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カテゴリー"社会病理"の書籍一覧

      殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

      清水潔

      4.5
      いいね!
      • 目を引く表紙につられて購入。

        足利事件、確かに聞いたことがあったが、1人の記者の働きで
        冤罪判決まで向かっていったことは驚きだった。

        こういうものを見ると警察が信用できなくなるし、
        いざ自分がそうなったらと思うと非常に怖い。
        痴漢の容疑者になったら逃げろ、というのもわかる気がする。

        冤罪という可能性がある限り、「容疑者に死刑執行を!」
        と気軽には言えないと思った。

        後半、少し蛇足っぽくなってしまっていたのが残念
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        2017/05/02 by highsee

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      心にナイフをしのばせて

      奥野修司

      3.4
      いいね! Tukiwami
      • 大切な家族を、ある日突然誰かに殺されてしまったら。
        こういう想像を、軽くでなく真剣に我が事として考えてみるひとはいないだろうと思う。
        ひとは、殺人事件になど巻き込まれないと根拠もなく思い込んでいる。わたしを含めて。

        本書は、高校生になった少年が同級生に無残に殺された事件の被害者を丁寧に取材して書かれた一冊だ。
        こういった事件が起きると、わたしたちの関心は加害者の心情や背景にばかり行きがちだ。
        そういったものを知ることにより、自分や自分の関係者が加害者にならない術を見つけたい。わたしはそう思うことと、単純な好奇心から事件を扱うルポルタージュをよく読む。
        でも結局いつも、加害者の心情を知っても理解が出来たことなどまず無い。
        例えば誰かに絡まれて、振りほどいた手が強すぎたためか相手が転倒して頭を打って死んだ。
        こういった偶発的な殺人事件なら、どっちが被害者だかわからないということなどから加害者の気持ちも理解しやすい。
        しかし、はなから殺すつもり、それも恨みとかいったものでなく単に殺したいからという理由で殺人を犯せる人間の気持ちなど理解出来るわけがない。理解出来たときは、きっと自分も同じことをしているだろうから。

        本書で扱うのは加害者側でなく、被害者遺族だ。
        ここに本書を読んでおいたほうがいいと言える価値がある。
        殺された少年はとてもいい子で、といった被害者賛美で終わるのでなく、遺された家族の終わることのない苦しみが描かれていることが大切だ。
        事件を報道によって知った人間が、事件のことを忘れてしまっても被害者の苦しみは形を変えながらつづく。
        本書で扱うように、加害者が少年なら尚更悲惨なことだろう。
        僅か数年で加害者は何も無かった顔で社会に戻ってしまう。更生したということにされて。

        更生は、目に見えるものではないし、数値で表されるものでもない、試験もないのに何を基準に判断するのだろう。
        被害者遺族に、更生を認めますと決める権利もない。
        制度ありきの日本のやり方は、被害者遺族に皺がより過ぎている。

        本書は、司法にも一石を投じた一冊だ。
        ルポルタージュなら中立であることが前提だとは思うが、亡くなったひとは言い訳も出来ないのだから、どちらかに比重を置くなら被害者側だろうと思う。
        加害者の更生や社会復帰といった過剰な人権保護ばかりで、被害者遺族は置き去りという我が国の状況を僅かながらでも改善させるきっかけを作った。
        ひとを殺した人間には手厚く保護をするのに、殺された側の人間は勝手に乗り越えろということには憤りしかない。
        わたしは最近になって本書の存在を知ったのだが、ひとりでも多くのひとに読んでもらい、被害者遺族の気持ちを忖度することから始めてもらえたらと思う。
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        2015/09/06 by jhm

      • コメント 8件
    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      自殺

      末井昭

      3.2
      いいね!
      • 友人が数年前の2月に自殺しました。
        鬱でした。
        今でも友人のことを考えると「なぜ?」ということしか頭に浮かびません。
        鬱なんだからと思ってもやはり「なぜ?」と涙が出ます。

