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カテゴリー"小説、物語"の書籍一覧

      予告された殺人の記録

      野谷文昭 , G・ガルシア=マルケス

      4.2
      いいね! Minnie
      • ガブリエル・ガルシア=マルケスの「予告された殺人の記録」を再読。
        疑問の余地なく、マルケス作品中、最良のものの一つだと思う。

        マルケスは、これを自身の最高傑作と呼んでいるらしいが、そう言われても全く違和感はない。
        まさしく、世界文学史上の不朽の名作だと思う。

        「百年の孤独」のあのめくるめく神話的な語り、途方もない幻想的な事件が頻出するマジックリアリズムとは、明らかに異質な、ジャーナリスティックで端正な語り口が採用されている。

        もともと、マルケスはジャーナリストとして出発した作家なので、別におかしくはないのだが、あのとめどもない饒舌体の印象が強いと、最初は戸惑うかも知れない。

        超現実的な事件が、どんどん起きるということもない。
        全体に、ぐっと抑制されている。
        だが、だから、いわゆる普通のリアリズム小説かというとそうでもない。

        ここで描かれる事件は、実に奇怪で、物理的に可能とはいえ、実際は超現実的というに相応しい、現実離れした出来事だ。
        魔術的であり、儀式的なのだ。

        暗合や象徴、前兆、不条理に満ちている。
        ところが、これは実際に起きた事件がモデルになっているのだ。
        その戦慄が、我々、マルケスファンを呪縛する。

        また、代表作の「百年の孤独」や「族長の秋」に比べれば、いかにも短いが、それはノーベル賞作家であり、20世紀文学に豊饒な物語を復権させた、文学的巨人マルケスが、持てる技量を凝縮し、結晶させた結果の短さなのだ。

        どんな長編よりも濃厚で、しかも、アクロバティックなまでの技巧が凝らされている。
        時間、空間がモザイクのように自在に組み合わされ、ジャーナリスティックな語り口と神話的な語り口が融合する。

        さらに、文学的な仕掛け云々以前に、話が面白い。
        マルケスの圧倒的ストーリーテリングを堪能できる。

        特に、それまで悠然と進んできた語りが、一気に加速する終盤が凄い。
        それまでの構成から、サンティアゴ・ナサールの殺害場面が、クライマックスに来ることは予想できるのだが、この決定的瞬間に向かって突き進むストーリーテリングが、加速を始めたが最後、我々読者はもう本を置くことができなくなる。

        それにしても、最後の章で、マルケスが読者をハラハラさせる巧みさはスティーヴン・キング並みだ。

        サンティアゴ・ナサールの親族たちは何とかして彼を救おうと色んな行動をとるのだが、それらの行動の一つ一つが、見事に裏目に出て、この青年を避けがたい死の方へと押し流していく。

        特に、母親がわが子を救おうとして取った行動が、とどめとなってしまうのがなんとも皮肉だ。
        思わず「ああー!」と声を上げそうになる。

        訳者のあとがきにあるように、この物語は外からやってきた客(花婿)、共同体の生贄(花嫁)、面目の失墜(花嫁が家へ戻される)、そして名誉の回復(殺人)という象徴的儀式としても読める。

        冠婚葬祭の華やかさや法王の到来がもたらす、祝祭的雰囲気が横溢し、物語に無意識に浸透していくような夢幻的色彩を与えるのだ。

        訳者は他にも、サンティアゴ・ナサールの二重言語者としてのアイデンティティの問題、共同体の中の差別や憎悪、民族的対立、あるいは母権的社会など、様々なテーマが盛り込まれていることを指摘している。

        これらのテーマが、モザイクのように組み合わさり、このシンプルな物語に、万華鏡のような素晴らしい複合性を与えている。
        どの角度からどのような切り口で入っても、重層的で奥が深い。

        またこの短い物語の中に、様々な物語の萌芽がたくさん含まれている。
        それはたとえば、外からやってきた男バヤルド・サン・ロマンのミステリアスな過去、あるいは花嫁アンヘラ・ビカリオの陵辱の真相、数十年後に再会する二人のそれからの物語。

