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カテゴリー"国家と個人・宗教・民族"の書籍一覧

      ヘイト・スピーチとは何か

      師岡康子

      4.0
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      •  近時話題となっているヘイト・スピーチについて法的規制が必要との立場から論じている。ヘイト・スピーチの実態だけでなく、諸外国の規制内容が詳細に紹介されており、この問題を取り巻く事情に疎い私には勉強になる内容も多かった。

         筆者は、ヘイト・スピーチが「マイノリティの心身を取り返しのつかないほど傷つけ、人生を破壊するほどの被害」という害悪を伴うことを理由にその規制の必要性を強調する。

         しかし、上記害悪がヘイト・スピーチという行為を独自の規制対象とする合理性を根拠づけるに十分と考えるかどうかは、読者によって考えは大きく分かれるところであろう。
         とりわけ、規制反対派の論拠に対する筆者の反論は、ヘイト・スピーチがもたらす害悪が法的規制を必要とするほど大きいものであることを前提としており、おそらくこの点で規制反対派との間には埋めがたい認識の差があるように思われる。筆者が提言するように、差別の実態調査によって客観的事実を明らかにすることが、議論の前提を固めるために必要不可欠であろう。
         
         新書という表現形態をとる以上、紙幅の都合から規制必要説の論拠を十分に論じきることはもとより困難である。むしろ私は、筆者の規制必要の主張に対して規制反対派はどのような反論をしうるのかに興味がわいた。ヘイト・スピーチの実態と諸外国での規制内容、規制反対派の主要な論拠とそれに対する規制必要派の反論を一通り概観することができるという点に、本書を読む意義があると思う。
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        2014/10/13 by yang

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      アメリカの黒人演説集

      MorrisonToni , 荒このみ , KingMartin Luther , Malcolm X

      5.0
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      • この本には、アメリカの黒人の人々による、十九世紀初頭から二十一世紀のオバマさんまでの、二十一人の歴史的な演説が収録されている。

        稀に見る読み応えのある演説集だった。
        できれば、たとえば猿谷要の『歴史物語 アフリカ系アメリカ人』などの本を読んで、おおまかな歴史を知ってから、この演説集は読んだ方が良いと思う。
        ある程度の歴史の背景知識があれば、それぞれの人物や歴史的な出来事の意味がわかり、その歴史的な節目節目に語られたこの演説の数々が、いかに深い思いから発せられた魂の叫びや心からの願いや思いだったかがわかり、どれも本当に心を揺り動かされるものがある。

        白人による過酷な奴隷制と、南北戦争を通じてせっかくリンカーンによって奴隷制が廃止された後も、すぐにまた黒人差別やさまざまな排除が実質的に形成され、長い間苦しみ抑圧されてきたアメリカの黒人の人々。
        彼らが自らの自由と権利を勝ち取るためには、いかに長い道のりがかかったか。
        そして、その道のりにおいて、いかに知恵と言葉の限りを尽くして、論理と道理を尽して、言葉の力と道徳の力を通じて、世の中の意識を変えようと努めてきたか。
        この一冊を読むと、本当にその一端に触れて、なんともその道のりの険しさと、それを自らの力で進んできた人々の心の強さと偉大さに胸打たれる。

        たとえば、デイヴィッド・ウォーカーは、旧約聖書の中の、古代エジプトがユダヤ人を奴隷としていた箇所を縦横無尽に引用して、古代エジプトのユダヤ人への扱いの方がどれほど今のアメリカの黒人奴隷制より人間らしいまともなものだったかを痛烈に抉り出す。
        フレデリック・ダグラスは圧倒的な迫力と情熱で、奴隷制度の非人間性を告発する。
        ラングストンやレイピアは、法律の知識も縦横無尽に繰り出しながら、南北戦争から程ない時期に、公民権の問題を提起し、黒人に公民権が与えられるべきだと論じる。

        ブッカー・ワシントンの「その場にバケツを下ろせ」の演説も感動的だった。
        その他、トゥールースらの、時にユーモアも混ぜながらの、そしてゆるぎない信念の裏打ちのある言葉の数々も、心に残るものがあった。

        にもかかわらず、公民権も認められず、実質的に社会から排除され、不平等の扱いを受け、投票権も南部では事実上認められない状態が、南北戦争の後も百年もの間続いていた。
        KKKらによるリンチもひどいものだった。

