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津田大介
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ウェブの持つ力・可能性。媒体はいろいろあるが、共通しているのは、即時性と双方向だと思う。ある意味においては誤魔化しようがないが、それでも100%ではない。その前に、何を伝える伝えないという意志が働いていることだけは、忘れてはいけない。一つのツールであるわけで、どう使うのか、どう捉えるのかが大切になってくる。危険性もある。いわゆる炎上というやつだ。この点を踏まえても、可能性のほうを信じたいと思う。これからは、それぞれの視点がより重要になってくる時代なのだと思う。 >> 続きを読む
2015/03/14 by けんとまん
つつみみか
重い内容なのでなかなか手が伸びず,4ヶ月かかってようやく読み終えました.新自由主義,市場原理主義,グローバリゼーション,GDP信仰,トリクルダウン,TPP,原発推進,アラブの民主化といったことに「疑問」を感じる方は,読んでみることをお薦めします. >> 続きを読む
2016/04/21 by medio
北野幸伯
クレムリン・メソッドと内容がかぶるところがありますがこちらもオススメです。より北野さんの話が理解できると思います。先日、インドへ旅行に行ったのですが、これからはインドが来るな、となんとなくですが、思いました。若い人口が多いんですよ。日本は都心にもかかわらず、お年寄りが多い。こういったこと、テレビじゃ分かりません。 >> 続きを読む
2016/05/28 by madison28
木村明生
ゴルバチョフ時代のソ連から、エリツィン、プーチンのロシア時代の現代ロシアが刻銘にわかる。 >> 続きを読む
2013/05/06 by togusa
平林博
フランスが「文化大国」である理由、また、「ブランディング」に大変興味があるので読んでみた一冊です。確かにフランスの文化政策その他フランスという国の「自分ブランディング」の実践、理念などについてページを割いてはあるのですが、自分としてはいまひとつ、「国家ブランド」(もしくは「ブランド」「フランス」「文化」)について特に参考になったという印象を持てずにいます。それよりは、大使の仕事や当時の政治の実際のエピソードなどが満載だった本、というイメージが残っています。その点では面白い本ではありました。 >> 続きを読む
2016/10/16 by Mel
富坂聡
中国に関する情報が社会にあふれている昨今、多くの日本人が「中国ってこんな国」というイメージを持てほどの存在になっているのは確かです。 とはいえ、立ち止まって中国の基礎問題の一つ一つをしっかり理解できているのか、と問われると、かなり怪しい人も多いのではないでしょうか。「なぜ、中国はああいう国なのか?」。それを理解するためには、その根本の部分を知っておく必要がありますね。 本書は、日本人の多くが漠然と感じている、中国に関する様々な疑問をQ&A形式にして、それぞれに対して著者がわかりやすく解説した一冊です。 詳細なレビューはこちらです↓http://maemuki-blog.com/shohyou/yononaka/tomisaka-china-ronten/ >> 続きを読む
2014/03/16 by ヨッシィー
田中良紹
