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カテゴリー"その他のゲルマン文学"の書籍一覧

      アンネの日記

      深町真理子 , アンネ・フランク

      4.7
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      • 「アンネの日記」はこれまでに様々な形で出版されていますが、今回はじめて「増補新訂版」を読みました。戦後にアンネの父オットーが編集した版ではカットされていた、性の話題や母親など周囲の人々への辛らつな批判などが盛り込まれています。ちなみに編集を加えていない生の日記と、将来公開することを見越してアンネ自身が日記を清書したものは「研究版」として日本でも出版されているようです。
        「増補新訂版」の登場によって、日記はナチス占領下でのユダヤ人の生活に関する貴重な資料というだけでなく、生き生きとしたひとりの少女の姿をとらえた書物としての魅力をより多く備えるようになったのではないでしょうか。

        ものを書くのには少なからず内向的なエネルギーが必要になるので、アンネは優等生で大人しめの女の子なのかなと想像していたら、常に物事の中心にいるような活発なタイプだったのが意外でした。一切の外出が許されない潜伏生活をしていたからこそ、思いがけず自分自身と向き合うことになったのかもしれません。日記は13歳の誕生日から15歳にかけて書かれています。多感な年頃なので大人に反発したり、異性を好きになったりとどんどん強い感情が押し寄せてきます。潜伏生活自体は単調で退屈なはずなのに、アンネの目を通して見ると葛藤しながら成長する様子や観察の鋭さなどに、共感したりはっとさせられたり、とにかく心が動かされました。

        生活は食べるものも寝るところもあったとはいえ、人の気配を感じさせてはならないので風邪を引いても医者を呼べず、おちおち咳やくしゃみすらできない状況でした。しかもフランク家と父の同僚ファン・ダーン家の二家族に歯科医師のデュッセルさんが加わってからは、アンネはこのお堅い性格のおじさんと同部屋で、仲間といえども色々と愚痴も言いたくなるだろうなと思いました。それでも密告されて強制収容所へ移送されてからの生活に比べると、ずっとずっと恵まれていたのだと思うといたたまれない気持ちになります。

        アンネは、ジャーナリストや作家になって周囲に大きな影響を与えるような人になりたいと夢見ていました。今こうして世界中で日記が読みつがれ、愛されつづけていることがせめてもの救いだと思います。
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        2018/05/20 by カレル橋

    • 他4人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      殺人者の顔

      柳沢由実子 , MankellHenning

      4.2
      いいね! Tukiwami

      • ヘニング・マンケルの「殺人者の顏」は、地味な警察小説だが、そこはかとない味わいのある、なかなか読み応えのある作品だ。

        農家の老夫婦が惨殺され、その事件を捜査する小さな港町の警察官たちの奮闘ぶりが、丁寧に描かれていく。

        スウェーデンの警察小説と言えば、マルティン・ベックシリーズを連想するが、この本の主人公クルト・ヴァランダーは、同じ中年男ではあっても、マルティン・ベックとは雲泥の差があるような気がします。

        妻に逃げられ、娘も家出、老いた父親との関係もうまくいかず、おまけに中年太りだから、カッコよくないのだ。

        たまに妻に会うと、帰ってきてくれないかと泣き出したり怒ったり、それで美女と会ったりするとすぐその気になって、なんだかだらしのない中年男なのだ。

        もちろん、警察官としての情熱は熱く、諦めることを知らない男だ。
        この主人公の個性豊かな人物像は、等身大の人間として描かれていて、惹かれるものがあるんですよね。

        それから、マルティン・ベックシリーズがそうであったように、スウェーデン社会の現在を物語の背景に置いている点が、なかなかいいと思いますね。

        例えば、クルト・ラヴェンダーは、スウェーデン南部の小さな港町イースタの警察官なのだが、この港町はバルト海に面しているので、ドイツ、ポーランド、エストニア、リトアニアなど、さまざまな国から亡命者や経済難民がやって来て、それが社会問題になっているんですね。

        だから、外国人が容疑者として浮上しても、事がはっきりする前に漏れてしまうと、外国人に対して人種差別的な反感を持つ一部の人々を刺激する恐れがあるので、伏せておかなくてはならないので、捜査も大変なんですね。

