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カテゴリー"英米文学"の書籍一覧

      優雅な生活が最高の復讐である

      青山南 , TomkinsCalvin

      3.7
      いいね!
      • この本をどこで見かけて読もうと思ったのか、ちょっと思い出せないのです。多分何かの本で紹介されていたか、雑誌か新聞で見たかしたのだと思うんですが。タイトルが素敵すぎて惹かれたはずです。Living well is the best revenge.優雅な生活が最高の復讐である。スペインの古いことわざだそうです。

        小説かと思って読み始めたら、ノンフィクションでした。マーフィ夫妻という実在の人物についてです。フィッツジェラルドが『夜はやさし』のモデルにしたという夫妻らしいのですが、『夜はやさし』は未読です。課題図書が増えました。

        ちょくちょく出てくる著名人のエピソードも面白いのですが、やっぱりフィッツジェラルド夫妻の話が一番生き生きしています。フィッツジェラルド夫妻の幼さが、なんだかもう必死で生き延びようとしている感じがたまらないです。私はフィッツジェラルドはそんなに読んでなくて、それよりもヘミングウェイ派なのですが、フィッツジェラルド自身の人生をこなすのが下手な感じがたまらなく放っておけない感じがします。太宰治の放っておけなさに似ているような。どちらもデカダンですね。

        ちなみに 'Living well is the best revenge' について。
        人生はままならず、悲しいことやつらいこともどうしようもなく避けようもなく襲ってくるけれど、いかなる不条理にも屈さず、優雅に微笑み生き抜くことが人生に勝つ秘訣である、と理解しました。
        いい言葉だ。座右の銘に加えよう。
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        2016/07/24 by ワルツ

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      「赤毛のアン」の故郷へ いまよみがえる「アンの世界」

      吉村和敏 , 掛川恭子

      5.0
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      • 「赤毛のアン」の小説の舞台が実在すると知ったのは、
        “「赤毛のアン」のプリンス・エドワード島を訪ねて”というツアーを見た時でした。
        最初、テーマパークのような「それらしい土地」なんではないか?などと
        あまりに穿った考えさえ抱いてしまいました。
        それほどに、パンフで見た写真が、空想のとおりの景色であり家々だったからです。


        この本は、「赤毛のアン」のファンブックであり、
        カナダのプリンス・エドワード島の四季の景色や花々の写真集であり、
        旅のガイドブックでもあります。

        赤毛のアンの世界を少しでも覚えていれば大丈夫。

        ストーリーに沿って、抜粋された文章とあら筋と、
        その場面をイメージできるさまざまな写真が、
        物語や人物の印象、事件やエピソードを思い出させてくれるからです。

        この部分の文章は、アンシリーズの翻訳を手がけた掛川恭子氏自身のものです。
        「講談社文庫―完訳クラシック赤毛のアン」をシリーズで翻訳された方で、
        カナダにもお住まいになっていた女性です。

        私が子供のころに読んでいた「村岡花子訳」は実は抄訳でした。
        今読めば、古くて伝わらない言葉があったり、
        11歳の少女の会話としてはおそらく不自然なものがあるはずなので、
        機会があれば彼女の訳も読んでみたいと思います。
        少なくとも、この本に載せられている文章は非常に読みやすく、
        色鮮やかなイメージを伝えてくれていて好感が持てます。

        アンの世界が愛されているのは、主人公のユニークなキャラクターはもちろんですが、
        掛川氏も主張されているように、これでもか。というほどに書き込まれている「自然美」の魅力のためでもあります。
        描かれた花や植物の実際の名称や姿。
        白樺の並木に花咲き誇るリンゴの大木と赤い道。

        想像するしかなかった、けれど脳裏に鮮やかな景色が、写真で見られるとしたら?

        どうです?読んでみたくなりませんか?


        ページ数は少ないのに、内容は非常に豊富です。

        “アンの家”の部屋、物語に登場するお菓子と料理のレシピ、島に咲く花の図鑑、
        パッチワークキルト、旅の際の見どころや店やホテルなどの紹介と簡単な交通案内、
        モンゴメリーの生涯までが紹介されています。
        それが適度なボリュームで、品を失わない節度も保たれている、希少な本だと思います。

        いつか、プリンス・エドワード島にも行ってみたいです。
        アンが始めてグリーン・ゲイブルズを訪れた6月に。
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        2012/11/08 by 月うさぎ