        母親がダイナマイト自殺した作者の末井さんが書いた「自殺」

        とてもやさしい文章で書かれています。
        色々な経験をしてきて、悲しさも苦しさも知った人が、自殺しようとする人を止まらせるために書いているやさしい文章だということが伝わります。

        「誰かのためになる、誰かのことを真剣に思うことで、人は孤独ということから逃れられ、気持ちが豊かになるのかもしれません」

        「人は自分のことしか考えないということが絶望だとしたら、人のことを真剣に考えることは希望です。だから世界は希望に溢れていると、僕は驚きながら思ったのです。」

        印象に残っている文章です。

        「なぜ?」の答えを見つけたくて選んだ「自殺」でした。
        しかし友人は失ったけれど、「なぜ?」と友人のことを真剣に考えている私は孤独ではない。
        そんなことを気づかせてくれた本でした。


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        2017/02/16 by 寺嶋文

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      異常快楽殺人

      平山夢明

      4.0
      いいね!
      • とにかくグロイ。実際に起こった大量殺人事件。犯罪者七人のエピソード。遠い昔の事件と思いきや、そんなに昔でないことにビックリした。人肉を食べる・・・想像もつかない犯罪者の心理にとても恐怖を感じた。
        評価を高くしていいものか?ちょっと自分自身に不安もあったが、ホラー的要素満載なので、これはこれでいいと思う。お陰で、しばらく肉系のモノが喉を通らなかった。ダイエットしたい人にはおススメかも!?
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        2017/02/06 by はなぴょん

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      歌舞伎町案内人

      李小牧 , 根本直樹

      4.5
      いいね! ice
      • 一般人でも気軽に足を踏み入れる事のできる場所、歌舞伎町。
        でも裏にはこんな世界が広がっている。
        キャッチではなく、案内人。
        そこに彼のプライドが見える。
        一生知る事のできない裏社会を垣間見る事ができて
        非常にスリリングでおもしろい!
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        2012/07/20 by アスラン

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気

      月乃光司 , 西原理恵子

      5.0
      いいね! Tukiwami
      • 西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気。西原理恵子先生の著書。アルコール依存症についての理解が深まる良書です。アルコール依存症のご家族をお持ちであった西原理恵子先生の実体験に基づくお話なので、とても参考になる内容ばかり。 >> 続きを読む

        2019/01/13 by 香菜子

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      凶悪 ある死刑囚の告発

      新潮社

      2.6
      いいね!
      • 延命目的、復讐心、贖罪。死刑判決を受けた人が、公になっていない
        事件を獄中から告発するには、様々な動機があるのだろう。

        東京・小菅拘置所に収監されている知人を介して新潮社の編集者に
        もたらされた情報は、のちに「上申書殺人事件」と呼ばれるように
        なる事件のきっかけだった。

        告発を行ったのは元暴力団員。身寄りのない資産家、借金苦に陥った
        会社経営者等を殺害し、大金を手にした「先生」と呼ばれる不動産
        ブローカーがいる。

        最初は懐疑的な思いを抱いた編集者だが、元暴力団員との手紙のやり
        取り・面会を通じて得た情報の裏付け取材をするうちに、告発が信頼
        に値するものだと感じ、月刊誌「新潮45」に記事を掲載する。

        隠され続けて来た事件の内容の酷さに背筋が寒くなると共に、この
        不動産ブローカーが係わった事件以外にも日本国内で失踪や自殺・
        病死として片づけられた裏側で、似たような事件が隠匿され続け
        ているのではないかと感じた。

        元暴力団員が告発した事件は3件だが、「上申書殺人事件」として
        不動産ブローカーが裁かれたのは事件に関連した会社経営者の家族
        が自白した1件のみ。

        事件の衝撃もさることながら、雑誌メディアが掲載した記事が警察・
        検察を動かした稀有な例であろうと思う。

        「新潮45」が本事件を掲載したのは2005年。「文庫版あとがき」で
        は雑誌メディアの可能性に紙数を割いている。安倍チルドレンの杉田
        水脈議員の論文掲載をきっかけとして休刊してしまった今になってみ
        れば虚しさが残る。