TBS報道でドキュメンタリー、社会部、三十八歳の時に政治記者へ政治記者になる前に社会部でロッキード事件を担当児玉誉士夫の過去を追って、取材先で「命がなくなるよ」と言われ続けるそのあと、検察担当し、政治部記者へこの本では野党とは何か何故、自民党が長期政権か、派閥があるのかが分かります国民に説明するのは難しいと書いています政治記者歴が短いので国民目線で色々疑問を持って書いています新聞、テレビ何かで法案のことが載るとそれに各記者、メディアの思想がおまけで、いや、メインで書かれますがこの方の本だと何故それが必要なのか政治家が語っているのが載っていますその法案への思いも他の政治家もいや、一部の政治家かもしれませんが各々、国益を考え先行投資のことや国家の理想なんかを語ったことがかかれています他の政治家のことも知りたくなりました総裁選のこと、政局、政争がありのままを書いているので、腹黒そうな動きをしている人は個人的に私の目にとまりました中曽根さんです中曽根さんの秘書が語っています(だいたいこんな感じ)「三十年以上秘書をやってるが一度も好きになったことがない。政治家としては凄い。あれは、脛に傷を持つ奴が大好きで中曽根はその傷に塩を塗り込むことができる男だ。傷持ちは裏切れない。金丸さんは善人だ。俺は好きだよ。だが、俺は中曽根の秘書だ。中曽根は叩けばホコリが出るやつを周りに集める。言うことを聞かせることが出来るからだ」著者は報道の在り方にも疑問を持っています結果、CSに「国会TV」を作りますロッキード事件が児玉誉士夫のルート消失、政治家の事件になってしまったことに違和感を持っています個人的メモ中曽根さんの元書生が児玉誉士夫の秘書あれ、繋がってるじゃないですか >> 続きを読む
2016/07/17 by ゆのき
宮田律
歴史、各国でのイスラムの状況などがポイントを押さえている。
2013/04/08 by togusa
落合 信彦
JFK暗殺の裏に渦巻く闇に鋭く迫る。日本人とは思えないパワフルな取材力でターゲットに迫る著者の気迫に脱帽。大学時代にプライベートでジョンフィッツジェラルドケネディ大統領について調査したことが有る。彼の人生は残念ながら暗殺を除いては語れないが、そこに焦点を当てるよりも、彼がやって来たこと。そして彼がやろうとしていたことが対象だった。既得権益を守ろうとする勢力に闘いを挑むニューリーダー。日本にも郵政民営化を成し遂げた絶大な人気を誇る首相がいたが、ケネディの場合、マフィアや軍産複合体という余りにも危険かつ強大な組織を対象とし、相手が悪かったと言わざるを得ない面が大きい。そもそも直接選挙の大統領制で有るアメリカでは、国民の総意を得ているという自信を持ちながら政策を実行できるという点で、大統領は自信を持った状態で居やすい上に、金銭的にも不安の無かったケネディは、誰にも弱みを見せなくて済むために、きっと妥協点を探す労力を惜しんだのだと思う。反社会的勢力で有ろうと、窮鼠猫を噛むという状態まで追い込んでは、自分の身が危うくなる。不退転の決意を持つのは大事だが、死んでしなっては負けで有り、ここのサジ加減が彼の人生の肝だったのだろう。世界のリーダーとしては圧倒的に若く、またそのファッションや女優との浮き名など、あまりにも、その他の大統領と違っていた彼は、若くしてこの世を去ったという点において、人々の記憶にいつまでも美化された状態のまま残ることになった。この点ではジェームスディーンやマリリンモンロー。日本で言えば夏目雅子や尾崎豊などと、ある意味では共通の存在になったと言える。今更真犯人が見つかっても仕方が無い。歴史から学び未来に生かすべきだろう。 >> 続きを読む
2011/11/21 by ice
早坂茂三
心を開いていたであろう、東京タイムスで自分のスクープをしたことがある記者、距離が縮まり、おやじさんの秘書になる寒村豪雪地帯出身の田中角栄という一人の人のなりがわかる本概要本とはならないが、そんな本は沢山出ている身近で苦楽を共にしたものだけに見せる素の頑張り屋、勉強熱心の田中角栄が見れる現在は田中角栄 頂点をきわめた男の物語 (PHP文庫)と改題して売っているようだ是非、手元に置いておきたい >> 続きを読む
2016/07/12 by ゆのき
落合信彦
