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塩野七生
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紀元前753年のローマ建国からイタリア半島統一の約500年間が上下巻で描かれる。
2017/10/14 by Raven
転職活動が終了し、久々にゆっくり本を読みたくなりました。積読本はたくさんあるので、何にしようかと思いめぐらしていたのですが、選択したのは1年半もほったらかしにしていたローマ人の下巻。ずっと読まなきゃ、とは思っていたのですが・・・心境の変化かもしれませんね。空白期間はありましたが、特に問題ありませんでした。読書ログに記録していたおかげかも。ローマは、王政から共和制国家へ。下巻は百年以上続く貴族対平民の抗争や、ケルト族によるローマ占拠、天才ピュロスとの闘いが書かれています。戦争におけるローマ人の学ぶ姿勢がとても興味深い。彼らは敗北を喫しても、その害を最小限にとどめる才能をもっていました。勝てば勝ったで、その勝利を最大限に活用する術も心得ていました。ローマは新興勢力として拡大していきます。エピロス王ピュロスとの対決は、特に熱かったです。ターラントの要請により、ピュロスとの闘うことになったのですが、自国の防衛を他国人の傭兵にまかせる習慣が不思議でした。次はついに、ハンニバル戦記です・・・!わくわく。 >> 続きを読む
2018/03/06 by あすか
ローマは建国以来初めての海戦。大国カルタゴと新興国ローマが対決した、第一次ポエニ戦役が描かれています。ますますおもしろくなってきました。ハンニバル戦記<上>、ローマ人シリーズ3巻目にあたります。タイトル通りハンニバルが出てきて・・・・・ということにはなりませんでした。ここで登場したのはハンニバルの父親、ハミルカル。スキピオの祖父にあたるグネウス・コルネリウス・スキピオ。海上都市の攻め方に未熟なローマ艦隊が勝利を重ねたり、大敗から教訓を得たり。熱い攻防戦でした。しかしスキピオVSハンニバルが見たくて、はやる気持ちを抑えられません。すぐに中巻を読もうと思います。 >> 続きを読む
2018/03/21 by あすか
ハンニバルのサグント攻撃を機に、第二次ポエニ戦役が幕を開ける。二十九歳のハンニバルは、ローヌ川を渡りフランスを横断。アルプスを越えてイタリアに進攻した。ついに、象とともにハンニバルがやってきました!心理戦、気象情報など様々な情報収集により、ローマ軍を追い込んでいきます。今までローマ目線で時代を追っていましたが、ハンニバルが登場してからはカルタゴ寄りの見方になりました。あまりにも強すぎて。ローマとの闘い、ティチアーノ第一回戦で執政官を救い出した若い騎士・スキピオ。彼が後半、表舞台に出てきてからはますますおもしろくなりました。ハンニバル側は才ある将が他におらず、後半は戦況が苦しくなってきます。苦労して連れてきた象が、あまり役に立たなかったのが少し残念でした。最初から最後まで、内容の濃い、充実した一冊となっています。 >> 続きを読む
2018/03/31 by あすか
ハンニバルがイタリアでやったことと同じことを自分はアフリカでやる、と公言して乗り込んだスキピオ。フェア・プレイによって勝つことがローマ人の誇りでもあったが、ハンニバルは策略によって勝つのも勝利であることを教える。そして、それを最も率直に吸収したのは、スキピオ世代のローマ人だった。ハンニバルとスキピオ。二人の天才が、ついに会戦で激突します。同じ才能をもつ者同士が対決するのは、歴史上でも稀なことらしい。ということは、もしかしてローマ人シリーズのピークもこの巻なのでは・・・なんて浅はかなことを考えてしまいました。二回目の対決は実現しそうでせず、少しずつ次の時代へと移っていこうとしていました。この二人の晩年は英雄にしてはあまりにも不遇で切なくなってきます。現実は容赦ない。後半はマケドニア、カルタゴが滅亡します。このハンニバル戦記、本当におもしろくて夢中になって読みました。次のタイトルが「勝者の混迷」とのことで、平和の継続ではなく暗い時代がやってくるのかと思うと少し憂鬱です。 >> 続きを読む
