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加藤陽子
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東大文学部で近現代史を教えている著者が、栄光学園の歴史研究部メンバーに行った集中講義を元に書いた本です。日清戦争から太平洋戦争までの4つの戦争について問いと答えという形で説明されているので、ハイレベルな内容ながらもとっつきやすいです。戦争は何のために遂行されるのか。これにルソーが、相手国の憲法を変えるためと答えているのが面白かったです。たとえば第二次世界大戦後には日本の憲法がアメリカに書き換えられて、国家主権者が天皇から国民になりました。世界大戦を知らないルソーの提示した原理が現代で通用するとは、目から鱗です。また「歴史は科学か?」という問いも出てきます。歴史は科学のように普遍的でないから違うという意見がまず出そうです。これに歴史家のE.H.カーは「科学だ」と答えて、歴史家は特殊から普遍を見るのだと反駁します。たとえばリチャード三世が王位継承のライバルを謀殺したのは事実か考えるとき、歴史家はそのような行為が当時一般的だったかを考えるそうです。王位を得ても謀殺によって正当性がゆらぐのであれば一般的でなかったはずで、それなら事実ではないとする考え方は確かに筋が通っています。またE.H.カーは、人々が歴史的な選択をするとき、過去の似た経験を集めて判断材料にしていると指摘します。だからこそ歴史を学ぶときには幅広い視野で、立体的に物事をとらえることが大切なのだなと実感しました。本書は特定の考え方への偏りや押し付けがなく、いろんな角度の史料から戦争について考察している良書だと思います。たとえば満州への武力行使を正当だと答えた東大生が88%いた事実を知れば、満州事変を「陸軍の暴走」で終わらせてしまうのは危険だなと見方が変わります。加藤先生の講義を通して歴史の見方や考え方について学ぶところが大きく、また再読したいと思える一冊でした。 >> 続きを読む
2017/11/03 by カレル橋
杉浦日向子
【まるで落語のような】 江戸通として知られた、故杉浦日向子さんの楽しい一冊。 江戸時代の様々な風俗、習慣をトピック仕立てで紹介してくれます。 江戸時代の物価と収入なんていうのも計算されていて、米価換算で一月8万円もあれば余裕で生活できたそうですし、8万円稼ぐ程度なら零細商人でも月に10日~15日も働けば十分だったそうです。 かなり余裕のある豊かな生活だったようですが、それでも江戸人はそれすら働くのを嫌がり、ちゃんと働きもせず、金が無くなれば大道芸の様なことをやって小銭を稼いだり、季節々に不要な家財を質入れして金を工面したりしていたそうです(夏になると冬布団を質に入れて金を借り、寒くなってくると蚊帳を質入れして冬布団を出してくるみたいに)。 また、暑い夏の盛りに働くなんていうことはしなかったそうです(ちゃんとお勤めしなければならなかったのは、大店の店員=一流企業のサラリーマンか、武士=公務員くらいのものだったとか……いつの時代も哀しきかなは宮仕え……トホホ)。 涼しくなる秋からまた頑張れば良いやってなもんです。 それでも手元不如意な場合は、朝、夕の涼しい時間帯だけちょこっと働いて何とかなっちゃうとか。 師走も余裕しゃくしゃくです。 12月8日には事納めになり、その後、煤払い(大掃除ですな)、歳の市を回って正月用品を買い揃えるなどなど。 食べていくだけなら、何もあくせく働かなくても十分にやっていけたようです。 何だか現代よりも江戸時代の方がゆとりのある人間らしい生活をしていたのではないかと思えてきてしまいます。 また、お酒の話にもびっくり。 朝、仕事に出かける前に茶碗半分位を軽くひっかけ(縁起としてそうしていたのだとか)、午後、仕事が一段落すると昼食とおやつを兼ねてまた一杯。 帰宅後、風呂上がりに晩酌をしてゆっくり夕食を済ませ、寝る前にまた一杯。 大体毎日5合位は飲んでいたとか。江戸の町はいつもほろ酔いの男衆だらけだったとか。 