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      書くことについて

      田村義進 , スティーヴン・キング

      5.0
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      • モダンホラーの巨匠、スティーヴン・キングによる文章術指南書。
        ただし、最初の3分の1ほどは、断片的なエピソードで綴るキング自身の半生記。

        最初からキングの文章術についての南が始まると期待していると、肩透かしをくらう形になる。
        ただ、その中に将来、ペンで生計を立てる事になるのを感じさせるエピソードもある。
        やはり、子供の頃から文才の片鱗は見せていたようだ。

        キングの半生についての話が終わると、いよいよ文章術についての話になるのだが、「技」は極めてシンプル。

        まず、「面白い小説を書くための、"魔法"は存在しない」ということ。
        "魔法"に最も近い方法は「たくさん読み、たくさん書くこと」
        その後、文体、会話、ストーリー、テンポ、推敲などの話に入っていく。

        その内容は多岐にわたるが、分かりやすい。
        正直、英語と日本語の文法の違いで、今一つピンとこない点もあるにはあるが、それでも言わんとしている事は理解できる。
        実践できるかは別問題だが・・・。

        最初の方に書いてあるが、本書での指南は、キングは、こういう方法を使っている、という事にすぎない。
        要するに万人に等しく当てはまるかは分からないが、自分(キング)には有効だった方法が書いてある、ということ。

        本の感想を書いていたりすると、時々、自分が分かりやすい文章を書いているか、自信が無くなる事がある。
        そんな時は、文章術の本を読んだりするのだが、そこに書かれている事とキングが繰り返し言っている事には共通点があった。

        それは「一つの文はシンプルに」
        どうやら、誰もが同じ結論に至る「鉄則」のようだ。

        それと印象に残ったものがもう一つ、「公式 二次稿=一次稿マイナス10%」
        キングがひたすら小説の投稿を続けていた頃、ある編集者が書いた寸評。

        これを守るようにしてから、投稿作品が掲載される事が多くなったとか。
        キング自身の文章に磨きがかかってきた頃に、このアドバイスを受けたのがいい結果を生むようになった、という事らしい。

        いいタイミングで、いいアドバイスを受けたという「めぐり合わせ」はあったが、それも投稿を続けていたからこそ。
        "魔法"がある事は期待したいが、存在しない前提でいた方が、むしろ近道なのだろう。
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        2013/09/08 by Tucker

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      別名S・S・ヴァン・ダイン ファイロ・ヴァンスを創造した男

      清野泉 , LougheryJohn

      4.0
      いいね!
      • 【作品からは想像もしなかった著者像】
         S.S.ヴァン・ダインは、名探偵ファイロ・ヴァンスを産み、『グリーン家殺人事件』、『僧正殺人事件』などのミステリ史上に残る傑作を書いた作家です。
         本作は、そんなヴァン・ダインの一代記です。

         まず、タイトルに『別名』とある通り、ヴァン・ダインはペンネームであり、本名は、ウィラード・ハンティントン・ライトと言いました。
         彼は、かなり強烈な個性の持ち主で、思想的にも結構偏りがあったようです(例えば一夫一婦制に批判的で婦人参政権に反対とか)。
         自信家で、強引で、高慢で、それほど人好きのするキャラクターではなかったようですうが、結構なイケメンだったようで、女性にはモテたみたいですね。

         彼は、若い頃から『スマート・セット』という雑誌の編集者として実力を発揮し、また、『タイム』の文芸コラムニストとしても名を馳せたようです。
         自身でも5冊の著作をものにしたようですが、それらはさほど売れはしなかったようです。
         かなり攻撃的な文章を書いたようで、定職の方も長続きはしませんでした。

         若くして結婚し、すぐに子供をもうけるのですが、家庭人としては最低ですね。
         仕事を得るためという口実ですぐに妻子と別居し、一人でニューヨークで自由気ままに暮らし、妻子への仕送りも十分にはせず、結婚後4年間で3回もの浮気をしたばかりか、売春婦達とも顔なじみだったそうですよ。

         計画性が無いというか、金の使い方が滅茶苦茶で、借金しまくりです。
         野心だけはたっぷりあるのですが、色々なことを構想はするものの仕上げることがまずなかったようです。
         不健康な生活、麻薬にまで手を出すなどのことから、医者通いになっていました。

