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ジェイムズ・P・ホーガン
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新年は必ずSF小説を読むことに決めている。月で発見された「人」に似た死体は5万年前に死亡していた。前半の展開はゆっくりだったが、次第に謎が謎を呼ぶ展開に引き込まれた。最後は驚きの事実が。SF小説らしい奇想天外なストーリーだ。十分楽しめた。 >> 続きを読む
2019/01/08 by KameiKoji
フィリップ・K・ディック
本作ではアンドロイド(今流行りで言えば人工知能)と人間の最大の違いは「感情移入」が出来るか否か、というスタンスである。しかし、人間もアンドロイド的な一面もあれば、アンドロイドも人間的な一面もある事を示唆している。アンドロイド達はtheyなのかitなのか。この「記憶」と「自我」は己自身のものか、洗脳されたプログラムなのか。ラストでは人口ヒキガエルに「感情移入」をする主人公。目まぐるしく人工知能のロボット工学が発展している21世紀初頭の現在。今一度、「人間」と「アンドロイド」の在り方を向き合う時かも知れない。 >> 続きを読む
2018/01/23 by 嶋村史緒
アーネスト・ヘミングウェイ , 福田恒存
自分のバカさ加減を露呈するようなものだけど、イマイチ名作たる理由が分からない。ストーリーは、あらすじ通り。何も考えずに読めばすぐ読み終わって後には何も残らないだろう。それでも名作なのだからと深読みしてみる。確かにレビューなんかで言われているような事は分かるし、自分はこう思うんだけどなーなんて議論もしたくなる。…けど、それって本書が凄いってこと?世間一般的な駄作でも深く読もうと思えば色んな考えや想いというのは出てきそうな気がするけど。…まぁそうではないから名作なんだろうけど。 >> 続きを読む
2018/10/02 by 豚の確認
土屋政雄 , カズオ・イシグロ
こんなにも感情を抑えて物語が書けるのか。些細な事をものすごく細かく書いているのに、登場人物たちの内面にはあまり踏みこんで描かれていない。誰にも感情移入できず、なんだか突き放されたような、不安な気持ちにさせられる。あまりにも過酷な運命なのに、登場人物たちはそれを疑うこともなく、当たり前のこととして受け入れているように見える。どうして異を唱えないのか、あらがおうとしないのか。終盤で主人公が行動を起こす場面もあるが、それだってあまりにもささやかだ。こんなことが許されていいはずがないと思いつつ、いつか現実のものとなる日が来るのではないかと、空恐ろしい気持ちになった。最後の場面があまりにも悲しい。 >> 続きを読む
2019/05/19 by asaki
アガサ・クリスティ , 青木久恵
あまりにも有名な作品ですが、読んだのは初めて(内容も知らなかった)。久々にミステリーを堪能しました。嵐で外部との連絡手段を断たれた孤島、姿を見せない屋敷の主、招待された互いに見知らぬ十人の男女・・・いまやミステリーの王道とも言える要素がてんこ盛りで、思わずテンションが上がりました。各自の部屋に飾られた童謡の歌詞、その歌詞の通りに一人ずつ殺されていく招待客。そして一人死ぬごとになくなっていく陶器の人形。否が応でも不安がかき立てられていく設定に、怖くてページをめくる手が止められない(矛盾?)。トリックや犯人捜しというよりは、皆が疑心暗鬼に陥り、徐々に追い詰められていく心理面の描写が面白い作品だと思う。怖かったけど・・・。 >> 続きを読む
2019/06/22 by asaki
福島正実 , ロバート・アンスン・ハインライン
最初は海外物ならではの翻訳の難しさがあったけども、後半に行くに連れて面白さが勝ってきました。面白すぎて集中しすぎて、電車を二駅程乗り過ごしてしまい学校に遅れるというエピソードが作られました。 >> 続きを読む
2017/12/27 by 匿名
ダニエル・キイス , 小尾芙佐
本棚にあったので読んだけど、童話のようで・・・好みではなぁったかな。映像化されても見る気になれなかったのは、キャストがいまいち好きになれなかったから。 >> 続きを読む
2017/09/21 by k.k