        ウェルズ・バーネットによる、KKKの暴力に対する告発と批判も、本当に勇気の要ることだったろうと、本当に胸を打たれた。
        さらに、ガーヴィーが、ただ黒人だけでなく、すべての人々の人権を求め、自由と平等を熱烈に主張している演説にも、その普遍性に本当に感心させられた。
        そうした歴史を踏まえて、キング牧師やマルコムXの演説を読むと、さらに深めい感銘と感動があった。

        シャーリー・チザムが、黒人の女性が二重に差別と抑圧を受けてきたことを指摘し、黒人の女性の力の発揮を主張している演説も、とても考えさせられた。
        トニ・モリスンの、物語を通じて、化石化した言語を語り直すことや、マーシャルの憲法の当初の意味そのものより、その時代錯誤の意味を常に新しく解釈し直してきた黒人の人々による努力の歴史への言及も、とても考えさせられた。

        そして、ノックス大学の卒業生にあてた、上院議員時代のオバマさんの演説の、なんとすばらしいことだろう。
        グローバリズムにはっきりと立ち向かい、中産階級を擁護し、所有者社会という名の社会ダーウィニズムに断固として立ち向かい、国民を兄弟姉妹と意識して自由と平等という原理を未来に向かって積極的に形成していく、その主張は、本当に共感するし、日本にもこれぐらい語ってくれるリーダーがいてくれたらと思われた。

        最も苦しい思いをしてきたからこそ、アメリカの黒人の歴史は、他にはめったにないほどの英知の輝きがあるような気がする。
        ひどい現実に直面し、なおかつ理想と信念を貫き、言葉の力と道徳の力で世の中を変えようとし、実際に変えてきたかけがえのない歴史がそこにはある。
        それはおそらく、社会や国を異にする私たち日本人にも、大きな示唆や刺激を与えるものだと思う。
        特に、私たちにとかく欠けがちなのが、厳しい現実の板をくり抜いていく信念や理想の力であり、言葉の力と道徳の力によって世の中を変えることであるならば。
        >> 続きを読む

        2013/03/03 by atsushi

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      歴史物語・アフリカ系アメリカ人

      猿谷要

      5.0
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      • アフリカ系アメリカ人、つまりアメリカの黒人の歴史の本。
        はじめて知るエピソードがたくさんあった。
        あたかも大きな河の流れのような、歴史の大叙事詩を読んだ気がした。

        大航海時代の始まりとともに、アフリカからは多くの人が奴隷として連れ去られ、新大陸でタバコや綿花の生産のために働かされた。

        世界史の教科書では、大航海時代の先駆者として描かれるポルトガルのエンリケ航海王子は、勝手にアフリカ大陸のかなりの部分をポルトガルの領土だとローマ教皇との間で取り決めて、そのうえ毎年アフリカに出かけては七百人もの黒人奴隷を連れて帰ったという。
        その後、こうした奴隷の輸送は、ずっとエスカレートしていった。

        十六世紀から十九世紀半ばのリンカーンによる奴隷制廃止までの間のおよそ三世紀半の間、どんなに少なく見積もっても千二百万人以上、おそらく三~五千万人ぐらいの人が、アフリカから奴隷として新大陸に連れ去られたそうである。
        そうした奴隷貿易の三角貿易が、イギリスのリバプールに産業資本の蓄積をもたらし、産業革命のきっかけになったし、新大陸の白人には多くの富をもたらした。

        黒人は抵抗せずにただ従ったわけではなく、アメリカがまだ独立していない、イギリスの植民地だった時代にも、1712年にはニューヨークで黒人による暴動が起ったり、1739年にはサウスカロライナでカトーという黒人がリーダーとなって反乱が起っているそうである。

        やがて、アメリカの植民地において、主に白人を中心に、イギリスの支配に対して抵抗が始まり、独立戦争が起った。
        その直接のきっかけとなった、1770年のボストン虐殺事件は、イギリスの軍隊が一般市民のデモに発砲した事件だったのだけれど、その時に市民の先頭にいて、最初の犠牲になったクリスパス・アタックスは混血の黒人だったそうである。
        独立戦争には、五千人もの黒人が軍隊に参加して戦い、白人とともにアメリカの独立のために奮闘した。
        しかし、独立後も、奴隷制は続き、かえって南部を中心に奴隷貿易はますます盛んになり、プランテーションのために過酷な奴隷労働が強いられるようになった。

