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      血の婚礼 他二篇 三大悲劇集

      García LorcaFederico , 牛島信明

      4.0
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      •  今年の九月、昭和の名女優として人びとの記憶に刻まれていた原節子さんがお亡くなりになりました。おそらく哀悼の意を込めてでしょう、今月のプレミアムシネマは小津安二郎の作品が並んでいる。念のため列記すると『彼岸花』、『お早う』、『東京物語』、『秋刀魚の味』、そして昨日は『秋日和』だったらしい。
        「らしい」とつい口を滑らしましたが、じつは録画して観ました。もちろん『彼岸花』も。小津映画といえば、ローアングルや役者の棒演技、飲み食いの場面がやたら多い、おなじ役者がよく出る(これは有名監督の特徴だが)、大事なシーンで唱歌が入る、そして何といっても話の筋が似たり寄ったりでどの作品も娘を嫁にやる親の心境がテーマ。急いで付記するけれど例外もありますよ。ただ、このテーマを好んでいたに相違ない。
         小津映画にかぎらず「結婚」は藝術作品のモチーフとして欠かせません。たしかバルザックが結婚に関する著作を残していて、あらゆる人類の叡智のなかで最も遅れをとっているのが結婚についての知恵だと断言していた。たぶん真理でしょうね、だって実験不可能ですもの(笑)。こんなぼくですら、何度でも再試行できるなら一度や二度は成功しますよ。もっとも、相手がいればの話ですが。
         ということで、結婚に材を取った戯曲『血の婚礼』を紹介します。著者はガルシア・ロルカ。戦後になって劇作品が好評を博したらしく、現在でも人気は高い(だろう)。ちょっとまえだったかな、常盤貴子さんがナビゲーターのBS番組があったけれど、そんなに熱心に観ませんでした。なるほど常盤さんが美人なのは大いに認めます、しかし目元が情熱的すぎる。そう、あれはまさにラテンの血、まるでロルカの作品の女のよう。
         あらすじを書き殴るまえに男性諸君に一言。「女心」を研究するテクストとして、ガルシア・ロルカの戯曲より打ってつけのものはないと聞いたことがある。言うまでもなく「女性心理(原理)」を理解するためのテクストではなく、それに触れる、というより感じることができるらしい。このたび再読致しましてこの教訓の真意をお風呂のなかで考えました。そしてポツリと呟く、肯定することも否定することもしません、ただ、後ろから見守るだけです。
         
        <夫と息子をナイフで殺された母親ともうひとりの息子の会話からはじまる。その母親はナイフと自分の家族を殺した犯人を憎んでいて、その憎悪がつのればつのるほど息子が心配で仕方がなかった。その息子もそろそろ結婚する年ごろ。相手はもう決まっている。しかし、その娘は美人で人柄もいいのが有名である反面、かつて深い仲になった男がいるばかりか、あの憎い犯人と血の繋がりがあるので母親のほうは虫が好かなかった。
         その母親の勘があたり、憂慮が現実のものとなる。じつは娘は結婚にためらいの心があり、すでに縁を切ったはずのレオナルドが結婚式に現れ、その娘をさらって行く。娘のほうも彼に身を任せてしまう。母親が叫び声をあげる最中急いでふたりを追いかける息子。そうして、月夜の下でとうとう三人が顔を合わせることになって……>

        追記
         おまけにロルカの詩でぼくが好きなものをひとつ引用します。角川書店の世界の詩集19「ロルカ詩集」より(58ページ)。

           
          覚え書

        わたしが死んだら、
        埋めてください わたしのギターといっしょに
        砂の下に。

         わたしが死んだら、
        オレンジの木々と
        薄荷の間に。

         わたしが死んだら、
        埋めてください お望みならば
        風見の中に。

         わたしが死んだら!

         
         次回は宇野千代の『おはん』を取り上げます。余分な小エッセイもたぶん付けます。今回は無駄に長かったですね、書きたいことがまだまだある(苦笑い)。いけない、いけない。簡潔に、簡勁に。そんなの無理、無理。
        >> 続きを読む

        2015/12/10 by 素頓狂

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