【一流の執事というものは……】 イギリス以外の国には召使いはいるが、執事はいない。 これは作中に出てくる言葉です。 本作は、一流の名家であるダーリントン・ホールに執事として勤めた、主人公スティーヴンスの物語です。 一家の主ダーリントン卿は3年前に他界し、屋敷は現在アメリカ人の富豪の持ち物になりました。 新しい家主は、イギリスの一流の執事を所望したため、スティーヴンスも屋敷に残ったのすが、屋敷を去る使用人も多くいました。 時代が変わった今では(1956年が本作の時代になります)優秀な使用人を得ることは困難だということで、少ない人数で屋敷を切り盛りすることになったのですが、いかんせん人手不足は否定できません。 ある時、新しい主人から、「しばらくアメリカに帰るから、その間スティーヴンスも旅行でもしてくれば良い」と言ってくれたことを機会に、スティーヴンスはある計画を立てます。 それは、かつてダーリントン・ホールに努めていた女中頭を再度屋敷に呼び戻そうというものでした。 主人が貸してくれた車に乗り込み、この計画の実行に着手するスティーヴンス。 本作は、旅行の過程での、スティーヴンスの執事論、回想録といった内容になります。 優れた執事たるものこうあるべきであるという話が主となりますので、一風変わった内容の作品になっています。 ダーリントン卿は、ナチス・ドイツ・シンパであるということで、かなり批判もされているのですが、卿を尊敬してやまないスティーヴンスは、それは誤解であり、真実は違うのだと力説します。 そして、その様な素晴らしい主人に仕えられたことは執事として大きな幸せであり、自分は一流の執事として常にベストを尽くしてきたのだと自負しています。 しかし、物語のラストでは……。 一人称で淡々と語られる執事の回想録であり、何か大きなできごとがあるという作品ではありません。 英国執事とはどういうものなのかを得意気に語るスティーヴンスの語りを負う作品ですが、最後の最後でもの悲しさを味わうことになるでしょう。 本作は、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされたそうです。 見てはいませんが、おそらく静かな渋い映画になったのではないかなと想像しちゃいます。 >> 続きを読む
2019/09/12 by ef177
高橋和久 , ジョージ・オーウェル
【絶望的な未来社会】 ディストピア小説の古典的名作をようやく読んでみました。 舞台となるのは世界が3大国家により分割統治されている未来社会です。 時代は……おそらく1984年。 「おそらく」というのは、主人公が住んでいるここオセアニアでは、年代が故意にぼやかされているようで、実のところ何年なのかよく分からなくなっているのです。 オセアニアは、党による独裁がしかれており、全体主義、社会主義国家になっています。 主人公のウィンストンは、ロンドンで党外郭の人間の一人として真理省に勤務しています。 ウィンストンがやっている仕事は過去の歴史の改竄です。 党が将来の経済などを予測して発表するわけですが、そのとおりにはならないわけですね。 そうすると、真理省が過去に発表した将来予測を書き換えてしまうのです。 それだけではなく、都合の悪い過去はどんどん改竄され、最初からそういうものだったとされてしまいます。 ですから、過去がどんな状態だったのか、今はいったいいつなのかなどが分からなくなってしまっているのです。 そんなことをしても人間の記憶は消せないのだから無意味だと思いますよね。 でも、オセアニアの人たちは、『二重思考』と呼ばれる現実隠蔽の考え方を叩き込まれており、実際のところがどうであれ、党が発表することが真実なのだと頭から思い込み、それに反する思考はすべて自分の中でシャットアウトするようになっているのでした。 町中至る所に『テレスクリーン』と呼ばれる装置が設置されており、これは双方向のテレビのようなもので、人びとの姿や声は四六時中党によって監視されています。 万一、党の方針に反するようなことを言ったり、党の指示に従わないような行動が見られた場合には、即座に『思考警察』がやってきて抹殺されてしまうのです。 そう、もとからそんな人間などは存在しなかったものとされてしまうのですね。 この世界を支えているのは人口の約85%を占める、プロールと呼ばれる下層民です。 