いいのか、それで! そう言えば、こんな小咄がありましたっけ(江戸小咄ではありませんが)。 20年以上も連れ添ってきた夫婦なのですが、妻が突然離婚を切り出したのです。 その理由を尋ねると、「亭主があんな呑んべえだとは知らなかった。」というのです。 20年以上も連れ添ってきてそれはないだろうと問いただすと、「だって、夕べ初めて素面で帰ってきたんですもの。」だそうです(苦笑)。 この本には、杉浦さんがお描きになったイラストが添えられており、それも楽しいのですが、残念なことに文庫化したためにちょっと小さくなってしまって見づらいかな。 軽妙な、まるで落語のような語り口の一冊でした。 >> 続きを読む
2020/07/21 by ef177
永倉新八
新撰組の生き残りの永倉新八が、大正になり、七十代半ばになってから、残した回想録である。新撰組モノの小説と若干異なる印象を受けるところがいろいろあって面白かった。たとえば、永倉をはじめとした新撰組の隊士の多くは、どうも尊王攘夷のつもりでそもそも新撰組に参加し、ずっとそのつもりでいたようであることである。それほど幕府に殉じるというつもりがはじめからあったわけでもなかったようである。そうしたら、いつの間にか、そのつど目の前に任務に一生懸命誠実に取り組んでいるうちに、完全に幕府側ということになり、会津と一体化していって、時勢の変化の中で賊軍ということになってしまったようである。永倉自身よくわからないまま、漠然とした考えで、なんだかよくわからないが新撰組のために命を張るというつもりで尽しているうちに、ああいう時の流れになったようである。また、永倉のこの回想録を読んでいてとても興味深かったのは、芹沢鴨のことを高く評価してとても惜しんでいたことである。だいたい世の新撰組モノの小説では、芹沢は近藤に倒されるなんだか脇役めいた扱いなのだけれど、永倉によれば欠点も含めてなかなか興味深い人物だったようである。真木和泉や平野國臣についても、新撰組からすれば敵であるのに、その立派な態度に感心しその死を惜しんでいるあたりに、永倉や新撰組隊士たちの懐の広さや純情さを感じた。ラストの方では、雲井龍雄も登場し、とても興味深かった。それにしても、結局、大正頃まで生き残った新撰組隊士は、永倉新八と斎藤一と尾形俊太郎ぐらいだったのだろうか。永倉のみまとまった回想を残してくれた点で、本当に貴重な一冊と思う。生き死にの不思議さを思うのと同時に、永倉の場合最後まで生きることができる限りは生き残ろうとし闘い続けた、その姿勢や意志が、やっぱり長寿の秘訣だったのかもなぁと思われた。 >> 続きを読む
2016/07/28 by atsushi
井沢元彦
たいへんおもしろい。日本史が好きな人は読むべき一冊。歴史に対する推察そのものがおもしろいのはもちろん、簡潔かつ丁寧な文章で、ユーモアもあり、エンタメしても質が高い。ただ、連載ものをまとめたものなので、ちょっと冒頭の説明がくどかったりする。また、日本の考古学界や宮内庁に対する批判は結構だが、同じような批判が何度も出てきて辟易とすることはある。ただ、続きは読んでみたいと思う。 >> 続きを読む
2015/10/29 by Ada_bana
白駒妃登美 , ひすいこたろう
貧しくても、高貴。それが、日本人だ!日本人としての美学を思い出させる。心震える。誇らしく思える。何のために生きるのか?心の指標となる。“歴女”白駒妃登美さんが贈る感動する日本人の紹介に、“言葉のセラピスト”ひすいこたろうさんがコラムを添える心震える歴史を学ぶ本。歴史を学ぶとは、こういうことだ。史実だけではない。生き方を学ぶのだ。粋か、野暮か。それが日本人として美学と感じた。超過密人口密度だった江戸の町で暮らす人たちが、円満な人間関係を保つ術。得ではなく、徳。和の心。許しあうこと、思いやること、つながりあうこと。不屈の精神それが、日本ブランド。日本人の矜持。そんなDNAを受け継ぐ我々日本人。今こそ、戦後教育で断絶した日本人の歴史を見直すべき時だ。学歴中心の偏った教育を直すべき時だ。それは、我々大人が示すべきなのだ。この本を読んで、子どもたちに恥じない生き方を学ぶべきなのだ。詩人グローテルはこう言ったそうだ。「日本人は貧しい。しかし、高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族を挙げるとしたら、それは日本人だ」日本人は美しい。 >> 続きを読む