        地味な作風ではあるものの、脇役たちもとても丁寧に描かれていて、その着実さに好感が持てるんですね。

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        2019/01/06 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他4人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , 岩澤雅利 , LarssonStieg

      3.8
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      • ・ス、ウェーデンミステリブームの先駆け
        ・ヒロインのリスベットは魅力的で舞台設定も絶妙だが、ミステリの質としては中レベル >> 続きを読む

        2018/02/11 by michi2011

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      長くつ下のピッピ

      大塚勇三 , LindgrenAstrid

      4.0
      いいね!
      • ピッピは赤毛のひっつめ三つ編みがトレードマークの9歳の女の子。そばかすもだぶだぶの黒靴も片方ずつ色違いの長くつ下も、全部がお気に入り。

        お母さんはずっと昔に天使になってしまったし、船長だったお父さんは波にさらわれてしまって、帰ってきません。
        でもピッピはお父さんが黒人の島に流れ着いて王様になっていると信じていて、いつか迎えに来るはずだから、まったく寂しくないのです。
        小さな町のはずれにお父さんが残してくれた素敵な庭に建つ家「ごたごた荘」にニルソン氏という名のかわいいサルと馬と一緒に暮らしています。

        小学生のころ大好きだったシリーズ。
        大人が読んでも素晴らしい童話も数多いですが、これは子供のころに読んでほしいタイプの児童小説です。

        お行儀、衛生観念、社会規範、そんなもの、ピッピの前にはないも同然。
        馬を軽々と持ち上げる怪力の持ち主なので、怖いものなし。
        自活するに十分な料理の腕とお父さんが残してくれたトランクいっぱいの金貨があるので、何の不自由もありません。

        ピッピの破天荒な言動は時に眉をひそめたくなるでしょう。
        床でクッキー生地を延ばしてみたり、サーカスに飛び入りしてみたり。
        でも子どもってある点で過激なことだって、全然平然と受けとめるものですね。
        ピッピが教育上よくない子だなんて全く思ってもみませんでしたから。

        ピッピを見ていると「自由」という言葉が浮かんできます。
        何をどう受け止め、どう考えるか。
        実は世界は認識で成り立っている訳で、その認識が異なれば善悪も常識も変わってくる訳です。
        ピッピには孤児院も学校も何も「必要」ではありません。

        ピッピを指導しようとして逆にやり込められる大人たちを見ているととても愉快。
        子どもって実はこんな風に自分も大人をやっつけてやりたいと思っているのかもしれませんね。

        胸をときめかせる毎日は、自分の心が作るのです。
        何か面白いことはないかなあと、待ち望んでいたお隣に住むアンニカとトミーはピッピによって世界が変わりました。
        何が起きるかわからないワンダーワールドに!


        この本を再読すると大人になっちまった自分がちょっぴりうらめしいです。
        「コーヒーの会」でのピッピのふるまいは、トミーとアンニカのお母さんの立場についつい思いが行ってしまうのですよね。いくらなんでも、これでは、お行儀が悪いと、出入り禁止を食らうのも無理ないな…。なんて。
        でも、上品に悪口大会を繰り広げるご婦人と、大ぼらを吹いて盛り上げて楽しませようとするピッピと、心根はどちらがいいのか?と言われたら?
        結局常識なんてその程度の吹けば飛ぶようなものだったりするのですね。
        そして大人だったリンドグレーンがなんでこんなに子供心を持てたんだろうと。驚嘆するばかりです。

        今の日本の子どもは社会的な不自由はあまりないかもしれません。
        お金は自由に使えるし夜町中をうろついたり、といった自由はあるようですよね。
        その代わり、大人の干渉から逃れるすべを持っていないと感じることが多々あります。
        大人の論理をそのまま生きているように見えるんです。
        子どもだけの世界を持っていないような。
        大ぼらを吹いたり調子に乗ったり夢中になったり冒険をしたり。
        子どもにはいろいろな特権があるのにね。
        なんだか、子どもの特権を大人が奪って、いつまでも手放さない結果、子どもの住処が減っているのかな。とも思います。
        文明社会人に浸食されて滅びゆく原住民の話みたいですが。

        この本が時を越え、ずっと子供たちのそばにありますように!
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        2018/08/24 by 月うさぎ