彼らは、劣悪な環境で、労働力としてだけ存在意義を認められており、党もプロールが何をしようがどんなことを考えようが、そんなことは知ったことではないのです。 叛乱など起こさず、従順に労働さえすればそれでよろしい。 世界は、もう何年も前から戦争状態が継続しています。 しかし、一体どこの国と闘っているというのでしょう? 昨日まではユーラシアと闘っていたはずなのに、ある日突然、敵はイースタシアであると党のアナウンスがあり、そうなんだとみんな頭から信じ込んでしまうというとんでもない世界です。 この世界のリーダーは、『ビッグ・ブラザー』と呼ばれている人物なのですが、実在するのかどうかも不明です。 ただ、町中に『ビッグ・ブラザー』の、じっと見つめるような肖像写真が貼られまくっているのですが。 この様な世界に反対する勢力もいる……とかいないとか。 かつて、エマニュエル・ゴールドスタインという党中枢にいた人物が、革命に反旗を翻し、世界のどこかに潜伏して反革命活動をしていると言われてはいるのですが。 党は、人民に対して、ゴールドスタインを徹底的に憎むように教育しており、毎日『二分間憎悪』と呼ばれる、洗脳的なプログラムを強制しているのです。 ウィンストンは、この様な社会の有り様に疑問を抱き始めています。 党により過去の歴史が改竄されていくことが納得できず、日記をつけ始めてしまうのです。 もし見つかりでもしたら、すぐに『思考警察』がやってきて抹殺されてしまうような危険な行為です。 自分でも何のためにそんなことをしているのかよく分からないのですが、『テレスクリーン』から隠れるようにして日記をつけ続けてしまうのですね。 ある時、ウィンストンは同じ真理省に勤務するジューリアという女性からラブ・レターを密かに受け取ります。 これも完全に反党的行為であり、見つかったら処刑されるでしょう。 はじめは、ジューリアこそが思考警察であり、自分を罠にはめようとしているのではないかとの疑いをぬぐい切れませんでしたが、ジューリアも反党的な思想を持つ女性だということが分かったのです。 二人は、人の目を避けるようにして危険な逢瀬を続けます。 という、大変恐ろしい未来社会が描かれた作品です。 そこには何の望みも、楽しみもなく、ただひたすら党に服従することだけが求められている世界です。 物質的にも、わざと窮乏するような生産調整が行われており、党外郭の人間は、自分をプロールと比較することによって、幸せなのだという錯覚をして生きていくだけなのですね。 あぁ、恐ろしい。 >> 続きを読む
2019/10/13 by ef177
小川高義 , ジュンパ・ラヒリ
【物語が空気の中に漂い消えていく】 インド系の小説を読むのは初めてでした。 作者はロンドンで生まれ、アメリカに渡った2世のインド人ということですが、書かれている物語はインド人を題材にしたものです。 それではいつものように何作かご紹介。○ 停電の夜に アメリカで生活しているインド系の夫婦の物語です。 妻が流産してから後、何だかしっくりしなくなった夫婦。 お互いに避けるようにして生活しています。 ある時、電気工事のため、8時から1時間だけ、1週間の間停電になるとのお知らせが。 二人はロウソクの灯りの下で久し振りに一緒に夕食を摂りました。 そして、お互いに隠していたことを話し始めたのです。 二人の関係がもとに戻った……と思ったのですが。○ 病気の通訳 インドで英語を使った観光ガイドをしている男性が主人公です。 英語圏の観光客を相手に、車で名所を案内してガイドします。 ある時、アメリカ人の夫婦を案内した時のこと、何となくまだ若い奥さんに惹かれていきます。 どうも、旦那とうまくいっていないような雰囲気もあります。 主人公は、病院で通訳の仕事もしているのですが、奥さんはその話をしきりに聞きたがります。 そして、旦那が奥さんと彼との写真を撮ったところ、「住所を教えて。後で送るから。」と奥さんに言われます。 何となく期待を抱いてしまうのですが。○ 神の恵みの家 アメリカで生活するまだ若いインド人夫婦のお話。 旦那はかなり裕福で、二人のために家を買いました。 引っ越してきて家の中を片づけ始めたのですが、前の持ち主が残していった物らしく、家の中の色んな処からキリスト教関係の物が出てきます。 「うちはヒンズー教なんだから」と言って、それらの物を処分するように夫は言うのですが、どうしたわけか若い妻は捨てるのを拒否します。 