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カテゴリー"キリスト教"の書籍一覧

      ふしぎなキリスト教

      大沢真幸 , 橋爪大三郎

      4.4
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      •  有名な社会学者二人が、キリスト教の疑問に思われる点について、あれこれと対話している本である。素朴な疑問やツッコミどころを、大澤さんが、遠慮なく次々吐き出している所が面白い。逐一、自分の言葉でそれに説明を加えてくれる橋爪さん、それに対しまた思ったことを返す大澤さん…… キリスト教に関心はあるけれどよくわからない、という人でも、結構楽しんで読めると思う。

        ********

         われわれ日本人で、キリスト教徒ではない人にとって、聖書には、読んでいると、どう考えても理不尽だろう、と思われる記述がある。カインとアベルの話も、マリアとマルタの話も、放蕩息子の話も。
         たとえばカインとアベルの話(p.228あたり)を見てみよう。兄がカイン、弟がアベル。カインは農業を、アベルは遊牧をおこない、それぞれ収穫に恵まれたため、初物を神にささげたが、神はアベルの捧げものを喜び、カインのささげものを喜ばなかった。それでカインは怒って弟のアベルを原っぱにい呼び出して刺し殺してしまう。すると神は、カインを殺人の罪で糾弾し、追放する。ここで、なぜ、神はカインのささげもののほうを喜ばなかったのか、については書かれていない。理不尽だ。だけど、そこで嫉妬の感情を持ったり、怒ったりしてはいけないのである。
         人間って必ず、自分より恵まれている・あるいは恵まれていない立場にある人をみつけてしまうもの。他人と自分を比べてしまうもの。生きてたら、ぱっと見、そういう差異に遭遇する経験って絶対あるものじゃないですか?で、それはあって当然だし、いちいちそこに腹を立てたり異議を申し立てちゃいけないっていうのが一神教で、そのことをまず最初に示しているのがカインとアベルの物語だ、という。この部分の説明は、かなり説得的に感じた。
         また、キリスト教には「宗教法」がなく、神がこの世をつくってからそのまま出て行ってしまっているので、神を信じた人間たちがその世界を、理性を通じて分析・研究・発展させる可能性を残していた、という点も面白い(p.315あたり)。 ウェーバーのプロテスタンティズムと資本主義を関連付ける論説は有名だが、たしかに、自然科学の発展の端緒となったものを作り出していったのは宗教改革頃のヨーロッパ世界で、そこに生きた人々は熱心なキリスト教徒だったりもする。熱心な宗教者がそうやって、現世のことの分析に必死になるのって、ほかの仏教やイスラム教の信徒にはない、珍しいことなんですよね。
         キリスト教徒が現世の仕組みにも関心を持って調べたのは、この世界が神によってつくられたもので、そこには、一定の秩序があると考えていたから。人間に与えられた理性を用いれば、ある程度まではそれを説明できると思った。他方、説明できない部分、たとえば先に述べたカインとアベルみたいな不平等さもあることを受け入れていて、それは、完全に神の意思で<恩寵>の働きによるものだとしている。そんなふうに受け入れることができるのは、信者だからで、そういう意味ではもちろん、他との区別がある。けれど、キリスト教というのは、非キリスト教徒や、非宗教的な世界とべつの宗教世界をつくって閉じこもるものじゃなくて、そういう外部をもつくりかえていく力を持つものだったのだと言う印象を受けた。


         そう、一般的には、キリスト教が支配する世界を「脱して」あるいは「排して」、世俗化・近代化や科学技術の発展が成し遂げられた、と考えられがちだけれども、そうではなくて、キリスト教世界が「あったからこそ」、そうゆう発展が可能になったわけである。
         その意味で、現代人が、キリスト教が支配的であった西洋中世世界に関心を持つことは意味のあることだし、キリスト教について、この本にあるみたいに、ちょっと考えてみることは、かなり有意義なことなのだ。そう実感させてくれる、興味深い1冊でした。
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        2017/05/22 by 理子*

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      キリスト教入門

      島田裕巳

      4.0
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      • クリスマスということもあり,書店でたまたま目に留まり手に取ってみたところ,のっけから「なぜキリスト教は上から目線なのか」という挑発的な章立てとなっており興味をそそられて即購入.結果,3時間ほどで一気に読破してしまいました.

