読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
佐々木圭一
1クリック登録
元博報堂のコピーライターである著者。55万部の大ヒット作である。「心を動かすコトバには法則がある」料理レシピのように、その手順通り作ればプロに近い味を出せるコトバの作り方。個々発信力を求められている時代。理由は「組織への疑い」「情報の洪水」・「イエス」に変わる3つのステップstep1自分の頭をそのままコトバにしないなんでもかんでもストレートに言うのはバクチと一緒。step2相手の頭の中を想像する。step3相手のメリットを一致するお願いを作る。・「イエス」に変わる「7つの切り口」step2のとっておき切り口1「相手のすきなこと」「できたてをご用意します。4分ほどお待ちいただけますか?」2「嫌いなこと回避」「芝生に入らないでださい」→「芝生に入ると、農薬の臭いがつきますよ」3「選択の自由」人は決断が得意ではない、人は2つの選択肢があるときの比較が得意。4「認められたい欲」5「あなた限定」人は「あなた限定」に弱い。6「チムワーク化」「いっしょに勉強しよう」7「感謝」「ありがとう」と感謝を伝えられると「ノー」とは言いにくい。・「強いコトバ」1サプライズ話法1番簡単なのは「!」をつける。「そうだ、京都にいこう」2ギャップ法「これは私の勝利ではない、あなたの勝利だ」オバマ前大統領3赤裸裸法あなたのコトバに体温を感じさせ、ときに詩人のようなニュアンスを作り出す。4リピート話法5クライマックス法1時間ちょっとで簡単に読めます。 >> 続きを読む
2020/05/25 by わくさん
阿川佐和子
聞く、聴く。とてもわかりやすい文章で綴られているので、一気に読んでしまった。出てくる方たちも、それぞれのカラーがでていて、なかなかの強者揃いだなあ~と。頷き、相槌をはじめとして、相手の話に対して反応するというのが基本。それが、わざとらしくないのが一番。でも、なかなかその域にはと思うが、まあ阿川さんのように、一歩一歩だ。相手の話の中に種を見つけてひろげていく。ひろげていくというか、相手が拡げていくように、寄り添うのでいいのだろうと思う。 >> 続きを読む
2018/01/23 by けんとまん
DiamondJared M. , 倉骨彰
3月の課題図書。現代世界における各社会間の不均衡についての疑問から、プロローグとして展開されていきます。世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか?なぜほかの形で分配されなかったのか?1万3000年にわたる人類史の謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、複数の環境的要因から解き明かされます。スペイン人とインカ帝国の激突について、食料生産について、家畜化できた動物について。人類が辿ってきた歴史を足元から知っていくようで、わくわくしながら読みました。ただ繰り返し述べていたり、無駄に長く感じたりする場面も多々あり、冗長さを感じながらですが。例えば将軍ピサロが皇帝アタワルパを捕虜にしたエピソードですが、なぜピサロが勝利したのか、おそらくほとんどの読者は簡単に想像できると思います。しかしその説明に多くのページ数をつぎ込んおり、内容のおもしろさよりも説明の不必要さにうんざりさせられました。それぞれの長々とした説明も、第3部「銃・病原菌・鉄の謎」で感染症の話になるとがらっと変わりました。今までの説明がこのためにあったのかとおもしろくなって!私たちは感染症対策で、自粛で我慢を経て、敵の情報収集を今まさにしているところです。ウイルスがどのようにやってきて、どれだけの人を殺したのか。病原菌の歴史を知ることがこんなに身近なことになるなんて、思ってもみませんでした。 >> 続きを読む
2020/12/09 by あすか
IyengarSheena. , 櫻井祐子
集団主義が重視されていた日本で育った自分には、「選択」こそ力であるというアメリカ的個人主義を子供に教えることは多分できない。でも自由に選択する権利が重要なのはよく分かるし、選択ができない子にはしたくない。色々考えさせられる。 >> 続きを読む
2013/06/15 by freaks004