そして、次々とキリスト教関係のグッズを見つけてきてはマントルピースの上に飾り始めるのです。 「よしてくれ。今度会社の人達を招いて新居の披露パーティーをするって言うのに、そんな物が置いてあったら変だと思われるじゃないか。」 それでも妻は頑として捨てることを拒否します。○ 三度目で最後の大陸 インドからアメリカにやってきた男性の物語。 大学の図書館で勤務することになったのですが、そうそうお金があるわけでもなく、しばらく後には妻もやってくることになるので、倹約した生活をしています。 妻が来るまでは安いアパートにでも住もうと考え、広告で見つけたアパートを借りることにしました。 そこの大家さんは高齢の女性で、一人で生活しているようです。 家に帰ってくると「戸締まり!」と言われ、「月にアメリカの旗が立ったのよ。すごいって言いなさい!」と毎回大声で言われます(ちょうど、アポロが月面着陸した当時のお話なんです)。 「すごいです。」いつもこのやり取りを繰り返します。 しばらくすると、大家さんの娘だという人が食料を持って訪ねてきました。 何と、大家さんは既に103歳だというのです(80位だとばかり思っていたんです)。 実年齢を聞いてしまうと心配になります。 昼間一人で大丈夫なのだろうか? 事故を起こしたりしないだろうか? その内にインドから妻がやって来る日になり、彼はアパートを退去することにしました。 大家さんに鍵を返すと、「じゃあ、さよなら」と素っ気ない返事。 こんなものなのだろうか? 著者の作品は、取り立てて大きな出来事が起きるわけでもなく、淡々と物語が進んでいき、ラストも特別のオチが用意されているというよりは、何だか物語が空気の中にふっと漂い出て、そして消えていくような印象を受けました。 最初は、「あれ? これで終わり?」と面食らってしまいましたが、こういうスタイルなのだと了解すると、これはこれでなかなか味わいのある終わり方かも知れないと思い始めました。 静かな物語です。 >> 続きを読む
2019/11/23 by ef177
アガサ・クリスティ , 羽田詩津子
【推理小説史上に残る驚天動地のトリックがここにある】 「アクロイド殺人事件」は、アガサ・クリスティが編み出した、推理小説史上に残る超名作です。 推理小説のトリックは数多ありますが、この作品を越えるトリックって滅多にないんじゃないでしょうか。 この作品が発表された時には怨嗟の声が巻き起こったそうです。 さもありなん。 ずるーい!って一回くらいは言いたくなるよね。 でも、ここに気が付いたのは見事です。 efは素直に脱帽して高く評価します。 フェアな作品ですよ。少なくとも嘘は書いてありません。 事件自体は非常にシンプルです。 イギリスの片田舎、キングス・アボット村で殺人事件が発生します。 殺されたのはこの土地の名士であるアクロイド氏。 自宅の書斎で椅子に座った姿勢で胸をナイフで刺されて死んでいました。 第一発見者は、この物語の語り手でもある医師のシェパードと執事のパーカーです。 医師のシェパードは、事件があった夜、アクロイドから相談を持ちかけられ自宅に招かれます。 物語の登場人物の何人かと夕食を共にした後、アクロイドに誘われて彼の書斎に行きます。 そこでアクロイドからとある事実を打ち明けられるのですね。 実は、アクロイドには愛人がいたのですが、その愛人が自殺してしまうのです。 どうやら、愛人はその夫を毒殺したらしいというのです。 愛人の夫の死亡を確認したのはシェパード医師だったため、アクロイドは「毒殺を疑わなかったか?」と尋ねるわけです。 しかも、アクロイドが言うには、愛人は夫を殺した件で何者かに恐喝されていたというのです。 それを苦にして自殺したのだと。 シェパード医師にそんな話をしている最中に、執事のパーカーがやってきます。 愛人から手紙が届いていると。 開封して声に出して読み出すアクロイドですが、全てを読み終える前に「これは私信だから一人にして欲しい」と言い、シェパード医師を帰そうとします。 シェパード医師は、真相を明らかにして欲しいという気持ちから全部読んで欲しいと頼むのですが、アクロイドはこれを拒否します。 シェパード医師はアクロイド邸を辞去しますが、その庭先で何者かと出くわします。 その時は誰か分からなかったのですが、後にそれは麻薬常習者であり、アクロイドの家政婦であるエリザベスの息子であるチャールズであることが判明します。 