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大熊一夫
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日本の精神保健における私立病院主義の成り立ちと悲惨な数々の事例から、日本の精神医療の暗い歴史が生み出した監禁中心主義的性格を糾弾したうえで、精神病院の廃絶に成功したイタリア・トリエステの例を挙げ、効果が高くコスト面でも精神病院に劣らない、在宅を中心とした地域精神保健サービスによる治療が訴えられています。日本のような実質的に治療より隔離が目的となってしまう精神病院偏重でもなく、かといって精神病院から解放された患者たちがホームレス化してしまうアメリカのように放置するわけでもない、第三の道として地域精神保健サービス網の整備によって現実的な精神病治癒が可能となっていることを明示する本書の役割は大きいのではないでしょうか。精神病院における患者の人権を踏みにじる残酷な虐待の事例については、日本だけではなく精神病院廃絶、または縮小に進む以前の時点での欧州でも多く見られていたことも随所で取り上げられています。以下は印象に残ったものを一部列挙しています。・「根っからの障害者蔑視主義の院長が経営する施設強制収容所」・職員水増しによる医療費詐欺・懲罰のための電気ショック・バットで殴るなども含めた、殴る蹴るの暴行による患者の死亡・高齢の入院者が紐で犬のようにつながれていた・取り締まる立場の地方自治体や厚生労働省が患者の味方ではなかった・精神病院の福祉への横滑りについての危惧・日本の精神保健は病院経営の都合が第一、患者の身の上は二の次・「日本の行政機関は精神病院をコントロールできていない」・日本精神科病院協会のロビー活動・「精神の病気というより、精神病院が原因の病気の人がいっぱいいました」・「多くの医者は実は本物の改革に乗りきではない」(病院の方が楽で高収入)・「精神病院は必要悪」という思い込みはこのイタリア旅行で吹き飛んだ・「死ぬまで精神病院にいろ、なんて、哀れだよね。日本は冷たい国だ」・ホームレスの60%近くは本来なら医療の網にひっかかる人びと・「実はここ(精神病院)は監獄なのだ」・「大事なのは勝利ではなく、説き伏せること」・「他害の恐れがあるかどうかは、警察の判断に任せるべきことで、精神科医の仕事ではない」・人出と説得技術、濃厚なコミュニケーション、信頼感、連帯感、対等な人間関係・精神病院廃絶後に精神病に結び付く犯罪が増えたという証拠はない・「彼は、批判されようが抵抗されようが、その相手を敵とはみなしません」(フランコ・バザーリオについて)・「精神病棟への大量収容」という社会現象が残っているのは日本社会だけ・”発展途上国並み”の精神保健・「日本の精神医療の主流は、いまだに私立精神病院への入院主義」・万人の心に宿る”オッカナイ人々”という、固定観念・「トリエステで始めた精神保健改革の一番のポイントは「狂人(マット)の復権」」 >> 続きを読む
2020/07/28 by ikawaArise
内橋克人
知らない真実がたくさんあるはず。読んでみたいです。
2014/09/16 by snoopy
高橋哲哉
タイトルが気になって読んでみました。 でも正直 微妙・・・。 勢いにまかせて書いてしまった感があります。 個人的には 内容を鵜呑みにせず、 今回の大震災のことや沖縄のことを 自分なりに調べたり考えてみたりする きっかけにすれば良いのではないか、 という考えに着地しました。 今度の選挙では これらの解釈も避けて通れない部分ですよね。 そして、TPP。 恥ずかしながら賛成意見も反対意見も よく理解できていないのが現状です。 これから遅ればせながら情報収集したいと思います。 >> 続きを読む
2015/02/03 by kengo
長倉洋海
子どもたちは、本当によく見ているし、考えている。それがわかる。そして、子どもは未来・希望だ(月並みだが)。そんな中、 『大人の人たちは、「福島原発」というふうに言う。でも、本当は、東京の電力なのに、福島がわるいっていっているようで、ちょっとつらいです。』という子どもの言葉が突き刺さる。この言葉を聞いて、大人は何が言えるだろうか?こういう例は、きっと、あちらこちらにあるのだと思う。目に見えないというだけで、関係しているにも関わらず、他人事として考えている人の、なんと多いことか。 >> 続きを読む
