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カテゴリー"古代ローマ"の書籍一覧

      ローマは一日にして成らず

      塩野七生

      4.0
      いいね! tomato
      • 塩野七生の文庫版「ローマ人の物語」43巻の読み初めの「ローマ人の物語1 ローマは一日にして成らず[上]」を読了。

        木馬で有名な戦いで敗れた、トロイの王の血筋の落人たちが、辿り着いたイタリア西岸で、何代か後の子孫である、ロムスとレムスという双子が、ローマ建国者となる伝承の紹介からこの物語は始まっています。

        テヴェレ河に打ち捨てられた双子は、狼に育てられ、やがて羊飼いに引き取られ、羊飼いのボスとなって、やがて自分たちを捨てた、トロイの王家の子孫であるアルバの王(アルバロンガの王である娘が双子の母親で、ここでいうアルバの王は双子の母親の叔父です。 彼が王の座に就いたとき、将来自分を脅かすだろ王位継承者の資格を持つ双子をテヴェレ川に捨てたというわけです)を殺し、その後アルバ(ロンガ)には戻らず、ロムルスの名前を取った、ローマの国を自分たちが捨てられたテヴェレ川の下流に建設したのです。
        B.C.753年のことでした。

        ローマ人は戦いの末、ラテン民族であるアルバ人、サビーニ人、土木建築技術に優れたエルトリア人等を攻略していきますが、他民族を淘汰するのではなく、ローマにある七つの丘に、それぞれ、それらの人々を住まわせローマ化(同化)を図って大きくなっていきます。
        エルトリア人技師等によって運河や土木建築、公共建造物などの都市開発も進みました。

        このエルトリア人技師を取り込んで発展する様は、時代が違いますが、7世紀の日本が、白村江の戦いで滅んだ百済から多くの官僚、政治家、技術者等の亡命貴族を受け入れ、律令国家を確立した過程によく似ています。
        優秀な人材は、とても貴重です。

        ロムルスを初代として、ローマの王制は7代、244年(B.C.753年~509年)で終わりますが、元老院制度から、多民族同士の習慣、考えの違いを律するための法制度の制定、さらには軍制=税制=選挙制等の立脚などを行なっていきます。

        7人の違った部族の王が、ローマの指導者として、次から次へと出来過ぎと思われるくらい適時、適材適所の働きをして、やがて個人のリーダーシップよりも、法が支配する共和制国家に変わっていきます。

        王、元老院、市民集会というローマの発展を支えてきた三本柱の王が、執政官に変わっただけで、三極構造の機関設計は変わらないものでした。

        こうしたローマの発展過程を読んでいくと、そのプロセスがアメリカ合衆国によく似ているなと感じます。
        最初はWASPが、そして黒人や、アイルランド人、イタリア人等、様々な民族で、様々な宗教を持った、多種異民族の集合体法治国家として大きく発展してきたアメリカを彷彿とさせられます。

        共和制への移行と共に、それまで支配階級だけのものとされた法の適用を、民衆が要求し始め、法の成文化が急務になります。

        そこで、ローマから三人の元老院議員からなる調査団が法治都市国家として、先進国であるギリシアのアテネとスパルタに派遣されることになったのです。

        ここから時代は、B.C.1700年~B.C1500年のクレタ文明にまで遡り、トロイの落城で凱歌をあげた、ミケーネ文明のB.C.1200年頃の衰退を経て、B.C.800年前後のギリシア文明への言及となります。

        私は漠然とギリシア時代の後がローマ時代だと勘違いしていました。
        ギリシア文明が早々と衰退しただけで、ローマ時代初期とギリシア時代は、ほぼ同時代のものだったんですね。

        B.C.776年に、第1回のオリンピア競技大会がギリシアの地で開催されています。
        ローマ建国は、その13年後です。

        イタリアの南にあるナポリも、元々ギリシア人の勢力圏内でした。
        「ナポリ」の地名はギリシア人が、新しい都市国家として目星をつけた新しい都市国家(ネア・ポリス)が語源となっています。

        ギリシア人は、ポリスと呼ばれる都市国家集団で、ドーリア人によって建設されたスパルタとアカイア人によって建設されたアテネが、ポリスの代表として有名です。

        普段は、ポリス同士で仲が悪い彼らですが、共通の敵ペルシアには結束して立ち向かいました。
        難敵ペルシアをエーゲ海から駆逐した「サラミスの海戦」の下りは、ワクワクしながら読みました。

        ローマが参考にしたがっていた、アテネの市民集会の直接民主制(市民一人に一票)や、追放したい人の名を陶片に記して投票する、陶片追放と呼ばれた一種の(独裁制)自浄システムのエピソードも面白く読みました。