         彼は、大衆文芸を見下していたところがあり、自分はもっと高級な芸術に関わるのだと考えていたようで、担当した書評でも大衆文芸に対しては極めて辛辣な批判を書きまくっていたようです。
         でも、ミステリに造詣が深い医師からミステリを読むことを勧められ、勧められた作品を読んでみたところ案外に面白いと興味を持ちます(でも、クリスティはあまり評価しておらず、『アクロイド殺し』の有名なトリックについては、嫌悪すべき仕掛けだと思ったのだそうですよ)。
         また、自分が目指すところの高級芸術に関わる仕事ではなかなか評価されなかったこともあり、とにかく金を稼がなければならなくなったため、遂に自分でミステリを書くことにしたのです。

         ただ、そこはプライドがあって、それまで本名で様々な記事を書いていたことから、その名前のままで自分が批判しまくってきたミステリを書くなんていうことはできず、S.S.ヴァン・ダインのペンネームを使ってファイロ・ヴァンス物を書き始めたのですね。

         ファイロ・ヴァンス物を書き始める前に、彼がミステリをどう見ていたかですが、こんなことを書いていたそうです。
         「世の中は探偵小説ばかりだ-そのほとんどが面白くない。実際どんなに真面目な探偵小説も不出来なものになるのは避けられない。それは我々の中にあるもっとも原始的な欲求に訴えかける。」
         かなり批判的な見方ですが、逆に言うと、既存のミステリに対する不満があったからこそ、あれだけ論理的なファイロ・ヴァンス物を書くことができたのかもしれません。

         彼は、当初からファイロ・ヴァンス物をシリーズとして書くことを構想していたようで、最初から3作の梗概を用意したそうです。
         その3作とは、『ベンスン殺人事件』、『カナリヤ殺人事件』、『グリーン家殺人事件』の初期3作です。
         最初から『グリーン家』の構想を持っていたというのは驚きですね。
         最初の2作は、実際に起きた事件をモチーフに使っているのですが、『グリーン家』は完全な創作でした。

         満を持して『ベンスン』を発表したところ、これが大当たり!
         一挙にベストセラー作家になり、既に梗概を作っていた『カナリヤ』、『グリーン家』の出版もトントン拍子に決まり、それぞれが大ヒットを続けたのです。
         それまでの貧乏生活にもおさらばです。
         映画化の話も決まり、莫大な収入を手にすることになります。

         ファイロ・ヴァンス物は、非常にペダンティックなファイロ・ヴァンスという探偵を創造し、緻密で論理的な作風ですから、私は、作者もそういう感じの人なのではないかと勝手に想像していたのですが、実際には大分違うキャラだったようですね。
         彼自身は、ファイロ・ヴァンスについて、「容姿端麗、知的で、きざで、鋭い感受性を持ち、『形式張らず、快活で、礼儀正しく、時に冷笑的になった。』『一風変わった文化や才能の』愛好家で、『生まれから言っても天性からしても貴族的で、俗世間からかけ離れたところへ身をおいていた。』」と記しています。
         ちょっと違う?と思うところもありますが、概ねそんな感じでしょうか。

         初期3作で不動の地位を築き上げたヴァン・ダインは、4作目もミステリ史上に残る傑作を書き上げます。
         それが『僧正殺人事件』です。
         もはや、ヴァン・ダインの名声は揺るがないものとなりました。

         しかし、その後、徐々に転落が始まるのです。
         5作目の『カブト虫殺人事件』はエジプト趣味を取り入れた作品ですが、それまでの作よりはやや劣る内容であり、本作の著者によれば、「仕事に対する倦怠感の兆候を示した」と分析しています。

         作品の質の低下はさらに続き、6作目の『ケンネル殺人事件』、7作目の『ドラゴン殺人事件』、8作目の『カジノ殺人事件』は、ヴァン・ダイン自身の趣味(犬、賭博)や、妻の趣味(魚)を書いた作品になっており、『僧正殺人事件』までにみられた才気のきらめきも何も無い作品になってしまいました。
         
         しかし、S.S.ヴァン・ダインという名前の威力はそれなりにあり、作品の質としては評価できないにしても、それなりに売れたことは売れたようです。
         そして、彼は湯水のように金を使う贅沢な暮らしをやめることができず、どんどん金詰まりになっていきます。
         その後ともなると、ハリウッドに作品を売って金を稼ぐこと位しか打開策はなく、当初から映画を意識した作品を書いたり、ファイロ・ヴァンスを勝手に使わせたりで、映画的にもB級のとんでもない作品ばかりが作られるようになっていったのですね。