        Amaz○nなどでは主に信者の方々からこっ酷い評価を食らっているようですが,第三者的な立場からキリスト教という宗教を捉えるという目的の下では非常に良い出来の入門書となっているのではと思います.

        キリスト教のみならず,多くの日本人がその実態をあまりよく把握できていないであろうユダヤ教・イスラム教についても少なからず触れているのですが,「実家の同じ姉妹」といった気の利いた喩えを用いて三者の立ち位置を軽妙かつ明快に説明している様などには著者の文才を感じざるを得ません.
        何も独特で印象に残るような文体の文章を綴るだけが文才ではなく,(特にこういった新書の類では)読者の頭にすっと入ってくるような至極わかりやすい表現・論理展開を用いることも重要であるということの好例でしょう.

        著者自身が本文中で再三繰り返しているように,この本は客観的な視点からキリスト教を見つめたものであって,信者にとってもそうでない人にとっても,万人にとって出来る限りフラットな記述を心掛けています.
        ここで,"フラット"と言えば聞こえは良いのですが,これは裏を返すと誰にも気を遣わずズバズバと事実をありのままに述べるということであって,その穏やかな文調とは裏腹に容赦のない右ストレートを全方位にお見舞している感があります.

        容易に想像できる各所からの反発や批判に怯むことなく,独自の切り口から,今まで中々触れられることのなかったトピックにも真正面から斬り込んでいく痛快さが本書の魅力でしょう.
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        2017/12/25 by abr_engawa

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      キリスト教問答

      内村 鑑三

      4.0
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      • 内村鑑三の『キリスト教問答』はいつか読みたいと思っていた。
        今日、読み終えることができて、良かった。

        感想は、たしかにところどころはっとさせられることもあったのだけれど、他の本の方が、内村の体験がダイレクトに書かれていることも多い気がした。
        しかし、いくつかのことは、とてもわかりやすかったし、興味深かった。

        内村が言うには、聖書は霊の糧であり、マナだという。
        今や世界最大の宗教の聖典なのだから、多くの人にとって読んでおくべき本だという。

        まず、キリスト教においては、「来世」が問題になるという。
        この来世は、単なる時間的な後の世の後世とは全く異なるもので、死後の世界のことを言う。
        内村が言うには、健全なる来世観ほど人を偉大にするものはない。
        詩人の天職は、盲目の世の人に、来世の実在を明らかにすることになるという。

        他にも、いろいろと、印象深い以下のようなことが書いてあった。
        クリスチャンではない人にとってはぶっ飛びな印象を与えるものが、今でも多いと思うので、当時はなおのことそうだったと思うが、日露戦争中にこれらを書き続けた内村はすごいと思う。

        罪とは人に対して犯したものではなく、神に対して犯したもの。

        罪をさとりえないことが、傲慢ということ。

        聖書は、神と世界との関係、神と人生との関係を示すのが目的であり、科学や歴史とは異なるので、その観点からの批判は的外れ。

        世界と人生を聖書的に理解する、つまり聖書が理解するように理解して、人は神の子どもとなり、宇宙の主人公となる。

        聖書は道徳の書ではない。道徳の源である神に至る道に導いてくれる本である。なので、その人の道徳の程度に従って、神の真意を示している。

        インスピレーションとは、神の霊が人の霊にくだって、人の霊を活発に働かせ、成し遂げさせること。

        聖書に接してこそ、聖霊を多く受けることができる。

        教会あっての信仰ではなく、信仰あっての教会である。
        ダイヤモンドと箱は別のものである。

        キリスト教の伝道は、信者をつくるためではなく、発見するため。

        道徳には進化はない。道徳は改造されるもの。

        堕落を癒すのは清めではなく、神への帰順である。

        奇跡とは、霊の活動である。

        などなど。

        あと、特に驚いたのは、内村鑑三は、エゼキエル書の第十八章の第四節と第二十節を根拠に、あっさりとアダム的原罪、つまり原罪はアダムに由来するという説を否定していることだった。
        しかし、内村は、人類は堕落しており、その意味で原罪があると述べる。
        ジュリウス・ムレルという人の前世存在説をあげて、人間の原罪が前世に由来するという説もあげつつ、結局、原罪の由来はわからない、と述べている。
        由来はわからないが、原罪と堕落は自分の中にあり、それがキリストへの信仰で救われたのも自分にとっての事実だと、内村は述べていた。