        そうした中、デンマーク・ヴェセイを中心に、大規模な何千人という黒人奴隷の反乱の計画があったが、未遂の段階で摘発される事件が1822年にあったそうである。
        また、1831年にはナット・ターナーの反乱があった。
        1859年には、ジョン・ブラウン(ブラウン自身は白人)による黒人解放のための武装蜂起があった。

        十九世紀の前半に断続的にフロリダで行われたセミノール戦争では、インディアンと黒人がともに協力して、侵略してくる白人と闘ったそうである。
        当時は、逃亡してきた黒人奴隷をインディアンがかくまうことが多かったそうだ。
        セミノール戦争のリーダーだったオシオーラは、父はインディアンの酋長で、母は逃亡してきた元黒人奴隷だったそうである。
        白人中心の歴史では見えてこない、いろんな歴史があるものだと、読みながら考えさせられた。

        こうした、実際の武装蜂起以外にも、言葉によってなんとか奴隷制をなくそうとする取り組みもずっと行われ、アボリショニスト(奴隷制廃止論者)による活発な言論活動がずっと行われた。
        彼らは、言論による闘いと同時に、南部の奴隷州から北部の自由州に「地下鉄道」と呼ばれる秘密のルートをつくり、多くの黒人奴隷の逃亡を援助した。
        自分自身、元はその一人で、自由になってから多くの人々を逃がすために努力した人々も、フレデリック・ダグラスやハリエッド・タブマンのように数多くいた。

        こうした努力の中、徐々に奴隷制をめぐって北部と南部の対立が深まり、南北戦争が勃発。
        リンカーンが大統領として、幾多の困難を乗り越えて、奴隷解放を宣言する。

        だが、そのあとが大変だったんだなぁ、とこの本を読んでいてつくづく思った。

        奴隷の身分から解放されたものの、多くの黒人はほとんど何の財産もなければ、教育もなく、差別も依然として続いていた。
        その中で、奴隷解放のあと、多くの黒人の間でとても教育熱が高まり、老人と子どもが席を並べて学校でアルファベットを学んだそうである。

        しかし、貧困と差別は変わらなかった。
        そもそも、南北戦争のあと、南部の大土地所有者から土地を没収し、黒人に分配するという計画もあったそうである。
        北軍の指揮官で南部に侵攻したシャーマン将軍や、政治家のサディアス・スティーブンスはそのつもりだったそうだ。
        しかし、リンカーンが暗殺され、アンドリュー・ジョンソンが大統領になり、その計画は頓挫し、結局元の南部の地主の所有権の保護だけが優先された。

        リンカーンが南部で農地改革をやるつもりだったのかどうか、記録からはわからないそうである。
        しかし、リンカーンは奴隷解放の時も、わりと途中までは黙して語らず、時期を見て政策を実現していった。
        ひょっとしたら、胸中には南部の農地改革のプランがあり、それを知った人々に消されたのかもしれないと、この本を読みながら考えさせられた。

        リンカーンの後の大統領たちは、南部にあまりにも寛大な対応を行い、南北戦争の責任者だったはずの南部の指導者たちは、わりとすぐに許されて南部の政治の中心に復帰した。
        そのため、相も変らぬ黒人への抑圧や差別は、法律上は一応奴隷制廃止で平等になったとはいえ、根深い形で再び形成されていったそうである。

        アメリカの南部を見ていると、乏しい資源で無謀な戦争に突っ込み、敗戦後は多くの指導者が公職追放になるも短期間で復帰し、あまり価値観の反省もなく、かえってわが勝手な理屈を振り回し始め、排他的で偏狭な価値観を形成していった、という歴史がある。
        日本にとってもあまり他人事ではないのかもしれないが、なんとも人間の世の中というのは、一朝一夕には良くならないものだと考えさせられる。

        しかし、そうした南北戦争後の困難な時代においても、「今いる場所でバケツを投げ下ろして水を汲め」と主張するブッカー・ワシントンや、大著『黒人のたましい』を書いたデュボイスなどの指導者が、黒人の地位向上や解放のために努力したそうである。