        表に出ていない事件を掘り起したノンフィクションとしては秀逸だし、
        各事件の内容が生々しく迫って来る。ただ、時系列が行ったり来たり
        するのはもう少し整理できなかったかと感じた。
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        2018/11/14 by sasha

    • 他1人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      桶川ストーカー殺人事件 遺言

      清水潔

      4.8
      いいね!
      • 「世界仰天ニュース」で再現ドラマ化されていました。あの再現ドラマで上尾署に赴き、まったく聞く気もない警察に対しこの事件の真実を記事にすると叫んだ記者が、この清水記者だったのですね。
        その番組では詩織さんが殺害された時の警察の記者会見映像も流れ、ニヤニヤとした笑いを浮かべながら事件の様子を説明した警察の気持ちの悪さが忘れられない。

        この事件で警察が叩かれ、その後「ストーカー規制法」が制定されたことは知っていたけれど、ここまでひどい話だとは思いませんでした。
        正直FOCUSという雑誌にはセンセーショナルな写真とタイトルの、どこまで本当かわからない二流紙、というイメージを持っていました。でも地道な取材と決して揺るがない意思でこんなにも骨太な記事を掲載していたのですね。
        自分の命の危険も感じながら警察という大きな組織を敵に回してこんな記事を書いた記者と、それを許した編集長がすごいなと思った。
        >> 続きを読む

        2017/01/04 by rieko

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      殺人者はいかに誕生したか 「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く

      長谷川博一

      4.5
      いいね!
      • テレビのニュースや新聞で目にする凶悪犯罪者は残酷で気狂いで到底理解できない人だと思っていた。ところがこの本を読み、子どもの頃に父親の暴力や母親から愛情を注がれないなど家庭環境が悪かったり、身体障害が故に心無い言葉やいじめを受けたりと心に傷を負う「被害者」である彼らをみた。母親に「生まれてこなければよかった」と言われた思いは考えただけで涙が出そう。だからといって殺人は許されない。どうすれば彼らを、彼らのような人を「加害者」になる前に救えるんやろう。 >> 続きを読む

        2016/11/26 by shiho

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    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      「少年A」この子を生んで… 父と母悔恨の手記

      少年Aの父母

      3.0
      いいね!
      • 淡々と綴られる少年Aの父親の日記。当時、少年Aによるこの事件は衝撃的であった。現在では、犯罪の低年齢化が問題視されているが、この事件では、少年による猟奇殺人という点で衝撃的であった。日記によれば、少年Aが持つ火種はあった。しかし、残念ながら、異常性、猟奇性を探り当てるところまでは行けなかった。何十億人もの人間がいる現在において、大人であっても自分を制御できず、社会的規範から外れた行動をする人間はたくさんいるのに、自分を制御できない少年が大人と同じ異常性、猟奇性を持つというのは非常に怖い事だと思う。 >> 続きを読む

        2016/11/20 by zunbe

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      音羽幼女殺害事件 山田みつ子の「心の闇」

      佐木隆三

      3.0
      いいね! mamet
      • 音羽事件の事が良くわかります。
        あまり作者の私情や考えなどが挟まれていないのが良かったです。
        裁判の内容が多く、結局のところ何故そうなったのかは分かりませんが、裁判は
        被告人の心情ばかりが話されているので、被告人に同情してしまいそうです。
        被害者の両親の気持ちを考えると、怒りを覚えます。被告人の気持ちの推移が、事件の日に近づくにつれて、恐ろしいものになっていきます。こんな考え方をする人が身近にいたらと背筋が凍る思いです。実際に理解するのは難しいでしょう。夫も理解出来なかったのですから。
        結果が全てで、幼い2才の子供を殺害した被告人が全て悪いのではないかと、理由はどうあれ、なくなった女の子が本当にかわいそうです。本当にあってはならない事だと思います。
        >> 続きを読む