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      ムーミン谷の彗星

      JanssonTove , 下村隆一

      4.0
      いいね!
      • ムーミントロールがスナフキンと出会う記念すべき一冊です♪
        スナフキンの存在、持っている思想がとても好きです。それはトーベの生き方でもあるようです。

        『ぼくは、見るだけにしてるんだ。そして、立ち去るときには、それを頭の中へしまっておくのさ。
        ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっとたのしいね。』

        子どもたちの大好きな旅の冒険物語です。
        川を筏で下り、滝に落ちそうになり、怪物に襲われり、嵐に竜巻にとてもスリリングな展開。奇妙な妖精たちも多数登場しますし、スノークのおじょうさんとの淡い初恋も微笑ましいです。すてきな洞窟にも憧れますね。

        でもこの物語を覆う空気は禍々しさに満ちていて旅を気楽に愉しむことはできません。文中にもイラストにも彗星接近の不吉なムードが溢れていてトロールたちの小ささがあまりに頼りないのです。
        恐れ逃げ惑う人びと、枯れ果てた海、干からびた地面、赤く染まった空に徐々に大きく熱くなっていく彗星の姿。楽しい要素以上に不安なムードが勝ります。

        それでもこの小説が子どもの本として素晴らしいのはスニフのこどもらしさにあると私は思います。

        スニフは小さな生き物ですが、そのためにとても甘えた性格をしています。
        欲、虚勢や嘘、嫉妬、無謀さと臆病さ、困った状況を人のせいにする、自制心のなさ、弱音を吐いたり生意気な態度をとったり……。でも子供らしい純粋さ、正直さ、愛情にあふれているのもスニフなのです。そして愛されたいという熱望が伝わってきます。
        そう。スニフこそがこの作品の真の主人公なのだと私は思います。


        【ストーリー】
        「地球がほろびる」というじゃこうねずみの言葉に平和だったムーミン一家は不安に陥ります。
        そこで、星を観測して宇宙が本当に黒いかどうか確かめるために天文台へと向かうことになりました。

        ムーミントロールとスニフの二人の冒険の旅の始まりです。

        道中、ひとりさすらうムムリクのスナフキンから、彗星接近の危険性を知らされます。スナフキンに加え、スノークの兄妹とも出会い、仲間が増えてゆきます。
        道中のさまざまな危機を乗り越え、ムーミンたちは生き延びることができるのでしょうか?


        「一ぴきのムムリク」や「どなった」などの言葉のチョイスにちょっとだけ違和感。
        スノークのおじょうさんがムーミントロールに「あんた」と呼びかけること。ムーミンが「…だぜ」という言葉使いをすること。にも。あまりいい印象を持たなかったですね。
        子どもの本はできるだけフラットに訳してほしい。キャラを作らずに、素直に翻訳してほしいです。

        忘れちゃいけない、もう一つの魅力はムーミンママ。
        そのおおらかさや優しさ。しょうがビスケットやケーキなど心をそそる手作りのお料理もね。
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        2016/01/24 by 月うさぎ

      • コメント 12件
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      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , 岩澤雅利 , LarssonStieg

      3.8
      いいね!
      • ・軽い筆致なので5時間ほど(上下巻)で読了

        2018/02/11 by michi2011

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      ながいながい旅 エストニアからのがれた少女

      WiklandIlon , 石井登志子 , LagercrantzRose

      4.3
      いいね!
      • 作者の自伝的絵本。

        表紙に書かれている少女と犬。

        その成長と苦難も含め、時代の変化に翻弄されてしまうことの厳しさが、よく伝わってくる。

        いつの時代も、戦争は大きな暗い影となり、市井の人たちの暮らしを根底から覆してしまう。

        それでも、人は生き、明日にむかっていく。

        そんな希望も感じられるのが救い。

        今も、同様なことが、世界のあちらこちらで起きているのも現実。
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        2016/07/18 by けんとまん

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      スナフキンの名言集

      渡部翠 , JanssonTove , MalilaSami.

