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      エリアーデ幻想小説全集

      住谷春也 , EliadeMircea

      4.0
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      • 【何とも捕らえどころの無い……良い意味で】
         ミルチャ・エリアーデは、ルーマニア出身の宗教史学者、作家です。
         大変幻想的な作風の小説を残しており、それをまとめたのが本シリーズです。
         これまで、1,2巻まではレビューさせて頂きましたが、残っていた3巻目をここでレビュー。
         読んだのは大分前だったのですが、どうにもレビューを書けずにいたため、この度再読しました。

         再読したものの、やっぱりレビュー書きにくい作品ですねぇ。
         どう書いたら良いものか。
         当時の東独ならではの、秘密警察的な存在が落とす陰のようなものもあって、いわく言い難い雰囲気があるんですね。
         年代順編成になっていて、この第3巻は、1974年~1982年の晩年の作品を収録しています(エリアーデの享年は1986年です)。
         初期の頃の作品に比べて一層観念的になっているというか、はっきりした結末を示さない作品が多いように感じます。
         また、一つの作品が他の作品との関連を持っているものもあります。

         それでは、収録作からいくつかご紹介。

        ○ ブーヘンワルトの聖者
         これは、後にご紹介する「19本の薔薇」と密接に関係がある作品です。
         イエロニム・タナセという、「スペクタクル」と称する非常に観念的な劇を演ずる劇団を率いている人物が登場します。
         イエロニムらは、取り壊し寸前の建物の中で観念的、哲学的なスペクタクルの稽古をしているのですが、ある雪の日、そこにマリアという女性が訪ねてきます。
         「本当でしょうか、学者犬をお持ちだというのは? 」と。

        ○ ケープ
         パンテリモンは、とある食料品店で、肩に軍服に使うようなケープをかけている男性から声をかけられます。「今年は何年ですか?」と。
         何の話だろうと思っていると、その男性は自分の家に3年前の日付の新聞が届けられるのだというのです。
         ただそれだけのことだったのに、パンテリモンは秘密警察の監視下に置かれてしまいます。
         何でも怪しげな政治工作がなされているのだとか……よく分からないなぁ。
         どんどん混迷を深めていく作品。

        ○ 若さなき若さ
         道を歩いていた時、突然の雷雨に襲われ、しかも自分の身体に雷が落ちてしまいました。
         当然真っ黒焦げ。
         回りの通行人達は救急車を呼ぶものの、こりゃあ助からないよなどと言っています。
         ええ、聞こえるのですよ。意識はあるんです。痛みもないし。
         でも、身体は動きませんし口もきけません。
         その後、驚いたことに彼は徐々に回復していくのです。
         しかも、若くなって。

        ○ 19本の薔薇
         ルーマニアを代表する国民的作家のもとに突然若い男女が訪れます。
         男性は、作家の事を自分の父親だと言うのですが……。
         そこで、男女によるパフォーマンスが演じられます。
         すっかり魅せられてしまった作家は、彼らが所属するという劇団と行動を共にし始めます。
         このようないきさつを、作家の秘書の観点から綴ったのが本作。
         巻頭に収められている「ブーヘンワルトの聖者」に出てくる「スペクタクル」、イエロンイム・タナセが再登場します。
         作家は、自分の生涯最高作を書くのだと言い、猛烈な勢いで執筆を始めるのですが……。

        ○ ダヤン
         幼い頃、事故で片目を潰してしまったため眼帯をしている天才的数学者が主人公です。
         彼は、やはり眼帯をしていた軍人のダヤンに似ているということで、ダヤンと呼ばれています。
         ところが……どうも不思議なことに、ダヤンは昔は右目に眼帯をしていたのに、今は左目にしているのです。学部長はそれに気付きダヤンを問い詰めます。それはまがい物なのかと。
         ダヤンが語る所に依れば、確かに最初に傷つけたのは右目だったのだけれど、ある時不思議な老人に出会い、老人から、「ダヤン将軍は左目に眼帯をしておるな。」と言い、目を撫でられたら怪我が左目に移ったのだと言うではありませんか。
         ダヤンはその後、再びその老人と出会うことになるのですが、その時、老人から、アインシュタインが末期の言葉として残し、ハイゼンベルクも理解したという「最終方程式」なるものを示されるのです。
         この作品にも、「19本の薔薇」に登場した秘密警察の人物が登場します。

         このご紹介だけでは何が何だかよく分からないと思います。
         いえ、読んでいただいても実際それほど分かるというものでもないのかもしれません。
         難解と言えば難解。
         でも、得も言われぬ、つかみどころのない雰囲気があるんですね。
        >> 続きを読む

        2019/05/14 by ef177

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