こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


カテゴリー"小説、物語"の書籍一覧

      星を継ぐもの

      ジェイムズ・P・ホーガン

      4.3
      いいね! Minnie Tukiwami
      • 2013年11月の課題図書
        創元SF文庫さん、字が小さいです。慣れるまで読む気が減退しました。
        導入が冗長に感じましたが、中盤以降、謎が解明されていく感じがたまらなく面白かったです。

        余談ですが物語の舞台は2028年、もうすぐです。書かれたのは1977年、私が生まれた頃。月に基地はないし木星にも行けてないどころか、ウィルスと必死に戦ってる。室内は禁煙だし、マイクロウェーブは電子レンジだよ!なんて現代との差異楽しんで読んでました。
        そして、物語には出てこない概念、インターネット。やはりインターネットってのは、人類最大の発明のひとつだと思います。

        続編も気になるけど、字が小さいからなあ〜
        >> 続きを読む

        2020/03/30 by たい♣

      • コメント 2件
    • 他30人がレビュー登録、 98人が本棚登録しています
      アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

      フィリップ・K・ディック

      4.1
      いいね! pasuta KEMURINO
      • 本作ではアンドロイド(今流行りで言えば人工知能)と人間の最大の違いは「感情移入」が出来るか否か、というスタンスである。
        しかし、人間もアンドロイド的な一面もあれば、アンドロイドも人間的な一面もある事を示唆している。
        アンドロイド達はtheyなのかitなのか。
        この「記憶」と「自我」は己自身のものか、洗脳されたプログラムなのか。
        ラストでは人口ヒキガエルに「感情移入」をする主人公。
        目まぐるしく人工知能のロボット工学が発展している21世紀初頭の現在。今一度、「人間」と「アンドロイド」の在り方を向き合う時かも知れない。
        >> 続きを読む

        2018/01/23 by 嶋村史緒

    • 他25人がレビュー登録、 80人が本棚登録しています
      老人と海

      アーネスト・ヘミングウェイ , 福田恒存

      3.7
      いいね! Tsukiusagi Minnie su-kun sunflower cocodemer niwashi ryoh3 Hyonmin
      • 自分のバカさ加減を露呈するようなものだけど、イマイチ名作たる理由が分からない。

        トーリーは、あらすじ通り。
        何も考えずに読めばすぐ読み終わって後には何も残らないだろう。

        それでも名作なのだからと深読みしてみる。

        確かにレビューなんかで言われているような事は分かるし、自分はこう思うんだけどなーなんて議論もしたくなる。

        …けど、それって本書が凄いってこと?

        世間一般的な駄作でも深く読もうと思えば色んな考えや想いというのは出てきそうな気がするけど。

        …まぁそうではないから名作なんだろうけど。
        >> 続きを読む

        2018/10/02 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 他24人がレビュー登録、 90人が本棚登録しています
      わたしを離さないで

      土屋政雄 , カズオ・イシグロ

      4.4
      いいね! KEMURINO
      • 限りなくフィックションの小説に何を求めて、本を買ったり、借りたりするのか? 

        それは、いまだ知り得ぬ世界を見れるかも? という勝手な期待感に尽きるんだ、という小説の面白さを改めて実感した個人的に記念すべき本に出会えた。

        これまで、著者の作品は3作読んだが、いつも頭の片隅にノーベル文学賞受賞者作品という余計な冠(情報)がつきまとっていた。

        今回は、その冠をまったく気せず、予測不能の物語の行方に翻弄され、読み進んだ。この吸引力こそ小説の楽しさだぜ!と実感。

        1990年代末、イギリスという設定で静かに始まる「です」「ます」調、主人公目線の手記タッチ。アンを思わせる、施設で暮らす思春期少女の成長記と思いきや、「提供者」「介護人」「保護官」という関係性が飲み込めない違和感に引っ張られながら、第20章あたりから、「えー!マジ! 聞いてないよ!」と驚愕。