金日成から金正日への体制の継承と北朝鮮問題の本当の問題点。隣国の体制批判だけに留まらない分析が秀逸。もはや完全に悪者イメージが定着している金正日体制の北朝鮮。関連するほとんどの書籍では北の庶民の窮状と金正日体制の犯して来た犯罪についての言及ばかりだったが、本書では、韓国、中国、アメリカ、そして日本の立場から分析されており、さすがは落合氏作品と言える。中でも我が国日本。何故、朝鮮総連による帰国事業が行われた際、北に向かった人々が、何十万人もの数に上ったかというところにフォーカスし、当時の日本国内での在日朝鮮人への言われなき差別の存在と、生活保障負担の問題などまるでやっかい払いするかのように帰国を支援したという政府の姿勢に深く恥じ入らされた。対岸の火事のように、金正日批判を行うだけでなく、当事者意識を持って、人権を蹂躙され困窮し続ける北の庶民達の救済に興味を持つべきだと感じた。どの書籍を読んでも恐ろしい国家と、その支配者であることを再認識させられる。 >> 続きを読む
2012/09/04 by ice
清水真人
この本には、小泉政権から野田政権までの十年間の、税制および社会保障制度の改革への動きと、野田政権での税と社会保障の一体改革の法案成立までを、緻密な取材によって描いてある。新聞やテレビを見るだけでは到底わからない、あの時はこういうことだったのか、とはじめてわかるような、深いところからの政治の流れが、消費税と社会保障という政策の一本の軸のもとに、わかりやすく描かれていた。読んでいて印象的だったことは、主に三つのことである。一、政治家とは、こんなにも大変な仕事かということ。二、与謝野さんを中心とした税・社会保障の一貫した政策の軸が政権交代を挟んで連続していたこと。三、政治家には二種類がいること。つまり、本当に財政や政策に責任を持って真摯に努力する政治家と、先のことに無関心で政局だけで動き大衆に媚びる政治家の、二種類がいるということである。この本を読んで、あらためて、少なくとも一部の政治家の仕事熱心さやその仕事の困難さには、本当に脱帽した。特に、小泉・安倍・福田・麻生政権、さらには政権交代を挟んで菅政権を通じて、与謝野馨さんが一貫して八面六臂の活躍をし、その信念と働きが壮絶なのは、この本を読んでいてあらためてとても印象的だった。与謝野さんが癌で具合が悪かったというのが信じられない働きぶりで、ほとんど命がけというか、超人的だと思う。また、小泉政権時代に、与謝野さんとともに税や社会保障の改革に取り組んでいた谷垣さんや柳沢伯夫さん、園田博之さんらは、その後もずっとなんらかの形でこの政策に関わっていたことも印象的だった。与謝野さんが有識者ブレーンとして自民党政権時代からその見識を活用してきた吉川洋・宮本太郎氏らは、菅政権でも与謝野さんの社会保障改革のブレーンだったことも興味深い。つまり、一般国民にはわかりづらいことだが、こういうことである。小泉政権時代に、小泉さんが消費税増税をしないと明言し、ひたすら歳出を削減して財政再建を目指そうとした。その理論的な支柱が竹中平蔵さんだった。しかし、経済財政諮問会議において、与謝野さんや吉川さんらは竹中さんとしばしば激論を繰り返しながら、単なる歳出削減ではセーフティネットがボロボロになるだけだし、持続可能な財政再建もできないと主張し、消費税増税と社会保障の強化が必要だという主張を強めていく。やがて、小泉政権が退陣し、安倍・福田・麻生という三つの政権において、一貫して与謝野さんが采配を振るい、小泉・竹中路線からの静かな革命ともいうべき路線転換を図り、社会保障の維持・強化と消費税増税を柱とする「安心社会」構想を練っていく。その理論的支柱が、吉川洋さんや宮本太郎さんだった。しかし、自民党が選挙に大敗し、民主党政権が誕生したことで、一度この構想は頓挫したかに見えた。だが、実際は民主党は、自民党の政策的な蓄積に比べてあまりにも杜撰で、非現実的で、財源や具体的な政策のノウハウに乏しく、鳩山政権は早くも行き詰った。そこで、なんと菅さんが首相になるや、与謝野さんを三顧の礼で迎えて、経済財政担当大臣に任命し、社会保障改革の采配を委ね、与謝野さんは再び宮本さんらをブレーンとし、税と社会保障の一体改革の成案をまとめあげた。という、与謝野さんを軸にした、政権交代を挟んでの政策の一貫性と、脱小泉・竹中路線の物語がこの十年の間にあった、ということである。