         日本では、現在でもなおヴァン・ダインの作品は高い人気を誇っていますが、アメリカでは、作品が発表された当時の熱狂的な売れ行きが落ち着いた後は、すっかり忘れ去られた作家になってしまっているのだそうです。
         以前レビューしたエラリー・クイーンもそうですが、日本はこの時代の本格ミステリに対しては非常に理解のある、好意的な評価を持ち続けているのですね。

         最近、ミステリ評論の類をよく読んでいるのですが、ヴァン・ダインに関する本書も興味深く読ませていただきました。
         ただ、必要な事柄だとは思うのですが、ヴァン・ダイン名義でミステリを書き始めるまでの部分が結構長く、そこはそれで興味深いものの、早くヴァン・ダインについてのことを読みたいという気持ちを焦らされてしまい、そこはややもどかしかった感じはしました。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
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        2019/12/17 by ef177

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      反知性の帝国 アメリカ・文学・精神史

      巽孝之

      3.0
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      • 米国の伝統的思想、反知性主義(Anti-intellectualism)について解説した本。

        反知性主義とは、知性的(頭良さそうな感じ)に対するアンチテーゼ的思想で、馬鹿的、庶民的である事こそが大事という考え方です。

        その昔購入して、しばらく本棚に放置してあったのですが、またちょっと読み始めてみようかと思うに至ったのは、仕事で彼等とコミュニケーションを取っているとしばしばこのような気分というか雰囲気に接せざるを得ないから。

        つまり、彼等のそのような気分とは如何なるものなのか、どういうルーツがあり、どのように作用しているのかという事を少々知りたくなった次第です。

        個人的にはそのルーツはヨーロッパから移民としてやってきて一つの国を作った際の母文化圏へのコンプレックスと歴史の浅さに対するコンプレックス(原住民まで遡れば歴史は深いものの、西洋文化を主体に構築してしまった現状の米国ではそこに遡る事が出来ない)から生成される反感ではないかと思うのですがね。要は母文化圏で積み上げられてきた知性主義に対して、それだってインチキだらけやんけと言っているのです。例えて言うとシンプソンズみたいな感じ。

        まぁ、気持ちはよく解ります。

        でも、関係ない文化圏の人から見たら、そんなくだらないものに巻き込まれたくないというのもまた一つあったり(これも一つの反知性主義)。

        そういったようなことを、文学史や政治、これまでに起こった事件やその際の当事者たちの証言、社会的な動きを通して解析しているのが本書です。

        インチキが嫌いというライ麦畑で捕まえての主人公、ホールデン氏のような若々しい考え方も分りますし、それはそれで大事だし、米国的という意味において、アイデンティティを十分に構成していると思います。が、この思想、社会において有用たる機能を担っているの?という疑問が湧きますよね。

        それに関して一つ見えているのは、この反知性主義が社会構造として、集団におけるunlearning、即ち主体的に行われる既成概念の破棄、反学習の役割を推進する力となっている事です。

        他方で、反知性主義絶対で良いのかというとそれは別の意味で思想狩りとなりえます。深く考えようとする行動自体を封殺してしまう方向へとかじ取りしてしまったり。あるいは文化大革命的な?

        結局知性主義と反知性主義はバランスを保って同居すべきもの、あるいはサイクリックに行ったり来たりしながら進んで行くべきもののように思います。

        またしても長くなってしまいましたが、相手の思想や文化を知らないとという意味において、米国人とコミュニケーションを取らなくてはいけない人で情報伝達率の向上を本気で進めたくなった人にはお勧めできるかもしれません。
        >> 続きを読む

        2013/10/18 by Shimada

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      パワーズ・ブック

      柴田元幸

      4.0
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      •  この本が出版された2000年4月までに、パワーズは6つの長篇を発表しています。
        「舞踏会に向かう三人の農夫」
        「囚人のジレンマ」、
        「The Gold Bug Variations(黄金虫変奏曲)」
        「Operation Wandering Soul(さまよえる魂作戦)」
        「ガラテイア2.2」
        「Gain」
         そのうち、この時点で翻訳されているのは「舞踏会に向かう三人の農夫」だけなのですが、そんなことお構いなしに全部紹介してしまうという大胆な企画。それだけパワーズが注目されていたということなんでしょうね。でも、当時、どんな人が買って読んだのだろう。英語の読める人かな(^_^;)
         それにしても未訳がまだ3つも残っているというのは楽しみなことです。そのあたりはざっとナナメ読みしておいて、翻訳が出版される日を待ちたいと思います。
        >> 続きを読む

