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カテゴリー"フランス文学"の書籍一覧

      寛容について (筑摩叢書)

      渡辺 一夫

      4.0
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      • 「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」
        以前、寛容の有効性について考えている時期にネットでこんなテーマの評論に出会い、出典作が収められている本書を読んだことがあった。

        著者は日本のユマニスト(ヒューマニスト)界のシンボルのような人らしく、大江健三郎の師でもあるという渡辺一夫。元々、ヒューマニストの言う「人間性」には馴染めないところもあり、ちょっと敷居が高いというか斜めに構えてしまうところもあったが、不寛容に対する寛容の優位の自明性をあらためて評論するという立場で書かれたその文章の確信の強さに当時妙に惹かれた。

        以来、自分がパニッシュ寄りになると読むようにしているが、元々印象に残っていたのは、秩序への逸脱行動に対する不寛容を必要悪と捉え、以下のように記している部分。

        「既成秩序の維持に当たる人々、現存秩序から安寧と福祉とを与えられている人々は、その秩序を乱す人々に制裁を加える権利を持つとともに、自らが恩恵を受けている秩序が果たして永劫に正しいものか、動脈硬化に陥ることはないものかどうかということを深く考え、秩序を乱す人々のなかには、既成秩序の欠陥を人一倍深く感じたり、その欠陥の犠牲になって苦しんでいる人々がいることを、十分に弁える義務を持つべきだろう。」

        これは本当にその通りだと思う。

        ただし、寛容の重要性を歴史的に導き出した例として、ローマ帝国が、ローマへのアンチという側面を持って生まれたキリスト教に対して寛容に徹しきれなかったが故に衰退してしまったという切り口で語り、人間の想像力と利害打算を信じる限り、結局人間は寛容を選択していくだろうと展開していく辺りに説得力がない。

        ともあれ、今回読み直してみて、ふと、寛容というのは存在そのものへの肯定という面を持つと思った。人種や国籍や容姿や考え方などなどはともかく、在ること自体を否定しないことを前提としているのではと。
        本書はこの評論以外にもいくつも載っているので、その辺りもちゃんと読めば理解が深まるのだろうが、正直、このタイトルだけで満足できてしまうところがあり、これだけで2週間が過ぎてしまい図書館に返却しなければならなくなってしまった。。。

        まぁ、しばらく置いておいて、また読んでみようと思う。
        >> 続きを読む

        2012/05/27 by Pettonton

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ヴィクトル・ユゴ-と降霊術

      稲垣直樹

      3.0
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      • 【何でこんなものにこうまでハマったかな~】
         19世紀欧米社会では、降霊術が大流行しました。
         結構著名な人たちまで夢中になっていたんですね。
         『レ・ミゼラブル』などでもおなじみのユゴーもハマった一人だったそうです。
         1853年秋から1855年秋にかけて、ユゴーは仲間達と頻繁に降霊術の会を催し、その記録を残しているのだそうです。
         本書は、そのような記録を基に、ユゴーは降霊術で『霊』とどのような会話を交わしていたのかを中心に綴った一冊です。

         降霊術には色々な方法があるのですが、ユゴーたちが行っていたのは、テーブルの上に不安定な三本足のテーブルを置き、霊媒役の2人が上のテーブルに手を置いて霊に語りかけると、霊が来ている場合には上のテーブルが動いてその足でコツ、コツと音を立てて答えるというものだったそうです。

         質問に対する答がYesなら1回、Noなら2回音を立てるという単純なやり取りから始まり、段々高度化していって、霊は文字を綴るようになるんです。
         このやり方は、鳴る音の回数をアルファベットに対応させるというもので、1回鳴ればA、2回ならB……26回ならZという規則に基づいて霊が答えるというわけです。
         参加者は、何回音が鳴ったかを注意深く数え、それをアルファベットに置き換えて記録し、読んでみると文章になっているというものだったそうです。