しかし、これにはいくつもの困難や難関が何度も訪れ、最初は自民党内部の竹中平蔵さんや上げ潮派の人々との熾烈な闘いがあり、その後は鳩山政権の無能で杜撰な迷走があり、菅政権になると、今度は野党である自民党からの突き上げと、民主党内部の小沢派の反対に苦しめられた。そして、ついに菅さんも与謝野さんも志半ばで退陣させられる。しかし、その後は、野田さんが首相になり、菅さんや与謝野さんの仕事を引き継いで、自民党の谷垣さんとぶつかりながら、なんとか税と社会保障改革を立法するところまで行く。野田政権の苦労も読んでいて非常に印象的で、野田さんも谷垣さんも、内部からの突き上げに苦しみながら、お互いに死力の限りを尽くして戦い、しかし、ぎりぎりのところで互いを認め、信頼するところもあり、輿石さんや伊吹さんなどの両党の老獪な政治家の虚々実々の駆け引きもあり、ついに法律をまとめあげるところまでたどり着く。しかし、谷垣さんはその結果、自分は首相になれず、野田さんも民主党の分裂と選挙での大敗下野という結果になる。これらの流れを読んでいると、菅さんも野田さんも谷垣さんも、さぞかし苦労だったろうと思うし、与謝野さんや藤井裕久さんや岡田さんらは、本当に真摯な立派な政治家だったのだなぁとあらためて思った。誰もが嫌がる、国民からの受けも悪い、消費税の増税と、社会保障制度の改革という地味な作業を、国の財政と将来のために、多くの反対を乗り越え、地道な交渉と作業によって与野党で合意していくのは、とてつもない根気とエネルギーと信念が要ったことだろう。その一方で、政治家には二種類いるのだとつくづく思った。真摯に国家財政や社会保障を考え、政策を進めようと奮闘する本当の政治家がいる一方で、なんの財政や制度への知見も責任感もなく、ただ政局に走る人々が、自民にも民主にも両方いるものだと、この本を読んでいて溜息をつかされた。その典型が小沢さんとその一派だと、この本を読みながら思わずにはいれなかった。小沢さんには、読んでいて唖然とさせられる箇所が三つもあった。一つは、福田政権の時に、自民党と当時は民主党の代表だった小沢さんが大連立の協議を進め、その中でなんと、消費税増税と憲法改正を進めようと合意していたということである。「福田は元首相の森喜朗を代理人と頼み、森と小沢で水面下の交渉が進んでいた。森は後に日本経済新聞連載の「私の履歴書」(一二年十二月)で、大連立の大義名分を巡って小沢が「まず消費税を片付けよう」と持ちかけ、森が憲法改正もやろうと言うと受け入れた、と明かしている。」(71頁)小沢さんが検察に引きずりおろさなければ、消費税増税もなかったみたいなことを小沢派は未だによく言っているようだが、これを見ていると、むしろ逆だと思われた。憲法改正すら進んでいた可能性も高い。二つめは、同書の274頁のあたりで書かれているが、野田政権の時に、小沢さんが消費税増税の前にやることがある、というので、それを飲もうとして、統治機構改革法案を作成し、小沢さんにそれを見せると、ろくに読みもせず蹴り、野田政権の終わりは近いと考えて、何を言おうとひたすら野田批判と倒閣に走ったという話である。その後、消費税法案が通った後、野田政権が一票の格差是正のための法案と赤字国債発行の法案を通そうとしたら、ただ野田政権を追い詰めるために、自民党と手を組んで参院で問責決議を可決したというのも、なんとも許し難く思った。本当に選挙制度のことをまじめに考えているならば、この時に参院の問責決議などせず、まずは定数削減の法案を通すべきだったろう。三つめは、言うまでもなく、大震災の後においてひたすら菅降ろしに走ったことである。そもそも、消費税に反対というならば、どうやって財政を再建し、社会保障の機能強化や維持を行っていくか、具体的な試算や方策や計画を出せばいいのにと思う。それを示すならば、その方が良いという話になるかもしれないが、ないならば検討のしようがない。小沢派の人々は、要は、なんでも対案もなく反対反対と言っていた55年体制下の社会党のノリなのだろう。