        殺人者である屠殺人兄弟の物語、ナサール家で働く母娘の物語、「わたし」自身の物語などだ。

        それは、どこまでも膨らんでいきそうな予感をはらみながら、最低限にしか触れられていないか、あるいは謎のままにとどまっている。

        こうした物語の萌芽が、惜しげもなく散りばめられていることが、この短い物語の驚くべき豊饒さに繋がっているのは間違いない。

        あまりにもドラマティック、そして緊密な物語。
        その端正さに涙する、20世紀文学の結晶だと思う。

        >> 続きを読む

        2021/09/04 by dreamer

    • 他10人がレビュー登録、 32人が本棚登録しています
      百年の孤独

      鼓直 , G・ガルシア=マルケス

      4.1
      いいね!
      • G・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」は、誰もが知っている通り、マコンドという架空の町を舞台にしたブエンディーア一族の話である。

        ホセ・アルカディオ・ブエンディーアは、軍鶏のトラブルで人を殺し、幽霊につきまとわれるようになったため、妻のウルスラとともに村を出て、新天地を求める。

        目的地にたどり着けなかった彼らは、諦めて、ついてきた人たちと一緒にマコンドという村を作る。
        それから百年後、マコンドとブエンディーアの一族が、風とともに滅びるまでの物語である。

        ホセ・アルカディオ・ブエンディーアとウルスラの子供達、そして、また、その子供達と物語は、百年にわたって広がっていくが、ホセ・アルカディオだのアルカディオだのアウレリャーノだのアウレリャーノ・セグンドだのと、とにかく紛らわしい名前の無数の子供達が繰り広げる物語は、もう半端じゃなくぶっ飛んでいて、奇想天外という他はない。

        とにかく、一族の物語と言っても、いわゆる大河ドラマ的な小説では全くない。
        リアリスティックな人間ドラマではないのだ。
        この小説が、神話的と言われる所以だが、むしろ、ほら話的と言った方が相応しいかもしれない。

        この小説は、無数のエピソードによって成立しているので、要約は不可能だが、全体の構成としては、まずホセ・アルカディオ・ブエンディーアとウルスラがメインの家族の物語で始まり、やがてアウレリャーノ・ブエンディーア大佐が、メインの戦争篇に突入する。

        後半は、アウレリャーノ・セグンドとホセ・アルカディオ・セグンドという双生児がメインとなって、バナナ工場設立などマコンドの繁栄が語られるが、やがて町は衰退し、ブエンディーア一族も徐々に減っていく。

        そして、最後は豚の尻尾を持った赤ん坊が生まれて終わる。
        大枠は、こんな感じで推移します。
        しかし、とにかくこの小説の面白さは、次から次へと繰り出される神話的で、ほら話的なエピソードのつるべ打ちにある。

        それらのエピソードは、ある時は吹きだすほど滑稽、ある時は美しく、ある時はドラマティック、ある時は残酷、ある時は悲しい。
        そして、何もかもが現実離れしているのだ。

        例えば、死んだホセ・アルカディオ・ブエンディーアは、幽霊になって、いつもアーモンドの木の下に立っている。
        家族のみんなには見えるのに、アウレリャーノ・ブエンディーア大佐にだけは見えない。

        アウレリャーノ・ブエンディーア大佐は、十七人の女に十七人の子供を産ませるが、その全員が額に消えない灰の十字をつけている(そして全員が政府の手先に殺されてしまう)。

        頭が弱い美女、小町娘のレメディオスは、シーツにくるまれて手を振りながら空高く昇っていく。
        神父は、寄金を募るためホット・チョコレートを飲んで空中浮遊をする。

        フェルナンダは、遠くにいる顔を見たこともない医者からテレパシーによる手術を受ける。
        アラマンタの前に、青い服を着た女の死神が現れて、自分の経からびらを織れと命じる。
        マウリシオの回りには、いつも黄色い蛾が飛び回っているので、彼が近くにいるかどうかすぐ分かる。