        登場人物たちの言動、感情など、それまでめくってきた全ページが、歩に落ちる、物語構成に打ちのめされた。

        ノーベル文学賞ってSF、純文学、大衆文学なんていう狭いカテゴリーをはるかに超越した世界を創造できる人に与えられるんだぁ、と納得。映画もぜひ観たい。
        >> 続きを読む

        2020/09/15 by まきたろう

      • コメント 2件
    • 他23人がレビュー登録、 64人が本棚登録しています
      そして誰もいなくなった

      アガサ・クリスティ , 青木久恵

      4.1
      いいね! chao sunflower tadahiko tomato Minnie napori Tukiwami akino
      • あまりにも有名な作品ですが、読んだのは初めて(内容も知らなかった)。久々にミステリーを堪能しました。

        嵐で外部との連絡手段を断たれた孤島、姿を見せない屋敷の主、招待された互いに見知らぬ十人の男女・・・いまやミステリーの王道とも言える要素がてんこ盛りで、思わずテンションが上がりました。

        各自の部屋に飾られた童謡の歌詞、その歌詞の通りに一人ずつ殺されていく招待客。そして一人死ぬごとになくなっていく陶器の人形。否が応でも不安がかき立てられていく設定に、怖くてページをめくる手が止められない(矛盾?)。トリックや犯人捜しというよりは、皆が疑心暗鬼に陥り、徐々に追い詰められていく心理面の描写が面白い作品だと思う。怖かったけど・・・。

        >> 続きを読む

        2019/06/22 by asaki

    • 他20人がレビュー登録、 93人が本棚登録しています
      アルジャーノンに花束を

      ダニエル・キイス , 小尾芙佐

      4.4
      いいね! momomeiai Minnie sunflower tadahiko Erika
      • 知的障害者(主人公)の日記を通じて、手術前後の生活が分かるお話。
        本だからこそ表現できる、日記の「誤字」が良かったです。

        映画「レナードの朝」(1991年)に、お話が少し似ています。

        所有していた本でしたが、友達に貸して、戻ってきませんでした。
        2019年、図書館で借りて、再読しました。
        >> 続きを読む

        2020/02/08 by mirio3

    • 他17人がレビュー登録、 70人が本棚登録しています
      夏への扉

      福島正実 , ロバート・アンスン・ハインライン

      3.7
      いいね! kimiyasu Tsukiusagi snoopo HRJNK
      • 匿名

        最初は海外物ならではの翻訳の難しさがあったけども、後半に行くに連れて面白さが勝ってきました。面白すぎて集中しすぎて、電車を二駅程乗り過ごしてしまい学校に遅れるというエピソードが作られました。 >> 続きを読む

        2017/12/27 by 匿名

    • 他16人がレビュー登録、 67人が本棚登録しています
      日の名残り

      土屋政雄 , カズオ・イシグロ

      4.4
      いいね!
      • 【一流の執事というものは……】
         イギリス以外の国には召使いはいるが、執事はいない
         これは作中に出てくる言葉です。
         本作は、一流の名家であるダーリントン・ホールに執事として勤めた、主人公スティーヴンスの物語です。

         一家の主ダーリントン卿は3年前に他界し、屋敷は現在アメリカ人の富豪の持ち物になりました。
         新しい家主は、イギリスの一流の執事を所望したため、スティーヴンスも屋敷に残ったのすが、屋敷を去る使用人も多くいました。
         時代が変わった今では(1956年が本作の時代になります)優秀な使用人を得ることは困難だということで、少ない人数で屋敷を切り盛りすることになったのですが、いかんせん人手不足は否定できません。

         ある時、新しい主人から、「しばらくアメリカに帰るから、その間スティーヴンスも旅行でもしてくれば良い」と言ってくれたことを機会に、スティーヴンスはある計画を立てます。
         それは、かつてダーリントン・ホールに努めていた女中頭を再度屋敷に呼び戻そうというものでした。

         主人が貸してくれた車に乗り込み、この計画の実行に着手するスティーヴンス。
         本作は、旅行の過程での、スティーヴンスの執事論、回想録といった内容になります。
         優れた執事たるものこうあるべきであるという話が主となりますので、一風変わった内容の作品になっています。