        2013/07/04 by 弁護士K

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      柴田元幸と9人の作家たち ナイン・インタビューズ

      柴田元幸

      4.0
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      •  柴田元幸による9人の作家のインタビューです。掲載順に、シリ・ハストヴェット、アート・スピーゲルマン、T・R・ピアソン、スチュアート・ダイベック、リチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウン、カズオ・イシグロ、ポール・オースター、村上春樹。9人になったのはたまたまでしょうか。それともサリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」をもじりたかったからでしょうか。
         出版された頃、同僚からたびたび、村上春樹の「うなぎ」説(小説は作者と読者と「うなぎ」の三者協議であるべきだ?という説)について聞かされたのですが、今回、はじめてその原典たる本書を読みました。それもこれもパワーズの言葉に触れたいばかりに。
         現在進行形でパワーズにはまっているぼくにとって、パワーズのインタビューはたいへん興味深いものでした。特に、トマス・ピンチョンと自分との違い、村上春樹と自分との共通点について語っているあたり。
         カズオ・イシグロのインタビューもよかった。彼の作品にに特徴的な、語り手と作者(というか作者が想定する読者)との視点のズレが、「日の名残」、「充たされざる者」、「わたしたちが孤児だった頃」と発展していくところは、大いに納得しながら読みました。ブログに記事を書く前にこれを読んでおくべきだった!
         そうそう、高校時代の村上春樹が、大江の「セブンティーン」が好きだったというのは意外でした。

         最初の4人の作品は何も読んだことがないのですが、いずれ読んでみたいものです。

         なお、この本は、村上春樹の部分を除いて和英対訳、しかもインタビューをそのまま録音したCD付きです。向学心のある方にとっては、最高の英語教材かも。
         ぼくも英語が読めたらなあと常々思うのですが、向学心のちっともないぼくは和文のみ読んでそそくさと次の本を読みはじめてしまうのでした。
        >> 続きを読む

        2013/06/14 by 弁護士K

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      レイチェル 海と自然を愛したレイチェル・カーソンの物語

      EhrlichAmy , 池本佐恵子 , MinorWendell

      5.0
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      • 環境保護運動のきっかけとなった名著『沈黙の春』の著者・レイチェル・カーソンの、生い立ちや生涯を描いた絵本。

        小さい頃から豊かな自然の中で育ち、科学者としての目と、作家としての目(言い換えれば詩人としての目)の、二つを育み、身に付けたレイチェルが、家族を抱え、いろんな人生の困難を抱えながらも、繊細な心と正確な科学認識にもとづいて、人間と自然の環境に起こりつつあった異常を察知し、勇気をもって世の中に知らせたことが、とてもわかりやすく描かれていた。

        レイチェル・カーソンがこれほど大きなことができたのは、「科学の目」と「詩人の目」と、その両方を持っていたからなんだなぁ、この二つが人間には大切で、そのどちらだけでも十分ではないのかもしれない、とこの絵本を読んで、あらためて思わされた。
        そして、何よりも大事なのは「勇気」なのかもしれない。

        とても素晴らしい絵本だった。

        多くの子どものみならず、大人にこそ読んで欲しい。

        そして、この絵本を読んで、もう一度きちんと、近いうちに『沈黙の春』を本棚から取り出して読み直そうとあらためて思った。
        >> 続きを読む

        2012/12/21 by atsushi

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      ブラッドベリ、自作を語る

      WellerSam , レイ・ブラッドベリ , 小川高義

      3.0
      いいね!
      • 【初めて読んだブラッドベリは何だったっけ?】
         ブラッドベリを初めて読んだのは中学生の時だったと思う。
         少ないお小遣いを握りしめて書店に行き、文庫本を買った。
         それはどのブラッドベリだっけ?
         『10月はたそがれの国』だったか、『ウは宇宙船のウ』だったか。
         それ以来、ブラッドベリはずっと近くにいた。
         時に、少し離れていた時期もあったけれど、自分の書棚からブラッドベリが消えたことは一度だって無いし、もちろん今だってちゃんと置いてある。
         僕にとって、ブラッドベリというのはそういう作家なんだ。

         というわけで、大好きなブラッドベリの本です。
         本書は、ブラッドベリに対して、様々なテーマでインタビューをした模様を収録したものです。
         設定されているテーマは、子供時代のことだったり、創作に関することだったり、定番の質問もあれば、信仰、政治、性などのかなり突っ込んだ質問もあります。