      2.0
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      • 期待はずれ。名言集と銘打ってあるものの、「名言」とよべるものはほとんどなく、大半が小説の中からただ抜き出しただけのどーってことない描写で埋め尽くされている。はっきりいって1,100円の価値はなく、よほどのスナフキンマニアでない限り、新品を買う必要は全くない。 >> 続きを読む

        2015/10/29 by Ada_bana

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      小さなトロールと大きな洪水

      JanssonTove , 富原真弓

      4.0
      いいね!
      • 「むかし、むかし、あるところに」で始まるようなおとぎ話を書こうと思ったのは、戦争のせい。
        画家としての仕事にいきづまり、暗い絵しか描けなくなってしまったトーベ。
        自分の心の中に住んでいた「怒った顔をした生きものを主人公にして」ハッピーエンドのお話を書こうと考えたのは1939年のことでした。
        子供から大人まで広く世界で愛されるムーミン童話の誕生の瞬間です。
        しかしこの童話は比較的最近まで知られていませんでした。
        第二次世界大戦直後の混乱期、1945年に小冊子として出版された後、1991年に再出版されるまでずっと絶版となっていたのです。
        このムーミン処女作にももちろん画家本人の挿絵がつけられていますが、鼻が長くて表情も暗く、私たちが知っているムーミンとは大部かけ離れた姿をしています。
        一家がムーミン谷に住み着く前のこの作品には、予想外の事実が語られています。

        それはなんとパパの不在なのでした。
        「ありきたりのムーミントロールではなかった」パパは、「いつでもどこかへいきたいと思って」いて、ある日ニョロニョロたちといっしょに旅に出てしまったのです。
        ママは「ニョロニョロがパパをだまして、つれていってしまった」と考えています。
        この物語には不思議な生き物がいろいろ登場してきますが最も象徴的で意味深なのがニョロニョロでしょう。
        「ふだんは目に見えない」「世界じゅうを放浪していて、どこにもおちつくことはないし、なにひとつまわりのことに関心をもたない。…感情というものが全くないんじゃないかしら」「口もきけないし耳もきこえない」
        このように「とてもかわった連中」なのですが。
        本当に変わっているでしょうか?
        意志を持たない群衆、地に足をつけることなくどこへでも流されてしまう集団。
        それは戦争やら経済の流れによっていとも簡単に漂白する人間の姿と重なりはしないでしょうか?
        そんなニョロニョロにそそのかされて姿を消したパパ。
        それは戦争に巻き込まれた多くの家族を象徴しているのかもしれません。
        ムーミントロールとママにはなぜか住む家も無いようなのです。
        パパを探すこと以前に、暖かな土地に家を作らなければと、そのために旅をしているのでした。
        これもどことなく戦禍での難民を思わせますね……。

        青く輝く長い髪をしたチューリップの花の中に住む少女チューリッパと、灯台の役目をする黄金の塔に住む赤い髪の少年とのロマンスや、年寄りの魔法使いの作ったお菓子の庭園や、おそろしい大ヘビやアリジゴクなどなど。
        基本は夢と冒険が詰まったいわゆる正統派の童話なのです。
        しかし普通の童話と違うのはママの存在でしょう。
        ママという大人は常に宿命的に現実的なのです。
        ママというものは決して夢を食って生きていけとは言わないものです。

        魔法使いの庭園では、雪はアイスクリーム、草はねじり砂糖、緑色のレモネードやミルクの川、木にはチョコレートやキャンディが実り、小石はアーモンドの菓子パン、ホイップクリームやママレードの池などなどなど。
        当然子どもたちは大喜びで食べまくります。
        でもお腹を壊したムーミントロールのためのおかゆの池はありません。
        太陽も本物ではなく黄色いランプでした。

        「あの子たちに必要なのは、ちゃんとしたあたたかいたべものなんです」

        ここで一見夢の世界に見える作り物のおとぎの庭は完全否定されてしまいます。

        本物の太陽の光、新鮮な空気の中で生きることの意味。
        冒険も夢の世界も大切な家族を見出し一緒に暮らすことの幸せに比べたら、どんな宝物も輝きを失うのだと。
        そして真の家族はたとえ離れ離れであってもお互いを想い合っているものであることを
        そんな幸せをトーベは「ハッピーエンド」だと定義しているのですね。

        だから最も美しいエピソードに思われるチューリッパと赤髪の少年のロマンティックな恋愛にも「生活」が与えられているのでしょう。
        花の妖精がエプロンかけて「海のプディング」作りをしている姿かぁ……。
        >> 続きを読む