         ダーリントン卿は、ナチス・ドイツ・シンパであるということで、かなり批判もされているのですが、卿を尊敬してやまないスティーヴンスは、それは誤解であり、真実は違うのだと力説します。
         そして、その様な素晴らしい主人に仕えられたことは執事として大きな幸せであり、自分は一流の執事として常にベストを尽くしてきたのだと自負しています。

         しかし、物語のラストでは……。

         一人称で淡々と語られる執事の回想録であり、何か大きなできごとがあるという作品ではありません。
         英国執事とはどういうものなのかを得意気に語るスティーヴンスの語りを負う作品ですが、最後の最後でもの悲しさを味わうことになるでしょう。

         本作は、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされたそうです。
         見てはいませんが、おそらく静かな渋い映画になったのではないかなと想像しちゃいます。

        >> 続きを読む

        2019/09/12 by ef177

    • 他15人がレビュー登録、 34人が本棚登録しています
      一九八四年

      高橋和久 , ジョージ・オーウェル

      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 【絶望的な未来社会】
         ディストピア小説の古典的名作をようやく読んでみました。
         舞台となるのは世界が3大国家により分割統治されている未来社会です。
         時代は……おそらく1984年。
         「おそらく」というのは、主人公が住んでいるここオセアニアでは、年代が故意にぼやかされているようで、実のところ何年なのかよく分からなくなっているのです。

         オセアニアは、党による独裁がしかれており、全体主義、社会主義国家になっています。
         主人公のウィンストンは、ロンドンで党外郭の人間の一人として真理省に勤務しています。
         ウィンストンがやっている仕事は過去の歴史の改竄です。

         党が将来の経済などを予測して発表するわけですが、そのとおりにはならないわけですね。
         そうすると、真理省が過去に発表した将来予測を書き換えてしまうのです。
         それだけではなく、都合の悪い過去はどんどん改竄され、最初からそういうものだったとされてしまいます。
         ですから、過去がどんな状態だったのか、今はいったいいつなのかなどが分からなくなってしまっているのです。

         そんなことをしても人間の記憶は消せないのだから無意味だと思いますよね。
         でも、オセアニアの人たちは、『二重思考』と呼ばれる現実隠蔽の考え方を叩き込まれており、実際のところがどうであれ、党が発表することが真実なのだと頭から思い込み、それに反する思考はすべて自分の中でシャットアウトするようになっているのでした。

         町中至る所に『テレスクリーン』と呼ばれる装置が設置されており、これは双方向のテレビのようなもので、人びとの姿や声は四六時中党によって監視されています。
         万一、党の方針に反するようなことを言ったり、党の指示に従わないような行動が見られた場合には、即座に『思考警察』がやってきて抹殺されてしまうのです。
         そう、もとからそんな人間などは存在しなかったものとされてしまうのですね。

         この世界を支えているのは人口の約85%を占める、プロールと呼ばれる下層民です。
         彼らは、劣悪な環境で、労働力としてだけ存在意義を認められており、党もプロールが何をしようがどんなことを考えようが、そんなことは知ったことではないのです。
         叛乱など起こさず、従順に労働さえすればそれでよろしい。

         世界は、もう何年も前から戦争状態が継続しています。
         しかし、一体どこの国と闘っているというのでしょう?
         昨日まではユーラシアと闘っていたはずなのに、ある日突然、敵はイースタシアであると党のアナウンスがあり、そうなんだとみんな頭から信じ込んでしまうというとんでもない世界です。

         この世界のリーダーは、『ビッグ・ブラザー』と呼ばれている人物なのですが、実在するのかどうかも不明です。
         ただ、町中に『ビッグ・ブラザー』の、じっと見つめるような肖像写真が貼られまくっているのですが。
         
         この様な世界に反対する勢力もいる……とかいないとか。
         かつて、エマニュエル・ゴールドスタインという党中枢にいた人物が、革命に反旗を翻し、世界のどこかに潜伏して反革命活動をしていると言われてはいるのですが。
         党は、人民に対して、ゴールドスタインを徹底的に憎むように教育しており、毎日『二分間憎悪』と呼ばれる、洗脳的なプログラムを強制しているのです。