2018/04/05 by あすか
強大国カルタゴを滅亡させ、地中海世界の覇者と呼ばれるようになったローマ。『いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。 国外には敵をもたなくなっても、国内に敵をもつようになる。』名将ハンニバルの予言にも似た言葉が、悪いことが起こる前兆のようで。この巻は、少し嫌な予感からのスタートでした。読み進めるにつれて、ティベリウスとガイウスのグラッススの兄弟の末路があまりにも悲惨で、ハンニバルの言葉を思い出すには十分でした。この兄弟、兄は七ヶ月、弟は二年の実働期間しかなかったのが惜しいほど、才能に恵まれていました。しかし、元老院がハンニバルに勝った百年前と同じことしか考えていませんでした。まさに、国内の敵。兄弟も性急ではありましたが。「『混迷』とは、敵は外にはなく、自らの内にあることなのであった」の一文が突き刺さります。しかしその後もローマは、軍事上の才能に長けたガイウス・マリウスや、会計検査官ルキウス・コルネリウス・スッラ等の人材に恵まれます。近い将来、ユリウス・カエサルという偉大なる指導者が控えているのはわかっていますが、まだまだたくさんの人物がいる面白さを堪能していきたいと思います。 >> 続きを読む
2018/05/10 by あすか
護民官スルピチウスとマリウス、スッラの間で内乱が勃発。スッラが武力でローマを制圧した。しかしその後、執政官キンナが反旗。スッラがギリシア遠征に向かった途端、マリウスとその一派の名誉回復を決めた法案を成立させた。今度は武力によってマリウスとキンナがローマを手中に収める。マリウスが早々に亡くなると、キンナは独裁政治を始める。次から次へと権力闘争が繰り広げられます。内乱だけでなく、ローマが混迷期に入ったのを見て、外からもポントスの王ミトリダテスが仕掛けてきます。混迷も混迷、ドロドロ状態です。英雄が登場する前は、このようなものなのでしょうか。内乱というと、外敵を制圧する華々しさに比べ暗いイメージを抱いてしまいますが、名将スッラvs執政官キンナキンナ亡き後のローマ正規軍とスッラのたたかいスッラによる国政改革第一次~第三次ミトリダテス戦役…手に汗握る激戦の数々!英明ミトリダテス王を迎え撃つのは、スッラ、常勝将軍ルクルス、若くして成功し、失敗も挫折も知らない天才ポンペイウス。本当に人材が豊富です。彼らの活躍に夢中になり、2020年→2021年を迎えました…。と、止まらない。上巻読了からから2年半以上、放っておいたとは思えないほどハマっています。 >> 続きを読む
2021/01/05 by あすか
スッラの行った「民衆派」一掃作戦の「処罰者名簿」に名を連ねていたカエサル。周りの助命嘆願により、スッラはカエサルに妻との離婚を要求するが、彼はこの回答として「否」をつきつける。そのため小アジア西岸へ潜伏する。逃避行中のカエサルは軍に志願。後に弁護士開業、ほとぼりが冷めるまでロードス島へ留学するも、乗っていた船が海賊船に襲われ、捕虜にされてしまう。その頃わずか六歳しか離れていないポンペイウスは、ローマ正規軍四万を率いる総司令官に任命され、スペインに出陣を果たす。「ユリウス・カエサル ルビコン以前」とタイトルは変わりましたが、本書の内容2/3は、前巻「勝者の混迷」をカエサル視点で描いたものとなってます。社会不安となった「カティリーナの陰謀」でカエサルの名も起ち、彼を中心にローマ世界はまわり始めます。このとき三十七歳。彼の偉業を思えば、やっとスタートラインに立ったというところでしょうか。カエサルの器量が徐々にあらわれていく中、金や女といったスキャンダルが多いのも目立ちます。「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかった」考察が妙におもしろかったです。様々な追及をかわす処世術に長けていたのですね。 >> 続きを読む