        堕落とは、神から堕落することであり、罪とは神を捨てること。
        堕落の結果が腐敗であり、腐敗は堕落の原因ではなく結果であること。
        堕落とは、善が悪に負けたということ。
        善とは神の性質であること。

        などなど、考えさせられた。

        そして、この本でも、内村ははっきりと無教会主義を打ち出し、西洋の教会によらない、日本人自身の手による、信仰にのみ依拠したキリスト教を打ち出している。

        日本人自身の手によって、明治の頃に、このようなキリスト教の本が書かれたということは、今考えても、本当にすごいことだったと思う。
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        2013/07/09 by atsushi

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      キリスト教入門

      矢内原忠雄

      4.0
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      • 良い本だった。
        わかりやすくキリスト教について解説してあり、まとめてあった。

        また、この本は、もっと言えば、「無教会主義キリスト教入門」としてとてもよくまとめてあると思った。

        無教会主義とは、内村鑑三によって始められたもので、カトリックやプロテスタントの教会に属さなくても、洗礼や聖餐などの儀式を受けなくても、その人がイエスを救い主として信じるならば、それでOKという考え方。

        この本の著者の矢内原忠雄は、内村鑑三の弟子にあたるそうで、戦後は東大総長も務めた人物。
        それだけに、理路整然と、わかりやすく無教会主義のポイントを明晰に説き明かしてあった。

        キリスト教一般、特に無教会主義に興味のある人には、良い一冊なのではないかと思う。
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        2013/05/01 by atsushi

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      私にとって神とは

      遠藤周作

      4.0
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      • 何でクリスチャン?

        日本人が生まれたときから(意識してなくても家がそうなので一応)仏教徒だったり神道だったりするのと同じように、母親の影響で11歳のとき何となく洗礼を受けたそうです。

        神を信じているのか?

        神の存在は”対象”ではなく、”働き”だと。何か選択するときなど、何か分からないが自分を後ろからそっと押してくれるようなもの。自分の意思+Xの Xが働いている。で、それはそれぞれの人の心の中にある。
        、、、日本的なとらえ方だと思う。西洋のキリスト教の考え方とはちょっと違うのかな。人によって色々な神があっていいんじゃないか、という感じに捉えられてるようです。一神教のユダヤ教の人は多分、(見えないけど)唯一の絶対的存在を信じてたりするのかな。

        キリスト教は煩悩の中に神がいる、仏教のように煩悩を捨てろと言われないからいい、と言われてます。お釈迦様の教えは苦しみの心の原因を見つけ治療することで楽にするものだけど、キリスト教は患部はそのままに慰めるものなのかな?(末期癌のモルヒネみたいな?)

        仏教(お釈迦様の教え)については、日本仏教との違いが大きいのでけっこう誤解されてるみたいですが、印象としては、遠藤さんの考える日本のキリスト教の考え方はお釈迦様の慈しみの心の部分と似ていると思いました。

        ただ、お釈迦様はキリスト様のような自己犠牲ではなく、自他共に幸せになる道を説かれました。自我は錯覚で、実際は”無我”であり、自我に対する執着をなくす(弱くする)ことで苦から解放される。自分が不幸になるなら、自己犠牲は愚か(智慧が足りない)と否定されてます。自己犠牲は偽善につながりやすいので、遠藤さんも問題だとされてます。(キリスト教の問題を色々指摘して悩まれてる)

        遠藤さんが考える日本式キリスト教は、お釈迦様の教えと共通するところがあることがわかりました。神は”働き”だとすると、日本人にもわかりやすい。(ちょっと曖昧だけど)

        西洋人にとって神、キリスト教とは何なのかな?
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        2016/06/13 by バカボン

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      キリスト教神秘主義著作集

      谷隆一郎 , 熊田陽一郎

      5.0
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      • もうかれこれ十数年前、たしか二十歳の頃、たまたま読んでいた西欧神秘主義の概説書に、ニュッサのグレゴリオスの『モーセの生涯』という本が紹介されていて、いつか読みたいと思っていた。