        アウレリャーノ・セグンドは、ある朝目覚め、繁殖しすぎて裏庭にいっぱいを埋め尽くすうさぎを見る。
        雨が四年十一ヶ月と二日降り続き、止んだと思ったら十年の旱魃になる。
        豚の尻尾を持った赤ん坊は、蟻に運ばれていってしまう。

        こういう物語が、最初から最後までノンストップに語られるのである。
        そして、この文体がまた凄い。
        この文体を探し当てた時、一気に小説が完成したと言われるが、実際この文体でなければ、この物語は成立しないだろう。

        とにかく無駄がない。普通の小説のように状況説明、情景描写、辻褄合わせの注釈など、まだるっこしいものはキレイさっぱりない。

        疾走するような饒舌な文体は、時間や空間を飛び越えて、無駄なものには目もくれず、ひたすら驚異的な物語だけを憑かれたように語りまくる。

        笑ってしまうぐらいテンポが速い。どんどん途中経過を飛ばしていく。
        しかも、どんな異常な物事を語る時も淡々としていて、残酷なまでに、あるいは、滑稽なまでに平静なのだ。

        この小説を長くて難解だと言う人もいるが、一度この文章のリズムに乗ると、止められなくなって、どんどん読んでしまうのだ。

        だから、この神話のような、お伽話のような、ほら話のような物語に浸ることさえできれば、あとは一気である。

        ただし、登場人物が多くて、みんな名前が紛らわしいので、すぐ「こいつ誰だっけ?」ということになってしまう。
        そうすると、物語の興を削ぐので、それだけ気を付けた方がいいかも知れない。

        とにかく面白すぎる。ノーべル文学賞を取ったりして、今では20世紀文学の代表作みたいに言われているが、発表当時は、それまでのいわゆる「文学」というものとこれくらいかけ離れた小説はなかったのではないだろうか。

        退屈や観念の袋小路とは無縁の、熱狂とドラマと過剰な物語性の文学。
        それが、G・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」なのだ。

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        2021/10/01 by dreamer

    • 他6人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      グッドラック

      RoviraAlex , Trias de BesFernando. , 田内志文

      3.8
      いいね!
      • 10年以上も前にベストセラーになった本ですが、意外と多くの方がレビューを投稿されているので、私も。

        この本の新聞広告とかが出ていた当時、私は高校生で思いっきりガリ勉タイプな人間でしたが、こういう本に手を付けたのは、それだけ多感な時期でもあったのかなあと思います。

        今読み返してみても、少ないページ数で「自己啓発」としての基本部分を押さえている感じで、元気をもらえますね。

        本当に短時間で読める本なので詳細は伏せますが、「魔法のクローバーを手に入れる」という試練に二人の騎士が挑戦するというお話です。
        「自らの手で幸運をつかみ取った者」と「運が向かうのを待っていたけど、それを得ることがかなわなかった者」の差、そこだけを見ると、残酷と言えば残酷ですね。
        でも、本全体のストーリーから見てみると、単にその「残酷さ」だけでは終わらない含蓄もあるところが深いです。
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        2017/02/12 by ピース

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      アミ小さな宇宙人

      石原彰二 , BarriosEnrique

      4.0
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      • ペドゥリートという少年と小さな宇宙人アミの出会いからお話が始まります。 アミは、ペドゥリート を 円盤に乗せて、宇宙を旅をして、対話を通して、地球は愛の度数の低い野蛮で精神性の低い星であることや、宇宙の法則は愛であることを教えていきます。アミは、旅を通して学んだことをペドゥリートが物語風にまとめて本にすることを条件に、再会することを約束しました。