そして、結局、小沢さんはなんら政策というものを真摯に考えておらず、ひたすら自己の権力獲得のために政局を仕掛け、民主党を分裂させ、ぶっ壊したということなのだろう。にもかかわらず、これほどの妨害に遭いながら、菅さんと野田さんが、与謝野さんらと協力しつつ、税と社会保障の一体改革を成し遂げたということは、すごいことだとあらためて思った。民主党は、随分叩かれたが、実際に政権を担い、税と社会保障の一体改革などを成し遂げたというのは、大きなことだったと思う。万年野党だった55年体制下の野党にはできないことだった。税と社会保障の一体改革において、自民党と遜色ないことを民主党が成し遂げたということは、本当はもっと評価されるべきことだったと思う。もちろん、与謝野さんのような元々自民党の人材を入れたからできたこともあろうけれど、初の政権担当であれだけできれば大したものではないか。そうこの本を読んでいて、あらためて思った。さらに、この本には、細部でいろいろと面白いところがあり、野田さんは谷垣さんと関係を築くのに随分努力し、二人が共通して尊敬している大平正芳の話を振り、野田さんが秘蔵している大平正芳の貴重な冊子のコピーを渡したり、谷垣さんにとっておきのワインを贈ったりしたということろも、面白いエピソードだった。菅さんは、こういうところは、どうも不得手だったようである。あと、政策の話として、いろんな流れを見ていて、思ったのは、小泉政権時代、骨太の方針で言われていたプライマリーバランスの黒字化とは結局何だったのだろうということである。結局、一度たりとも、プライマリーバランスをその後黒字化できなかった。理由はいくつかあろうけど、せっかく好転していた第一次安倍政権の時に、安倍さんが主に上げ潮派に軸足を置き、結局消費税増税をしようともせず先伸ばししたことが大きかったのではないかと思う。それと比べて、今考えてみると、福田政権は、そんなに悪くはない政権で、わりと地道に真面目に政策をやっていたと思う。当時もそういう印象を持っていたけれど、あらためてこの本を読んでいてそう思った。どうも公明党が定額減税をごり押ししてきて、麻生さんが勝手に飲んでしまったことが致命傷になったらしいが、もう少し福田さんが長く続けることができれば、さらに政策上の成果をあげられたかもしれない。もっとも、麻生さんも、首相の時は意外と与謝野さんを重用して、真摯に政策に取り組んでいたようである。あと、この本を読んで、民主党は、なんといっても、準備不足のまま政権に就いてしまった感が否めなかった気がする。民主党の中では政策通である玄葉さんすらが、政権交代後になって、はじめて与謝野さんが麻生政権の時にまとめた安心社会実現構想の報告書を読み、これほど自民党は精緻に政策構想を練っていたのかと感心したというエピソードが出てくるが、HPで読めるのだし、もっと前からそれぐらいは自家薬篭中にしてから政権交代をして欲しかったものだと思えた。とはいえ、菅政権において、すぐに与謝野さんを抜擢し、かつ柔軟に熱心に、そうした蓄積やノウハウに学んだところは、もっと評価されて良いことだと思う。あと、もう一つ、興味深かったのは、軽減税率についてのことである。小泉政権の末期頃、柳沢伯夫さんや与謝野さんが消費税増税を検討した時には、将来消費税を増税する時、税率は10%とするが、食料品は5%の軽減税率を適用することを考えていたという。もともとは、自民党の中でも軽減税率が検討されていた。さらに、菅さんが首相の時は、低所得者への消費税の還付制度や軽減税率が掲げられていた。消費税に反対の人々は逆進性を言うが、菅降ろしをした結果、還付制度も軽減税率もない安倍政権による消費増税になっただけなのではないかと思う。リベラルが結束して菅政権を支えていればとあらためて思えた。むやみに消費税に反対して、菅・野田政権をぶっ壊した結果、かえって軽減税率もないまま消費税が安倍政権によって推進されて、逆進性という点では最悪の結果になったと思う。