シェパード医師が辞去した後、書斎からはアクロイドの声が聞こえていたという証言があります。 自宅に戻ったシェパード医師ですが、間もなくして電話がかかってきます。 アクロイド氏が死んでいるので至急来て欲しいという執事からの電話でした。 急いでアクロイド邸にとって返したシェパード医師ですが、執事はそんな電話はしていないと言います。 ですが、気になるので書斎を見たところ、アクロイドの死体が発見されたというわけです。 これが大まかな事件概要ですが、色々と怪しい人物が登場しますよ。 この作品、まともに読んだら、まず騙されるでしょう。 その騙されることがこれほど快感だとは! 素晴らしい書きぶりです。 ef押しのクリスティの中では一、二を争う名作ではないでしょうか? クリスティのベストを決めろと言われたら本作を取るか、「ABC」を取るかかなぁ(個人的な趣味としてはそうなんですっ! 異論は認めません!)。 推理小説史上に残る、大変「ひきょー」と言われるトリックを味わってみませんか? だって、だって、あの人が犯人だなんて…… >> 続きを読む
2019/02/27 by ef177
村上春樹 , トルーマン・カポーティ
「いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの」とてもチャーミングなオードリー・ヘップバーンがこちらを見つめる有名なジャケットは、映画を観ていなくても誰しもが知っているでしょう。一目見て、忘れられなくなるくらいキラキラしています。でも、映画を観ていない私が本書を読んだ脳内映像の主役は、マリリン・モンローでした。型破りで自由奔放、一つ一つに色気のあるしぐさはオードリーではありませんでした。ここまでホリー・ゴライトリーの印象が違うと、映画→原作の人は困惑するだろうし、原作に満足してしまうと映画を観ようという気は起らなくなるかもしれません。私は後者です。収録されている短編3作を含め、雰囲気が良くて、おしゃれで、登場人物と共に会話を楽しんだり、悲しくなったり。本を読んでいて、とても満たされました。囚人宿舎の中でギターを弾く新人囚人により、生きていることを思い出した風景(『ダイアモンドのギター』)、花盛りの家、親友とクリスマスツリーを切りに行った日のこと(『クリスマスの思い出』)、なんて色彩が豊かなのでしょう。それと、どれもラストが好みでした。ホリー・ゴライトリーには、自分らしく幸せであってほしい。主人公の想いに共感しました。それぞれ短編の主人公にも同じことを思いました。 >> 続きを読む
2018/07/07 by あすか
DautenDale A , 野津智子
2019年16冊目。特に何かで当てて成功したいという願望はさらさらなく、就職試験の失敗から年齢の割に現実を知らなさすぎる自分を反省して色々とこれまで手に取らなかった本をいつもの読書と並行して読んでみようと思ったのが動機。そんなわけで、この本に関しては自分の心に響く部分とそうでない部分があり、参考になったかどうかは疑問符が付く。ただ、「明日は今日と違う自分になる」「試すのは簡単だが、変えるのは難しい」などのフレーズが自分の心に響いたかなと思う。もう一度時間をおいて再読してみようと思う。 >> 続きを読む
2019/02/16 by おにけん
チャールズ・ディケンズ , 村岡花子
クリスマスも終わり、ようやく忙しさも落ち着いたのでたまった感想をボチボチまとめる。今年の感想は今年のうちに。クリスマスの準備に教会への行き帰りに毎年読むクリスマス・キャロル。今年は新たに村岡花子さんの翻訳でも読んでみた。少し古さを感じさせると聞いたことがあり避けていたけれど、実際読んでみるとそんなに古臭くなかった。寧ろ好み。改訂がなされているからかもしれない。小さい頃、テレビでクリスマス・キャロルのドラマを観た。とにかく泣いたことを憶えている。そして教会に行って司祭に自分の想いを喋りまくった。そのときの印象がずっと残り、いつしか待降節には欠かせない読み物になった。物語は簡単に言えば、守銭奴の老人が失ったやさしい心を取り戻して残りの人生を生き直すというもの。勿論、意外な展開も衝撃の結末もなし。ディケンズがクリスマス・キャロルを書いた時代背景や世相といったものから掘り下げて読むのも良いと思うけれど、そんな難しいことを考えて読まなくてもいい本もあると思う。