        作家の伊坂幸太郎が、「ホワイトラビット」の中で「レ・ミゼラブル」のヴィクトル・ユゴーが『これは作者の特権だから、ここで話を前に戻そう』とか、『ずっとあとに出てくるはずの頁のために、ひとつ断っておかねばならない』とか、妙にしゃしゃり出てきていることを面白おかしく紹介していました。

        塩野七生も、それから司馬遼太郎も、結構そうした傾向がありますね。
        そして、私はそれが嫌いではありません。
        塩野七生の作品には、ふんだんに地図を差し挟んでくれていて、文中の地名などを地図で確認する作業も、実に愉しいですね。

        この作品の中では、「スキャンダルは、力が強いうちは攻撃してこない。弱みがあらわれたとたんに、直撃してくるものである。それが当人とは無関係な事でも、有効な武器であることでは変わりはない。」という彼女の含蓄のある言葉が心に残りました。

        後は、蘊蓄として、戦略(ストラテジー)の語源は、ポリス国家アテネの内閣の構成員となる1年任期の10人に命名された「ストラテゴ」(国家政略担当官)であること。
        ローマの王制を廃し、共和制の最初の執政官となった、ルキウス・ユニウス・ブルータスのブルータスは、馬鹿者を意味する言葉であること。

        続いて、執政官となったヴァレリウスは、王制から共和制への舵取、それから民衆懐柔策として、民衆の権益にすり寄った法改正を行ない、それが公共の利益を重んずる「ブブリコラ」という綽名を付けられましたが、そのブブリコラが、パブリックの語源であること等を知りました。

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        2021/12/09 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      ローマは一日にして成らず

      塩野七生

      4.2
      いいね!
      • 塩野七生の「ローマ人の物語2 ローマは一日にして成らず[下]」を読了。

        この2巻目では、ギリシアから視察団が戻ります。
        ローマはしかしながら、秩序重視型のスパルタの政体も自由重視型のアテネの政体も取り入れることはなく、独自のシステムを模索していきます。

        結果として正解だったのではないでしょうか、ギリシアは結局、都市国家以上の発展はできず、ペルシア戦争には結束して勝利しますが、その後は再び、アテナイとスパルタとかの有力都市同士の激突となり、深刻な内乱状態に陥りました。

        プライドが高くて自国(都市国家)ファースト過ぎました。
        結局、ギリシアの辺境のマケドニアのフィリッポス2世によって統合されてしまいました。

        そのフィリッポス2世の息子のアレクサンドロスが、マケドニア王になったBC336年にはマケドニアとギリシア軍がオリエントに遠征し、ペルシア帝国を滅亡させます。

        ただアレクサンドロスは、BC323年に33歳の若さでバビロニアで病死してしまいます。

        彼の死後、帝国はプトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリア、アンティゴノス朝マケドニアの3大国とその他の小国に分離・分割され、ギリシャ本土は、小ポリス国家が、再度分立する状態になってしまいました。

        これらの国々は、BC2世紀からBC1世紀までの間に、全てローマに滅ぼされ、征服されてしまうという結果になったのですから、結果論ですが、当時は新興国であったローマは、先進国として絶頂期にあったアテネやスパルタの政体を取り入れなくてよかったのです。

        著者の塩野七生が、ローマの優れていた点をいくつかとりあげていました。

        ①その一つにローマは、敗北から学ぶということがありました。
        エピソードとして面白かったのは、BC390年にケルト人にによって、7カ月ローマを占領されたエピソードです。

        ケルトは、ギリシア式の呼称です。ローマ人はガリア人と呼びました。
        今日ではケルト人は、アイルランドに押し込まれた感がありますが、古代では、ヨーロッパの最も広い地帯に住み着いていた民族でした。

        紀元前6世紀頃から移動を始め、一部のケルト人がアルプスを越え、今日のミラノからポー川流域に住み着きました。
        ローマと彼らの間にはアペニン山脈が横たわっていたうえに、エルトリア人の勢力圏もありました。

        ところが、ローマがエルトリア系の王を廃して、共和制に移行したことから、ローマはエルトリアを敵に回し、ケルト民族の防波堤となっていた、エルトリアを撃破してしまったのです。

        やがて、エルトリア領内に侵入してきた、勇猛なケルト人は、ローマに狙いを定めます。
        タイミングの悪いことに、ローマはエルトリア撃破に活躍した武将でもあった、カミルス独裁官を貴族と平民の対立に巻き込み、挙句の果てに、平民派によってローマから追放されていました。

        結果として、ケルト人のローマ占領を許してしまいました。
        ケルト人は、さんざんローマでの強奪・破壊を徹底した後、居心地が悪くなり、ローマから賠償金を払うから、ローマから出て行ってくれというオファーをのみました。