         ウィンストンは、この様な社会の有り様に疑問を抱き始めています。
         党により過去の歴史が改竄されていくことが納得できず、日記をつけ始めてしまうのです。
         もし見つかりでもしたら、すぐに『思考警察』がやってきて抹殺されてしまうような危険な行為です。
         自分でも何のためにそんなことをしているのかよく分からないのですが、『テレスクリーン』から隠れるようにして日記をつけ続けてしまうのですね。

         ある時、ウィンストンは同じ真理省に勤務するジューリアという女性からラブ・レターを密かに受け取ります。
         これも完全に反党的行為であり、見つかったら処刑されるでしょう。
         はじめは、ジューリアこそが思考警察であり、自分を罠にはめようとしているのではないかとの疑いをぬぐい切れませんでしたが、ジューリアも反党的な思想を持つ女性だということが分かったのです。
         二人は、人の目を避けるようにして危険な逢瀬を続けます。

         という、大変恐ろしい未来社会が描かれた作品です。
         そこには何の望みも、楽しみもなく、ただひたすら党に服従することだけが求められている世界です。
         物質的にも、わざと窮乏するような生産調整が行われており、党外郭の人間は、自分をプロールと比較することによって、幸せなのだという錯覚をして生きていくだけなのですね。
         あぁ、恐ろしい。
        >> 続きを読む

        2019/10/13 by ef177

    • 他15人がレビュー登録、 61人が本棚登録しています
      停電の夜に

      小川高義 , ジュンパ・ラヒリ

      3.6
      いいね!
      • こんなタイトルの日本映画があったなーと思いつつ、「停電の夜に」という妄想溢れるタイトルに惹かれて購入。

        (映画のタイトルは、大停電の夜に、でした。本書とは関係ないかな。)

        実際は9つの短編集で、タイトルは一番最初。

        正直、どのお話も明るくはありません。

        家族や人間関係のちょっとダークな部分、でもちょっとしたドラマにはなるだろうな、という内容が多い。

        その為か、何ともない日常シーンが多めで、落ちとしては消化不良、ということがあった。

        作者はロンドン生まれアメリカ育ちのインド人。
        舞台はインドが多く、なかなか興味深いことも多かったが、それは物語とはそこまで直接関係はない。

        ボロボロに書いてますが、つまらなくはないので、一度は読まれてみてもいいかもしれません。
        >> 続きを読む

        2020/05/18 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 他14人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      アクロイド殺し

      アガサ・クリスティ , 羽田詩津子

      4.6
      いいね! chao Minnie shikamaru
      • 恥ずかしながら初めてアガサクリスティの作品を読みました。
        フェアかアンフェアか当時議論を呼んだとあり、ミステリー小説の歴史を感じます。
        ネタバレさせたくないのであまり書けませんが、イギリスでまさか麻雀をしてるなんて!ビックリしました。ひさしぶりに麻雀したいなあ。卓を囲んでおしゃべりするのが楽しいんですよね。だから負けてもいいのです笑
        >> 続きを読む

        2019/12/24 by たい♣

      • コメント 2件
    • 他14人がレビュー登録、 44人が本棚登録しています
      ティファニーで朝食を

      村上春樹 , トルーマン・カポーティ

      3.8
      いいね! Minnie
      • 「いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの」

        とてもチャーミングなオードリー・ヘップバーンがこちらを見つめる有名なジャケットは、映画を観ていなくても誰しもが知っているでしょう。
        一目見て、忘れられなくなるくらいキラキラしています。
        でも、映画を観ていない私が本書を読んだ脳内映像の主役は、マリリン・モンローでした。
        型破りで自由奔放、一つ一つに色気のあるしぐさはオードリーではありませんでした。