         どんなテーマについてもブラッドベリは饒舌です。
         いや、よくしゃべること。
         そして、その話し振りからブラッドベリの人となりが浮かび上がってきます。

         想像通り、ブラッドベリは今でも沢山のおもちゃに囲まれていたり、子供時代に読んだ冒険活劇やSFなどを大切にしています。
         そういうところから、詩情性溢れる、子供の視点を忘れないブラッドベリの作品が生み出されてくるということは、大変納得できるところです。

         また、ブラッドベリは結構行動派であり、交際家であるのだということも分かりました。
         決して物静かに一人籠もっているようなタイプじゃない。
         積極的に人と交わろうとしているのですね。
         何か嫌なことがあったり、悲しいことがあった時には、とにかく行動しろ、仕事をしろというのが処方箋だとも述べています。

         ちょっと意外だったのは、「新しいブラッドベリになる可能性があるSF作家は誰だと思いますか?」という質問に対して、「グレッグ・ベア」と答えているところでした。
         「え~!! あのごりごりと物理学なんかを論じちゃうグレッグ・ベア?」とびっくりしちゃいました。
         確かにグレッグ・ベアにも叙情的なものはあるのですが、それにしてもブラッドベリとは結構対極的なイメージを持っていたので驚きました。
         もし、質問が「自分の作品に一番近いと考えるSF作家は?」だったら、シオドア・スタージョンとか言わないかな?(もちろん、両者は異なるのですが、私の中ではかなりな共通項を感じるのです)。
         あるいは、SF作家ではないけれど、スティーヴン・ミルハウザーなんて近くないかしら?

         インタビューを読んでいると、アメリカではブラッドベリの作品が学校の教材に使われているらしいことが分かります。
         へぇ~と感心しちゃいました。
         現在の我が国の学校で、どのような作品が教材として取り上げられているのかは知りませんが、ブラッドベリが教材になっているなんてステキだと思いませんか?

         本書は、見た目はちょっと厚いのですが、インタビュー部分は行間を空けてありますので、見た目よりもずっと早く読了できてしまうと思います。

         また、本書を読まれるのでしたら、ブラッドベリの主要作品を読まれてからの方が良いでしょう。
         インタビューの途中で沢山著書名が出てきますから(その内容についていちいち解説など加えていませんので)。
         ブラッドベリを何作か読んで、作者に興味を持ち、本書を読んでみようかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが(もちろん、それで読まれても良いのですが)、より理解を深めるためには、やはり主要作品を一通りお読みになってから本書を読む方が良いと思います。


        読了時間メーター
        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
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        2020/06/11 by ef177

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      エラリー・クイーンパーフェクトガイド

      飯城勇三

      4.0
      いいね!
      • 【クイーン大好きという方の読書のお供に。データ・ブックとしても秀逸】
         タイトル通り、エラリー・クイン(バーナビー・ロス名義を含む)の全作品に関しての作品ガイドです。
         本だけではなく、ラジオ番組や、テレビ番組(日本の番組まで含む)などまで手を伸ばしている徹底した編集になっています。
         本も、エラリーもレーンも登場しない、シリーズ物ではないクイーン作品まで拾っていますよ。

         本書の特色は、これからクイーン作品を読もうという方のための編集がされていることです。
         「どの順番で読めば良いの?」という疑問に答える形で、著者が名作だと考えている作品の順番にクイーン作品を取り上げて紹介、解説していますので、何も考えずに取り上げられている順番に読めば名作から潰していけるというスタイルになっています。

         もちろん、作品の中には、先にあっちの作品を読んでおいた方が良いというものもあるのですが、その点にも配慮がなされています。
         まぁ、私なんか発表順に読めば良いんじゃね?とか思ってしまいますが、クイーン作品って結構な数書かれているので、発表順に読むと必ずしも出来の良くない作品を先に読まなければならないハメに陥ることもあり得ます。
         この辺りはクイーン愛ですねぇ。
         少しでも良い作品から読んでもらいたいという著者の思いが伝わってきます。

         著者は、エラリー・クイン・ファンクラブの会長ですので、さもありなんというところですが、それが時としてややゴリ押しというか、それはちょっと言い過ぎでは?と感じるところがなくも無いのですが、それもまたご愛敬でしょう。

         クイーンの作品データ集としても十分使える充実した内容になっていますので、お手元に一冊置いておけば重宝するでしょう。
         時に、「あれってどんな作品だっけ?」となることは私にもよくあるのですが、そういう心配ももう不要というわけです。