        ローマは、カミルスを呼び戻し以降20年かけて、
        1)防衛を重視しながら破壊されたローマの再建、
        2)離反した旧同盟諸部族との戦闘と国家安全の確保、
        3)貴族対平民の抗争の解消を行ったのです。

        敗北から学んだローマは、再建のために必要な政治改革を結果的に実行することになりました。

        呼び戻されたカミルスは、戦闘のためにローマ人が圧倒されたケルト人の戦法を模倣しました。
        そして、武器や武装も改良したそうです。
        このことでカミルスは、ロムルスに次ぐローマ第二の建国者と呼ばれるに至りました。

        カミルスに、武田信玄の戦法や赤備えの甲冑などをそっくり模倣した、徳川家康の印象が重なりました。

        何事であれ改革は、効果が見えてくるまでに、長い期間を要するものですが、ケルトショックの屈辱が、カミルスの政治・軍備改革を推し進める原動力になりました。

        ②フランチャイズ方式 ローマ連合共同経営
        著者は、ローマ人の美点を寛容と開放性であると指摘していました。
        ローマ人は、敵を打ち破っても、敵に市民権を与えるなどして同化して勢力圏を拡大していきました。

        著者は、古代ローマ人が後世の人々に遺した真の遺産は、広大な帝国でも、2000年経ってもまだ残っている遺跡でもなく、宗教の違いや人種の肌の違いも超えて同化を進めた、彼らの開放性だと言っています。

        「われわれ現代人は、あれから2000年経っていながら、宗教的には非寛容であり、統治能力より統治理念に拘泥し、他民族や多人種を排斥しつづけている」との嘆きも付け加えていました。

        ローマは同化制度で成長を続け、ハンニバルに完膚なきまでの敗北を喫した時も、同化先の新しい血を新陳代謝のように取り入れることで立ち直りも容易にできたのです。

        ③高速道路のアッピア街道
        ローマだけが都市国家として生まれながら、都市国家を超えていった原動力となったのが、このインフラ整備でした。
        他国にはこうした発想がありませんでした。

        道路が国土の「動脈」であることは、今日ならば誰でも知っていることですが、2300年もの昔、それをわかっていたのは、ローマ人だけでした。

        ローマ人は、政治・軍事・行政上の必要からアッピア街道だけではなく、次々にローマに通じる幹線道路を敷設していきました。
        そして、この高速道路網こそが、「ローマ連合」を有機的に機能させる上での重要極まりない動脈になったのです。

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        2021/12/25 by dreamer

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      危機と克服

      塩野七生

      3.5
      いいね!
      • ヴェスパシアヌスの息子・ティトゥスの治世はわずか二年でした。この善意あふれる皇帝の治世は、たび重なる大災害が続きます。
        有名なのはヴェスヴィオ火山の噴火ですね。ポンペイは火砕岩や火山灰の堆積で四メートルもの深さにまで埋没し、その直後降った雨によって固まってしまいました。
        ヴェスパシアヌスの時代に始まったコロッセウムの建設も、ティトゥスの代で完成します。
        災難続きで心身ともに疲労が重なったのか、治世二年三カ月で死を迎えました。

        国民のため、公僕に徹しようと自らの恋まで諦めた皇帝でしたが、あまりにも短い治世でしたね。たしかに短期政権で不満も出なかったのかもしれませんが、これだけの災害が続く中、大きな混乱とならなかったのは良き政治の在り方だったのではないかと思います。大きな災害が起こったのが、ティトゥスの代であったことが救いだと思います。しかしこんなにも短命だと、ユダヤの姫との恋を叶えてあげたかったですね。

        皇位を継いだのは、弟のドミティアヌス。彼の治世は十五年に及びますが、元老院を完全にコントロール下に置く意思を明らかにし、非難が高まります。最終的には暗殺、記録抹殺刑となりました。ライン河とドナウ河の両防衛線の機能性向上に功を奏した実績もありましたが、フラヴィウス朝は二十七年で崩壊。記録抹殺刑になるほど悪い治世ではなかったと思いますが…

        しかし、この後はネルヴァから始まりマルクス・アウレリウス帝が死ぬまでの五賢帝時代が始まります。
        この巻はショートリリーフ・ネルヴァが死去し、トライアヌスに託されるところまでが描かれています。
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        2021/08/03 by あすか

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ハンニバル戦記

      塩野七生

      4.4
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      • ローマは建国以来初めての海戦。
        大国カルタゴと新興国ローマが対決した、第一次ポエニ戦役が描かれています。

        ますますおもしろくなってきました。
        ハンニバル戦記<上>、ローマ人シリーズ3巻目にあたります。

        タイトル通りハンニバルが出てきて・・・・・
        ということにはなりませんでした。
        ここで登場したのはハンニバルの父親、ハミルカル。
        スキピオの祖父にあたるグネウス・コルネリウス・スキピオ。