        そして、第一次大戦後は、ニューヨークのハーレムを中心に、黒人の文学や音楽でさまざまな才能が開花したそうだ。

        だが、依然として差別と貧困と排除は続いていた。
        そこに、1950~60年代、キング牧師とマルコムXという二人のすぐれたリーダーが現れ、公民権運動や黒人の権利への取り組みや意識革命は大きく進んだ。
        この本は、このわりと現代に近い時代のこれらの動きもとてもわかりやすく生き生きと叙述していて、とても感動的だった。
        読みながら、キング牧師について、本当に道徳の力と言葉の力だけで世の中を動かしたことに、あらためて深い感動を覚えた。
        愛の言葉と心が、世の中を動かす力があることを身をもって立証したのだと思う。
        しかし、それまでには本当に苦難の道のりだったし、公民権法が成立したあとも本当に大変だったと読んでいてよくわかった。
        マルコムXも、本当に惜しい人物だったと読んでいて思われた。

        この本には、多くの文学も紹介されていて、ホイッティアの詩や、マーク・トウェインの「地獄のペン」や、クロード・マッケイの詩集「ハーレム」や、ジェームズ・ボールドウィンの「次は火だ」や、グロウの「ハウランド家の人々」や、アレックス・ヘイリーの「ルーツ」なども、いつか読んでみたいと思った。

        さまざまな方法により、長い歴史を通じて、黒人の人々が自らの自由と平等を求めて、多大な犠牲を払いながら努力してきた歴史は、本当に読みながら深い感動を覚えた。
        著者が言うとおり、アメリカにおけるキング牧師らの黒人の自由や平等のための努力は、他の少数民族の権利のための闘いにも、とても大きな影響を与え、先駆となるものだったと思う。

        アメリカと一口に言っても、今もって、ともすれば、白人中心に語られがちだし、そうした歴史しか知らない場合も多い。
        私は恥ずかしながら、つい最近まで、黒人の歴史についてはほとんど何も詳しいことは知らなかった。
        白人と黒人とネイティブ・アメリカン(インディアン)の三つの歴史は、どれもアメリカの歴史として重要で、本来は等しく同じウェイトで語られるべきものなのかもしれない。
        その一つの壮大な物語をとてもわかりやすく書いているという点で、この本はとても貴重な本だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/03/01 by atsushi

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      ユダヤ人

      上田和夫

      4.0
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      • ユダヤ人の歴史について、とてもわかりやすく、生き生きと書かれてあり、とても面白かった。

        イスラム統治時代のスペインではわりと優遇されていたユダヤ人が、その後、どれほどひどい目に遭ったか。

        また、中世ヨーロッパのペストの大流行の時期に、ユダヤ人が井戸に毒を投げ込んだとか、キリスト教を呪う儀式を行ったなどのデマが流れて、そのつど多くのユダヤ人が襲われて殺されたこと。
        十字軍も、エルサレムに向かう途中、ユダヤ人の居住区を襲って略奪していくことがよくあったこと。

        ポーランドでは比較的ユダヤ人が保護されていたが、ポーランド分割後、ロシア統治下では、ユダヤ人は二十五年間の兵役が課せられたり、権利が制限されたり、ポグロムという虐殺事件も頻発して、本当に散々な目に遭ってきたこと。

        あげくは、周知のとおり、ナチスドイツによる大虐殺があったこと。

        などなどの受難の歴史を見ていると、本当に気の毒な気がした。

        にもかかわらず、それらの苦難を乗り越えて生き残り、歴史上希有なほどの宗教・哲学・文学・科学・芸術などのあらゆるジャンルに優れた天才を輩出し続けてきたその歴史は、本当にすごいと思う。

        中世ユダヤの最高の神学者だったマイモニデスや、あるいは近代の作家のショレム・アレイヘムの小説や、モリス・ローゼンフェルドの詩などの本は、いつか私も読んでみたいと思った。

        この本を読んで思ったことは、ユダヤ人というのも、大半はごく普通のただの人間であり、さまざまな偏見によって迫害を受けてきたのは、実に気の毒だということである。
        そうした苦難の歴史の中で育んできた深い知恵や逞しさに敬意を払いつつ、偏見や誤解なく、同じ人間として、ユダヤ人の人々が遇される世界であって欲しいと思った。