        2016/01/04 by 月うさぎ

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      絵のない絵本

      ハンス・クリスチャン・アンデルセン , 矢崎源九郎

      2.5
      いいね!
      • みにくいアヒルの子などの童話で有名なアンデルセンの本です。タイトルが絵のない絵本とあるように絵は一枚もありませんが、一つのお話が数ページほどなので頭のなかで情景を浮かべやすいです。
         読んでいると顔がほころんでしまうような心温まるお話や、才能がありすぎるあまり周りから疎まれてしまう人のお話など明るいお話もあれば現実的で心寒くなるようなお話もあります。
         これらのお話を話していているのはお月さまです。お月さまが見た世界中の様々な人のお話をしてくれます。アンデルセンはお月さまを話し手にすることで、私達の行いは全て天の上から見られているということを伝えたかったのではないかと思いました。
        >> 続きを読む

        2016/11/04 by taka0316

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      人形の家 三幕

      イプセン

      4.0
      いいね! Minnie
      • 女性の自立への目覚めを描いた戯曲。
        古さを感じさせず面白かった。

        ノラは父からも夫からも人形のように可愛がられ、お嬢様育ちの世間知らずのまま大人になってしまった女性だ。専業主婦といえるが、女中や乳母がいるので家事や子育てでもそれほど苦労していない。傍から見るとなかなか「いいご身分」なのである。

        世間知らずゆえに犯した過ちによってノラは窮地に陥る。そして自分の無知や、周囲の人々に影響されて自立へと目覚めてゆく。

        「あたしがこんな何一つできない女になったのも、みんなあなた方の責任です」

        ノラが言い放ったこの言葉は、戯曲が発表された19世紀後半にかなり物議を醸したのではなかろうか。社会によって抑圧されてきた女性の叫び。

        女性の社会進出が進んだ現代の日本ではむしろ、「仕事も家事も子育てもあたしが全部やらなくちゃいけないのは、みんなあなた方の責任です」と叫びたい女性が多いかもしれない。
        >> 続きを読む

        2015/01/20 by seimiya

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      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , LarssonStieg , 山田美明

      3.4
      いいね!
      • ・これはミステリなのか?つまらない私小説の様
        ・唐突な展開に感じ、楽しめない

        2018/02/11 by michi2011

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      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , LarssonStieg , 山田美明

      3.6
      いいね!
      • ・リスベットは可愛らしく魅力的なヒロインだが、内容はよくあるパターン展開

        2018/02/11 by michi2011

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      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , 岩澤雅利 , LarssonStieg

      3.2
      いいね!
      • ・何故、人気があるのだろう?

        2018/02/11 by michi2011

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      ミレニアム

      Hellen-HalmeMiho. , 岩澤雅利 , LarssonStieg

      3.8
      いいね!
      • ・つまらない
        ・作者逝去のため、4作目以降は別作家の執筆となる

        2018/02/11 by michi2011

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      特捜部Q 檻の中の女

      吉田奈保子 , Adler-Olsen, Jussi

      3.5
      いいね!

      • 映画化された作品を先に観て、あまりの面白さに、続けてユッシ・エーズラ・オールスンの原作小説「特捜部Q 檻の中の女」を読了しました。

        優秀な捜査官だが、性格的に難のあるカール・マーク警部補は、迷宮入り事件の再捜査のために新設された、特捜部Qに追いやられてしまう。

        不満たらたらの彼が、助手として配属されたシリア人アサドと共に最初に手掛けたのは、5年前にドイツに向かう途中で行方不明になった女性議員の事件だった。

        何物かによって拉致された彼女は、檻の中に監禁され、生き永らえていた。
        マークの一徹な捜査と、鬼気迫る状況下の彼女は、二人の時間が近づくにつれ、サスペンスを加速化させ、我々読み手に迫ってくる。

        加えて、訳ありの助手のアサドの存在が斬新で、主従逆転の活躍は、これまでの警察小説のパートナー関係にはなかった絶妙なパワーバランスを見せてくれる。

        とにかく、とても力強くて斬新で、ストーリー、キャラクター共に強烈な磁力を備えた、デンマーク発の極上のエンターテインメント・シリーズが始まったと思う。

        主人公のカール・マーク警部補が初登場した作品ですが、彼の存在は、ドーヴァー警部、はたまたフロスト警部の再来を思わせるほど、ミステリ好きのハートを熱くさせるんですね。