        ここまでホリー・ゴライトリーの印象が違うと、映画→原作の人は困惑するだろうし、原作に満足してしまうと映画を観ようという気は起らなくなるかもしれません。
        私は後者です。
        収録されている短編3作を含め、雰囲気が良くて、おしゃれで、登場人物と共に会話を楽しんだり、悲しくなったり。
        本を読んでいて、とても満たされました。
        囚人宿舎の中でギターを弾く新人囚人により、生きていることを思い出した風景(『ダイアモンドのギター』)、花盛りの家、親友とクリスマスツリーを切りに行った日のこと(『クリスマスの思い出』)、なんて色彩が豊かなのでしょう。
        それと、どれもラストが好みでした。

        ホリー・ゴライトリーには、自分らしく幸せであってほしい。
        主人公の想いに共感しました。
        それぞれ短編の主人公にも同じことを思いました。
        >> 続きを読む

        2018/07/07 by あすか

      • コメント 12件
    • 他11人がレビュー登録、 34人が本棚登録しています
      春にして君を離れ

      アガサ・クリスティ , 中村妙子

      4.3
      いいね! Minnie MissTerry chao bakabonn Tukiwami
      • 【クリスティだけどミステリではない。しかし、とても恐ろしい作品である。】
         以前、『アガサ・クリスティー完全攻略』という本をレビューしましたが、その本では著者がクリスティの邦訳されている全作品を読破した上で、ベスト10を選出していました。
         著者が選んだベスト10は、私の感覚とは異なるものではありました。
         ただ、その中には私が読んでいない作品が上位にランクされていたことから、「そんなに高評価ならば読んでみなくては」とも思ったのです。
         ということで、本作は第5位にランクインしている作品で、図書館にもありましたので借りてきてみました。

         さて、本作はクリスティの作品ではありますが、ミステリではありません。
         殺人などの何の事件も起きません。
         強いて言えばサスペンス的な要素を持っているとはいえるかもしれませんが、それもさほど強いものではなく、一般小説として読まれるべき作品でしょう。

         主人公のジョーンは、弁護士の夫と3人の子供を持った主婦で、これまでうまく人生を生きてきた、自分はあれこれのことに気を配り、子供を上手に育て上げ、幸せな家庭を築いてきたという自負を持った女性です。
         彼女は、結婚して嫁いでいった末娘が急病になったという知らせを受け、単身ロンドンを発って末娘家族が住むバグダッドへ行ってきた帰りでした。
         末娘の容体はそれほど案ずるほどのことでもなく、あれこれと世話を焼いてロンドンに帰るところなのでした。

         ジョーンは、帰路の途中で立ち寄った鉄道宿泊所で、偶然、女学生時代の同級生のブランチと再会します。
         ブランチは、女学生時代、生徒たちの憧れの的であり、家柄も良く、幸せな将来が約束されたような女の子だったのです。
         ところが、実際には、ブランチはろくでもない男に夢中になり、また、自分が生んだ子供の面倒をみることを放棄して別の男に走るなど、ジョーンからすれば散々な人生を歩んだ女性でした。

         今、こうしてブランチの姿を見ると、年齢の割にはすっかりくたびれ果てて老け込んでおり、服装もみすぼらしく思えました。
         それに比べて、鏡に映る自分の姿は、まだ若々しく、身なりもちゃんとしているではありませんか。
         結局、本当の幸せをつかんだのは自分なのだと思うジョーンでした。

         ジョーンを見かけたブランチは気さくに声をかけてきて、一緒にお茶を飲もうと誘ってくれました。
         ブランチは、自分の人生がどういうものだったかについてあけすけに語るのですが、どうも大して後悔もしていないようにジョーンには感じられました。
         あるいは露悪趣味?
         そんなブランチの姿を見るにつけ、ジョーンはつくづく自分はしっかりと生きてきたんだと安心するのでした。

         ジョーンは、ブランチに対して、自分は毎日毎日、地区病院の理事職、施設の評議員、ガールスカウトのリーダーその他もろもろの仕事で忙しくしているので、一週間でも良いから何もせずにぼんやり過ごしてみたいなどとも言うのです。