         クイーンに特化したこの手の作品ってそんなに多くないので(例えばホームズだったら腐るほどありますが)、その意味でも貴重でしょう。
         本書は既に絶版になってしまっていますが、クイーンが好きだという方であればちょっと探してみるのも良いと思います。
         私も図書館で探しましたが、残念ながら蔵書にないため、購入したものの、実はこれ、某ネットサイトでは結構な高値がついているんですよ。
         文庫だというのに4,000円超!
         というわけで、古書でお買い求めをとお勧めするのは非常にためらってしまいます(コアなファンの方なら検討されても良いと思いますが)。

         取りあえず、今でも売っている類書で、充実している本としては、ネヴィンズの『エラリー・クイーン推理の芸術』がありますので、まずはそちらの本をお読みになり、さらに著者一流のクイーン愛にも触れてみたい、コンパクトにクイーン作品を総覧したいという方にお勧めする本です(ネヴィンズの本も、全作品を網羅しています)。

         クイーン作品、私も全部は潰していませんので、本書を参考に少しずつ読み進めて行こうという気持ちになりました。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)

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        2020/02/03 by ef177

    • 2人が本棚登録しています
      ルイス・キャロル遊びの宇宙

      門馬尚子 , Gardner, Martin, 1914- , 門馬義幸

      3.0
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      • 【う~ん、確かに『もつれっ話』だね】
         『アリス』を書いたルイス・キャロルは、数学者でもありました。
         『アリス』をはじめとする様々な著作の中で、言葉遊びやパズル、クイズ、ゲームを多数取り扱っています。
         そういった『遊び』だけを集めた本も書いています。

         本書は、そんなルイス・キャロルが残した様々な『遊び』を、これまた数学者であり、パズラーとしても有名なマーティン・ガードナーが紹介するという楽しい一冊です。

         紹介されている言葉遊びやクイズ、パズルの中には英語を使う物も多いので、私たちにはちょっととっつきにくい物もありますが、中には私たちにも遊べそうなゲームもありますよ。

         また、ルイス・キャロルは、数学や論理学の問題も残していますが、それらの中には結構頭を悩ませる問題も含まれていたようです。
         まさに『もつれっ話』ですね(『もつれっ話』は、『不思議の国のアリス』の中で、アリスがネズミに対して言った言葉の中に出てきますが、ルイス・キャロルは後に『もつれっ話』というタイトルで数学パズルを集めた本を残しています)。

         そんな中から、簡単だけど結構面白い問題を一つ出してみましょう。
         袋の中に白いチップか黒いチップのどちらかが、ランダムに一枚だけ入っています(同数の白と黒のチップの中からランダムに一枚選んで入れます)。
         どちらのチップが入っているかは分かりません。
         その袋に、もう一枚白いチップを入れます。
         袋をよく振って、中のチップを一枚取り出してみたらそれは白いチップでした。
         さて、袋の中にもう一枚残っているチップが白である確立は?

         1/2って答えた方いらっしゃいますよね?
         ハズレです。
         正解は2/3です。

         解説は本書を読んで頂くのが一番良いのですが、ここまでレビューを読んで下さった皆さんをもやもやした気分のままにしてしまっても申し訳ないので、この問題だけ解説を書きますね。

         最初に入れる一枚は、同数の白と黒のチップの中からランダムに一枚選んで入れるので、それが白である確立は1/2である。
         そこにもう一枚白のチップを入れ、袋から一枚取り出したら白だったというのだから、残りが白の確立は最初に入れたチップが白である確立になるから1/2だ。
         1/2って答えた方はこのように考えたのではないでしょうか?

         でも、よく考えてみるとそれは間違っています。
         何かのチップを一枚入れて、さらに白を一枚入れ、取り出したら白だったという場合は以下の3通りあるはずです。
        ① 最初に入れたのが黒で、次に入れた白を引いた場合。この場合残りは黒ですね。
        ② 最初に入れたのが白(白1とします)で、さらに白(白2)を入れます。袋から引い たのが白1の場合。 この場合残りは白です(白2が残ります)。
        ③ 最初に入れたのが白(白1)で、さらに白(白2)を入れ、袋から白2を引いた場合。 この場合の残りは白(白1)です。
         この3通りが生ずる確立はいずれも1/3です。
         で、最後に白が残るのは②の場合と③の場合の2通りありますから、1/3×2で、2/3が正解となります。
         納得しましたか?