        その解説によれば、モーセの旅路を霊的に解釈したもの、だとのこと。

        最近、今年に入ってから、再び聖書にはまって、出エジプト記や申命記も何度となく読んだ。
        関連の解説書なども何冊か読んだ。
        それで、ふとそのことを思いだし、いつか読みたいとかねて思っていた。

        と、つい先日、何の気なしに図書館の本棚で手にとってぱらっとめくったこの本に、なんとこの『モーセの生涯』が収録されていた。

        驚いて読み始めたところ、想像以上に素晴らしい本だった。

        著者が言うには、モーセは私にたちにとっての「範型」、つまり人生のモデルであり手本である。
        モーセのように、高みをめざし、山に登るように徳に向かった道のりを無限に進むこと。
        そのような人生を「アレテーの道行」と著者は言っている。
        アレテーとは、徳のことである。

        著者が言うには、人間というのは常に生成変化している存在であり、「自由な選び」(プロアイレシス)により、良い方向に進むこともできれば、悪い方向に堕ちることもできる。
        常に生成変化する存在である以上、ある意味、人は誰しも自分自身の生みの親である。

        だからこそ、ロゴスの形相を自分に刻み付けることが大切だという。
        そうしないと、悪徳の教えの形相を自分に刻み付けることになってしまう。
        人は、このどちらかを常に選択することになる。

        モーセのように、神にひたすら聴き従い、アレテー(徳)に向かって前者の道をひたすら進むことが、人間として最も望ましい。

        そうした観点から、著者は、出エジプト記などのさまざまな出来事を、すべて象徴主義的に解釈し、そこに霊的な意味を見い出していく。
        おそらくキリスト教徒以外から見たらかなり強引な解釈もあるけれど、その手際があまりにも見事なので、霊的な解釈とはこのようなものかと眼が醒める思いがするところもとても多かった。

        また、異郷の哲学は、アレテーを生む限りにおいては役立たせられるべきで捨ててはならないということを力説しているところが興味深かった。
        異郷の哲学の肉的な部分を除去することが、本当の意味の割礼ということだそうで、そうした観点から正しく異郷の哲学もキリスト教の信仰によって純化し、善用すべきだと著者は述べる。

        信仰と生に関する善き良心。
        この二つを、著者は重視している。

        キリスト教とアリストテレス哲学とモーセのトーラーが絶妙に合わさって昇華されている、稀なる良い本だった。

        ニュッサのグレゴリオスは四世紀頃の人だそうであるが、
        「生のありかた・かたちを択びとることは、各々の人の自由な択びの力に委ねられている」という考え方は、ルネサンスのピコ・デラ・ミランドラなどをはるかに先取りするものだと思う。

        私も遠く及ばぬながら、キリストやモーセに倣って、少しはあやかって生きたいと、あらためて深い感銘とともに思わせてくれる、そうした勇気や活力を与えてくれる本だった。
        この本にめぐりあえて良かった。
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        2013/12/09 by atsushi

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      キリスト教のことが面白いほどわかる本 この一冊で二千年のドラマがわかる!

      鹿嶋春平太

      5.0
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      • かわいい羊のイラストが入っていて、その羊のキャラとの対話形式でわかりやすく書かれているため、内容は浅い初心者向きかと思いきや、とても内容も深く、独自の歴史観で貫かれていて、とても面白かった。

        イエス・キリストの主眼が、この世の物質的なことではなく、霊に関わることであり、つまり永遠の霊の世界が本体で、この世の物質的なことはその影であり、霊がまず第一に大切であり、この世の幸せは二次的なもの、というのは、当たり前のようで、あらためて、なるほどーっと思った。

        また、聖書主義と教理主義との相克という観点から、二千年に渡るキリスト教の歴史をとても面白く独自の仕方で解説してあり、とても面白かった。

        初心者にも、そしてキリスト教にそれなりに知識がある方にも、どちらにもとても楽しめる良い一冊だと思う。
        多くの人にオススメしたい。
        >> 続きを読む

        2013/10/16 by atsushi

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