         翌朝、ジョーンはブランチと別れて一人で自動車で鉄道駅へ向かうのですが、生憎の雨のため旅程が遅れてしまい、駅に着いた時には乗るはずだった列車は既に出発してしまっていました。
         仕方なく、駅の宿泊所に泊まることになったのです。
         列車は週に三便しかありません。
         宿泊所周辺は良い天気なのですが、その他の地域では雨が降り続いているらしく、列車は遅れに遅れていて、いつ到着するか分からないというのです。

         それなら、ブランチに話したような、何もすることがない時間が望み通り手に入ったのだからと考え、ジョーンは宿泊所近くで無為な日々を過ごし始めたのです。
         最初のうちは、こういう何もしなくても良い時間は良いものだなどとも考えもしましたが、すぐに飽きてしまいました。
         持ってきた本もすべて読んでしまい、何もすることが無くなってしまいます。

         ジョーンは有り余る時間を潰すために色々なことを回想し始めるのです。
         ところが、思い出すことは不愉快なことばかり。
         幸せな人生を歩んできたはずの自分なのに、何故こんなに嫌な事ばかり思い出してしまうのだろう?
         それとも、自分の人生というのは本当は幸せなものではなかったのだろうか?

         子供たちはみんな良い子で、私を愛してくれていたのに、幸せじゃないなんていうことはあり得ない。
         でも……、あの時、あの子が言った言葉の意味は、本当は……。
         私は、愛する夫をしっかりと支え、夫がろくでもない農園を経営したいなどと言い出した時も、しっかり引き留めてちゃんと弁護士事務所に勤めさせた良い妻ではないか。
         でも、本当は、夫は……。

         ジョーンは、徐々に、自分の人生が本当に正しかったのか、自分は良い妻だったのか、自分は幸せだったのか等について疑いを抱くようになっていきます。
         自分一人だけが何も分かっていなかったのではないか、と。

         これまで確固たるものと信じていたことが、突然根底からぐらつき始めるというプロットは、クリスティはミステリの中で使ったことがありましたが、本作は、それを何の犯罪も起きない一般小説の中で語っているのです。
         これは、大変恐ろしいことではないですか。

         さて、本作についてどう評価するか。
         まず、ラストがどうなるのかが読んでいる途中から気になり始めました。
         あっちへ持っていくのか、それとも……。
         そして、読み終えた後、最後に書かれているエピローグは必要だったのだろうかとも考えました。
         もちろん、エピローグを書いた方がクリスティの意図は明確になるでしょう。
         ですが、私は、あるいはエピローグは不要だったのではないかとも思えました。

         大変恐ろしい、また、読んでいて辛さを伴う作品だったと思います。
         本作に高い評価を与える読者がいることも理解できるところです。
         ただ、私がこの作品を好むかというと……。

         なお、蛇足ですが、文庫版の表紙に描かれている女性(これってジョーンですよね?)って、何故ビーサンのようなサンダルを履いているんでしょうか?
         私、どうもそこが気になってしまって、気に入らない点の一つなんですが……。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/10/13 by ef177

    • 他11人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      仕事は楽しいかね?

      DautenDale A , 野津智子

      3.7
      いいね!
      • 2019年16冊目。特に何かで当てて成功したいという願望はさらさらなく、就職試験の失敗から年齢の割に現実を知らなさすぎる自分を反省して色々とこれまで手に取らなかった本をいつもの読書と並行して読んでみようと思ったのが動機。そんなわけで、この本に関しては自分の心に響く部分とそうでない部分があり、参考になったかどうかは疑問符が付く。ただ、「明日は今日と違う自分になる」「試すのは簡単だが、変えるのは難しい」などのフレーズが自分の心に響いたかなと思う。もう一度時間をおいて再読してみようと思う。

        >> 続きを読む

        2019/02/16 by おにけん

    • 他11人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      クリスマス・キャロル

      チャールズ・ディケンズ , 村岡花子

      4.1
      いいね!
      • クリスマスも終わり、ようやく忙しさも落ち着いたのでたまった感想をボチボチまとめる。今年の感想は今年のうちに。

        クリスマスの準備に教会への行き帰りに毎年読むクリスマス・キャロル。
        今年は新たに村岡花子さんの翻訳でも読んでみた。
        少し古さを感じさせると聞いたことがあり避けていたけれど、実際読んでみるとそんなに古臭くなかった。寧ろ好み。
        改訂がなされているからかもしれない。