政治というのは創造的妥協の知恵が必要で、後先考えずなんでも反対すると、かえって悪しき結果を招くだけではないかとあらためて思わされた。いろんな教訓や、学ぶべきことが詰まった一冊だったと思う。なかなか、政治の実際の動きや流れや、細かな税制や政策は、我々一般の国民にわかりにくく、眼が届きにくいところがある。ワイドショーのようにしか、一般国民には日ごろは政治の様子が届いてこない。しかし、この本を読めば、この十年における、週刊誌やワイドショーで見るのとは全く異なる、非常に真摯な、苦吟に満ちた、政治の様子が見える。多くの人に、一度は手にとって欲しい、良い本だった。 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2013/10/10 by atsushi
野田佳彦
野田さんが総理になる二年ほど前、民主党への政権交代がまだ実現する少し前の、2009年の七月に出された本。野田さんは、総理の間は、随分と批判されていたし、叩かれていたけれど、私はわりと真面目な政治家だったと当時も思っていたし、今も思う。というわけで、どんなことを考えている人だったのかもっと知りたいと思って、この本を読んでみた。読んでみて思ったのは、やっぱり、地道でまじめだということだった。野田さんのお父さんは普通の自衛官だったそうで、生活は決して裕福ではない、ごく普通の質素な家庭に育ったそうである。しかし、自民党の政治家による汚職事件が頻発するのを学生の時に見ていて、政治のありかたに大きな疑問を持ったそうである。ちょうどその頃、河野洋平さんをはじめとする自民党を離党した若手がつくった「新自由クラブ」という新しい政党が誕生した。「新自由クラブ」が政治の刷新を訴えているのに共鳴して、野田さんは大学生の頃、そのボランティアとして手伝いをしたそうだ。しかし、「新自由クラブ」はすぐに解散することになり、河野さんたちがさっさと自民党に復党した姿を見て、とてもがっかりしたそうである。それで、「非自民」の政治を自分が目指したいと考えるようになり、大学を卒業するころ、ちょうど松下幸之助さんが政治家を育てるための松下政経塾をつくったので、それに応募し、一期生となったそうだ。それから、政治家をめざしてがんばったそうだが、なにせ、何のコネも知名度もお金もない。それで、平日は毎朝地元の駅の前に立って、毎日一時間半~三時間、街頭演説したそうだ。はじめは誰も振り向きもしなかったのが、三カ月経ったあたりから聞いてくれる人が出始め、さらに三カ月経ってからいろいろと話しかけてくれる人も出たそうだ。その時々の、いろんな問題について、突然質問されるのに、当意即妙に答える訓練も、この実地の経験で積んでいったそうである。選挙に落選することも何度もありながら、そうやって地道に地元の有権者の人々と信頼関係を築いていったそうだ。二十三年間、早朝街頭演説を土日を除く毎日続けているそうである。そういったエピソードを読んでいると、いまは二世議員や三世議員、はたまた四世議員の世襲の政治家が多い中で、めずらしいタイプの政治家だと思った。野田さんは、「五十五年体制とは政権交代がない議会制民主主義」と規定している。そして、「権力は必ず腐敗する」と述べる。だからこそ、定期的な政権交代が必要で、五~八年に一度ぐらいは、政権交代が起きるべきだと述べている。野田さんが言うには、自民党は本当は、宮澤首相の頃で賞味期限が切れていて、田中角栄型の土建政治の構造から脱却できていないという。そのため、日本の政治の本当の転換ができず、膨大な財政赤字が増え、163もの特殊法人が既得権益を吸い続ける構造になってしまった。そうであるからこそ、政権交代が必要であり、実際に政権交代を行うことにより、土建への利益誘導の政治をやめ、特殊法人改革を行うべきだと主張している。また、この本の中で、野田さんは、安全保障については、海外への自衛隊の派遣をそのつどの特措法によって決めるのではなく、きちんとした基本法をつくって対応すべきだと主張している。