3月の課題図書、下巻です。冒頭で書かれていた疑問、「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」。このアンサーである作者の持論が描かれています。人間社会の歴史の変遷の因果関係を地域ごとに展開していくには、いくらページがあっても足りない作業だと思います。しかし読んでいる方は繰り返し語られている部分も多く、上巻と同じ感想になってしまいますが冗長的と感じました。大陸ごとに異なる環境だったから、という視点はおもしろかったです。人間社会の歴史について学ぶなんて、いつ以来かな。課題図書でなければ出会わなかった本でした。上巻の「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」と下巻のエピローグが特に興味深く、読ませてもらいました。 >> 続きを読む
2020/12/12 by あすか
内田樹
一番苦手な部類の本か。ビジネスの本とか、この本の様に考えさせられるのは、あちらこちらで、躓くように読む手が止まってしまうので、いらちな私とすれば、終着駅がみえぬ各停に乗った様で、いらいらと。中身は、“日本人”とは、書かれていることは耳の痛いことばかりであるが、まさに日々仕事をしていて根底に流れる考えそのものである。「私たちは、たえず外を向いてきょろきょろして新しいものを外の世界に求めながら、そういうきょろきょろしている自分自身は一向に変わらない」(辛い、痛っ)「現実主義者は既成事実しか見ない。状況をおのれの発意によって変えることを彼らはしない。既に起きてしまって、趨勢が決したことに同意する。彼らにとっての「現実」には、「これから起きること」は含まれません。「既に起きたことだけが、現実なのです」我国の現実主義者は、過去への繋縛の中に生きている」(辛い、痛っ、一歩先へなかなか進めない)日本人同士で、あうんの呼吸で商売できた時代は良かったけれど、グローバルとか云われて、世界に向かってお商売しだすと、今迄の常識、ルールがまるっきり通用しない事にぶち当たる・・・・揉まれる内にだんだんこの日本人気質が変化を成し遂げるのか、30年、50年、100年スパンで見てみないとあきませんな。でも、大昔から外敵と交わりながら、変わらない日本人の基本的気質は普遍なのでしょうか。昭和生まれの私は気を揉みながらも、変わらぬまま死んでいくのでしょうな。 >> 続きを読む
2015/06/08 by ごまめ
山田玲司
キラークエスチョン~会話は「何を聞くか」で決まる~。山田玲司先生の著書。会話のコツ、コミュニケーションのコツは何を話すかではなくて、何を聞くかということ。質問力、キラークエスチョンができる力が円滑な人間関係につながることが学べる良書です。自分自身の反省になってしまうけれど、私は一方的に話しがちで人の話を聞かない馬耳東風になりがち。聞く力が足りないし、場違いでデリカシーにのない違う意味での「キラークエスチョン」をしてしまっていことも頻繁にあるかもと反省。 >> 続きを読む
2018/10/09 by 香菜子
松澤萬紀
毎日の行動を1%変えれば人生が変わる。CAとして12年、500万人のお客様の対応で気づいたこと... >> 続きを読む
2018/08/17 by motti
楠木建 , GrantAdam M.
自分の気になったところだけのまとめ。ギバー(与える者)は、自己犠牲型と他者志向型がある。前者は周りからの助けを素直に受け取ることができず、後者は周りからの助けを受け取ることができる。自己肯定感があるかどうかの様な気がする。ギバーは燃え尽きやすいが、誰かの役に立てているというフィードバックがあると頑張り続けることができる。誰かを助けられるという理由があると力を発揮できる。お金は自分に使うより他人に使うと幸福度が上がる。テイカー(奪う者)は、自分が得する事なら協力的になる。名声なども含まれる。ギバーがテイカーに騙されないようにするために、相手の求めている事をキャッチしておく事。それをうまく利用する事。人と同じで異なるを意識する。 >> 続きを読む
2020/03/28 by おつまみ
DaiGo
心を通わせるために必要な7つの要素場面把握、観察、アセンブリ、条件付け、マッチング、マーキング、話法それぞれについて詳しく書かれています。読んでいて、すぐにでも実践したくなりました。 >> 続きを読む
2016/04/28 by kanetaku
山竹伸二
今読むべき本と思った。この本のテーマは「いかに空虚な承認ゲームから脱し、自由の意識を取り戻すか」人間の欲求に関するモデルの多くは自己実現を最上位の欲求に置いているが、著者は承認欲求こそが人間の根幹にあると指摘する。人は権力に抑圧されやりたくないことをやっていると考えている。しかしそうではなく人々は権力に自分を認められたくてやりたくないことをやるのだ。現代は普遍的な価値観が崩壊し自由が蔓延った。これをやれば人に認められるという行いが失われた。なにかをすればどこからか批判が起きる。その中で私達が生きていくには一般的他者の視点を養うことである。自分の信念と反することを行うべき場面、一般的他者の視点と照らし合わせる。この行為は認められることなのか?それは認められない行為で自分は絶対にしたくないならばやらなければよい。いつかわかってもらえるさ・・・大事なのは自分で決めることである。自分の中に選択権を携えること。その自由を手放さないこと。承認を求め続ける自分には強く響く本だった。 >> 続きを読む