        小さい頃、テレビでクリスマス・キャロルのドラマを観た。
        とにかく泣いたことを憶えている。そして教会に行って司祭に自分の想いを喋りまくった。
        そのときの印象がずっと残り、いつしか待降節には欠かせない読み物になった。

        物語は簡単に言えば、守銭奴の老人が失ったやさしい心を取り戻して残りの人生を生き直すというもの。
        勿論、意外な展開も衝撃の結末もなし。

        ディケンズがクリスマス・キャロルを書いた時代背景や世相といったものから掘り下げて読むのも良いと思うけれど、そんな難しいことを考えて読まなくてもいい本もあると思う。
        クリスマスが近づいてきたら、わたしは自分の出来る範囲でひとを思いやりたいと思った昔の素直な自分を思い出したい。それだけだ。

        ひとは生きていくうちに多くのものを得ると共に、多くのものを失う。
        中には取り返しのつかないものもあるだろう。
        それでも、自分の心だけは自分次第で取り戻すこともできる。
        日常の煩雑さに、自分を思い出し見つめなおす機会はなかなかないかもしれないけれど、忙しくなりがちな年末に敢えてゆっくり人生を振り返り、残りの人生を考えなおしてみるのも悪くないと思う。
        毎年そうさせてくれるこの本が、わたしはやっぱり大好きだ。

        今年ももう少しで終わりますね。
        >> 続きを読む

        2015/12/27 by jhm

      • コメント 2件
    • 他9人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      赤毛のアン

      L・M・モンゴメリ , 村岡花子

      4.6
      いいね! Minnie peace_1987 Moffy
      • 中学生(?)高校生(?)以来の再読。なんてすばらしい物語なんだろうと、あらためて感じた。アンの人となりのすばらしさ、プリンス・エドワード島の美しい自然のすばらしい描写、アンの周りの大人の精神的な成長など、すべての要素がバランス良く、物語の進行に欠かせない。このあたりが人気たる所以か・・・。とにかく大好きな小説だと再認識。ぜひぜひ子どもたちにも読んでもらいたいので、我が家の本棚に大切に保管。そして、シリーズ最後まで読んでみようと思った。 >> 続きを読む

        2019/06/24 by URIKO

      • コメント 2件
    • 他9人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      白い犬とワルツを

      テリー・ケイ , 兼武進

      3.4
      いいね!
      • 確かに、ある程度年齢のいった読者の方がじんわりとした余韻を感じるかも。誰に感情移入するかといったら、やっぱり老人サムなんだろうから、男の人の方がぐっと来るかも。亡くしたつれあいをここまで思い続けることが、果たして自分にできるか。それにしても、日記のところはちょっと読みにくい。 >> 続きを読む

        2015/07/07 by げんなり

      • コメント 2件
    • 他9人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      幼年期の終り

      アーサー・C・クラーク

      4.3
      いいね!
      •  異星人との接触で人類は成功を約束されたと思いきや、実はそんな事は些細なことであり人類の未来は全く違っていたという題名通り、壮大な物語。オーバーロードの謎と動向を楽しく考えながら一気に読めます。謎は全て解けて満足。再読するとオーバーロード視点でまた別の感じを(悲哀)受けそうなので後で読もうと思います。
        >> 続きを読む

        2018/08/02 by pasuta

    • 他9人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      幻の女

      ウイリアム・アイリッシュ

      4.2
      いいね!
      • 【どうして誰も覚えていないんだ!】 
         アイリッシュの古典的名作です。
         主人公のスコットは妻との関係が冷え切っており、離婚を申し出ています。
         ところが妻がなかなか承知しないため、今夜は一緒に食事に行って、ショーでも見て、ちゃんと話をしようと思っていたのですが、妻は一向に出かけるそぶりをみせません。

