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カテゴリー"司法、訴訟手続法"の書籍一覧

      裁判官はなぜ誤るのか

      秋山賢三

      2.0
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      • 〈概要〉
        著者は裁判官をつとめあげ、その後弁護士へと転職した経歴の持ち主で、その視点から「なぜ冤罪が起こるのか?」を司法の問題から論じる。主に裁判官や検察の問題を取り上げている。

        〈裁判官の問題点〉
        ・仕事量の多さに忙殺されて、1つの事件にそれほど気力を注げない。
        ・検察寄りの人間が多く、自白偏重の判決をしてしまう。自白は警察の過酷な取り調べで、無辜な人間が強要させられることも少なくないので、供述書に自白をしたことが書かれていても信用してはならないし、ことに公判で無罪を主張している人間の声には耳を傾けるべきである。
        ・前述の自白偏重、検察よりなど「疑わしきは被告人の利益に」を実践できていない。
        ・机上ではエリートだが社会に揉まれた経験がなく、一般市民との感覚の乖離が激しい。妻が海軍歴のある夫に11箇所の刺傷を負わせた殺害したとして有罪判決がだされた事件(徳島ラジオ商殺人事件)について著者は、妻の側に犯人とすれ違った時に負ったと茂子さん本人が供述している左脇腹の擦過傷をのぞいて、防御痕などの傷がないにも関わらずこの判決は疑問だと主張している(自分より肉体能力に優れた人間に11箇所も傷を負わせるとなれば、もみあいによる傷、刃物で刺すことにより自分に傷ができるはず)。
        ・日本では起訴をされたら有罪率99.9%(この数字は諸説あるようだが、非常に高い数字であることは間違いないようだ)なので裁判官は無意識に被告に対してどうせ犯人だと偏見をもってしまっている可能性がある。

        〈検察の問題点〉
        ・過酷な取り調べで、無理やり自白をさせて「容疑者」を犯人にさせる。
        ・証人に被告に不利な証言を強要する。リハーサルを何回もさせて、検察に都合のいい供述をでっちあげる。さらに証人にはリハーサル通りに供述しないと偽証罪になるぞと脅迫することもお手の物だという。
        ・犯人を決めつけて捜査する「見込み捜査」。
        ・被告に有利な証拠を提出せず、検察に有利な証拠提出しかしない。これは証拠にかぎらず、被告に有利な状況などは秘匿する傾向にあるらしい。すなわち被告が「犯人である」とことさらに強調しておいて、「犯人ではない」と示す証拠や状況は黙殺するという問題がある。

        〈改善するべき制度〉
        本書を読んで僕が改善するべきと思った制度を列挙する。
        ・検察は任意の証拠のみを提出すればいい(被告の無罪照明につながる証拠を提出する義務がない)。
        ・不可視な取り調べ(録画や録音によって可視化するべき)。
        ・人生を台無しにされた冤罪被害者には慰謝料やその後の生活の補償、それに加えて大々的な謝罪などをするべき。
        ・これは司法制度ではないがマスコミについてである。マスコミは冤罪問題を積極的に取り上げ国民に訴えるべきではないだろうか。現在では逮捕をされただけ、つまり容疑者の段階で実名報道をして犯罪者扱いしたり、警察の見込み捜査をセンセーショナルに取り上げたりとそれはもう素晴らしい仕事ぶりである。
        ・警察を監視する外部機関の設置。および警察や検察を裁くことのできる仕組みづくり。証拠の捏造や、証人への証言を強要、自白の強要などをしたことが発覚した場合、非常に厳しく罰するべき。


        〈感想〉
        著者の経歴からして鋭い意見を期待していたが、ほとんど既知のことや当たり前の主張しかされていなかったように思う。あとは文章がいまいちこなれてなかったり、単純に面白さに欠けたり、トピックが断片的でまとまりがやや悪く感じられたりと難ありと感じました。
         
        しかしそれでも、冤罪が起こる司法の構造や問題点はそこそこわかりやすく書かれていたので、冤罪や司法の現実について興味を持ち始めた人が読むのにはよいかもしれません。また、具体的な事件を取り上げて、有罪判決に疑問を投げかけ冤罪の恐ろしさを主張していたので冤罪問題についてイメージしやすかったことや身近な問題である痴漢冤罪と取り上げていたところはよかったと思います。
         
        それにつけても日本の司法のひどさを改めて実感しました。シンプソン事件なんかでも証拠の捏造に近いことがあったようなので、日本特有の問題ではないのやもしれませんが……それでも「疑わしきは罰せず」や検察に立証責任があると建前のある日本の有罪率の高さはすさまじいです。この数字を日本の警察の有能さを示すと解釈する人もいるようですが、僕も全面的に同意ですね。「真犯人」を作り上げることにかけては日本警察の素晴らしさを疑うことはできないでしょう。