2014/09/02 by てるゆき
網野善彦
ちょっと周囲からあきれられるほど歴史に関しても無知蒙昧な私だけれど、それでも(いや、だからこそ、か)中世から江戸時代に至るまでの日本の田舎に対するイメージは、漠然と持っていた。いわゆる「お百姓さん」が厳しい年貢の取り立てに苦しみ飢饉の際には真っ先に餓えつつ、貧しくとも地道に実直に日々の農業に勤しむ…とまあこんな感じ。でもそのイメージは間違ったものなのかもしれないよ、とこの本で網野善彦氏は切々と語りかけてくる。説得力があり、面白い。新たに発見される資料を先入観少ない目で見ていくと、新たな歴史が発見され、組み立てられていく。その過程も窺う事ができ、興味深かった。欠点といえば、長い!ことですね。あとがきで氏も述べておられる通り、重複する箇所が多い。整理すれば、たぶん三分の二程度には短くなったはず。それから話し言葉を本にまとめたためか、「〜と思います」だの「〜に違いありません」だのが多用されており、読んでいてなんとなく心許ない気分にさせられる。これらは編集の問題でしょうかね。 >> 続きを読む
2016/04/08 by maru
竹田恒泰
第Ⅱ部を読むだけでも日本の成り立ちに触れられるので一読の価値があります。私見ですが、中央集権的な教育から、藩校の様な地域に根差した人間育成まで、教育の多様化について検討が必要だと思います。教育を変えないとという点では賛成です。 >> 続きを読む
2014/05/18 by Hiropika
鳥海靖 , 五味文彦
ウロコ落下、お目々から。読み物として「教科書」を読む...という。読んでみましたよ!!もちろん細かなことは一読して頭に入るものでもないけれど、教科書として学生が1年間かけて読むならばもっと頭に入るだろうさ。しかも定期試験なんかで範囲が決まってたりなんかしたらもう「満点に挑戦」とばかり頭に入るまで読めばいい。ぃゃ、しかし今からお勉強しようと思ったわけではないのですがw世界史もイキますか...。 >> 続きを読む
2018/07/13 by motti
DowerJohn W , 高杉忠明 , 三浦陽一
直接的には、開沼博さんの影響で読んでみることにした本です。開沼さんは、「原子力ムラ」は、戦後の日本が敗北を抱きしめたように、原発を抱きしめた─というアナロジーで、たびたびこの本に言及しています。昨年話題になった「戦後史の正体」(孫崎亨)でも引用されていたかもしれません。 たまたま「舞踏会に向かう3人の農夫」、「写真小史」に続いてこの本を読む形になったのですが、その流れの上でこの本を読むと、そこに収録されている戦後日本の写真が、ことのほか心にしみます。 特に、1946年12月に品川駅に到着した、満州からの引き揚げ途中で孤児になったこどもたちの写真。右側のこどもは首から家族の骨と灰が入った箱を下げています。おかっぱ頭のこの少女はこのとき7歳ですが、年に似合わぬ厳しい表情をしています。父親は奉天、母親は葫蘆島(遼東湾に突出した半島だそうです)、妹は佐世保で亡くしました。この写真に至るまでにどれほどの涙を流してきたことでしょうか、この写真の後、少女はどのような人生を送ったのでしょうか。 GHQが、あたかも戦前の桎梏からの解放軍のように歓迎された時代を経て、1947年の2.1ゼネスト中止指令で逆コースがはっきりしてくるあたりで、上巻は終わります。 非常に興味深いのは、占領軍相手の売春婦たちの世界、手に負えないエネルギーに充ちた闇市、価値体系の転換を表現した「カストリ文化」といったサブカルチャーを、敗戦による「虚脱」状態の混乱と絶望を示す具体例であるとする一方、生命力と本能とさらには色情さえ駆使して「虚脱」を乗り越えた実例として分析した部分です。 単数形の「日本文化」や「日本の伝統」なんて存在しない。語らねばならないのは複数形の「日本文化たち」や「日本の伝統たち」なのだ、と筆者は言います。 ぼくは、「日本人とはこういうものだ」という誇らしげな日本人論も、「日本人ってどうして〜なんでしょうね」といった自嘲的な日本人論も、どちらも嫌いなのですが、それは、もともと単純化できるはずのないものを無理やり単純化して省みない粗雑さに対する嫌悪感だったのかもしれない、とこの本を読みすすめながら考えています。 >> 続きを読む