        加えて、彼とコンビを組む、シリア系助手のアサドの個性が紡ぎ出すユーモアと物語の緊張の対比が、実に絶妙なんですね。

        このキャラの立った二人の刑事の一挙一動が、実に楽しく、いわば、デンマーク版の「相棒」といったところですが、内容的にも、日本ではあまり知られていない人種差別の問題も浮き彫りにしていて、本当に楽しみなシリーズになりそうです。

        >> 続きを読む

        2018/07/31 by dreamer

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      湿地

      Arnaldur Indriðason , 柳沢由実子

      3.5
      いいね!
      • ガラスの銀賞2年連続受賞
        CWAゴールドダガー賞受賞
        いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人ついに日本上陸

        この帯を読んで期待して待っていた。久しぶりに完成度の高いミステリが読める。留守の間に来ていた図書館の予約確保のメールを開けてすぐに、借りてきた。
        ストーリーは分かりやすく、読みやすいのだが、悲しいかな舞台が北極圏に近いアイスランド、登場人物の名前が出るたびに、コツンコツンとぶつかり、慣れるまで流れに乗りにくかった。

        事件は、湿地帯に建った住宅地の中にある、石造りのアパートで起きた。
        半地下にある部屋は湿気と、猛烈な馬屋に似た匂いが充満した居間で、70歳前後の白髪の男が頭から血を流して倒れていた。

        レイキャヴィク警察の犯罪捜査官、エーレンデュルとジグルデュル=オーリ、エーリンボルクが男の過去、背後関係を調べ始める。

        異常な臭気から、湿地の上に建つアパートの床を調べ、破壊された下水道のために陥没した穴を見つける。

        殺されたホルベルクの港湾労働者仲間、エットリデ、グレータルを追う。エットリデは刑務所にいて、ホルベルクにはコルブルンのレイプだけでなくもう一件レイプ事件があったことを匂わす。

        40年前のレイプ被害者を探す。だが女性たちには家庭があり、難航する。

        最初のレイプ被害者のコルブルンは警察に届けたが、ホルベルクが、合意だった、誘われた結果だと主張して不起訴になっていた。
        もう一人の被害者にたどり着く。そしてその時期に生まれた息子がいるという。

        事件はホルベルクの過去とともに意外な展開を見せて終結する。

        アイスランドは10月の長雨で、垂れ込めた雲の下で暗い話が続いていく。
        小さな島国に暮らす人たちの生活が伺える。
        エーレンデュルはこの事件に関わる仕事にたまらなくうんざりして述懐する。

        ーーー「どうしたらいいのかわからない。もしかすると何もしないほうがいいのかもしれない。なにも手を出さずに、ことが起きるままにさせておくのがいいのかもしれない。全てを忘れて。なにか意味のあることをするのがいいのかもしれない。なぜこんな惨めなことに首を突っ込むんだ?なぜエットリアのような悪党と話をしなければならないんだ。エディのようなごろつきと取引をしたりホルベルクのような人間がどんな楽しみをもっていたかなど知りたくもないのに、レイプの報告書を読んだり、ウジ虫ののたくる肥だめとなった建物の土台を掘り返したり、子どもの墓を掘り返したり、もううんざりだ!」ーーー
        エーレンデュルは深いため息をついた。
        「この話はすべてが広大な北の湿地のようなものだ」

        かれは自分の仕事に飲み込まれないようにつぶやく。
        暗い悲惨な事件は、こうして彼の人となりも浮き彫りにする。

        エンターテインメントとして成功しているが、不明な部分もある。双子の姉妹を襲った迷彩服の男はどうなったのか。結婚式から消えた花嫁は何の意味があるのか。

        レイプ犯が集めた容量いっぱいのポルノ映像はいたずらに醜悪感を増すばかりで、殺された男の写真趣味も思わせぶりだ。
        話を人間の醜悪さに徹するなら、上記のような独白は警察官の感傷に思える。

