いている本なのだと思う。

        「われわれには《被爆者の同志》であるよりほかに、正気の人間としての生き様がない。」

        というラストの方での大江さんの言葉は、重い厳しい言葉であるのと同時に、逆に言えば、私たちがなおも正気の人間として生きるための道を見つけて指示してくれているのがこの本であり、広島なのだと思った。

        半世紀の時を経て、今こそ、しっかりと読まれるべき多くの示唆に富んだ本だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/05/28 by atsushi

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      ベトナム戦記

      開高健 , 秋元啓一

      4.3
      いいね! Tukiwami
      • 釣り好きの好々爺。歳若い知人の、開高健に対する印象は
        これに尽きた。その好々爺も、はるか昔、戦場を目の当たり
        にした作家だった。

        「ベトナム人でもなくアメリカ人でもない私がこんなところで
        死ぬのはまったくばかげているという感想だけが赤裸で強烈で
        あった」

        ベトナム戦争である。ある世代には強烈な印象を植え付け、
        ある世代には「間に合わなかった」と思わせ、ある世代に
        は既に歴史の教科書に載るような戦争である。

        私は「間に合わなかった世代」である。だから、ベトナム戦争
        に惹かれるのかもしれない。事実、私の祖棚にはどの戦争より
        もベトナム戦争関連の作品が多く鎮座している。

        本書は高校から専門学校時代にかけて、何度も読み返し、その
        後も折に触れて再読して来た。あまりにも手に取り過ぎてボロ
        ボロになっているので、この際、処分しようかと思って読み
        始めた。

        やっぱり捨てられない。既に古典的名著と言ってもいいだろう。

        1964年末から1965年にかけての約100日、南ベトナムに滞在
        し、現地の人々と話し、路地裏を歩き、テロの現場を見、仏教徒
        による抗議の焼身自殺を目撃する。

        圧巻は南ベトナム政府軍の大隊がベトコン制圧を目的とした作戦
        に従軍した際の顛末だ。この作戦での体験が、著者に強烈な印象
        を受け付けただろうことが伝わって来る。

        そして、ベトナム戦争での体験が後の小説『輝ける闇』『夏の闇』
        に繋がって行く。

        デイヴィット・ハルバースタム『ベトナムの泥沼から』、ニール・
        シーハン『輝ける嘘』と並ぶ良書だと思う、ただ、このふたりは
        ジャーナリストだが、開高健は作家だけに事実そのままではなく
        脚色もあるのでは…と感じる部分もある。

        余談だが、私は普段「ヴェトナム」と表記するのだが、本書の表記
        に準じて「ベトナム」と書いて来た。でも、「ヴェトナム」の方が
        落ち着くんだわ。
        >> 続きを読む

        2019/08/14 by sasha

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      悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!

      森村誠一

      4.0
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      • この本の全てが真実かどうかはわからない。
        だが、火のないところに煙は立たないはずなので、何かはあったはず。
        歴史研究家ではないわたしは、ここが違う、ここはおかしいという問題には語るものはない。

        日本人は、戦争を語るとき原爆被害や空襲のことを声高に語りたがる。
        それも事実だろうし、忘れてはならないことだが、戦争に関し、被害者である側面ばかりを見ていては何も変わらない。
        日本が、日本人が確かに加害者である面があったこと。それを忘れず、反省しないことには愚かな戦争はまた繰り返される。
        戦争という異常な事態になれば、誰もが信じられない狂気に走る可能性を秘めている。
        わたしも含めて。
        戦争は、愚かで残酷で醜いだけの行為であり、それをするのは高等生物らしい人間だけだということを、戦争の記憶が薄れた今こそ心に留めたいと感じた。
        >> 続きを読む

        2015/01/07 by jhm

      • コメント 7件
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      仁義なき戦い 広島やくざ流血20年の記録

      飯干 晃一

      4.0
      いいね!
      • 仁義なき戦いの後編。広域化を図る山口組も交え、更に激化する抗争。

        前編に引き続き、広島ヤクザ抗争の無常さを描く。

        本作で広域暴力団、山口組田岡組長が登場。
        ヤクザ社会の歴史の中でも最高の評価を受ける人物だけに、本作では脇役で有りながらも、その存在感は絶大で有る。

        相変わらずの日和見主義が続く上層部と、それに反発する若手組員。
        裏社会という言葉も有る通り、やはり極道社会も表社会の影響は避けられない。

        ・盃外交
        ・次第に押し寄せる系列化の波
        ・組員の引き抜き/離反

        表社会の鏡像がよりはっきりと現れる裏社会を学ぶことは表社会を学ぶことに通ずると考える。
        >> 続きを読む

        2011/05/03 by ice

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