2013/07/18 by 弁護士K
高杉忠明 , 田代泰子 , 三浦陽一 , DowerJohn W
闇市や「カストリ文化」といったサブカルチャー、GHQを「解放軍」と受け容れた人々を中心に描いた上巻に対して、下巻では、昭和天皇、日本国憲法、東京裁判といった歴史のメインストリームが描かれます。いわば、上巻が下部構造で下巻が上部構造といった趣です。 上巻のレビューに、emiさんから「自分がその歴史を余りにも知らないことに驚かされました」というコメントをいただいていますが、わたしもまったく同じ思いです。 仕事柄、日本国憲法の制定過程については勉強してきましたし、薬害エイズ事件やハンセン病問題の関係でも、GHQの占領政策を調べたことがあります。しかし、占領政策の全体を、大きな歴史の流れの中に位置付けてみたのは初めてのことで、眼からウロコの記述がやまほどありました。 改憲論者からはアメリカによる押し付け憲法と批判される日本国憲法ですが、これを「押し付けられた」のはいったいどのような人々だったのか、という視点を持てるのも、単数形の「日本人」ではなく、立場を様々に異にする「日本人たち」を描くという筆者の姿勢によるものだと思います。 読み終えた次の朝、日テレ「ZIP!」で、「風立ちぬ」の劇場版予告篇が放映されました。はじまったとたん、ジブリのアニメが、この「敗北を抱きしめて」に描かれている日本と重なって、涙がこぼれました。 年をとると涙腺がゆるくなって困ります(^_^;) >> 続きを読む
2013/07/23 by 弁護士K
倉野 憲司
一般教養として読んだ。登場人物があまりにも多く、混乱しながら読んだ。世界各地の神話との共通点がみられ面白い。ただし、一気に通読すると、書き下し文を読んだとしてもなかなか内容が理解できないことが多々あったので、いずれ解説本の一冊二冊読みたいと思う。内容に関しては、多くの人が知っているだろうから割愛するが、重要なのはその内容を知ることではなく、この文書が成立した過程、日本史における意義の方に着目すべきである。 >> 続きを読む
2017/09/05 by shinshi
川浦 玄智山県 大弐
山県大弐は、江戸時代中期、まだまだ幕府が盤石で全盛だった時代に、なんと倒幕を本気で考え、そのために長い年月をかけて多くの人に働きかけ、本気で倒幕と世直しを考えていた人物。 いわゆる「明和事件」の中心人物。 読んでいると、決して奇矯なことやおかしなことが書いてあるのではなく、むしろ非常に真摯で生真面目な人だったのだろうと感じる。 たぶん、内容を要約しても、『柳子新論』の文章全体から立ちのぼる印象や感慨は、全然伝わらないのかもしれない。 言っていること自体はわりと単純で、暴力による武家の支配ではなく、文化に基づく朝廷の世にすべきであり、礼儀や文化を振興し、税負担を軽くし、腐敗を正すべきだということをさまざまな言葉から論じている。 それらを、理想論やたわごとと一蹴する人も、当時も、そして今も多いかもしれない。 しかし、山縣大弐の文章全体から立ちのぼる正義感や正義への希求、幕藩体制の腐敗への批判精神は、その類まれなる真摯さと気魄によって、読む人の胸を打たずにはおれない。 「哀しいかな、衰世の政をなす者、文なく武なく、礼刑並び廃し、ただにその利を興すに心なきのみならず、またその害を除くに心なきなり。」 山縣大弐は、本当に当時の幕府の政治の腐敗や堕落を、心から悲しんでいたのだろう。 『柳子新論』は、ある意味、江戸期の政治思想史版の、異なることを歎くという意味での、歎異抄、歎異の一冊だったと言えるのかもしれない。 「それ聖人の道は、権衡なり、縄墨なり、規矩なり。これを懸けて以て軽重を正し、これを陳ねて以て曲直を正し、これを設けて以て方円を正す。