2016/04/10 by ryochan333
平木典子
言い方一つで仲良くなることもあれば悪くなることもある。自分の思惑と違う方向へコトが進んでしまうのはなぜか。ビジネスにおいて、見えない相手に対しても思いやる表現はどうすればよいか。そんな疑問の解決の糸口になればと思いこの本を読んだ。アサーションという言葉は知らなかったが、勉強になった。ドラえもんの静香ちゃんの言い方の例えが面白い。自分も相手も大切にする自己表現のヒントをもらったので少しずつ習慣化していきたいと思う。 >> 続きを読む
2019/03/09 by KameiKoji
平田オリザ
コミュ力って何?コミュ力つけたいってどうすれば良い?みたいなことを考えている自分には素晴らしく面白かった。それから、なぜ自分がここまで「演劇」に惹かれるのか、そのへんがわかった気がした。結局僕らは何者かを演じているわけで、ペルソナの総体が本質だったりするので、その辺をむしろ楽しんでしまおう、と。 >> 続きを読む
2017/12/28 by lafie
中野純
日本から闇が消えていくことへの警鐘。昨今の、暗闇における殺人や性犯罪多発から、われわれは闇を追放しようと考えがち。けれども悪いのは「闇」そのものではない。今更、昔の古き良き時代には戻れないとしたら、闇とどう向き合えばよいか、考えさせられる。 >> 続きを読む
2014/06/09 by junyo
JoyceColin. , 谷岡健彦
者は英国誌「デイリー・テレグラフ」東京特派員である、ロンドン東部生まれの30代男性。この本は彼が東京で見たものについて、筆致鋭く描かれており、その観察眼に感銘を受けつつ、大変面白く読ませていただきました。たとえば、イギリス人といえば、なんとなく寡黙な紳士を連想するのですが、筆者はそういう思い込みをあっさり否定し、イギリス人ならではのユーモアセンスを発揮しています。「車内アナウンスがなぜこんなに長いの?」「ああ、あれは乗客のために新聞を読んであげているのさ。込んでいて新聞を広げられないことが多いからね」といったぐあいに筆者は次々に、キレのあるジョークを繰りひろげます、いわく、旅人には新宿駅の改札で待っているとだけ言おう(※新宿は広すぎて出会えません・・・・)、また日本に来るように言おう、夏の猛暑の前の6月に・・・など。「イギリス人と日本人は似ているか」という章では、「似ているといっているのは日本人だけだ」とばっさり書いてありました。自分もロンドンに行ったとき、東京と似ているなと勝手ながら思っていましたが、ロンドンの人は東京に来ても似ているなんて思わないのでしょうね。そして自分がイギリスのテレビや新聞、サイトを見て思ったのは、日本というのはイギリスから見て興味のある国ではないのだ、ということです。イギリスのヤフーでさいきんトップになった日本ネタは、NOVA講師殺害事件、そしてルーシーさん殺害事件の判決・・・でした。その点、筆者も「キワモノ的な記事でないと日本の記事は載らない」と書いています。似ているか否かという問題では筆者は以下のように述べています。「 ぼくは日本人とイギリス人が似ているという意見には賛成できない。(中略)しかし、ふたつの国の間に何らかの結びつきが、指でつまむとぷっつり切れてしまいそうな細い糸が存在していることもぼくには否定できない。 」この婉曲表現、イギリス人の得意なジョークだと見なせば「まったくもって似てないよ!!」という意見なのかもしれませんね。イギリス人気質とでもいうものをとても感じさせてくれる本でした。 >> 続きを読む
2016/07/18 by みやま
JoyceColin. , 森田浩之
イギリスに行ったことのある方には面白く読める本。スコットランドの食べ物を揚げる文化など面白い内容もあり、読みやすい一冊だと思います。 >> 続きを読む
2015/04/20 by nepal
谷岡一郎
実際に行われた、いい加減であるとしか考えられないような社会調査の結果に対しての批判がなかなかにスカッとするものでした。社会調査全てが信憑性がないものとは思いませんが、これだけの杜撰な調査例を見ると、マスメディア各社は何か満足な結果を追い求めているように思えてしまいます。読了後は、「頼むから何も考えずに中立的な調査結果を示してくださいお願いします。」と言いたくなりました…本書で紹介されている、軸がどう考えてもおかしいグラフとイラストが組み合わされた図は必見です。 >> 続きを読む