        海上都市の攻め方に未熟なローマ艦隊が勝利を重ねたり、大敗から教訓を得たり。
        熱い攻防戦でした。

        しかしスキピオVSハンニバルが見たくて、はやる気持ちを抑えられません。
        すぐに中巻を読もうと思います。
        >> 続きを読む

        2018/03/21 by あすか

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ハンニバル戦記

      塩野七生

      4.7
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      • ハンニバルのサグント攻撃を機に、第二次ポエニ戦役が幕を開ける。
        二十九歳のハンニバルは、ローヌ川を渡りフランスを横断。
        アルプスを越えてイタリアに進攻した。


        ついに、象とともにハンニバルがやってきました!
        心理戦、気象情報など様々な情報収集により、ローマ軍を追い込んでいきます。
        今までローマ目線で時代を追っていましたが、ハンニバルが登場してからはカルタゴ寄りの見方になりました。
        あまりにも強すぎて。
        ローマとの闘い、ティチアーノ第一回戦で執政官を救い出した若い騎士・スキピオ。
        彼が後半、表舞台に出てきてからはますますおもしろくなりました。
        ハンニバル側は才ある将が他におらず、後半は戦況が苦しくなってきます。
        苦労して連れてきた象が、あまり役に立たなかったのが少し残念でした。

        最初から最後まで、内容の濃い、充実した一冊となっています。
        >> 続きを読む

        2018/03/31 by あすか

      • コメント 6件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ハンニバル戦記

      塩野七生

      4.8
      いいね!
      • ハンニバルがイタリアでやったことと同じことを自分はアフリカでやる、と公言して乗り込んだスキピオ。
        フェア・プレイによって勝つことがローマ人の誇りでもあったが、ハンニバルは策略によって勝つのも勝利であることを教える。
        そして、それを最も率直に吸収したのは、スキピオ世代のローマ人だった。

        ハンニバルとスキピオ。
        二人の天才が、ついに会戦で激突します。
        同じ才能をもつ者同士が対決するのは、歴史上でも稀なことらしい。
        ということは、もしかしてローマ人シリーズのピークもこの巻なのでは・・・なんて浅はかなことを考えてしまいました。

        二回目の対決は実現しそうでせず、少しずつ次の時代へと移っていこうとしていました。
        この二人の晩年は英雄にしてはあまりにも不遇で切なくなってきます。
        現実は容赦ない。

        後半はマケドニア、カルタゴが滅亡します。

        このハンニバル戦記、本当におもしろくて夢中になって読みました。
        次のタイトルが「勝者の混迷」とのことで、平和の継続ではなく暗い時代がやってくるのかと思うと少し憂鬱です。
        >> 続きを読む

        2018/04/05 by あすか

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      勝者の混迷

      塩野七生

      4.3
      いいね!
      • 強大国カルタゴを滅亡させ、地中海世界の覇者と呼ばれるようになったローマ。
        『いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。
         国外には敵をもたなくなっても、国内に敵をもつようになる。』
        名将ハンニバルの予言にも似た言葉が、悪いことが起こる前兆のようで。
        この巻は、少し嫌な予感からのスタートでした。

        読み進めるにつれて、ティベリウスとガイウスのグラッススの兄弟の末路があまりにも悲惨で、ハンニバルの言葉を思い出すには十分でした。
        この兄弟、兄は七ヶ月、弟は二年の実働期間しかなかったのが惜しいほど、才能に恵まれていました。
        しかし、元老院がハンニバルに勝った百年前と同じことしか考えていませんでした。
        まさに、国内の敵。兄弟も性急ではありましたが。
        「『混迷』とは、敵は外にはなく、自らの内にあることなのであった」の一文が突き刺さります。

        しかしその後もローマは、軍事上の才能に長けたガイウス・マリウスや、会計検査官ルキウス・コルネリウス・スッラ等の人材に恵まれます。
        近い将来、ユリウス・カエサルという偉大なる指導者が控えているのはわかっていますが、まだまだたくさんの人物がいる面白さを堪能していきたいと思います。
        >> 続きを読む

        2018/05/10 by あすか

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      勝者の混迷 勝者の混迷(下) (新潮文庫)

      塩野七生

      4.3
      いいね!
      • 護民官スルピチウスとマリウス、スッラの間で内乱が勃発。スッラが武力でローマを制圧した。
        しかしその後、執政官キンナが反旗。スッラがギリシア遠征に向かった途端、マリウスとその一派の名誉回復を決めた法案を成立させた。今度は武力によってマリウスとキンナがローマを手中に収める。
        マリウスが早々に亡くなると、キンナは独裁政治を始める。