        2015/09/05 by まめたん

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      貧困大国アメリカ ルポ

      つつみみか

      4.4
      いいね!
      • オバマ政権が誕生する前の、ブッシュの時代に書かれたものだけれど、とても考えさせられる。
        民営化してはならないものがあること。
        市場化の結果としての、危機管理も医療も教育も、悲惨な状態のアメリカの現実。

        日本はこうなってはならないと思うけれど、この方向に行ってしまってるかもしれないと読んでいて思った。

        著者は、「経済重視型の民主主義」と「いのちをものさしにした民主主義」の二つの違いと対立を指摘している。
        つまり、新自由主義の市場主義と、民営化してはならない領域については人権を重視する姿勢の二つである。
        おそらく、日本は、この二つがいませめぎ合っている状態なのだと思う。
        いまSEALDsがやっているのは、後者の立場からの前者へのプロテストなのかもしれない。

        この本には、経済的な苦境のために軍隊に志願せざるを得ない人々の様子が詳細に描かれていた。
        安倍政権が労働環境の改悪と安全保障関連法案を同時に進めるのは、単に偶然ではないのかもしれない。
        アメリカ式のそうしたシステム、苦境に陥った人々が結果として軍隊を志願せざるを得ないシステム、つまり「経済的徴兵制」の導入のためと考えると、わりとすんなりとこの二つがセットである理由がわかる気はしてくる。
        うがち過ぎた見方だろうか。
        しかし、この本を通じてアメリカの現実を見ていると、どうにもそんな近未来が心配されてくる。

        この本の中に紹介されている、子どもの医療費のために借金を抱えたトラック運転手が、その返済のためにイラクで輸送の仕事をし、兵隊にはペットボトルが渡されるが運送業者は現地の水を飲まされ、劣化ウラン弾に汚染された水で白血病にかかったという事例は、悲惨過ぎて言葉を失う。

        日本も安倍政権のもと、雇用環境の劣化と軍事行動の範囲拡大が進めば、自衛隊の行動にあわせて、アメリカのようにトラック運転手等が民間会社によって戦地に送りこまれ、悲惨な死や病気に陥る、ということも近い将来にありえるのかもしれない。

        杞憂に終わればいいのだけれど。
        日本の将来について考えさせられる、2000年代のアメリカの現実についての本だった。
        多くの人に、あらためて一読をおすすめしたい。
        >> 続きを読む

        2015/07/22 by atsushi

      • コメント 2件
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      〈株〉貧困大国アメリカ

      つつみみか

      4.3
      いいね!
      •  本書を読むと、今の米国政府の背後にいる「巨大多国籍企業」の政治に与える影響力の大きさがよく分かります。
         そして、それらの企業が行なう“貧困ビジネス”を政府が手助けする構図がくっきりと浮かび上がってきます。
         まさに企業における経営者と大株主の関係です。お互い、持ちつ持たれつということですね。
         政策や法律への無関心は、結局は自分たちの首を絞めることになります。日本も他人事ではありません。
         現在の米国の姿は、日本の10年後の姿。「他山の石」として活かしたいところです。 

         詳細なレビューはこちらです↓
        http://maemuki-blog.com/shohyou/yononaka/tsutsumi-kabu/
        >> 続きを読む

        2013/08/03 by ヨッシィー

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    • 9人が本棚登録しています
      告発・現代の人身売買 奴隷にされる女性と子ども

      BatstoneDavid B , 山岡万里子

      3.5
      いいね!
      •  アメリカのリンカーン大統領が奴隷解放宣言を出したのは1862年であり、人類の歴史の中ではそれほど昔ではない。ちなみに日本では明治維新が起こり、元号が「明治」に改元されたのが1868年である。