         頭に来たスコットは、捨てぜりふを残して家を飛び出るや、適当なバーに入り、そこで見かけた見ず知らずの女性を食事とショーに誘います。
         二人は互いに深入りしないことを約束し、名前も教え合わずに食事とショーを楽しんで分かれます。

         スコットが家に戻ってみると、何と、妻が殺されているではありませんか。
         状況からしてスコットが犯人と疑われます。
         スコットは、自分にはアリバイがある、バーで知り合った女性と一緒にいたと主張するのですが、何故か、バーテンダーもレストランの従業員も、途中で乗ったタクシーの運転手もスコットのことは記憶しているのに、連れの女性などいなかったと口を揃えます。なんで~?
         ついにスコットは裁判にかけられ、死刑を宣告されてしまいます。

         本書の各章の見出しは、スコットの死刑執行までの残り時間が記されています。
         誰も知らないというその「幻の女性」を見つけ出さないことには無実の罪で死刑になってしまいます!

         最初はスコットを逮捕した警察官も、徐々に疑問を持ち始め、あるいはスコットが言っていることが正しいのではないかと考えるようになり、スコットに面会して、力になってくれる親友に助力を頼むように助言します。

         そこで表れたのがスコットの親友のジャック。
         彼はスコットの無実を信じ、「幻の女」の捜索に乗り出してくれます。
         が、しかし、良いところまで追い詰めると途端にその手がかりが途切れてしまうことの繰り返し。
         スコットの死刑執行までの残り時間はあとわずかです。
         ……そうして、最後の大どんでん返し!

         トリックがやや都合良すぎで、そんな風になるかなぁと思うところはあるものの、楽しく読める作品であることは間違いありません。
         本書は、江戸川乱歩が相当に高く評価して我が国に紹介したことでも有名な作品です。
         古い作品ですので、やや時代がかったところがあるのは致し方ないにしても、古典的名作であることは間違いないと思います。
        >> 続きを読む

        2019/09/28 by ef177

    • 他9人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      ライ麦畑でつかまえて

      J・D・サリンジャー , 野崎孝

      3.6
      いいね! harujack Minnie
      • 再読。
        僕にとって本作は聖典とも言えるべき作品である。
        主人公のホールデン・コールフィールドが、最初のスペンサー先生とのシーンで先生の胸板を洗濯板みたいと形容するのを皮切りに、周囲の人間を心の中だけとはいえ無差別に撫で斬りにし狂犬のように噛み付くスタイルは、明らかに僕の人格形成に多大な影響を与えている。
        こんなのはただの厨二病ではないか、みんな思春期には程度の大小はあれこの程度のことは思っていたはず、と批判する人もいるかもしれないが、サリンジャの凄さはこの思春期の子供が陥りがちな思考を正確に言語化したことにあり、その量および質は、やはり他の厨二病小説を全く寄せ付けていないと思われる。
        ストラドレーターやルースといった、いちいち他人に対してマウントを取らないと気が済まない面倒くさいキャラとのやりとりも必読である。
        ホールデン・ヴィタミン・コールフィールドのネーミングは少し滑っていたかもしれない。
        ほとんどの他人に対して手厳しいコールフィールドも妹のフィービーに対してだけは優しく、むずかるフィービーをあやすコールフィールドの関係性は、「フラニーとゾーイー」のそれを彷彿とさせた。
        サリンジャは52歳で当時18歳のジョイス・メイナードと短期間同棲、1990年頃からは約50歳年下の看護婦と結婚生活を送るという、大変うらやましい人生を送っているが、彼女らはサリンジャの未発表小説を自分一人だけ読めるという栄誉にあずかっていたと邪推している。
        全世界で6,000万部以上本作を売り上げたサリンジャにとって、もはや一般人に対して小説を発表する動機はなかったであろうから。
        >> 続きを読む

        2020/07/01 by tygkun

    • 他9人がレビュー登録、 45人が本棚登録しています

カテゴリー"小説、物語"の書籍一覧 | 読書ログ

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

それで寿命は何秒縮む?