        次から次へと権力闘争が繰り広げられます。内乱だけでなく、ローマが混迷期に入ったのを見て、外からもポントスの王ミトリダテスが仕掛けてきます。混迷も混迷、ドロドロ状態です。英雄が登場する前は、このようなものなのでしょうか。
        内乱というと、外敵を制圧する華々しさに比べ暗いイメージを抱いてしまいますが、
        名将スッラvs執政官キンナ
        キンナ亡き後のローマ正規軍とスッラのたたかい
        スッラによる国政改革
        第一次~第三次ミトリダテス戦役…
        手に汗握る激戦の数々!英明ミトリダテス王を迎え撃つのは、スッラ、常勝将軍ルクルス、若くして成功し、失敗も挫折も知らない天才ポンペイウス。本当に人材が豊富です。彼らの活躍に夢中になり、2020年→2021年を迎えました…。と、止まらない。
        上巻読了からから2年半以上、放っておいたとは思えないほどハマっています。
        >> 続きを読む

        2021/01/05 by あすか

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      ユリウス・カエサル

      塩野七生

      4.0
      いいね!
      • スッラの行った「民衆派」一掃作戦の「処罰者名簿」に名を連ねていたカエサル。周りの助命嘆願により、スッラはカエサルに妻との離婚を要求するが、彼はこの回答として「否」をつきつける。そのため小アジア西岸へ潜伏する。逃避行中のカエサルは軍に志願。後に弁護士開業、ほとぼりが冷めるまでロードス島へ留学するも、乗っていた船が海賊船に襲われ、捕虜にされてしまう。
        その頃わずか六歳しか離れていないポンペイウスは、ローマ正規軍四万を率いる総司令官に任命され、スペインに出陣を果たす。

        「ユリウス・カエサル ルビコン以前」とタイトルは変わりましたが、本書の内容2/3は、前巻「勝者の混迷」をカエサル視点で描いたものとなってます。社会不安となった「カティリーナの陰謀」でカエサルの名も起ち、彼を中心にローマ世界はまわり始めます。このとき三十七歳。彼の偉業を思えば、やっとスタートラインに立ったというところでしょうか。

        カエサルの器量が徐々にあらわれていく中、金や女といったスキャンダルが多いのも目立ちます。
        「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかった」考察が妙におもしろかったです。様々な追及をかわす処世術に長けていたのですね。
        >> 続きを読む

        2021/01/10 by あすか

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      ユリウス・カエサル

      塩野七生

      4.3
      いいね!
      • ポンペイウス、クラッスス、カエサルの「三頭政治」が成立。
        四十歳を迎えたばかりのカエサルは、圧倒的多数の票を得て執政官に当選します。
        次なる野望はライン河を境としたガリア戦役。紀元前58年~51年、物語の舞台はガリアへと移ります。八年間でのガリア戦役四年目ではさらに踏み込んだことをしており、橋をかけてローマ軍初のゲルマンの地への侵攻(デモンストレーション)、さらにローマ人初のドーヴァー海峡を越えてのブリタニア進攻など次々と手をうってきます。本書ではガリア戦役五年目までが描かれています。

        想定外のことが起こっても、冷静に臨機応変な対応をしているのが素晴らしい。私なら不安で何も考えられなくなりそうなことも、さらりとこなしていました。数だけみれば劣勢でも戦の勝ち方を知っていて、結果を出しているので、部下や市民からは支持を集めますよね。それから、「農地法」成立までの演説がとてもおもしろかったです。弁舌に優れた人の話しぶりは、聴衆も読者も魅了させてくれますね。

        しかし、行き過ぎる行動は元老院にとって我慢のできない存在となり、元老院派による反撃で、ポンペイウスとカエサルの間が揺らぎだします。利害関係が一致しているときには有効な手段ですが、そうでなくなった時に彼らはどのような行動に出るのか。先が気になり、このシリーズばかり手に取ってしまいます。
        >> 続きを読む

        2021/01/13 by あすか

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      ユリウス・カエサル

      塩野七生

      4.7
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      • ガリア戦役六年目の年。
        クラッススは本格的なパルティア遠征に乗り出します。軍勢の訓練が十分ではない戦力で挑んだ闘いは、パルティアの貴公子スレナスの、らくだと軽騎兵を組み合わせた戦術の前に大敗。七個軍団もの兵士を失います。

        不穏な動きのあった「三頭政治」の一角は、ポンペイウスではなくクラッススの死で崩れました。
        私個人の思い入れとしては、カエサルの元で才を発揮していた青年クラッススの死が悲しい。勝利者のスレナスも、名声が高まることに不安を覚えた王に殺されたというのも、戦争の厳しさを感じます。