2015/08/08 by けんとまん
古市憲寿 , 上野千鶴子
対談式の本は今までは何だか堅苦しそうで敬遠していて、今回初めて手にしたけれど、上野氏のざっくばらんな口調から、まるで自分がその場で第3者として聞いているような感じで、サクサク読めた。実は自分も何となく感じていた親の介護への不安、そしてさらに自分の老後の不安。これらについての古市氏の質問に、上野氏が小気味よくスパスパッと現状とこのままで起こるだろう展望を分析、解析していく。本当に笑っちゃうくらい、あけすけ、明確に回答が返ってくる。でも内容は笑ってばかりはいられないもの。問題は、今の若者たちが現状に漠然とした不安は持っているけれど、不満を持たないで暮らしていること。不満が出てくることで、改善方法を考えるきっかけになるが、それが出てこないでいると、現状で満足してしまう(満足するしかない)というもの。日本には、これから先に起こりうる大きな危機がたくさんある。対策を練らねばならないけれど、そのためには、現状が続くとその先で待っているであろう未来を、この本を読んで知っておくほうがいいかも。知っていると対処できることは沢山あり、選択肢が多いことに越したことはない、と強く感じた。 >> 続きを読む
2019/03/28 by taiaka45
西條剛央
これから、どう進んでいくか?のヒントに溢れている。状況と目的。絶えず、そこに立ち戻ること。凄いと思った。ふんばろう東日本プロジェクトは、ふんばろう世界プロジェクトでもあるなと思う。今のこの国のリーダーと俗に言われている人たちは、ますます、極小で短絡で私利私欲にしか走っていない。これに対抗するには、このしくみがとても有効だと思うし、ボランテイア組織の枠を超えて、いろんな組織に有効な要素があると思う。まずは、いくつかのポイントを実践するようにすることからだ。 >> 続きを読む
2014/08/22 by けんとまん
BinardArthur , 岡倉禎志
広島の原爆の時に、誰かが身につけていた服や手袋、あるいは持っていた弁当箱やビー玉やメガネ、鍵。それらが言葉を語りだした。という設定で書かれている、詩の数々と写真でつくられている絵本である。あらためて、突然、中途で人生を断ち切られた人々の無念の思いと願いが、心に響く。二度とこのようなことがないようにするためには、核兵器が二度と使われないように、各人がこれらの言葉に耳を傾け、思いを受け継ぎ、広め、強めていくしかないのだろう。文章を書いているビナードさんという方は、アメリカ人だが、日本に来て原爆について調べ、広島で多くの人の話を聞き、この本を書いたという。国境を越えて、多くの人に読み継がれて欲しい、重いが、大切な一冊と思う。 >> 続きを読む
2013/09/23 by atsushi
舩橋淳
映画もみたい。
2014/06/16 by junyo
篠山紀信 , 朝日新聞出版
東日本大震災の半年後ぐらいに出された写真集。17人の写真家が、それぞれの視点で撮影している。311から二年近く経った今読み直してみると、あらためていろいろと考えさせられることが多い。事故直後の圧倒的な自然の猛威の傷跡のリアルさを感じさせられる写真の数々には、あらためてあの時の津波や地震の恐ろしさを思わされた。その一方で、福島原発事故の影響で不安な表情をされている方々や、酪農などの仕事が奪われた方々の様子の写真もあり、これらは今って現在進行形のことなのだと思った。311は、自然災害と、原発事故という人災の二つが複合的に絡まりあったことで、防災のためにはそのどちらにもいろんな取り組みや工夫が必要なのだろう。そのためには、一つの視点だけでなく、いろんな視点から記録に残していくことも必要だし、いろんな観点から問題意識を持つことが大切なのかもしれない。この写真集で、私が特に印象に残ったのは、広川泰士さんの写真で、直接被災地の被害状況などを映さず、ただ被災地の何組かの家族写真を写してある。その家族写真は、どれも笑顔で、震災にも負けずに、かたい家族の絆を持っている様子がうかがわれた。実はそれこそが、最も尊いことで、大切なことであり、守るべきものなのかもしれない。今も福島原発事故は現在進行形のことであり、いったいいつになったら本当の意味で収束できるのかわからない。被災地の復興もまだまだ課題は多い。にもかかわらず、私も含めて、他の地域に住む人間は、一年経ち、二年経つと、早くもいろんなことを忘れがちである。そうした意味において、この本やその他の東日本大震災に関連した写真集や書籍は、これからこそ、時折読み直されるべきものだと、あらためて思う。 >> 続きを読む