クリスマスが近づいてきたら、わたしは自分の出来る範囲でひとを思いやりたいと思った昔の素直な自分を思い出したい。それだけだ。ひとは生きていくうちに多くのものを得ると共に、多くのものを失う。中には取り返しのつかないものもあるだろう。それでも、自分の心だけは自分次第で取り戻すこともできる。日常の煩雑さに、自分を思い出し見つめなおす機会はなかなかないかもしれないけれど、忙しくなりがちな年末に敢えてゆっくり人生を振り返り、残りの人生を考えなおしてみるのも悪くないと思う。毎年そうさせてくれるこの本が、わたしはやっぱり大好きだ。今年ももう少しで終わりますね。 >> 続きを読む
2015/12/27 by jhm
L・M・モンゴメリ , 村岡花子
中学生(?)高校生(?)以来の再読。なんてすばらしい物語なんだろうと、あらためて感じた。アンの人となりのすばらしさ、プリンス・エドワード島の美しい自然のすばらしい描写、アンの周りの大人の精神的な成長など、すべての要素がバランス良く、物語の進行に欠かせない。このあたりが人気たる所以か・・・。とにかく大好きな小説だと再認識。ぜひぜひ子どもたちにも読んでもらいたいので、我が家の本棚に大切に保管。そして、シリーズ最後まで読んでみようと思った。 >> 続きを読む
2019/06/24 by URIKO
テリー・ケイ , 兼武進
確かに、ある程度年齢のいった読者の方がじんわりとした余韻を感じるかも。誰に感情移入するかといったら、やっぱり老人サムなんだろうから、男の人の方がぐっと来るかも。亡くしたつれあいをここまで思い続けることが、果たして自分にできるか。それにしても、日記のところはちょっと読みにくい。 >> 続きを読む
2015/07/07 by げんなり
アーサー・C・クラーク
異星人との接触で人類は成功を約束されたと思いきや、実はそんな事は些細なことであり人類の未来は全く違っていたという題名通り、壮大な物語。オーバーロードの謎と動向を楽しく考えながら一気に読めます。謎は全て解けて満足。再読するとオーバーロード視点でまた別の感じを(悲哀)受けそうなので後で読もうと思います。 >> 続きを読む
2018/08/02 by pasuta
ウイリアム・アイリッシュ
【どうして誰も覚えていないんだ!】 アイリッシュの古典的名作です。 主人公のスコットは妻との関係が冷え切っており、離婚を申し出ています。 ところが妻がなかなか承知しないため、今夜は一緒に食事に行って、ショーでも見て、ちゃんと話をしようと思っていたのですが、妻は一向に出かけるそぶりをみせません。 頭に来たスコットは、捨てぜりふを残して家を飛び出るや、適当なバーに入り、そこで見かけた見ず知らずの女性を食事とショーに誘います。 二人は互いに深入りしないことを約束し、名前も教え合わずに食事とショーを楽しんで分かれます。 スコットが家に戻ってみると、何と、妻が殺されているではありませんか。 状況からしてスコットが犯人と疑われます。 スコットは、自分にはアリバイがある、バーで知り合った女性と一緒にいたと主張するのですが、何故か、バーテンダーもレストランの従業員も、途中で乗ったタクシーの運転手もスコットのことは記憶しているのに、連れの女性などいなかったと口を揃えます。なんで~? ついにスコットは裁判にかけられ、死刑を宣告されてしまいます。 本書の各章の見出しは、スコットの死刑執行までの残り時間が記されています。 誰も知らないというその「幻の女性」を見つけ出さないことには無実の罪で死刑になってしまいます! 最初はスコットを逮捕した警察官も、徐々に疑問を持ち始め、あるいはスコットが言っていることが正しいのではないかと考えるようになり、スコットに面会して、力になってくれる親友に助力を頼むように助言します。 そこで表れたのがスコットの親友のジャック。 彼はスコットの無実を信じ、「幻の女」の捜索に乗り出してくれます。 が、しかし、良いところまで追い詰めると途端にその手がかりが途切れてしまうことの繰り返し。 スコットの死刑執行までの残り時間はあとわずかです。 ……そうして、最後の大どんでん返し! トリックがやや都合良すぎで、そんな風になるかなぁと思うところはあるものの、楽しく読める作品であることは間違いありません。 本書は、江戸川乱歩が相当に高く評価して我が国に紹介したことでも有名な作品です。 古い作品ですので、やや時代がかったところがあるのは致し方ないにしても、古典的名作であることは間違いないと思います。 >> 続きを読む
