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カテゴリー"文学史、文学思想史"の書籍一覧

      世界文学は面白い。 文芸漫談で地球一周

      奥泉光 , いとうせいこう

      4.0
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      • 日本の中にいてばかりいてはつまらない。読書で世界へと旅立とう。
        海外文学を身近にすべく「文学漫談」を繰り広げる奥泉光&いとうせいこう。
        対談本ですが、お膳立てされた対談を文字起こししたのではなくて、お客の目の前で舞台に立ってライブ形式で掛け合い漫才のごとく展開される文学談義をまとめたものだったのですね。
        これはその第2弾でありました。(こんな事実全然知らなかった)

        最初「面白おかしく読み解く」ってとっても危険、と思っていました。
        部分をデフォルメしてコミカルに強調したり、わざとヘンな角度から眺めてみたりして笑いをとるつもりじゃないでしょうね~と。
        すみません。杞憂でした。
        さすが、人前でしゃべる決意があるだけのことはある。
        「小説を面白く読むにはていねいに読まなければならない」とおっしゃるように、きちんと読み込んできていて、共感できる部分もとても多くて勉強になります。

        これはパッケージツアー。ガイドの案内に従ってまだ観ぬ世界を発見する旅。
        読んでいない人には面白さのエッセンスを伝え、いつかはあなたも「一人旅」に出てもらいたい。
        (つまり原本を読むこと)
        再訪(既読)の方にも、一読では見逃していた細部や秘められた背景を新発見してほしい。
        そんな二人の思いに納得です。

        読書案内の書なので未読の方でも楽しめるでしょう。
        しかし中には先に原作を読んでいないと作品のすごさがわかりにくい小説もあると思われます。

        「異邦人」「予告された殺人の記録」「愛人」など。
        論理的分析、作家の手法の検証などについて語られ、客観性があり、話している意味はわかるのですが、
        実際の感覚や手触りという最も文学な部分が未読の方には伝わらないのではないかと感じました。
        また、斬新な着眼点、分析の意外性に驚くためには、
        自分がまず印象や考えを持っていないと、どこも「意外」ではなくなってしまうものです。
        もし驚きたかったら、先に原作を読んだ方がいいのではないかと私は思いました。
        ここに取り上げれれている小説は、いずれも読む価値のある名作ばかりなんですから。

        ところで、二人の掛け合いは漫才そのものです。
        なかなか奥泉さんの自分ネタ。面白いです!
        本の話と離れていても充分楽しいです。
        作家の人柄や日常の姿も察することができ、親近感も湧きました。
        でも肝心の「小説の笑いどころ」の方は爆笑というタイプの笑いではありません。
        お二人はイロニー(アイロニー)と、盛んに言っていますが、このイロニーの掘り起しが楽しいんです。
        親切にも小説に対するツッコミどころを教えてくれるという感じ。
        小説がボケ役なので、読みながら自分でツッコミ入れてみろと。そういうことですね。
        おかげで無意識に本に合いの手を入れる癖がつきそうです(^^ゞ

        既読の方も、この本を読んで面白いと思ったら再読しましょう。
        名作文学は何度も読まないといけないんです。
        特に短篇は簡単に読んでしまって面白さ素通りしている危険性が高いです。
        そして文学はあらすじ要約に価値はなし。
        奥泉氏も「本筋だけに意味があるわけではない」というのが小説的な精神だとおっしゃってました。
        それを教えてくれる価値ある漫談。いいですね。これ。

        【内容】 コンセプトは「翻訳小説の名作を薄い文庫で読む!」
        ①カフカ『変身』 既読 レビュー済
          カフカって語りたくなる作家ですよね。特に「変身」はなんでも語れそうです。
          こんなに短いのに、クローズアップすると面白くなるポイントがありすぎるほどある作品。
          全編キーワードみたいな濃厚な小説ですね。

        ②ゴーゴリ『外套・鼻』 多分未読(話は知っているし部分は読んでいる)
          ゴーゴリーってアバンギャルドだったのかもしれません。
          ゴーゴリ=古典だと思わずに読んでみようかなと思いました。

        ③カミュ『異邦人』 既読 レビュー済
          これは好きすぎて読み込んでいるので、目からウロコの新説と思える指摘はなかったです。
          そうなのよね。とうなずきっぱなしな感じ。

        ④ポー『モルグ街の殺人事件』 既読 レビュー済
          いきなりネタバレですか!だからミステリーは未読でレビューを読んじゃだめなんだってば(^^;)
          ホームズもそうだけど、創世記のミステリーはほとんどバカミスに近いものが多いんですよ。
          でも、トリックのおバカさを補って余りある異様な雰囲気や恐怖感、想像力を刺激するストーリー展開など、現代小説には持ちえない効果があるんですよね。

        ⑤ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』 既読 レビュー済
          短篇の傑作といえば、この小説を取り上げない訳に行かないでしょう。
          作家の目線が入ると過去の記憶も一層鮮やかによみがえってくる気がしました。
          ああ。再読できちゃった気分♪
          あらすじを読んだのでは決してこうは行きません!