2013/02/19 by atsushi
沢田俊子
応援したいと思った
2015/08/17 by ミッキー
【東日本大震災・あの日を忘れない】参加。再読。2011年3月11日の東日本大震災発生の12分後から届き始めた、海外・国内からの<祈り>(prayforjapan)のメッセージ、エピソードを集めたWebサイトをまとめた本。震災を利用した金儲けの本って聞いてガッカリ…って言えばガッカリだけど…。でも、この本に載ってる写真やメッセは気持ちがこもっている。その当時、その時の感情が思いが伝わってくる。私も祈ったよ…。遠く離れた地を祈った……。詐欺とか金儲けの本と言われてるけど、この本の内容は素晴らしいので私の評価は変わらない。みんなの気持ち、思いに泣けてくるよ(ノд-。)クスン。 >> 続きを読む
2016/03/12 by あんコ
たくきよしみつ
冷静な分析。私達は今なお本当の福島を知らない。著者は双葉郡川内村で今も暮らしている。川内村は1月31日、初の帰村宣言をした村である。 >> 続きを読む
2012/02/02 by 匿名
赤坂憲雄 , 鷲田清一
今年の1冊目はこれに決めていた。深く考えざるを得ない視点がたくさんちりばめられている。と言うことは、読み手のよって、そのとらえ方がかなり違うのだろうと思う。この国の危うさがますます大きくなっている今だからこそ、必要なことがある。言い尽くされたこともある・・責任を取らないという志向が蔓延っている。政治屋、官僚、財界、マスコミはもとより、最近は自分の身近なところでも溢れつつある。果たして自分に何ができるのか?そんな中、伊東豊雄さんの”みんなの家”がひとつの方向性なんだろうと思う。素で感じることだ。 >> 続きを読む
2014/07/22 by けんとまん
梅永雄二
アスペルガー症候群の本人にも、アスペルガー症候群の人を身近に持つ人にも参考になる良書です。アスペルガー症候群の人は自分勝手、わがままと思われがちだけれど、社会生活をしていくうえで必要なマナーや最低限の常識・礼儀を身に着ければトラブルも回避できる。そうすればアスペルガー症候群もひとつの個性になるんです。 >> 続きを読む
2017/10/01 by 香菜子
柘植久慶
元フランス外人部隊所属の著者が語る非常災害時に取るべき行動。元フランス外人部隊所属の著者が様々な局面で「生き残る」ために取るべき行動について語っている。著者の小説は好んで選択しているものの、本書のようなアプローチのものは初めて接した。時にはマニュアルを否定することになっても著者が良かれと考える生き残るために最善の方法が満載されている。細かな部分を突いていけば反社会的な記述も多いが、巷の「防災マニュアル」的な毒にも薬にもならないようなパンフレットとは異なり極めて実践的で有る。各局面ごとに想定される状況や取るべき行動が連なって本書を成している形だが、さすがは柘植氏。エンターテイメントとしても読むに耐える作品に仕上がっている。具体例として取り上げられていた、幾つかの生命を賭けた選択を上げておく。・サーフィンを楽しんでいたら大地震発生。陸と沖どちらに逃げる?・真冬のボート遊びで転覆。陸に向かって泳ぐ?ボートに掴まって助けを待つ?・核兵器が使用され放射能が蔓延。何色の服を着て外に出る?有事の際に読んでいたことを感謝する作品だと思う。 >> 続きを読む
2011/02/08 by ice
シュープレス株式会社
ともしび。いろんな灯がある。勇気、希望、夢・・・。そんな灯が、地方紙で届けられた。いわゆる全国紙と違って、身近な存在だからこそ、伝わるものが多い。飾ったものがなく、目線の位置が住民と同じ高さだかだろう。 >> 続きを読む
2015/08/23 by けんとまん
正村公宏