2014/05/07 by moon_light
街場のシリーズは大学の授業を素材にしているそうです。なので、19才の女子大生になったつもりで読んでみました。( ←想像してはいけません)ウチダ先生の話は好きだし、構造主義の本も読んだからか、とても面白かった。>どのような事態も、それを「贈り物」だと考える人間の前では脅威的なものにはなりえません。みずからを被贈与者であると思いなす人間の前では、どのような「わけのわからない状況」も、そこから最大限の「価値」を引き出そうとする人間的努力を起動することができるからです。今遭遇している前代未聞の事態を、「自分宛の贈り物」だと思いなして、にこやかに、かつあふれるほどの好奇心を以てそれを迎え入れることのできる人間だけが、危機を生きのびることができる。現実から眼をそらしたり、くよくよ後悔したり、「誰のせいだ」と他責的な言葉づかいで現状を語ったり、まだ起きていないことについてあれこれ取り越し苦労したりしている人間には、残念ながら、この激動の時期を生き延びるチャンスはあまりないと思います。(本文より)医療や教育の荒廃は、行政とその存在理由を忘れた(ビジネス化した)メディアによって市場原理がそこに入ってきたことに大きな原因があると言います。「批判すればするほど、医療(教育)の水準は上がり、医療(教育)の質はよくなる」と行政とメディアは考える。病院に患者を「お客様」と呼ぶよう行政指導がされているという。つまり患者は「消費者」であり、病院は「店舗」であり、そこで医療サービスという「商品」が売り買いされている。患者は消費者なので、最低限の代価を以て、最大限の医療サービスを要求することを義務づけられる。メディアは常に消費者(患者や生徒)側に立った報道をする。こういう鋳型にはめてしまう。(結果クレイマーが増える。教育も同じ構造)しかし、「他人に仮借なく批判されればされるほど、知性の働きがよくなり、人格が円満になる」というようなことはありえない。(私も違うと思う。)社会的共通資本(人間が共同的に生きてゆく上で不可欠のもの)つまり、自然環境、道路電気水道ガスなど、教育・医療・金融・司法・行政などの制度は、政治にも市場にも委ねられてはならない。教育や医療に市場の原理を入れてはいけない。教育や医療は商品ではないし、政権が代わる度に教育や医療のシステムが代わっては困るのです。子どもを成熟に導くという人類学的機能と、政権や株価とは関係がない。社会的共通資本は、職業的専門家によって、専門的知見にもとづき、職業的規範にしたがって管理・維持されなければならない。変化することは「無条件によい」ことではないのです。しかし、メディアは常に(ビジネス的に)変化、つまり新しいこと(ニュース)を求める。変化への異常なまでの固執がある。(平和で何もありません、よかったね、では売れないからね)そもそも、メディアの使命は何か。それは「その情報を得ることによって、世界の成り立ちについての理解が深まるかどうか」「命がけの知を発信すること」。それが、ビジネスに成り下がっている・・・。他に、著作権、電子書籍、ミドルメディア、「読者」とは、「価値」とは、贈与経済・・・商売、金儲けと言えば言うほど、本当の価値や本当に大切なものが安くなってしまうような気がする。「取ろう取ろうは取られのもと」「欲しいと思ったらなくなる」「布施の心」・・・だね。コミュニケーションの基本は「ありがとう」の気持ち。>子どもたちの能力を上げようとしたら、とにかく苛烈な競争の中に叩き込めばいいと教育行政の人たちは考えている。・・・・そういう「弱肉強食」型のストレスをかければ、子どもたちは生き残りをかけてめちゃめちゃ勉強するようになるだろうと、・・・・なるはずがないんです。人間がその才能を爆発的に開花させるのは「他人のため」に働くときだからです。人の役に立ちたいと願うときにこそ、人間の能力は伸びる。(本文より)「世のため、人のため」自己中じゃダメってことね。しかも、競争のストレスなんてかけられて、力が出るわけない。とても勉強になりました。 >> 続きを読む
2014/03/20 by バカボン
橘玲