さらに、国連至上主義ではなく、アメリカ・国連・アジアの三つの軸で考えるべきだと述べている。日米同盟を堅持した上で、国連やアジアも重視すべきという考えで、「安易な反米というのは歴史を見ていない人の立場ではないかと考えます。」と述べている。また、憲法についは、護憲か改憲かというより、明治の頃に多くの人が憲法の草案を自ら書いたように、みんなで憲法のありかたを考える姿勢の大切さを述べていた。また、菅さんについて、野田さんと菅さんは政治的立場が違うと人からは思われるかもしれないが、「非自民」という重要な基礎部分で同じだし、細々したことは違っていても、スタンスが重なる部分もあると民主党で一緒にやるようになってからわかるようになったと述べている。一般的には、野田さんは自分自身でそう述べるように「保守」の考えの政治家で、菅さんはリベラルということになるのだろうけれど、このように細かな違いではなく、共通のところをよく見て手をとりあう姿勢はとても良いと思った。実際、民主党政権の間は、現実的なリベラルの菅さんと、穏健保守の野田さんが、ともに支え合う形だったと思う。野田さんは、この本の中で、「政治なんか誰がやっても同じ」ということは決してないし、もうそういう時代ではなくなっているということを力説している。かつては、たしかに経済や官僚や技術という柱がしっかりしていて、あまり政治がたいしたことがなくてもゆらがなかったのかもしれないが、他の柱がそれだけでは必ずしも日本を盤石には支えられなくなってきている。だからこそ、政治が重要だという。この本の末尾は、以下の言葉で締めくくられている。「もしかすると、この数年、自公政権が成し遂げたことの一つは、そのような政治への無力感を醸成したことにあるのかもしれません。高度成長が望めない現代において、その無力感は確実に国民の生活を蝕んでいきます。これこそ、国民にとっての敵です。それに打ち勝つには政権交代が最強の武器である。そう私は思うのです。」ここまで読んで、私は、そのとおりと思う部分と、若干疑問な点との両方を感じざるを得なかった。たしかに、無力感が国民の生活を蝕んでいるというのは、そのとおりだと思う。しかし、政権交代でその無力感は払拭されたのか。むしろ、民主党になっても、あまり大して変わらなかったと多くの国民は感じ、かえって無力感を抱いているのではないか。もし、そうではなく、変わった部分が多々あるならば、野田さんにはもっとわかりやすくはっきりと国民にその点を語りかけて欲しい。たしかに、自殺者数は昨年、十五年ぶりに三万人以下となった。 また、倒産件数も大幅に減り、二十一年ぶりの低水準となった。 経済成長率もプラス成長であり、有効求人倍率も増えている。 本当は民主党政権にも良いところはあったのかもしれない。では、なぜ、あまりそうは国民からは思われず、2012年の冬の選挙であれほど民主党はぼろ負けしたのか。それを言うのはやや酷かもしれないが、あの時の総理であり、民主党の代表であった野田さんには、総理をやめた後も、だからこそ一層、地道に国民にわかりやすく政治について発信して欲しいと思った。野田さんは、時代小説を読むのが趣味だそうで、山本周五郎と藤沢周平と司馬遼太郎が好きだそうだ。私もその三人は好きなので、好感を持った。これらの小説に出てくる昔の武士のように、決して他人の悪口を言わず、黙々と自分のなすべきことを担ってなしていこうとする野田さんの姿勢は、地味だけれど、私は好感を持っていた。今後とも、どうかそのようであって欲しいと思った。今だからこそ、この本が書かれた後、実際に民主党への政権交代で、何が実現したか、どの程度、政治の転換や特殊法人改革が進んだのか、具体的な進捗状況をわかりやすく、また野田さん自身に本に書いて欲しいと思う。 >> 続きを読む
2013/03/01 by atsushi
西岡力