2021/01/10 by あすか
ポンペイウス、クラッスス、カエサルの「三頭政治」が成立。四十歳を迎えたばかりのカエサルは、圧倒的多数の票を得て執政官に当選します。次なる野望はライン河を境としたガリア戦役。紀元前58年~51年、物語の舞台はガリアへと移ります。八年間でのガリア戦役四年目ではさらに踏み込んだことをしており、橋をかけてローマ軍初のゲルマンの地への侵攻(デモンストレーション)、さらにローマ人初のドーヴァー海峡を越えてのブリタニア進攻など次々と手をうってきます。本書ではガリア戦役五年目までが描かれています。想定外のことが起こっても、冷静に臨機応変な対応をしているのが素晴らしい。私なら不安で何も考えられなくなりそうなことも、さらりとこなしていました。数だけみれば劣勢でも戦の勝ち方を知っていて、結果を出しているので、部下や市民からは支持を集めますよね。それから、「農地法」成立までの演説がとてもおもしろかったです。弁舌に優れた人の話しぶりは、聴衆も読者も魅了させてくれますね。しかし、行き過ぎる行動は元老院にとって我慢のできない存在となり、元老院派による反撃で、ポンペイウスとカエサルの間が揺らぎだします。利害関係が一致しているときには有効な手段ですが、そうでなくなった時に彼らはどのような行動に出るのか。先が気になり、このシリーズばかり手に取ってしまいます。 >> 続きを読む
2021/01/13 by あすか
ガリア戦役六年目の年。クラッススは本格的なパルティア遠征に乗り出します。軍勢の訓練が十分ではない戦力で挑んだ闘いは、パルティアの貴公子スレナスの、らくだと軽騎兵を組み合わせた戦術の前に大敗。七個軍団もの兵士を失います。不穏な動きのあった「三頭政治」の一角は、ポンペイウスではなくクラッススの死で崩れました。私個人の思い入れとしては、カエサルの元で才を発揮していた青年クラッススの死が悲しい。勝利者のスレナスも、名声が高まることに不安を覚えた王に殺されたというのも、戦争の厳しさを感じます。ガリア戦役七年目では、オーヴェルニュの才ある若者ヴェルチンジェトリックスが阻みます。ガリア民族には稀な、強力な指導力を発揮し、カエサルを悩ませます。その強い抵抗に苦しみながらも、カエサルは悲願のガリア征服を成し遂げます。ガリア戦役は終えたものの、息つく間もなく次の闘いが幕を開けます。それは法律と言論を武器にしての闘いでした。次から次へと!このスピード感と共に、睡眠を削りながら多くの読者が夢中になったことでしょう。そして締めくくりに興奮したのではないでしょうか。ルビコン川を渡ることになった経緯、しばらく無言で川岸に立ち尽くしている光景。ルビコンを渡るという、後に引き返すことなどできない決意。「賽は、投げられた」有名な言葉と共に迎えたラストに、武者震いする思いです。 >> 続きを読む
2021/01/19 by あすか
10代目 ティトゥス在位2年3ヶ月。ヴェスヴィオ火山の噴火によるポンペイ壊滅とローマの火災と疫病への対策に追われる。短い在位期間で病死。11代目 ドミティアヌス「ゲルマニア防壁」を建設。作者は気に入っているが、当時はなぜか、ひどく不人気だった皇帝。浮気が原因で奥さんに暗殺されてしまったらしい(怖)。12代目 ネルヴァドミティアヌス帝が思わぬ死をとげたため、ショートリリーフで登板した人。皇帝就任時は70歳。高齢のため1年半で死亡。あまり年取ってから皇帝になっても、体力はないし、無茶できないので有難味がなかっただろうな。ネロみたいに10代後半でなるのが一番楽しいに違いない。(ただし無茶がすぎると殺される)いよいよ次からが五賢帝の時代だ。 >> 続きを読む