何の利か興らざらん、何の害か除かざらん。」 具体的な方策というよりも、こうした精神のありかた、構えとして、現代人にも山縣大弐は大きなことを問いかけ、教えてくれているように、読みながら考えさせられた。 また、山縣大弐が、漢書の引用のようだけれど、昔の書物から引用している箇所で、 「一夫耕さざれば、則ち天下にその飢えを受くる者あらん。一婦織らざれば、則ち天下にその寒を受くる者あらん。」 という言葉は、なるほどなぁと思った。 今の世も、この言葉は非常に重く受け止められるべきかもしれない。 以前も、『柳子新論』の抜粋を読んで感銘を受けた箇所なのだけれど、以下の文章は、本当に、その精神において、とても大事なことを言っている箇所だと思う。 「政をなすの要は、務めてその利を興し、務めてその害を除くに過ぎざるなり。 利なるは、己を利するの謂いにあらず。 天下の人をして咸(みな)その徳を被り、その利に由らしめ、而して食足り財富み、憂患する所なく疾苦する所なく、中和の教え衆庶安んずべく、仁孝の俗比屋封ずべし。それこれを大利と謂うなり。 そのこれに反すれば、すなわち害なり。 害除かれずんば、すなわち利興らず。 故に古の善く国を治むる者は、務めて利を興し務めて害を除く。 而る後、民これに由る。 これを興すの道、如何。 曰く、礼楽なり、文物なり。 これを除くの道、如何。 曰く、政令なり、刑罰なり。 それこの二者は、惟(ただ)君みずから率い、惟君みずから戒め、而る後民これに従う。ただに君自ら率いるのみならず、実に天の職を奉ずるなり。」 山縣大弐のこれらの思想や精神、passionは、その時代においてはある意味、むなしく終わってしまい、一見無駄だったようにも見えたのかもしれない。 しかし、この山縣大弐の『柳子新論』が、幕府にとっては当然発禁の、持っているだけで危険な文書だったにもかかわらず、ひそかに筆者回覧され、幕末の長州の勤王僧・黙霖に読まれ、さらには黙霖を経由して吉田松陰に読まれて、吉田松陰が倒幕を志すきっかけになったということを考えれば、歴史において無駄なことなどなく、志の種は必ず芽吹く時があると言えるのかもしれない。 平成の今の、志を失いがちな世も、精神を正すために、閲覧参照すべき本のように思う。 >> 続きを読む
2012/12/22 by atsushi
伊波園子
当時を思い出し、書いたり語ったたりするのも相当に辛いことなのだ ろうと思う。それでも、ひめゆり学徒隊の生き残りである女性たちは 自らの体験を書き、語り、後の世代に戦争の惨禍、そして平和の大切 さを伝えようとした。 心を引き裂かれ、血の出るような思いで書かれたり、語られたりした ことを、私を含め戦争を知らない世代は受け止め、考えなくてはいけ ない。 ひめゆり学徒隊。沖縄県女子師範学校と沖縄県立第一高等女学校の 教師と生徒を主体に作られた女子学徒隊の悲劇については映画や 小説でも取り上げられた。 著者は沖縄県女子師範学校の卒業間際に看護要員として動員された。 そして、体験した沖縄戦。アメリカ軍の攻撃を避けながら壕を転々と し、その合間に傷病兵の手当てをし、極度の疲労と食糧不足に悩まされ、 多くの恩師や級友を失いながらも「鉄の暴風」を生き延びた。 小学校高学年以上向けの作品なので、筆は抑えられているのだろうが それでも沖縄戦の悲惨さは伝わって来る。 逃げ延びる為に足手まといになる傷病兵を置き去りにしたり、海に入って 自決することを求められたり、子供が泣くからと壕から追い出された女性 がいたり。 本土からの支援物資は届かず、負傷者の手当ての為の包帯や薬品も満足に ない。 文字通り、沖縄が捨て石だった。そんな激戦を生き延びても、戦後には 生き残った後ろめたさを抱え込まなければならないなんてなぁ。 生き延びて語る勇気を出してくれたことで、沖縄戦で何があったかを 知ることが出来るのだと思う。 国は国民を守らない。改めて感じた。 >> 続きを読む
2018/01/20 by sasha
TBSテレビ