        ガリア戦役七年目では、オーヴェルニュの才ある若者ヴェルチンジェトリックスが阻みます。ガリア民族には稀な、強力な指導力を発揮し、カエサルを悩ませます。その強い抵抗に苦しみながらも、カエサルは悲願のガリア征服を成し遂げます。
        ガリア戦役は終えたものの、息つく間もなく次の闘いが幕を開けます。それは法律と言論を武器にしての闘いでした。

        次から次へと!このスピード感と共に、睡眠を削りながら多くの読者が夢中になったことでしょう。そして締めくくりに興奮したのではないでしょうか。ルビコン川を渡ることになった経緯、しばらく無言で川岸に立ち尽くしている光景。ルビコンを渡るという、後に引き返すことなどできない決意。「賽は、投げられた」有名な言葉と共に迎えたラストに、武者震いする思いです。
        >> 続きを読む

        2021/01/19 by あすか

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      ユリウス・カエサル ルビコン以後(上) (新潮文庫)

      塩野七生

      4.5
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      • 軍の即時解散と帰国を命ずる「元老院最終勧告」に従わず、国賊と呼ばれるのを覚悟でルビコン川を越えたのが前の巻のラスト。カエサルが目指したのは国家ローマの将来の指針ともなるべき、新秩序の樹立。さらに同胞の血を可能なかぎり流さないで成し遂げるという、困難な道を選びます。
        ローマを発って軍を率いギリシアに上陸、ポンペイウスとの直接対決が描かれていました。
        ドゥラキウムの攻防戦では、ポンペイウスが勝利をおさめます。ポンペイウス側についた元老議員の多くは、もはや勝ったも同然、首都に凱旋したと同様の気分になっていました。ファルサルスの会戦を前に、勝利後の報酬について議論が集中します。カエサル側についた元老議員たちの資産没収、カエサルが就いている最高神祇官の後任選び等。

        元老議員の浮かれっぷりを見ていると情けなくなるのですが、メインは歴史的なポンペイウスとカエサルの決戦です。とにかく熱いです(…私が)。今までスキピオとハンニバルの対決が一番と思っていましたが、それを軽々と越えてくれました。カエサルの起死回生の戦術が、全てをひっくり返しました。その後のポンペイウスの辿った死までの道のりが悲しい。
        その後エジプトでの内乱で足止めされていたカエサルでしたが、クレオパトラを愛人として休暇を楽しんでいたのが、彼らしくて笑いがでました。
        この辺りは世界史で習った記憶も残っていて、後の展開が想像しやすいです。
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        2021/01/30 by あすか

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      ユリウス・カエサル

      塩野七生

      4.0
      いいね!
      • かの有名な戦果の報告、「来た、見た、勝った」。
        ポントス・ミトリダテスの息子、ファルケナス王へのあざやかな勝利、ポンペイウスのクリエンテスであった東地中海地方を自分の地盤にするため、それぞれの問題解決にあたります。
        ポンペイウス派であった人々も、元老院主導の共和制主義者もすべて許し、帰国を認め、本国で元通りの生活を与えます。

        ポンペイウスのいない戦、この後もアフリカとスペイン南部の蜂起に向かいますが、安心感がありますね。絶対勝ってくれるだろうと。小カトーやラビエヌスら敵対していた人々が、一人、また一人と亡くなります。これだけ政治も戦も才能を発揮してしまうカエサルが死ぬとしたら、天寿を全うする以外では暗殺しかないのでしょうね。

        後半は、王位を狙っているという風聞に終止符を打つため、アントニウスが捧げる冠を退けるシーンが描かれます。
        それから一ヶ月も過ぎない三月十五日、元老院の議場でカエサルは殺されます。
        死が、目前まで迫っているところで十二巻は終わり。
        ついにこの時がきてしまった、というかんじです。
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        2021/02/03 by あすか

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      ユリウス・カエサル

      塩野七生

      4.0
      いいね!
      • カエサル暗殺には、「カエサルに許された旧ポンペイウス派」だけでなく、カエサル派の人々も加わっていました。
        しかし、まさかデキムス・ブルータスが加担していたとは。ガリア戦役から才能を認められていた人物だったので、読んでいるこちらが「お前もか」と言ってしまうほど衝撃でした。
        しかしブルータスというと主犯のマルクス・ブルータスが浮かぶので紛らわしいですね。
        「ブルータス、お前もか」はデキムスであるとする研究者も少なくないようです。塩野さんもこちらの説に同調すると書かれていました。

        カエサルの暗殺者たちは、その後の消極的行動のせいで絶望的な状況へと陥ります。
        キケロが奔走し、両執政官、オクタヴィアヌスと共に、カエサルの死後自らの立場を強化していったアントニウスを攻撃します。
        カエサルにとって代わるには、誰もが役不足のように思えました。
        後継者として指名された時、オクタヴィアヌスはまだ十八。これから経験を積み、実力をつけていく年齢です。これまでカエサルの成し遂げた出来事に胸を躍らせてきましたが、彼の功績の偉大さに、改めてはっと目の覚める思いをしました。