2017/10/22 by Raven
「ローマ人の物語」シリーズは、全15巻からなる単行本が、毎年一冊づつ、2~3冊の文庫に分けて出版されていて、第11巻「終わりの始まり」が文庫化されたのが2007年。文庫版では№29~31となる。2007年に№31まで読んでいて、単行本12巻目「迷走する帝国」が1年後に文庫化されるのを待っているうちに、読むのを忘れていた。久しぶりに再開。(2013年2月)しかし前巻までの登場人物をまったく忘れてしまっている。長編物語を再開するときはいつものことなので、気にせずに読み進める。カラカラ、ヘラガバルスなど、聞き覚えのある皇帝が登場。危機の中で、ローマ帝国が行ったさまざまな制度改編と、それがもたらす社会の変質を描く。 >> 続きを読む
2017/10/26 by Raven
次々に謀殺され、目まぐるしく入れ替わる皇帝。ゲルマン民族の来襲。ササン朝ペルシアの勃興。ローマ皇帝の捕囚。西暦3世紀中盤、ローマ帝国の危機の深刻化を描く。 >> 続きを読む
ゲルマン民族の来襲下、パルミラ王国、ガリア帝国に3分割されるローマ帝国。皇帝アウレリアヌスによる再統合。社会不安とキリスト教の浸透。中東の歴史の中でよく出てきたパルミラ女王ゼノビアがここで登場。しかし、作者は彼女を不誠実なお調子者と見ていたようで、評価は高くない。蛮族の侵入、疫病と戦争、内政不安の中、ローマ帝国は衰退を続ける。 >> 続きを読む
ディオクレティアヌスの時代。東方正帝ディオクレティアヌスを筆頭皇帝として、東方副帝、西方正帝、西方副帝の四皇帝を立てて、帝国の維持を図る。四頭制(テトラルキア)という。この改革は成功し、蛮族の侵入を阻止。ササン朝ペルシアを撃退する。 >> 続きを読む
ディオクレティアヌスの死とともに四頭制は瓦解。六皇帝が乱立するが、勝ち残ったのはコンスタンティヌス。キリスト教が公認される。文化的には劣化が進み、中世的色彩が強くなっていく。本の内容も、だんだん面白味がなくなってきた。 >> 続きを読む
帝国の絶対専制君主となり、キリスト教振興を図るコンスタンティヌス帝の治世を描く。輝かしいローマ文明は、キリスト教と蛮族来襲のために、暗黒の中世に向かって転落していく。作者も熱が入らなかったようで、物語は淡々と進む。それでもなにげなく、「中年の女の恋は、若い女のように夢からではなく、絶望から生まれるものなのである」(p55)こんな渋いことを語るので油断ならない。 >> 続きを読む
ローマ人の物語再開。衰退する一方の話なので、気が重くて、しばらく手に取っていなかったが、ここまで来たら完読しておかなければ。ユリアヌスの副帝時代のガリア戦線での活躍。ひさびさの明るい話題を描いて、著者もなんだか楽しそうだ。 >> 続きを読む
ユリアヌスによるキリスト教会勢力の伸張阻止の試みと、短い生涯の終わり。著者によれば、キリスト教こそがローマの自由闊達な精神を奪い、ヨーロッパを中世の暗黒に突き落とした元凶である。ユリアヌスの死で、ローマ文明の最後の抵抗は終わった。ただ、キリストとキリスト教会は異なるものなので、本書のタイトルは、「キリストの勝利」より、「キリスト教会の勝利」と言った方が適切ではなかろうか。 >> 続きを読む
キリスト教がローマの国教となる。ミラノ司教アンブロウシスが重要な役割を果たすのだが、熱心な宗教家というよりも、有能な実務家であり冷徹な政治家であったようだ。ただ、筆者の関心はこの人物の側にはないので、淡々とキリスト教会の政治・社会的勝利を綴る。 >> 続きを読む
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