         少なくとも現代社会では「合法的な」奴隷制度は無くなり、一般的には奴隷は禁止されているというのが常識となっている。

         しかしながら、違法行為だからといってそれが全くなくなったわけではないことは言うまでもない。

         現代でも人身売買というものは行われている。もちろん昔のように奴隷市場があるわけではないが、金を出せば何でも買えるいわゆる闇市(ブラックマーケット)には、人間もまた取引の対象となる。そこに人権などない。

         人身売買と言えば発展途上国や紛争国を想像される方もいるかもしれない。確かに本書で紹介される人身売買の多くは途上国が舞台となっている。だからといって先進国が全く関係ないわけではない。

         本書の序章ではアメリカ合衆国における人身売買が紹介されている。具体的にはアジアやアフリカなどの外国から子どもや少女を「輸入」して、家事労働や性的な奉仕などをさせていた事例が紹介されている。

         かつての奴隷、たとえばアメリカ南部の綿花農場で働かされていた奴隷には、屈強な男性が求められた。しかし今の人身売買の対象とされるのは、小さな子供や若い少女たちである。若い少女たちは売春の「商品」として、少年たちは工場の労働力、紛争地では兵士として売られたり、誘拐されたりする。

         もちろん大人の人身売買が無いというわけではない。ただ、現代の人身売買の特徴としては力のある大人たちではなく、力の無い女性や子供たちを対象にすることが多い。

         それは、生活力の乏しい子供や女性ならば、逃亡や反抗の危険性が少ないからだという。

         こういった人身売買を可哀想とは思うけれど、外国の話なので自分たちには関係がないと考える人もいるかもしれない。しかし、先述したようにアメリカやヨーロッパでも人身売買で買われてきた人たちがいるのである。

         経済や社会がグローバルになった分、国際的な非合法取引、人身売買だけでなく違法薬物や武器などの取引も活発化している。世界全体で進む極端な富の偏在(いわゆる貧富の差)もそういった違法取引を助長させる要因となっているのだ。

         日本も例外ではない。日本社会は国際的に見ると子供や女性の人権侵害疎い部分があるといわれている。歓楽街で働く外国人女性のうち、一体どれだけの人が「合法的」に入国しているだろうか。また、たとえ合法的であったとしても(外国人妻など)、夫婦関係の不和などで苦境に立たされる人も少なくない。

         経済的な問題は「自己責任」で切り捨てる人も日本では多いが、生活力の弱い女性や子供たちを見捨てていたら、暴力団やマフィアの食い物にされることは目に見えている。実際障碍者やお年寄りの年金やホームレスの生活保護を奪い取る違法組織の手口は何度も報道されているだろう。

         現代社会は昔とは違う。世界は常に変わってきている。未来を担う子供や女性たちをいかに守り、いかに正義を構築していくか。これは国に関係なく、あらゆる人たちが考えなければいけない課題ではないだろうか。
        >> 続きを読む

        2015/08/17 by ぽんぽん

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      それでもヤクザはやってくる 暴力団vs飲食店経営者のあくなき闘い

      宮本照夫

      4.0
      いいね!
      • 前作に続き、暴力団と戦う飲み屋の店主の奮闘記。

        期待を裏切らないエピソードと登場人物で前作同様楽しめる。

        多少脚色を感じるが、あまりにも強烈なキャラクターが登場し、四苦八苦する著者の苦悩と捌き方に興味を覚える。

        書籍の魅力として「別の人間の人生を追体験できること」は非常に大きいと考えているが、本作でも全国に名を知られる歓楽街川崎で、暴力団関係者お断りを掲げ、飲み屋を経営する店長の生き様からは確実に得るものが有る。

        実は非常に重い内容が続いているのだが、読後に爽快感を感じるのが宮本氏作品の特徴と思われる。

        壮絶な戦いを軽妙に面白い作品に仕上げる技術は、既に飲み屋の親父の域を超えている
        >> 続きを読む

        2012/09/11 by ice

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      戒厳令下の山口組 日本アウトロー史)