        本作は、次から次と内戦が続き、戦の度に登場してきた人物が一人、また一人と散っていきます。
        アントニウスとクレオパトラのロマンスも読みごたえあり、一気に読了となりました。

        アントニウスを破ったオクタヴィアヌスは以後の施政の基本方針に、「パクス(平和)」をかかげます。ローマによる平和、即ち「パクス・ロマーナ」の始まりでした。
        >> 続きを読む

        2021/02/06 by あすか

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      パクス・ロマーナ

      塩野七生

      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 「天才の後を継いだ天才でない人物が、どうやって、天才が到達できなかった目標に達せたのか。それを、これから物語ってみたい」
        塩野さんの序章の言葉に、オクタヴィアヌス(アウグストゥス)に興味を持たずにはいられませんでした。
        戦闘に才がないことは「ユリウス・カエサル」でも書かれていたので政治中心となるのは覚悟していましたが、意外と構える必要はないのかもしれないと思わせてくれました。

        紀元前二七年、オクタヴィアヌスによる共和制復帰宣言の後、元老議員たちはアウグストゥスという尊称を贈り、平和が確立するまでは属州の軍事も担当して欲しいと依頼します。
        以後、本書においても「アウグストゥス」表記となります。

        アウグストゥスは、歴史家タキトゥスが評するように、
        「気が付かれないように、一つずつ、長い時間をかけてすべての権力を手中にしていった」
        カエサルが考え、アウグストゥスが実現しつつあった国家ローマの安定成長路線が、世論の支持まで受け始めていました。
        スマートに、着々と帝政統治への道を突き進んでいる印象を受けます。
        政治家として戦い続ける彼の姿を続けて読んでいきたいと思いました。
        >> 続きを読む

        2021/02/21 by あすか

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      パクス・ロマーナ

      塩野七生

      4.0
      いいね!
      • 紀元前一世紀末のローマでは、少子化傾向が顕著になっていました。
        前二世紀までは十人の子を産み育てるのは珍しくなかったのに、カエサルの時代には二、三人が普通になり、オクタヴィアヌスの時代となると、結婚さえしない人々が増えました。子を産み育てることの他に、快適な人生の過ごし方が増えたという背景は、紀元前のこととは思えない程身近に感じます。
        まさかアウグストゥスも少子化問題に直面していたなんて。その解決策として出された法案「ユリウス式婚姻法」は、今の感覚では差別を感じるものでしたが、子を多く持つ父親、子を多く産み育てた母親への特典が大きいのも特徴です。差別的で現代に適用できるものではありませんが、ばら撒きではなく、結婚することがプラスと思えるような施策がもっとあってもいいんじゃない?とは思います。

        物語後半では、信頼する人たちが立て続けに亡くなります。
        アウグストゥスが苦手とする面の補佐として、戦場のことはアグリッパが担い、外交交渉はマエケナスが担っていましたが、彼らが続けて亡くなり、大きな衝撃を受けます。そして血縁を重視しすぎて、血のつながりのない妻リヴィアの息子・ティベリウスとの関係がぎくしゃくします。ティベリウスは引退を決意し、ロードス島へ学問三昧で引きこもり生活へ。ティベリウスは二代皇帝になるのですが、そこに至るまでに多くの問題がありそうです。この親子関係の行方やいかに。
        >> 続きを読む

        2021/02/25 by あすか

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      パクス・ロマーナ

      塩野七生

      4.3
      いいね!
      • 生涯を血縁の後継者確保に執着したアウグストゥスでしたが、最後には自分とは血のつながりのないティベリウスを後継者とします。若くして亡くなったり、法に触れたため裁いたり、皮肉にも家族の不祥事が多く出たことも心労重なったのでしょう。しかし妻の連れ子は、平凡だった後継者候補の孫二人より遥かに優秀でした。ティベリウスの弟ドゥルーススも早くに亡くなりましたが、彼の華々しい戦場での活躍をもっと見たかったと思うほどでした。固執していた血の継承は先に延ばされましたが、たまたま愛した人の子どもに才があったのは、ローマにとってもアウグストゥスにとっても幸運だったと思わずにはいられません。

        ローマ人の心胆を寒からしめた、パンノニアとダルマティアの反乱が起こります。
        この反乱が三年ぶりに落着したかと思うと、すぐにゲルマニアの地から惨事の知らせがもたらされます。
        総勢三万五千にもなるローマ軍が、ゲルマニア中部の森で全滅したのでした。
        この時、七十四歳のアウグストゥスと五十三歳のティベリウス。
        老齢になってはじめて心を開き、ティベリウスの苦労に感謝を示し愛するまでに至る変化が読み取れます。結びつけたのは上に立つ者の責任感だったであろうと。