        ストレートな簡潔なストーリーは面白いし、犯罪原因も目新しい。

        読むには値するが、少し期待が過ぎたようだ。
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        2014/11/09 by 空耳よ

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      ファイアーウォール

      柳沢由実子 , MankellHenning

      4.0
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      • 北欧ミステリの巨匠・へニング・マンケルの「ファイアーウォール」(上・下巻)は、ミステリとしての充実度では他の追随を許さない完成度を持った作品だ。

        ご存知、現代スウェーデンを代表する警察小説の"ヴァランダー警部"シリーズの第8作目の長篇小説なんですね。

        冒頭から、主人公のクルト・ヴァランダー警部が「目くらましの道」の犯人の葬式に出席する場面が描かれるなど、過去の作品に関する言及が多く、シリーズ自体が完結に近づいていることを予感させられる。
        しかし、このシリーズの大ファンである私には、感傷にふける暇もないほどに、内容は賑やかだ。

        前々作の「五番目の女」と前作の「背後の足音」では、先行きがまったく読めない事件の捜査が、五里霧中の状態にあるヴァランダー警部の視点から描かれ、霧がだんだん晴れていくさまを克明に描いて、我々読者を惹き付けるという手法がとられていました。

        このシリーズでは他に、複数の事件が同時に描かれて意外な地点で合流する、というプロットを用いた作品もありました。
        この作品は、その両者が組み合わされ、大きな効果を上げているんですね。

        ヴァランダーが最初に担当するのは、19歳と14歳の少女がタクシー運転手を殺して、金を奪うという凶悪犯罪だ。
        未成年者が、凶悪犯罪に走ったことに憤懣やるかたない思いを抱くヴァランダーは、それが理由で困った立場に陥ることになる。

        その挿話で、読みながら心に動揺が走ったところに、著者はさりげなく別の事件に関する話題を出してくるのだ。
        二つの事件はまったく接点が無いように見えるが、ある地点でやはり結合を果たすんですね。

        その趣向だけで楽しいのだが、謎解きまでの展開には十分な膨らみがあり、かつサスペンスの途切れる箇所がまったく無いのが凄いんですね。

        ミステリの謎は、その内容だけが問題になるのではなく、どう語られるか、どう明かされるかが重要なのだと、改めて認識させられた作品でしたね。

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        2018/12/15 by dreamer

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      小さい牛追い

      HamsunMarie , 石井桃子

      4.0
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      • 読んだ後に、幸せな気持ちにさせてくれる本です。

        ノルウェーの、農場の、四人の兄弟姉妹のお話です。
        日々の出来事、子どもたちの遊びやケンカや、ちょっとした冒険が、描かれています。

        それから、ノルウェーの自然が豊かに描かれていて、すぐそこに、青々とした牧草地がひろがるよう。

        遠い国の話ですが、家族のあたたかさ、が、すぐそばに感じられます。



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        2014/03/12 by ヒカル

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      小さい牛追い

      HamsunMarie , 石井桃子

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      • ノルウェーの農場ランゲリュードに住む四人の兄弟。男の子は10歳のオーラと8歳のエイナール、女の子はインゲリトとマルタ。そしてお父さん、お母さん、牛や豚と一緒に毎日を冒険しながら暮らしている。
        夏になると山の牧場で家畜を放して暮らす。そこで牛追いをするのがオーラとエイナールの仕事。とても大事な仕事だと自負しながらも、山の大自然と遊ぶこともやめられず、毎回色んなハプニングが起こる。

        子どもならではの視点や興味をふんだんに盛り込み、豊かな自然の中で思う存分遊び、しっかり働いて、親の手伝いもし、失敗し、反省し、そして成長していく子ども達。
        そしてそれを見守る大人。もう、それが本当に素晴らしい!!
        ついいたずらしてると怒りたくなるし、危ない事をするとダメ!と言いたくなるけれど。このお母さんは、ギリギリのところまで何も言わない。じっと見守り、帰って来た子ども達の冒険談を聞き、美味しいパンを与える。
        こんな親になれたらなぁ。本当に難しいと思うけど。

        岩波少年文庫は本当に素晴らしい作品が沢山ある。
        今の日本の日常では難しいけれど、本を通して子ども達にもたっくさん冒険して欲しい。
        >> 続きを読む

        2014/11/14 by ayu

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