      飯干晃一

      4.0
      いいね!
      • 三代目組長を失い弱体化の一途を辿る山口組の実態。
        組織というもの、リーダーというものについての理解が深まる。

        反社会的組織では有るがヤクザ社会は一般社会を考える材料として有効と考えている。

        厳しい上下関係や盃による擬似的な親兄弟関係など、有る意味では一般社会よりも
        整然と統制された社会とも言える。

        本作では、歴史に名を残す名組長、田岡一雄氏の死去に伴う山口組激震を描いている。

        各所に田岡組長が偉大過ぎて四代目が育たなかったというような論旨が見られるが、
        誤解を恐れずに言えば、自分が死んだ後の組織運営までを考える必要は無いと思う。

        彼は戦後復興の中、全力投球して組織を磐石なものにして来たわけで
        残された者は当然その莫大な遺産継承に伴い、リスクは背負うべきと考えるからで有る。
        親分が育てなかったのではなく、子分が育たなかったのだと考えたい。

        一般社会でも、リスクは全く取りたく無いものの、会社から自分個人に対して、
        どれだけの利益を引き出せるかということに執着する者がいる。

        そもそも、そういう人間は人間としての品性が激しく低く組長の器ではないのは明白で有る。
        田岡組長は全く登場しないのだが、ますますその人物像に興味が沸く。
        >> 続きを読む

        2007/12/15 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      御直披 レイプ被害者が闘った、勇気の記録

      板谷利加子

      4.0
      いいね!
      • レイプ被害者と専任警察官との往復書簡。

        非常に重いテーマながら、万人を勇気付ける感動作品。

        レイプの被害に遭ってしまった女性から、女性警察官のみで新設された性犯罪捜査係に所属する警察官へ手紙が届く。

        これがきっかけで往復することになる書簡をベースに、立ち直ろうと努力する女性と、真摯に励まそうとする警察官の心温まる交流。

        テーマがテーマだけに、目を背けたくなるような記述も存在するが、全体を通して2人の女性の優しさが溢れている。

        性犯罪の抑制や被害者を受け入れる社会の啓蒙という目的は、もちろん有りつつも、人と人との交流をテーマにした小説としても十二分に読み応えが有る。

        職業の範疇を大きく超えて、被害者の精神面の救済に情熱を燃やす警察官には頭が下がる。
        >> 続きを読む

        2011/02/16 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      愛犬家連続殺人

      志麻永幸

      いいね!
      • 絶版でネットでは高額で売買される今作。たまたまブックオフをぶらついていた時に発見
        競取りも一時期からするとブームが去った感があるが、やる人の気持ちがよく分かった今日この頃(今の所売る予定はない)。

        園子温の「冷たい熱帯魚」の元ネタで知られる今作。
        DVDで後追いで見たが、鑑賞後、本当に圧倒された。凄惨な描写も凄かったけれど、やはりでんでんのサイコパス演技が特に際立っていた。

        この本を読んで、「為になった」とか「人生に役立つ」なんてことは一切ないということを最初に断っておきたい。
        それでもこんなに一気に読まされてしまうのは、映画とほぼ変わらない、いやいや、むしろ映画より狂っている関根元という男のキャラクター性の強さ故。

        物語は殺人鬼・関根元の手伝いをさせられていた山崎の視点から書かれている。
        実は山崎はブルドックの繁殖事業で成功しており、いっぱしの実業家だったりするわけだが、基本的にはごく普通の一般人だといって差し支えないと思う。
        そんな彼が気がつけば殺人(正確には死体遺棄、作中でもそこがひとつ重要なポイントとなる)の片棒を担がされる。ふとした拍子に。
        やはり暴力の前では理性的であることがどんなに無意味かが書かれていて、くらくらする。
        向こうは当然、こちらの都合など一切関係がないのだ。

        世界的に起こってるテロなりなんなりの暴力も、関根元も、根本的には似ていると思う。
        私たちの感情なんて気にせず、それは突発的にやってくる。こちらの理屈などまったく関係ない。
        上記で、理性的であることは、理屈無き暴力の前で無意味だと書いたが、
        それでも理性的である以外に私たちに、彼らに対抗する術はない。こちらも暴力で返す訳にはいかない。一応、私もまだ人間でありたいから。

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        2017/01/04 by れのお

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      歌舞伎町案内人

      李小牧

      5.0
      いいね! ice
      • 新宿歌舞伎町を拠点に外国人相手に娯楽をガイドする中国人。

        前作があまりにも強烈な印象を残していたため期待Maxで手に取ったが、それでも!やっぱり!面白い!