        あと、今まで知らなかったので意外だったのは、ソビエトの統治下には、ハバロフスクの近くにユダヤ人自治区があり、イディッシュ語も公用語して採用されていたというエピソード。
        いろいろ知らないこともあるものである。
        >> 続きを読む

        2013/06/05 by atsushi

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      日本人の知らないユダヤ人

      石角完爾

      4.0
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      • とても面白かった。

        著者は、もともと日本人に生まれた生粋の日本人だが、なんと自ら望んで、ユダヤ教に改宗し、ユダヤ人になった人物。

        ユダヤ教の場合、二年ぐらいは少なくともみっちりユダヤ教について勉強し、ラビに改宗を認められ、所定の手続きを踏み、試験に合格し、やっと改宗を認められるそうである。

        しかも、男性の場合、割礼を受けねばならない。

        この本には、割礼の体験談も具体的に書いてあり、それを読んでいて、ちょっと今の時点では、私はこれはあまりにも痛そうで、ユダヤ教にはまだ改宗する度胸がないなぁと正直感じられた…。
        もっといろいろと勉強して、この著者の方と同じぐらいの六十歳前後の年齢になり、どうしても改宗したいと思ったら、その時にした方がいいかもと思った。
        その前に、ユダヤ教についてもいろいろと自分で調べて勉強しつつ、仏教もみっちりもっとしっかり勉強した方がいいかもなぁと思った。

        ただ、ユダヤ教は、この本を読んで、あらためて素晴らしい宗教と思った。

        まず、神を信じるだけではユダヤ教の場合はだめだと考え、自分で問いを持ち、問い続けることをとても大切にするそうである。

        また、祈りは、神との対話だと考え、聖書を読むことは神からのレクチャーで、そこから神との対話や議論がはじまると考えるそうである。

        さらに、百五十人のユダヤ人ごとに一人のラビ(先生)がいなければならないという規定があるそうで、とても教育を大切にするそうだ。

        ユダヤ教の場合、宗教は何よりも学習であり、聖書やタルムードを自分自身が勉強することが何よりも大事にされるそうである。

        また、ホフマーというヘブライ語は、知恵とジョークという二つの意味を同時に持っているそうで、とても笑いを大切にするそうである。

        また、しつこさや頑固さはユダヤ人の特徴であり、ぜんぜんあきらめたりしないところがあり、何があっても生き抜こうとすることが大切にされるそうだ。

        「ラハイム」というのが乾杯の時に言われる言葉が、これは、何があっても生き抜こう、生きよう、という意味だそうである。

        とても興味深い本だった。
        >> 続きを読む

        2013/07/28 by atsushi

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      ぼくのものがたりあなたのものがたり 人種についてかんがえよう

      LesterJulius , さくまゆみこ , BarbourKaren

      5.0
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      • とても良い絵本だった。

        この絵本の文章を書いているジュリアス・レスターは、アメリカの黒人奴隷制の歴史の本や文学作品を書いている人物で、この絵本は、平明で単純な表現でありながら、そうした著者の思いや洞察が背後にこめられている。

        著者が言うには、自分も、他の人も、人間はひとりひとり「物語」である。
        生れた年月、場所、両親の生まれた年月や場所。
        兄弟や家族親戚や友人たち。
        自分が好きな食べ物や、好きな色や、好きな時間や、趣味。
        国籍や宗教。
        他にもさまざまなことが、その人の「物語」をつくっている。

        その中で、「人種」という物語がある。
        そして、人種について、ある人々は、他の人種を劣ったものだと述べたり、自分たちの人種がすぐれていると述べたりする。

        しかし、それは自分という個人の物語への自信がない不安の裏返しではないかと著者は問う。

        実際は、自分の目の下のあたりを指でそっと押せば、誰しも同じかたさを感じる。
        誰の皮膚の下にも、骨がある。

        皮膚というの単なる包み紙であり、その下には、誰しも同じ白い骨がある。
        人間というのは、包み紙をとれば、皆同じようなものだ。

        その上で、じっと耳を傾け、聞いてみなければわからない物語が、一人一人にある。

        人種ということで、包み紙のみを見て、ひとりひとりの物語を聞こうとしない「物語」と、包み紙の下にある同じものを見た上でひとりひとりの「物語」に耳を澄ませる「物語」と、あなたはどちらの「物語」を生きることを選びますか?
        という著者の問いは、とても深い、心に響くメッセージだった。