         本書には、この様に様々なゲーム、パズル、クイズが載っていますが、中には、同じゲームなんだけれど、少しずつキャロルらがルールを改定しているというケースがあり、そのような場合全てのルールがご丁寧に掲載されているので、その点はちょっとうっとおしいかなぁというところもありますが、まぁ、全体的に興味深い本ではないでしょうか。
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        2019/12/31 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      エラリー・クイーン論

      飯城勇三

      4.0
      いいね!
      • 【クィーン愛に溢れた細密な分析】
         ネヴィンズの『エラリー・クィーン 推理の芸術』を読んで、日本はエラリー・クィーンの作品について熱心なファンが多く、非常に深い考察がなされているということを知り、それはどういうものだろう?と興味を持って手に取ってみたのが本書です。

         本書の著者は、エラリー・クィーン研究家にしてエラリー・クィーン・ファンクラブ会長ということで、これまでにも多数の著書がある方のようです。
         本書も、エラリー・クィーン・ファンクラブの会誌である『Queendom』に発表した考察をまとめたものということで非常にマニアックな内容になっています。

         本書を読むに当たっては、まず、クィーンの作品を熟読玩味していないとついていくのがなかなか大変でしょう。
         私のように、ある程度は読んでいるけれど読んだ作品だって忘れているものも多い程度の者にはいささか荷が重いです。
         マニア向けの内容なだけに、書かれている作品については十分に読みこなしていることが前提となっています。
         ただし、未読の作品、あるいは忘れてしまった作品について論じられている部分についても、著者が言わんとしていること自体は理解が可能です。

         その様な内容の本であるため、ネタばれに対する回避はほぼありません(各章の頭にネタばれになる作品名が書かれているのがわずかな注意と言える程度です)。
         ですから、これからクィーンの作品を楽しもうとお考えの方には全く向かない本だと思います。

         しかし、細密な分析をされています。
         その分析の多くについては、なるほどと納得しました。
         特に、クィーンが『読者への挑戦』で当ててもらいたがっているのは何かという論考はその通りだろうなと得心しました。
         だから、『読者への挑戦』が挿入されていない作品はそれなりの理由があるのだという説明も。
         また、多くの推理小説好きはミステリの犯人当てをするためにこういう読み方をするけれど、クィーンの作品はその様な読み方では歯が立たないのだという論考も納得できるものでした。

         さて、本書で特に熱く語られているのは、『ギリシャ棺の謎』についての部分でしょう。
         この作品は、著者の評価によれば、従来無かったタイプの作品であり、またそれ故に様々な問題を生み出した作品でもあるということで、著者以外の著名推理作家等もこの作品について大いに論じているようです。
         著者も、その様な論争に加わり、自説を展開し、あるいは他の説に対する批判、反論を繰り広げています。
         
         私、『ギリシャ棺』は大昔に読んだ記憶なのですが、内容はすっかり忘れており、到底この論争に加わるほどの知見もありませんでした。
         ただし、先にも書いたとおり、著者やその他の方々がこの作品について何を問題にし、どのような説を展開しているのかという点については、本書の記述だけからでも十分に理解することは可能です。

         とは言え、何とも細密な分析と議論ですよ。
         これはロジック・パズルですね。
         熱心なファン(マニア?)ともなれば、ここまで読み込むものなのねと唖然とさせられました。
         私なんかミステリは好きだとは言え、到底こんな議論までしようとは思いませんし、単純に、作品を読んで、「あっ!」と驚かせてもらえたらそれで十分楽しいというレベルなもので、こうまで分析的に読まなければならないものなのかとも思ってしまいました。

         著者のあとがきによれば、著者の考察に対して小説家の笠井潔氏は「論争的な性格の文章である」と評したそうですが、著者に言わせれば「挑戦的」という方がふさわしいと思っているので、みなさんもこの『読者への挑戦』を受けて欲しいということです。
         いやいや、とてもとても。

         ともかくも、日本のコアなエラリー・クィーン・ファンがどんな議論をしているのかという当初の私の関心事については十分に答を得られたと感じました。
         それは私の予想の遙か上をぶっ飛んでいるもので(笑)、大変驚かされました。
         「私はミステリをそういう風には読めないなぁ。驚かせてもらえたら幸せだと単純に思う程度の一ファンでいるのだろうな。」と痛感した次第です。
         いや、恐れ入りました。


        読了時間メーター
        ■■■     普通(1~2日あれば読める)
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        2019/12/08 by ef177

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