聞くことは知ることに繋がる。知ることは関心を持つことに繋がる。関心をもつことは前へ一歩進むことに繋がる。そして、それは次の世代に繋がる。ここで、口を開いていらっしゃる方々のことを、この国に住む人は知って欲しいと思う。その前では、ほとんどの政治屋や企業屋たちは、立場がなくなると思う。次の世代に負の遺産を残そうとやっきになっている人たちが、あまりも多いことが哀しいこと。ではあるが、何もしないというわけにはいかない。無関心こそ最大の悪だ・・・という主旨のマザーテレサを思い出す。 >> 続きを読む
2014/07/29 by けんとまん
家永三郎
戦争責任について知りたいと思い、一番最初に読み始めた本。
2014/09/23 by Wataru
袖井林二郎
太平洋戦争って本当はどんなのだったのか?先生に教わったことは本当なのか?をテーマに戦争もんばっかり読みあさってます。 こちらはリアリティの塊!!一般人がマッカーサー宛に書いた手紙の文章がそのまま読める!しかも、文章以外の贈り物の話なども。 こういうのを読むと、戦時中、戦後のイメージがガラっと変わる。 ジョン・ダウアーの「敗北を抱きしめて」を読んで以来のリアリティの高さ! こういうのは退屈だけど好き!。 まぁ、退屈すぎて最後のほうは読むのがしんどかったけど。 >> 続きを読む
2012/03/10 by ahoogarasu
永瀬隼介
昭和最大の華麗なる完全犯罪「三億円事件」が生んだ忌まわしき悲劇。私利私欲を貪り尽くした為政者たちの横暴。そして、最先端の医療技術のもとになされた戦慄の行為。立ちはだかる時間の壁と、どす黒い謎に肉迫する執念の取材。“昭和”に封印された八つの事件の真相が新証言によって今明かされる。衝撃のノンフィクション、時代の要請に応え装いも新たに文庫化。二〇〇四年三月、新潮文庫より祝康成名義にて刊行された『真相はこれだ!「昭和」八大事件を撃つ』を再構成して、角川書店から文庫で出版された、著者のルーツともいえるノンフィクション集です。扱われている八つの事件とは、一、府中三億円事件二、成田空港争議三、和田医師による心臓移植疑惑四、美智子皇后の失声症の背景五、潜水艦なだしお東京湾衝突事件六、美空ひばり紅白落選の裏側七、丸山ワクチンを巡る許認可の真相八、猪木対モハメド・アリ戦実現に至る経緯です。いずれも、丹念な取材と、生存者への綿密なインタビューをもとに、「昭和日本」が生んだ疑惑の裏側に鋭く迫る、息を呑むノンフィクションです。特に平成日本の現在に至るまで、その事件の影を落としているのは、和田寿郎医師による独断心臓移植疑惑と、癌治療に効果が見込まれる丸山ワクチンの許認可に関する疑惑劇、いずれも医療に関する疑惑でしょう。日本初の医療手術式の快挙を前に、踏み越えてはいけない一線を踏み越えたと思われる優秀な心臓外科医。僕が、当時の関連書籍をあたり、調べたわけではないので一方的な見方になってしまうのですが、本書を読む限り和田寿郎医師はブラックに近いグレーです。日本初の心臓移植手術式成功という快挙の影に埋もれてしまった二人の青年の命と、彼らの親族の狂わされた人生。昨年の理研・小保方騒動ではないですが、成果を求めるがあまり、正誤の分け目を意識的に変えてしまう者たちの怖ろしさを、丁寧に描写しています。そして、今なお禁忌とされている故、国内心臓移植手術式の例が他国と比較して圧倒的に少ないという事実。この事実が、当時の、この事件の真相を何よりも雄弁に物語っているものと思いました。また、癌治療に効果が見込まれるとされた「丸山ワクチン」の許認可に関する記事にも驚きました。「丸山ワクチン」の効能については、僕としても少し疑問符がつくところでしたので、今後、よく調べたいと思いました。それ以上に、ひとつの薬の許認可の利権に群がる政・官・民の魑魅魍魎に怒りと、諦めを同時に感じました。ひとつの抗癌剤開発が成功すると、その発売元の製薬会社はビルが一棟建つくらいの利益がでるそうです。その為には現場の医師たちに臨床試験に使ってもらわねばならず、製薬会社の医師に対する過剰接待、また許認可権をもつ厚生役人は天下りポストの確保と引き換えに認可を降ろす。そこには、およそ医療の根幹と言うべき人間の生命の重要性など後回しにし、己の欲望のみを優先した人の姿をした鬼どもが透けて見えます。