1999年当時の北朝鮮レポート。拉致被害者が1人も帰国していない時点での糾弾資料としては意味が有る。人権蹂躙の極致と言える拉致。偽札や麻薬などの製造。自国民100万人単位の餓死。そして核疑惑。全て事実だとすると、いまだに体制が瓦解していないことが、むしろ不思議な北朝鮮だが、本作は拉致被害者の方々が、まだ1人も帰国が叶っていない時点でのレポートで有り、日米朝の関係に触れながら論理を展開していることからも価値を感じる。当時から10年近く経過した現在でも依然として体制を維持し続ける北朝鮮という国家は相変わらず日本の隣に存在し、脅威で有り続けている。理由はわからないのだが、読んでいて面白くなかったことを付け加えておく。 >> 続きを読む
2012/08/25 by ice
小川榮太郎
2012年8月発行だから、もう4年前になる。野田政権がレームダック化し、次期自民党総裁がほぼ確実に次期総理大臣となる――そんな情勢のさなか出版され話題になった本だと記憶している。内容としては、第一次安倍政権を発足から組閣、松岡農水大臣問題、年金記録問題から参議院選惨敗そして辞任までを文芸評論家である筆者の立場から総括した本だ。皆さまならお気づきと思うが、本書には多分にバイアスがかかっている。論調として、第一次安倍政権を肯定・再評価しながらマスコミ、もとい朝日新聞への非難が続く。異様な時代であったことは、認めよう。安倍政権のみならず、後の麻生政権の叩かれっぷりは今から考えると度が過ぎていた。しかし、本書は非難こそすれ、冷静に「批判」しているような印象は受けない。慰安婦報道などマスコミの信頼性が損なわれつつある現在だからと言ってしまえばそれまでだが、単にマスコミを批判するだけなら本書以前でも読むに値する本はある。よって、本書の価値としては第一次安倍政権を肯定的に概観できる本ということになるが、この点ではまだ有用かもしれない。ただ前述したように肯定バイアスがかなりかかっているので、『官邸崩壊』(上杉隆)あたりの批判的な本と合わせて読みたい。出版時期が良かったという評価は酷かもしれないが、情報的にも論調的にも目新しさは感じなかったので星二つとさせて頂く。 >> 続きを読む
2016/08/12 by 飛車香落ち
木村汎
500ページほどのなかなかの厚さの本でしたが、比較的読みやすい本です。多くのクレムリンウォッチャーたちの意見や他国の評論家の意見を引用して紹介した部分が多く、なるべく相対的な視点で本書を書こうという意図が伝わります。 メドベージェフとプーチンが弟子と師のような関係にあり、メドベージェフはプーチンには逆らえないし、ロシアには指導者はプーチンしかいないというのが本書の結論です。ペレストロイカを推進したゴルバチョフも最近批判をしていましたが、プーチンの政治手法はまるで帝政ロシアの皇帝のような強権政治です。本書ではメドベージェフが民主化を掲げてある程度の改革を行おうとしたが、結局それに失敗し、プーチノクラシーに戻ってしまったとしています。プーチノクラシーの中身は、資源依存型の経済です。石油や天然ガスの会社をプーチンは次々と国有化し、国家主導の政治システムを作りました。利権に群がる官僚、横行する賄賂などによって、世界から投資先の環境が悪いと認識され、海外大手の企業が次々と撤退しています。筆者は様々な数値を挙げてロシアの現状を表現していますが、これを見ているとロシアの国際的な地位はかなり低くなってきているようです。ロシアの優秀な頭脳は海外に流出しているそうです。以前佐藤優が書いていた本では、ロシアのエリートは日本の学生とは比較にならないくらい勉強するから、ロシアはそのうち大国として復興してくると読んでいましたが、どうなのでしょうか。冷戦を知っている世代としては、ロシアは米露と併称されるイメージですが、BRICSの中でも地位が低下しているようです。プーチン政権は未だ続いており、現在進行形の話ですから、これからがどうなるか注目です。 >> 続きを読む
2013/07/21 by nekotaka
池上彰
上村幸治 , 高文謙
後藤武士
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