日本を代表する経済学者の一人で有る正村氏がダウン症患者の次男の成長を綴る。大学教授をされている著者の講義を個人的に聴講した機会が有ったため選択。道を究める厳しい姿勢を持った方だという姿勢が強く印象に残っている。本著は経済学とは離れ正村氏のプライベートが中心で有るが、著者の効率性や生産性の問題を探求する経済学者としての側面を知った上で本著に触れたため更に深く内容について考えさせられたように思う。性格は愛情豊かで心和まずにはいられないダウン症の子供とその子を授かった家族との間の交流。また地域住民や施設との関係など、日常生活では知る機会の無い様々な事象からダウン症だけに留まらずハンディの有る方々社会との有るべき関係について考える機会を提供されたように思う。一定規模の法人には雇用枠が設定されているなどハンディの有る方々の社会参加は制度として整備されつつある。しかし結局のところ社会を構成する我々社会人が正しい知識を持ってハンディの有る方々と対等に向き合うことが必要なのだということを再認識した。 >> 続きを読む
2010/12/24 by ice
和合亮一
まさに、明日、投票日。しかし、この事実が全く無視されているのは、どうしたことなのか。候補者全員が読むべき、いや、その家族も親族も読むべき本。福島に住むこと、生きることの意味がここにある。それは、ふるさとにもつながる。ごくごく、自然な当たり前の思いが綴られている。それを感じない人は、人ではない。 >> 続きを読む
2014/08/15 by けんとまん
東京糸井重里事務所 , 糸井重里
それぞれの人が、それぞれの思いでできることをする。その積み重ねしかないというのが、本当のところだと思う。時間は絶えず流れていくので、いくつもの流れがあって、それぞれに動けばいいのだ。そこで共通しているのが、既成概念をとっぱらうということだと思った。無理せず、自分のできる範囲で。前線がめにつきやすいのだが、後方支援もとてつもなく意味が大きい。そこに気づけば、もっと支援の輪も広がるし、続く、そして、つながるのだと思う。 >> 続きを読む
2014/08/29 by けんとまん
出井康博
本書が出版されたのは2009年であり、これを書いているのは2014年である。つまりあれから5年ほど経過したわけだが、介護業界の状況は改善されただろうか。そして何より、本書のテーマである外国人介護士の待遇は改善されたのだろうか。 残念ながらそうは思えない。現在は、介護業界だけでなく建設業や製造業など、他の業界でも「人手不足」が深刻になっている状態だ。数年前までは考えられなかったことかもしれないけれど、我が国のインフラの状況などを考えていれば予想はそう難しくはなかっただろう。 にも関わらずなぜ手を打てなかったのか。政治の無策、と言ってしまえばそれまでだ。小泉政権移行、首相は何度も変わり、それは自民党から民主党に政権交代をしても同じような状態であった。そして自民党に政権が戻った今、改めて外国人介護士の問題に向き合う必要があるのではないか。 本書を読んで見えるのは、政府の政策の一貫性の無さである。場当たり的で無策で、更に独善的である。それは日本だけでなく、日本に介護士・看護師を送り出す国(この場合、フィリピンとインドネシア)の政府当局にも言えるものだ。 あれから各国政府の状況は改善されたのだろうか。 現在では、介護士や看護師だけでなく、他の分野でも外国人労働者の受け入れが議論されている。もちろん今までも「研修生」という形で労働者を受け入れてきたけれど、低賃金で劣悪な作業環境など、待遇が悪い状況も多く、決して評判の良い制度ではなかった。 台湾や韓国などの近隣諸国は、すでに外国人労働者の受け入れに舵を切っており、外国人向けの相談窓口を設置するなど、国内で働く外国人に対するケアを行っている。日本はこの点でかなり出遅れていると言わざるを得ない。 もちろん、同じ日本人でもワーキングプアと呼ばれる非正規雇用の人たちの問題も全く解決されていない。はっきり言って、雇用の問題は多面的でありあっちを立てればこっちが立たず、と複雑な問題が絡み合っているので、決して簡単な問題ではないことはわかっている。 だからといって先送りできる問題ではない。多くの反発が出ることを覚悟してでも、積極的に議論していくべきではないのか。そのためにも、議論の材料となる情報を積極的に公開していくべきである。誰もが納得するような素晴らしい解決策など出ないとは思うけれど、少しでも多くの人に問題を知ってもらい、考えてもらいたいと筆者は思うのである。 >> 続きを読む
2014/09/20 by ぽんぽん
カテゴリー"社会福祉"の書籍一覧 | 読書ログ
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