        日本人は、アメリカに住んでいる人ほどは、日ごろあまり人種について考えずに済むのかもしれない。
        しかし、だからといって、本当にひとりひとりの「物語」に耳を傾ける姿勢がアメリカよりも良くできているのか、包み紙の奥にある同じものをきちんとわかっているのかといえば、若干疑問もある。

        この本は、日本人にも、場合によっては日本人にこそ、広く読まれるべき本だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/03/20 by atsushi

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      生かされて。

      ErwinSteve. , IlibagizaImmaculee.

      5.0
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      •  1994年、ルワンダ。
        ツチ、フツ、2つの部族の衝突が勃発し
        ほぼ一方的にツチ族が虐殺されました。
        100日間でその数は実に100万人といわれています。

         昨日までの隣人、友人が突如として
        殺戮者となって襲ってくるのです。

         本書はそのルワンダ大虐殺を奇跡的に生き延びた著者が、
        その稀有な経験から学んだことを世界に発信したものです。

         ほんの小さなトイレの中に7人の女性と一緒に身を隠し、
        薄い壁と扉のむこうに迫りくる殺戮者の恐怖と戦いながらすごした3ヶ月間、さらにその後の人生で彼女が学んだこととは。

         実際に起こった大虐殺の事実の側面を知る資料としても、
        また、許すこと、深い痛手から立ち上がることについて考える機会を与えてくれる一冊としても貴重な本だと思います。

         自らが宗教や信仰を選択しないことと
        信仰をもっている人が持つ力を否定することはまったく別です。
        かなりスピリチュアルな内容が含まれますが、
        偏見なく多くの方に読んでみてもらいたい一冊です。
        >> 続きを読む

        2015/02/02 by kengo

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      イスラエルとは何か

      RabkinYakov M , 菅野賢治

      4.0
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      • この本は、ソ連出身の化学者・歴史学者であるヤコブ・M・ラブキン教授が書いたイスラエルという国の矛盾を突いたものです。主張はただ一つ、シオニスト(シオニズム)とユダヤ教信仰は相容れないということ。

         シオニストとは、亡国の国民になって世界中に散ったユダヤ人の中から、「約束の地」に物理的に復帰する思考を持った者たちです。彼らの希望は1948年、パレスティナの地に入植することで実現しました。もちろん追い出されたパレスティナ人とかアラブの国々はこれを快く思っておらず、武力闘争になりましたが、軍事大国イスラエルはことごとく打ち勝ち、さらにはパレスティナ人の居住区域にも入植を続けています。

        ラブキン教授は、このような植民地主義の非を鳴らしていますが、シオニストたちは止める兆しも見せません。シオニストという人たちは、ヨーロッパで西欧文明の中で育ち、きしくもキリスト教社会のなかで鬼っこのような存在に成長していたのです。ユダヤ教の持つ敬虔さを失い、たんなる俗物として行動するのみです。

        こんな話があります:

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        イスラエル人の新しいアイデンティティーがユダヤ教の伝統に対する反感の上に成り立っていることは、今では周知の事実です。イスラエルで目にされる反=ユダヤ教感情の激しさは、ほかのいかなる場所においてもあり得ないような域に達しており、イスラエルのメディアは定期的にそうした敵意の発露の実例を伝えています。

        たとえば、ある時、イスラエルの公立中学(つまり非宗教を旨とする中学)で、トーラーに関する必修授業――もちろんトーラーを宗教的、規範的に扱うのではなく、歴史的、文学的テクストとして読ませる授業――の学年末試験を終えた生徒らが、中庭にトーラーの書を積み上げ、居合わせた級友たちの大歓声のなか、それに火を放ったといいます。補足として対照のために書き記しておくならば、敬虔なユダヤ教徒は、一時の学究を終えてトーラーの書を閉じる時、ましてそれを不注意から床に落としてしまった時などにも、トーラーに口吻をすることを習わしとしています。
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        P115-P116
        ここに、トーラーとはタルムードと同じく、ユダヤ教徒が心のより所とする書です。(旧約聖書とは微妙に違うようですが、私には違いが解りません。)