2019/09/28 by ef177
アガサ・クリスティ , 中村妙子
久しぶりの読書。良妻賢母、幸せに生きてきたと語る主人公のジョーン。しかし、体調の悪い娘に会うためバクダッドへ旅をし、帰り道列車が遅れたため何日も足止めに。何もすることがない砂漠の街で、人生を振り返ると、次々に彼女にとって悪い考えが浮かぶ。全てをコントロールしていたはずの自分が実は何も知らなかった。向き合う勇気を持ち合わせず、夫や子供たちを理解していなかった。新しい自分に気がつき、帰国するジョーン。不思議とそんな彼女を応援する気持ちが芽生えるのだが、、、結末は、、、。救いは結局ジョーンのみならず、夫ロドニーや子供たちも彼女と向き合う勇気がなかったことかな。彼女だけのせいではない。そう考えているうちに、影の主役はレスリーではと思ったりも。女性向けの本何でしょうか。その辺はわかりませんが、夢中になり一気読みでした! >> 続きを読む
2018/05/21 by fraiseyui
佐宗鈴夫 , リチャード・バック
Illusion――幻影む~~。レビューがとっても難しい一冊です。小説としてはストーリーが薄い、哲学じゃない、自己啓発本としては半端、奇想天外さではSFに遠く及ばない。どうしようね。この本……。世界的大ベストセラーの「かもめのジョナサン」の著者が書いた第2作目。しかし、「新版・かもめのジョナサン」を読んでしまうと、この「イリュージョン」はなんとも中途半端で中身はほぼ一緒という結論に達してしまう。両方とも、空飛ぶ若者の元に突然救世主なり仙人なりの超存在が現れて、主人公を開眼させて、救世主の跡継ぎにするっていうお話しです。まあ、人間の物語にしたというところだけが新しいというか。さらに露骨にキリスト教くさくなったというか。もっと自由に生きようという方向性はわかります。堅牢で動かしがたいように見える現実世界だって、幻にすぎない。見方、考え方一つで世界は変化する。一人一人が異なった世界を持っていてそれを見る事ができ、自分の世界で生きることができるのだ。それもごもっともです。でもヴォネガットは「変えられないこともある」って言っています。捕虜という自由から最も遠い立場にいて、目前で大量虐殺が起こり、自分も死んだかもしれなくて、見るだけで他にどうすることもできなかった無力を心に叩きつけられる。そんな体験をした彼は、『世の中でできないことは何もない。できないとすればそう思いこんでいる自分のせいだ』と、能天気に歌い上げることはできなかったのです。私も頑固なのかもしれませんが、物理的に水の上を歩けるはずで、歩けないのは水に溺れるという思い込みのせいだ。赤ん坊は水の上に立てないと思っていないから水面を歩けるのだというのには文学表現の上のことであっても、賛成できません。じゃあなんで数センチの水たまりで溺死するんですか?交通事故で半身不随の車いすの男を「奇蹟」で健康にする。それも「彼が歩けると信じたから歩ける」という簡単な解決方法で。救世主は「その奇跡を起したかったから」そうするのが楽しいから起したのだと言います。貧乏暇無しを嘆く人もその人がそういう生き方を望んでいるからだし、死ぬのも納得の上?では戦火の下で生きる子供達にも同じことを言えますか?ラストもドンの半端な退場で拍子抜けでした。ドンはいい奴かもしれない。でもなんとも気まぐれな救世主。第一、一人一人バラバラな世界で主人公になって、それで本当に満足ですか?人びとと世界を共有しないのなら、芸術は必要ない。悪いことは言っていないかもしれません。この本で心が軽くなる人がいればそれはこの本の効き目でしょう。でも、私についていえば、もっと心に響くことを言ってくれなくてはね。という感じでした。類は友を呼ぶ。君は奇蹟を行える人間だ。だから僕と出会った。これからは君が救世主のハンドブックで修行してごらん。ほら、あなたも救世主になれる。あなたの望むやり方で。で、リチャードはこの本を書いた。のだそうです。 >> 続きを読む
2015/12/03 by 月うさぎ
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