         いやぁ、きわめて胡散臭い。
         なんでこんなことにユゴーらは夢中になってしまったんでしょうね。

         ユゴーらが残した記録には降霊術の開始時間と終了時間が記録されているそうなんですが、それを基に全体の所要時間を割り出し、また、そこで霊が語ったとされる文章をアルファベットに分解し、全部で何回音を立てたかを数え、計算してみると、ざっと計算したところだけでも、霊は1秒間に3回位コツ、コツと音を鳴らしていることになるそうです。
         それを数時間続けてやるわけなんですが、そんなのちゃんと数えられませんよね。

         アルファベットの区切りでは間を置くそうなんですが、どこで切れているのか、そんなに音が乱打されている状況でちゃんと把握なんかできるとも思えませんし、数え間違いだってあるでしょうし、そんなこと数時間も集中してなんてやってられませんよ。
         それでもちゃんとした文章を綴ったということになっているんですよねぇ。

         こうなると、誰かが勝手に文章を綴っているとしか思えません。
         それは霊媒役の者が、意図的にテーブルを鳴らして文章になるように音を立てているか、記録する側が何の意味もない音を勝手に文章に置き換えて書いているかいずれかでしょう(多分、後者)。
         著者は、ユゴーがほとんど霊媒役をやっていないことから、後者であり、文章を作っていたのはユゴーだろうと推測しています(ま、そんなところじゃないでしょうか)。

         で、どんな霊が呼び出されているかというと、亡くなった著名人というのが一番多いわけですが、中にはまだ生きている人が出てきたりもしました。
         傑作なのは、ナポレオン三世(存命中)が登場した時のやり取りなんですが、ユゴーは反ナポレオン三世派であり、激しく非難していたため、霊に向かって「お前は小ナポレオンか?」と問いかけたところ、霊は「そうだ」と答えたというのですね。
         『小ナポレオン』という呼び方は、ナポレオン三世を揶揄し貶めた言い方なのですが、そんな失礼なことを言われた本人が「そうだ」なんて答えるわけがないじゃないですか。

         しまいには『文明』とか『小説』なんていう抽象概念が現れ、それが擬人化して言葉を綴ったこともあるなんていう記録も残されているのだとか(なんじゃそりゃ?)。

         すごいのは、現れた霊が、ユゴーに対して、『レ・ミゼラブル』を完成させろと語ったことがあり、丁度その時、ユゴーは、似たようなタイトルで後の『レ・ミゼラブル』を書きかけており、霊に言われるまま書き換えて『レ・ミゼラブル』というタイトルに変えたということなんですよ。
         本当かいな? 

         しかし、このテーブルの立てる音というやり方は極めて煩雑じゃないですか。
         さすがのユゴーもこれは面倒過ぎると考えたのか、ある時、文字盤を用意してこっちで答えてくれと霊に頼んだことがあるそうなんですが、これは拒否されてしまい、相変わらずテーブルを使い続けたのだそうです。
         しかし、何故、そもそも霊はテーブルにそんなにこだわる必要があるんでしょうねぇ。

         結局、ユゴーの降霊術熱は2年程で収まってしまったようなんですが、やめた直接の原因は、ユゴーに降霊術を教えた者が死んだことと、ユゴーの降霊術仲間の一人が発狂したことなんだそうです。
         う~む……つくづく因果な話だ。

         というわけで、あの文豪がなんていうことをやっていたんでしょうねという一冊なのでした。
         まあ、この時代は、降霊術って結構科学に寄って考えられていた節もあり、熱中していた者は怪し気なまがい物をやっているというよりは、優れて科学的な実験をしているという気持ちの方が強かったのかもしれません。


        読了時間メーター
        □□□□    むむっ(数日必要、概ね3~4日位)
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        2021/04/29 by ef177

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      バルザックがおもしろい

      鹿島茂 , 山田登世子

      5.0
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      • バルザックのことを鹿島茂さんと山田登世子さんが対談あるいは書簡で語るわけだが、その合間合間に語られるフランス文学やフランスの国の成り立ち、書簡では一触即発なやり取りまで、面白い面白い。
        これまでの僕のフランス観を一気に変えてくれました。
        以後鹿島茂さんの本をしばらく追いかけることになる。
        >> 続きを読む

        2015/04/19 by soulfull

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