        以上の記述に現代のイスラエル人の持つ矛盾が発露されています。シオニストは、ユダヤ教というめんどくさい教養なしに、国防・軍事に邁進しているのですね。ヨーロッパから来たシオニストのユダヤ人が、先住のユダヤ人とかイエメンにもいたユダヤ教徒をイスラエルに受け入れても、受け入れられた方は、パレスティナ人と隣接した入植地に送り込まれ、戦火に怯えながら生活することを強いられます。シオニストは信仰より剣を愛するのですね。

        現在のイスラエルは軍備に頼った帝国主義的国家であり、ユダヤ教は作動していない・・・

        最後に:主張したいことを約めるとワン・センテンスですが、ラブキン教授はこの本で、繰り返し繰り返し同じことを言っています。ちょっとくどい文章だな、と思いました。新書本としてはページ数が多いです。数週間かけてちょっとづつ読んでみました、まあ力作ではありますが。

        「イスラエルとは何か」平凡社新書:2012.6.15初版 332ページ
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        2013/09/25 by iirei

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      エンパワメントと人権 こころの力のみなもとへ

      部落解放人権研究所 , 森田ゆり

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      • エンパワメントと人権―こころの力のみなもとへ。森田ゆり先生の著書。人と人との信頼関係の大切さ、人と人とのコミュニケーションの大切さが実感できる良書です。人権という言葉の本質を理解するのは難しいけれど、カリフォルニア大学主任研究員として人権問題の専門家としてのご経験がある森田ゆり先生のように人権をわかりやすく定義してくれると理解できる人はたくさんいるのではないでしょうか。子供と接する機会が多い人や子育て中の人はもちろん、人権問題や人権啓発に関心がある全ての人におすすめできる内容です。 >> 続きを読む

        2018/11/11 by 香菜子

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      パリのモスク ユダヤ人を助けたイスラム教徒

      RuelleKaren Gray , 池田真里 , DeSaixDebbi Durland

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      • 第二次世界大戦中、ナチスドイツに占領されたパリでは、多くのユダヤ人が捕まり、殺されていった。

        しかし、当時、パリにはイスラム教の大きなモスクがあった。
        第一次大戦でフランスの植民地から五十万人ものイスラム教徒が出征して戦った御礼にフランス政府から敷地が安く払い下げられて建てられたそうである。

        そのモスクの責任者のシ・カドゥール・ベンガブリや、医師のアーマド・ソミアらは、イスラム教徒だったが、極秘裏にユダヤ人たちの救出に尽力。

        イスラム教徒だという偽の証明書を大量に発行し、またモスクに逃れてきた多くのユダヤ人を匿い、多くのユダヤ人たちが安全な場所に逃げるのを手伝った。

        その全貌は今でもまだ十分に解明されていないが、少なくとも1732人以上、あるいはさらに多くの人々が助けられたらしい。

        今日、イスラエルとパレスチナの問題があるために、ユダヤ教とイスラム教というと宿敵というイメージがあるが、第二次大戦中、このようにイスラム教徒が命がけでユダヤ教徒であるユダヤ人たちを助けたことは、貴重な歴史の一ページであり、今のような現実があるからこそ、忘れてはならない、よく思い出すべき歴史だと思う。

        カドゥールらは、ユダヤ人たちも大切な兄弟姉妹である、と述べ、実際にそう思って命だけで助けたそうである。

        ユダヤ教の聖典のタルムードにも、イスラム教のコーランにも、どちらにも、一人の人の命を救うことは世界を救うのと等しいという意味の言葉があるそうである。

        正確には、コーランの五章と、タルムードの四章にあるそうだ。

        どのような宗教の真髄も、このようなものだと思うし、宗教や民族の枠を超えてこのような実践を行う人々こそ、その宗教の本当の真髄を実践する人なのだと思う。

        多くの人に読んで欲しい、素晴らしい絵本だった。
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        2013/06/07 by atsushi

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      ユダヤの訓え「大物」になる勉強法

      加瀬英明

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      • とても良い本だった。
        ユダヤ・ジョークの数々にも笑わされたし、わかりやすくユダヤ人の知恵の数々が盛り込まれていて、ユダヤに興味を持つきっかけや入門書としてとても良いのではないかと思った。