        あとひと月もすれば七十七歳となったアウグストゥスは、穏やかで静かな死を迎えました。
        二代皇帝・ティベリウスの治世がスタートします。
        >> 続きを読む

        2021/02/27 by あすか

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      悪名高き皇帝たち

      塩野七生

      4.0
      いいね!
      • カエサルが青写真を引きアウグストゥスが構築したローマ帝国は、ティベリウスの統治を経て盤石になっていきます。
        後を継いだティベリウスに課されていたのは、第一に皇帝の地位の確立による帝政の堅固化。第二に国家財政の健全化。第三は北の防衛線をライン河で留めるか、それともエルベ河まで拡張するか戦略上の問題。

        歴史家タキトゥスの評価は厳しいですが、ティベリウスは皇帝として善政を行います。この「悪名高き皇帝たち」に入れるのは少々気の毒な気もします。後にカプリ島に隠遁するし、ローマ市民の受けは悪いのですが…。
        本書読了後の感想としては、ただ、ただティベリウスの孤独が悲しいです。そしてアグリッピーナの出しゃばりにイラつきます。
        ドゥルーススが、ゲルマニクスが生きていたら…とたらればばかり考えてしまいます。彼らの人気により火がつき、別の問題が浮かび上がる懸念もありますが、良き相談相手になってくれたのではないでしょうか。

        本書の中で、アウグストゥスの孫でアントニウスの孫でもあるゲルマニクスが、アントニウスが決戦を前にして宿営していた地を訪れる場面があります。双方の祖父が勝者と敗者に分かれてるんですよね。
        ティベリウスの実父もアウグストゥスに敵対した人でした。
        彼らが何を思って生きていたのか。本を通し、古代に思いを馳せるのも楽しい作業です。
        >> 続きを読む

        2021/03/10 by あすか

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      悪名高き皇帝たち

      塩野七生

      3.7
      いいね!
      • ティベリウスは険悪な雰囲気の家族を捨て、真剣に国事を担当しようとしない元老院も捨て、カプリ島に隠遁します。
        帝国の統治の成果さえ上げられるのなら、どこにいても、どのような方法でやっても、同じことではないと考えたのではないか、と。
        家出してリモートワークに切り替えたということですよね。元老議員は慌てたでしょうが、おもしろいですね。ますますティベリウスという人物に興味がわきます。

        このリモートワーク状態でティベリウスは七十七歳で亡くなり、次代は二十四歳のカリグラに受け渡します。
        神君アウグストゥスの血を引く美しい若者に人々は熱狂し、元老院は象徴的な尊称プラス軍事上の最高指揮権プラス政治上の全権までも与えました。
        それだけ盛大に迎えられたカリグラですが、彼の治世は国家財政の破たんを生んだだけでなく、外政の面でもあちこちでひび割れが始まります。
        そして最期は三年十ヶ月と六日の統治で、近衛軍団の大隊長二人に殺害されました。
        人々が喜ぶインパクトのある施策、派手なイベントの数々にお金がかかり、自業自得ともいえますが、やはり若すぎたのだと思います。カリグラよりも妻と一歳の娘まで殺されたことに胸が痛みます。
        >> 続きを読む

        2021/03/13 by あすか

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      悪名高き皇帝たち

      塩野七生

      3.7
      いいね!
      • ティベリウスの甥であり、ゲルマニクスの弟であり、カリグラの叔父であった四代目皇帝クラウディウス。カリグラが殺害されたことにより、予期せぬ皇位となりました。カリグラが首都の住民の支持を重視しすぎて財政破綻に陥り、自滅したところから帝政が始まったクラウディウスは、まず人々の信頼回復につとめねばなりませんでした。クラウディウスは市民から人気はないものの、歴史研究の知識を最大限に生かし、優れた統治を展開します。
        あれだけ人気取りしてきたカリグラが、クラウディウスの代には誰もが忘れたい名前と思っているのが皮肉だ。

        クラウディウスの政治に問題はありませんでしたが、彼の妻が厄介でした。皇帝の地位がめぐってきて舞い上がった妻メッサリーナは数々の問題を起こし、再婚したアグリッピーナは野心の塊。まさか誠心誠意でその任を果たしてきた皇帝が、妻の野望の犠牲になるなんて。毒キノコ料理って。好きな食べ物によって殺害された皇帝が哀れでなりません。アウグストゥスとティベリウスは天寿を全うしましたが、その後カリグラ、クラウディウスと続けて皇帝が殺害されるとは、この後の皇位継承に不安がよぎります。
        >> 続きを読む

        2021/04/03 by あすか

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