恐るべきことは本書を読むまで、僕がこの二つの事件について、まったく無知だったということでした。「昭和」を振り返る報道番組や、雑誌記事など、これほど氾濫しているのにも関わらず、日の目を見ない同様多種の事件・疑惑は相当な数であるのでしょう。それが、時を越えて、クローズアップされることをよしとしない方々がいる限り、情報の操作は終わらないのでしょう。知らなかった、知ろうとしなかった自分も悪いのです。しかし自省も込めて、起きている事件・報道されているニュースを、客観的に判断し自分の頭でその裏を考察できるように準備しておかないといけないと痛切に感じました。この国の報道や政治は、すでに信用できるものではありませんね。 >> 続きを読む
2015/01/05 by 課長代理
宮本雅史
人間魚雷「回天」魚雷を操作し、敵艦隊に爆薬と一緒にぶつかる特攻兵器です。回天基地の近くにあった料亭で働き、後に「回天の母」と呼ばれた『おしげさん』と、隊員達とのエピソードには胸を打たれました。料亭では、出撃の前に別れの宴が行われていました。酔いがまわってくると、「母ちゃん、母ちゃん」といって隊員が甘えてきたそうです。二十歳前後の若者が、もう会えない自分の母に『おしげさん』を重ねているのです。そして、『おしげさん』は「行ってきます」と笑顔で出て行った若者達の戦死を新聞で知る。そんなことが何度も繰り返されたそうです。自分の命を差し出しても家族や仲間を守ろうとした人たちがいることを忘れてはならないと感じました。 >> 続きを読む
2012/08/13 by montitti
安藤優一郎
現在住んでいる世田谷の歴史書ということで身近に感じ読むことにしました。本書の主役とも言える大場家が住んだ世田谷代官屋敷にも二度、訪れています。本書の紹介にもあるように、あまり語られることの無い代官という立場の暮らしぶり、仕事内容や、農民達の生活が良く分かり、好奇心を満足させられました。が・・・一番ビックリしたのは・・・私が無知なだけですが・・・鳥羽伏見の後、井伊家が新政府側にアッサリ鞍替えしてたということでした。読前は、徳川幕府筆頭中の筆頭井伊家は、幕末、德川家同様の立場に陥り、彦根藩領世田谷代官である大場家も同じく大変な状況だったんだろうなぁ、どうしたんだろうなぁ、と、そこを読もうとしていたからです。お蔭様で恥をかかずに済みました。その後、初代世田谷村村長にもなった大場家。その後も大場家は世田谷区長を輩出しています。本書でも言及されていますが、大場家と言えば世田谷吉良氏の有力家臣。世田谷に吉良氏が入ったのが1336年。700年前も大場さん。今も大場さんなんですね、世田谷は。 >> 続きを読む
2014/02/07 by yogi
西山剛 , 鈴木一史 , 山陸洋子 , 川戸貴史 , 山野井健五 , 野本禎司 , 都倉武之 , 早川万年 , 城爪草 , 清瀬のどか , アサミネ鈴 , 清瀨赤目 , 高野和弘 , 門松秀樹 , 小坂伊吹 , sanorin , 大石学 , 佐藤宏之 , 館尾冽 , 工藤航平 , 佐藤全敏 , 岩崎美奈子 , 氷栗優 , 河伯りょう , 姫川明
義父、義母が娘の9歳の誕生日に 全巻プレゼントしてくれました。 フルカラーですごくきれいな本になっていて 子供でも興味を引くつくりになっていると思います。 漫画ですが、 大人が読んでも面白く 4冊一気読みしてしまいました。 私が子供のころ教わった歴史とは すこし違った説明をしている部分もあったりと、 きちんと新しい研究結果を反映しているようです。 何はともあれ、この本をきっかけに 歴史やそこから派生して新しい何かに 興味を広げていってくれる そんな入り口になってくれそうな良いシリーズだと思います。 ちなみに、数ヶ所ある記載ミスについては 学研のホームページにお詫びと 訂正用シール送付の案内が記載されています。 http://hon.gakken.jp/news/1669 >> 続きを読む
2015/02/03 by kengo
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