        多読なわりに読んだらすぐに忘れてしまう方なので詳細は全く覚えていないのだが、とにかく刺激的で面白かった印象が強い前作。
        その続編が出ていることは知っていたが、これまで読まずに大事に取って置き、満を持して手に取った。

        予想、いや覚悟していたのはあれだけ面白かった作品の続編なので、どうしてもガッカリするのは仕方が無かろうということ。
        しかしそれがものの見事に良い方向に裏切られた。

        著者の文才はもちろん認めるところでは有るが、なんと言っても世界に冠たる新宿歌舞伎町というロケーションが抜群に面白い。
        眠らない街という言葉がこれほどしっくり来る街も他には無いのでは無かろうか。

        ケンカ、ヤクザ、賭博、性風俗。それを求めて集まる人々。それを守り、取り締まるヤクザと警察。
        剥き身の感情が交錯するような躍動感が行間から溢れて来るようだ。

        誇れることでも無いのだが、現実世界ではこれらには全く縁が無いため、対極に位置するものに対しての興味なのだと思うが、これまでコレ系の本は相当数読んで来ている。

        そんな中で前作、本作と連発で圧倒的な満足度を与えてくれるのは、きっと現場の息吹が伝わって来ることなのではなかろうか。

        外国人向けガイド。きっと著者には嫌がられてしまうが、分かりやすく言えばキャッチセールスとかポン引きとか言われる職業で有る。
        その性質上、常に歌舞伎町の外に立ち、その目で現場を見続けて来た視点にしかない臨場感が大きいように思う。

        また、自らを全く飾らない著者の姿勢にも共感を覚えてしまう。

        ヤバイと思ったらなりふり構わず頭を下げまくったり、部下のために身体を張ってボコボコにされたり。
        ギャンブルにハマったり結婚離婚を繰り返したり。

        そんな自分を曝け出した上で、それでも魅力的に映るのが、男の色気なのかもしれない。

        それでいながら、深夜に一人で歩いても、それほど危険を感じない安全性が歌舞伎町の本当の凄さなのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2012/07/14 by ice

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      武闘派三代目山口組若頭

      溝口敦

      4.0
      いいね!
      • 伝説の親分 田岡組長の、伝説の子分 山本健一氏の半生。

        武闘派のイメージが強い「ヤマ健」だが、繊細な大人物という改めて認識。

        日本最大のヤクザ組織 山口組。
        その成立の仮定で、数々の抗争が繰り広げられ、その多くで自ら体を張って、対立組織を葬って来た伝説の武闘派「ヤマ健」。

        とにかく田岡組長を一途に支えるバリバリの武闘派というイメージが摺りこまれていたが、文才も有り、達筆で計算も速いとインテリな一面も有り、また、身内には非常に優しかったという素敵な人だったらしい。

        これまで何冊も同種の作品を読んで来たが、本作品を読んで初めて、ヤマ健、ボンノなど、当時の山口組の有力者について、自身の中で、少しキャラクターが確立して来たように思う。

        三代目若頭まで上り詰め、四代目の襲名も確実視されるほどの有力者だが、最終的には、敬愛する田岡組長の後を追うように、亡くなった辺りも子分としての立場をわきまえ、散り際を飾ったと言えるのではなかろうか。

        とは言えヤクザはヤクザ。美化された面だけにごまかされてはならない。
        >> 続きを読む

        2011/07/05 by ice

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