従前の日本人論をすべて覆す、まったく新しい日本人論。 3・11以後、マスメディアやインターネット上でさまざまなひとたちが「日本」や「日本人」について論じた。その論旨は、次の一文で要約できる。「日本の被災者は世界を感動させ、日本の政治は国民を絶望させた」。過剰な「日本」に溺れて、私たちは自分が何者で、世界がどんなところなのかを見失っている。はたして「日本人」とは何なのか。これまでの「日本人」のイメージは、すべて西欧社会がつくったものだった。それでも「日本人的なもの」があるとすれば、それはむしろ世間(ムラ社会)ではなく、世俗(神を信じずに功利的に生きる)の方にある。〝日本人性〟の謎を解くカギは、巷間いわれているような「空気=世間」ではなく、「水=世俗」にこそあるのだ。話題の本という事で、普段、本作のような評論文は読まないのですが、手に取ってみました。文章が平易で読みやすく、書いておられる持論にも目立った破綻なく、むしろ共感できる部分が多かったので、スイスイ読み進められました。著者が参考文献にしている多くの書物も、本来であれば一読必須と思われる書籍ばかり。様々な見識から、自らの「日本人論」を導き出し、文章化している技術は瞠目すべきものです。気になった記述をいくつか抜粋します。…「日本では人間関係は“場”から生まれる。“場”を失ってしまえば、私たちは孤独に戻っていくしかない。日本は本質的に「無縁社会」だった。“孤独死”が増えたのは高齢化のためで、グローバル資本主義やリーマンショック後の不況の為に、最近になって「社会の無縁化」が進んだわけではない。良いか悪いかとかではなく、これが日本人の運命なのだ。…日本の政治家が「正義」を語れないのは「国を愛せ」とか「家族を大事にしろ」というような情緒的な道徳しか持っていないからだ。政治哲学が不在で、政治評論しかない国では「正義」を巡る議論はもともと成立しないのだ。…だが、その一方で普天間基地移設や、原発事故問題で明らかになったのは、これまでの「ムラ社会」型全員一致方式ではもはや重要なことはなにひとつ決められないということだった。その仕組みを変えなくてはならないとするなら、私たちに残された選択肢は原理的にふたつしかない。ルール優先で決めるか、そうでなければ「独裁者」が決めるのだ。…オリンパスは統治なき日本の“素晴らしき伝統”そのものだ。その伝統は日本を破滅に追いやった陸軍や海軍の無責任体質と同じもので、戦後の官僚制度や政治制度にもそのまま引き継がれている。そもそも日本人の本質とは、権威を憎み、過度の自主性を好み、社会性が欠如している…とも読み取れました。僕も激しく同感しました。核心をつきつつ巻末では未来志向を記すあたりは、いささかあきたりないものがありましたが、良著でしょう。 >> 続きを読む
2014/12/16 by 課長代理
松岡正剛
どうやら人間の脳は、残忍なワニの脳と狡猾なネズミの脳を内包していてそれを大脳の理性でくるんでいる。だからふとした時にワニの残忍さやネズミの狡猾さが出てしまうのでそれをどうにかしなくてはいけない。その抑制のツールとして生まれてきたのが宗教だそうだ。「ばちがあたる」というのがそれに近しい感覚だと思う。人につらく当たったり不道徳なことをすると神罰がくだる。社会がこれだけ発展して人間関係も複雑になってきているのに原始宗教の名残が今でも息づいているのはすごいと思う。「アナタハカミヲシンジマスカ?」と面と向かって問われると「いいえ」と言うけれど、心のどこかに善の規範として神様を感じている。それを担保しているのが都市の中にひっそりと佇む神社だったりするのかもしれない。ゾロアスター教の二元論の考え方がユダヤ教などアブラハムの宗教の深いところに息づいていたり、インドで起こった仏教の考えが中国に入ると儒教と融合したり、ルネサンス期にキリスト教が科学をまえにして神をどう解釈していったか、というような営みを「編集」と呼んでいる。町の中にある初詣と厄払いにだけいく神社も、近代化された社会の中に編集されて息づく神様なんだろう。なるほど人間の文化の中で純粋に普遍のものとして受け継がれていくものなどないのだろう。一世代の継承を経るだけで大幅な編集が加えられてしまうことだってある。この本の中では人類の歴史の中で宗教や文化、学問がどのように編集されていったかをダイジェストではあるがドラマチックに描いてくれている。どのぐらいドラマチックかというと中学や高校で習って腑に落ちなかったものが全部すんなりと納得できてしまうのだ。文化や思想の「編集者」たる人物の感情や置かれていた社会状況をしっかり説明しているので物語としても面白く、それぞれの時代や地域でどのようなことが起こっていたのかさらに深く知りたくなる。17歳のために最適な本であるだけでなく、17歳の二倍の34歳の僕が読んでも知識欲をさらに書き立ててくれる本だった。 >> 続きを読む
2018/02/28 by Nagatarock
カテゴリー"社会学"の書籍一覧 | 読書ログ
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本