        中でも、以下のユダヤのことわざの数々は、とても感心した。

        「腰をかがめねば、真理を拾うことはできない。」

        「あなたの最も頼りになる友は、鏡の中にいる。」

        「影が濃くなれば、それだけ光が近い証拠である。」

        「恐れを伴わない希望はなく、希望を伴わない恐れはない。」

        「知恵は、それを生かそうとする人々の上にだけ輝く。」

        「愛は欠点を隠し、憎しみは長所を隠す。」

        「神の前では泣け、人の前では笑え。」

        これらは、本当に、考えさせらえる、味わい深い言葉と思う。

        また、アインシュタインの、

        「教育とは、学校で習ったことを全て忘れてしまったあとに、自分の中に残るもののことである。」

        という言葉もなるほどと思った。

        ユダヤ教は祈るのではなく、学ぶ宗教である、ということも、あらためてとても興味深かった。

        教育とは、一生を通じて自分を伸ばし続けることである。
        質問し、自問自答を繰り返すのが、ユダヤ流の教育や勉強の方法である。
        人にとって学ぶ過程こそ、結果よりも重要である。
        一夜づけは身につかないが、少しずつ勉強したものは身につく。
        祈るとは、神を自分の中に迎え入れること。
        貧しいことは恥ずかしいことではないが、自慢することでもない。
        などなども、なるほどーっと思った。

        ユダヤ流の発想とは、
        ・まず物事の常識を疑ってかかる。
        ・無用な我慢はしない。
        ・自分を見つめる時間を持つ。
        ・生涯をかけて己を磨き続ける。
        ・一人の人間には、神が創造された全宇宙と同じ価値がある。
        ということだと著者のまとめも、なるほどと思った。

        多くの人にお勧めしたい、良い本だった。
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        2013/09/04 by atsushi

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      シオンの議定書 = THE PROTOCOLS OF THE ELDERS OF ZION 定本

      四王天延孝 , 天童竺丸

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      • シオンの議定書。シオンの議定書というと突拍子のない奇妙奇天烈で出鱈目な内容と思い込みがちだけれど、実際に読んでみるともしかしたら現代社会はシオンの議定書で述べられているような世界へ進んでいるのかもしれないと思わされる内容でした。傲慢な思い込みをせずに謙虚な気持ちで本を手に取ることの大切さを改めて思い知らされました。そうすることで学べることは多いから。 >> 続きを読む

        2018/08/09 by 香菜子

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      シークレット・カメラ ユダヤ人隔離居住区ルージ・ゲットーの記録

      GrossmanMendel , 落合恵子 , Dabba SmithFrank

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      • 第二次世界大戦中、ルージというユダヤ人が押し込められていたゲットーの様子を、必死に隠れて写真で撮り続けたメンデル・グロスマンという人がいた。

        メンデルは、自分自身もユダヤ人だったが、書類用の写真の作成を命じられていたので、写真の機材や暗室が与えられていた。

        もし見つかれば殺されるかもしれなかったが、後世に記録を残さねばならないと思い、ゲットーの中のユダヤ人たちを写真に撮り、そのうちのいくばくかが、奇跡的に戦後まで保存されて残った。

        メンデル自身は強制収容所に送られる途中、終戦の少し前に亡くなってしまったが、彼が撮った写真は、今では非常に貴重な記録となっているそうである。

        この本は、メンデルの写真に、文章を載せているもの。

        とても胸打たれる、すごい一冊だった。

        ゲットーの中のつらい理不尽な暮らしの様子。

        その中で、ほんのわずかなパンを分け合う優しい人々の様子。

        束の間、お互いに笑いあう人々の姿。

        歌とバイオリンの周りに集まり、束の間の楽しみを得ている人々の様子。

        これほどの過酷な絶望的な状況の中で、なおも助け合って、笑って生きようとした人々の姿には深い感動を覚えるし、その姿を克明に記録に残したメンデルの大きな人々への愛情にも、本当に胸を打たれる。

        大きな権力の前に、時に人はあまりにも無力で、不条理に押し流されるしかない時もあるかもしれない。
        しかし、その中でも、想像力や、愛する力は、それに対抗していける。
        そう書かれているあとがきのメッセージも、胸を打つものだった。
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        2013/04/19 by atsushi

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