        自白偏重+検察の意見を鵜呑みにしがちで「疑わしきは被告人の利益」を実践できない、つまり検察へのチェック機能が働いてない裁判官なども頼りないことこの上ない。近い未来に機械化が望まれます。
        >> 続きを読む

        2016/09/02 by けやきー

    • 1人が本棚登録しています
      逆転 アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判

      伊佐千尋

      5.0
      いいね! tatami
      • NHKのドラマを見た友人が面白かったと言うので原作を探して読みました。

        方言を標準語に直訳した事で起こる誤解。
        陪審制ゆえに起こせる「逆転」という奇跡。
        米軍に配慮した理不尽な判決。
        地元という事もあって興味深い作品でした。

        >> 続きを読む

        2017/11/09 by たたみ

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      裁判長!ここは懲役4年でどうすか

      北尾トロ

      2.0
      いいね!
      • 「裁判長!ここは懲役4年でどうすか 」裁判の傍聴記録…裁判を覗き見る
        http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-02-27 >> 続きを読む

        2015/04/25 by youmisa

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      裁判官の爆笑お言葉集

      長嶺超輝

      4.0
      いいね!
      • 笑った。とにかく笑った。ギャグとかではなくこんな人居るんだなあと言う笑い。
        裁判官が書いた本なので固いかなあと身構えましたが、とても読みやすかったとも記憶しています。 >> 続きを読む

        2015/03/23 by Logikoma41

    • 2人が本棚登録しています
      やっぱり!最後は本人訴訟

      住友瑞人

      5.0
      いいね!
      • 私は若輩者ながら、以前に「訴え」を起こそうと考えたことがありました。今回この本を読み、当時のことを思い出し、共感する面が多々ありました。
        特に、「弁護士事務所への飛び込み相談はやめましょう」という項目ですね。否定的な意見を言われたり、説教される、という内容だったのですが、まさにその通りだと思いました。

        当時、私が会社を辞めて通っていた専門学校での金銭トラブルがあり、訴えようとしたことがあります。その時の私は、法の知識も何もなく(今もですけど 笑)、法律事務所へ飛び込み相談に行く勇気もありませんでした。そんな時に小学校のときの知人が司法修習生になったという噂を聞き、その人を探し出して相談したことがあります。
        しかしその時に言われたのは、「どうして、この時に、こうしなかったのか?」「どうして、こう言われたときに、こう言い返さなかったのか?」というような話ばかりでした。過去のことをとやかく言われても、変えることなどもできないのに。。。司法試験を受かったから賢いことはよくわかりますが、やはり社会人経験を経ていないだけに、上から目線の説教ばかりをされ、結果「この人には頼らない」という考えが固まっただけでした。

        最終的に、知り合いの紹介で知り合った弁護士の方に助けてもらい、裁判に至らずに解決したものの、裁判に至ることになっていたら、この本で語られているように覚悟と度胸が必要だったと思います。

        この件で3人ほど弁護士の方とお話ししましたが、上記の弁護士の方以外の2名は本当に頭でっかちで「頼りたくないな」という印象を受けました。実際に、現実はこの本の内容通りだと思います。
        専門家に頼むのも1つなのかもしれませんが、筆者の方のように自分で調べて行動していくことの方が、自分の人生経験においても非常に貴重なものとなるように思います。
        そして何よりも、敗訴したときに人のせいにしない!というところがスッキリしていていいと思いました。
        >> 続きを読む

        2017/01/28 by JONATHAN

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      へんな判決

      のりたまみ

      3.0
      いいね!
      • 最初に書いてあるとおり、へんな判決があるということは、へんな訴えがあるということだ。
        まあ、文化の違いということはあるにしても、やはり戸惑ってしまう。
        それと、日本で言えば、俗に言うモンスター○○というやつかもしれない。
        >> 続きを読む

        2015/01/15 by けんとまん

      • コメント 2件
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      刑事事実認定重要判決50選

      植村立郎 , 小林充

      5.0
      いいね!
      • 本書は、友人との勉強会の際、部分的に使用しました。

        解説がとてもわかりやすいものが多かったです。
        これまで、一応は知っていたつもりだった最高裁判例について、理解があやふやだった点を、事実認定という観点からすっきりさせてくれるものでした。
        一緒に勉強してくれる友人たちのおかげもあって、扱った項目については、自信がもてるようになりました。

        今の私にはオーバースペックな項目も多々あったので、もっと勉強が進んだら、それらについても学びたいと思います。
        >> 続きを読む

        2014/11/02 by chuff

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