        ⑥夏目漱石『坊っちゃん』 既読 レビュー済
          奥泉さんといえば漱石なんでしょう。なぜかこれだけ日本の旅(松山&東京)。
          力の入り方が異様です(^^)
          坊ちゃんは童貞!と断言しています。そうかもね。
          ディープでディテールまで追求した斬新な解釈。これには負けました。

        ⑦デュラス『愛人』  未読
          これは完全に知らない状態でした。デュラスが女性だってことも知らなかったです。
          小説技法の話題にはやはり未読だとついていけない部分があります。
          アナコンダに登場願って笑えるという感じでした。

        ⑧ドストエフスキー『地下室の手記』 既読 レビュー済
          話は覚えていますが、こんなに面白かったかなあ?
          確かにとってもヘンな主人公で、「白痴」の前哨となった小説かもしれないと思いました。
          ドストエフスキーって意外に重厚・緻密じゃないんじゃないかという私の印象が
          結構筆が早かったとか天才的という言葉で裏付けられたようで嬉しかったりして。

        ⑨魯迅『阿Q正伝』  これも部分のみ既読 
          吉本新喜劇のギャグなのか?そんな目線もありなのか?
          阿Qってこんなにろくでもない人間だったっけ?
          この作品が名作っていうのが全く分からなかった私だったのですが、
          確かに、こう追及されると、とても不思議な小説に見えてきました。
          ホントはとってもアイロニカルな社会風刺小説だというのが正しいと思いますけれど。
          そう読まなくても面白さを「発掘」できるのか。ここまでくると、感心するしかないです。

        奥泉光×いとうせいこう の文学漫談ライブは今も下北沢で続いているのでした。
        <次回公演>
        2015年8月20日(木)
        ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』

        次回のライブに行ってみようかな♪と強く思っているところです。
        どなたかご一緒します?
        >> 続きを読む

        2015/05/28 by 月うさぎ

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    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      猫だましい

      河合隼雄

      3.0
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      • 古今東西、昔話、寓話、漫画、絵本、小説など、猫の登場する話を心理学者の河合さんが分析していく本です。

        序文にまず、河合さんのたましいの解釈、エジプトにおける猫神信仰、心理療法の見地からみた猫など、猫という動物が人にとってどのような存在と取られてきたのかを解説しています。この本の中でもとても興味深く、面白く読める個所です。

        その後に続いて紹介、心理学的解析がなされるのは、河合さんの豊富な読書量を思わせる選りすぐりの名書の数々です。マイナーなもの、よく知られたものとりまぜてありますが、ところどころ心理学に通じている人にはしっくりくるのかも知れないけど、私には飛躍と感じられる部分があり、なんだかケムに巻かれている気がしました。

        読みたい本を増やしてくれる罪作りな本ですし、河合さんの文章は読みやすいので猫が好きな人は一度読んでみればいいと思います。
        >> 続きを読む

        2016/12/08 by MaNaSo

      • コメント 2件
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      小説の読み方 感想が語れる着眼点

      平野啓一郎

      3.3
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      • 著者の小説の読み方が解説されている本。いくら時間をかけても自分にはこれほど深く小説を読むことはできないし、さすがにプロは違うなと感心した。 >> 続きを読む

        2017/05/06 by yano

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      密室入門!

      安井俊夫 , 有栖川有栖

      3.0
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      • ミステリ作家が建築家と密室についてとことん語り合う、オープン談義。ほんとうの密室は作れないのか、大まじめに語り合っている大人2人。密室とは所詮、「密室とおもわせてしまう部屋」? 

        ああ、細かい専門的話はどうでもいいなあと思うが、正真正銘のミステリを読みたくなるのは必至である。
        >> 続きを読む

        2014/11/21 by junyo

      • コメント 5件
    • 2人が本棚登録しています
      推理作家の家 名作のうまれた書斎を訪ねて

      南川三治郎

      4.0
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      • ・10代の頃に夢中で読んだJ・アーチャーやT・クランシー、メアリ・H・クラーク、P・コーンウェルなど、懐かしい作家の書斎や居間での姿が見られて楽しくなる
        ・気難しいG・グリーンの取材を成功させる著者の熱意に敬意を覚える
        >> 続きを読む

        2017/07/06 by michi2011

    • 1人が本棚登録しています
      泣ける純愛小説ダイジェスト

      有光隆司

      3.0
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      •  題名どおり、
        純愛小説のダイジェスト版です。
        古の名作からTVドラマのシナリオまで
        20作品が収録されています。

         あまりにもギュギュッと要約されているので
        本書を読んでも泣けませんが、
        きちんと原作を読んでみたいなと思うものは
        何作かありました。
        読者にそう思わせて
        読書の扉を少しでも開こうというのが
        本書の目的のひとつなのでしょう。
        >> 続きを読む

        2015/02/01 by kengo

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