        私がもしアミに会ったら、「残念ながら君は愛の度数が低いね。」と言われると思います。

        アミから見ると、私は、野蛮な地球人。ぜひ地球人救済計画(更生計画?)の一環として、私も旅に連れて行ってほしい。

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        2018/12/28 by うらら

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ドン・キホーテ

      Cervantes SaavedraMiguel de , 牛島信明

      3.7
      いいね!
      • 読了日は適当。
        ドン・キホーテといえば風車に向かって行った狂人として知られている。
        が、狂った理由を聞けば、諸兄らはぎくっとするだろう。
        本の読みすぎ。
        騎士道物語を読みすぎて、彼は狂ったのだ。
        諸兄らもないかな?
        夜、手元の灯りで、ワインなぞかたむけて、血沸き肉踊る冒険譚を読み、ああ、俺はやるぞ、地の果てまで駆けてやる、ひそかに興奮していることが。
        あるいは顔も知らぬ美しい姫が(顔は分からないが美しいのだ)夜毎自分の助けを求めているなどと。
        本ほど人生を助けてくれるものもないが、本ほど命を縮めるものはない。さらに分かっていても止められない。
        されば槍持て馬に乗り、走り出すしかない。当然荒野ではなくなじみの本屋に。馬は表に繋いで、槍であの本が欲しいと示せば良い。そしてまた本に酔っぱらう。
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        2016/05/20 by kido

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      伝奇集

      鼓直 , BorgesJorge Luis

      3.2
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      • ボルヘスの処女短篇集。
        「バベルの図書館」は、ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を読んで以来気になっていた作品。無限に続く、宇宙としての図書館、図書館の姿をした宇宙。
        「円環の廃墟」のまどろみのような世界観も好き。
        「トレーン、ウクバール、オルビス・ティルティウス」の隠された世界は、探せば見つかるのかも。
        工匠集よりも、八岐の園に収録されている作品に心惹かれるものが多かった。きっと、読み返すたびに印象が変わるのだと思う。
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        2014/07/26 by seimiya

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      風の影

      木村裕美 , Ruiz ZafonCarlos

      4.0
      いいね!

      • 以前から気になっていた作家カルロス・ルイス・サフォンの「風の影」(上・下巻)をようやく読了しました。

        本を読む事が大好きな人には、誰にでもきっかけとなった本との出会いがあるものです。
        そんな経験を持つ者の"心の琴線"に触れるのが、この作品なんですね。

        この作品は、古典的とも言える雰囲気と豊かな物語性を持つ、"迷宮的なミステリ"で、読み方によっては恋愛小説であり、少年の成長小説でもあるという重層的な大河小説だと思う。

        1945年、10歳になるダニエルは父親に連れられ、時の流れとともに失われてしまった書物の寄るべ〈忘れられた本の墓場〉を訪れ、幻の作家フリアン・カラックスの「風の影」と運命的な出会いをする。

        彼はすっかり魅了されてしまうが、それを機に作品の中で悪魔として登場していた闇の男につきまとわれ、カラックスをめぐる底知れないミステリアスな奈落へと引きずりこまれていくのです-------。

        ゴシック・ロマンが色濃く漂う中、少年から青年へと成長していくダニエルの10年と、19世紀末以降のカラックスの波瀾に富んだ人生とが、巧みに呼応しながら進んで行きますが、さらに味わいを深めているのは、作者の隅々にまで目配りの効いた人物描写なんですね。

        特に本を愛でる様々な人々の心情は、国を超えて私の心に伝わってきます。
        そして、この本をガイドにバルセロナをさまよい、〈忘れられた本の墓場〉を見つけたい、そんな気持ちへと駆り立ててくれる作品なんですね。

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        2018/05/16 by dreamer

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      族長の秋

      鼓直 , G・ガルシア=マルケス

      4.5
      いいね!
      • 久々の難物に出会ってしまった!という作品でした。
        年末から1ヶ月かかって何度も読み返しながらやっと読んで、まだ読み足りない。最初の部分は少なくとも5回は読んだはず。
        なんなんだこの小説は!?
        話が複雑とか言葉使いが難解な訳でもなく、テーマが高尚な哲学や学術的だという訳でもない。
        ただ、文書を普通に読み進めると何が書かれているのか意味がわからなくなるのだ。
        まずそもそも、語り手が誰だかわからない。われわれって誰?
        文章的にはセンテンスやパラグラフという概念が無視されている。まるで句読点のない主語のない時制のない文章が切れ目なく続いている日本の古文を読んでいるかのよう。
        ブラックでスラップスティックで、でも美しいと感じてしまう鮮やかなイメージの応酬。個性的すぎるキャラクターと、名無しの語り手の「われわれ」の没個性。現実と非現実がせめぎ合い侵食し合い、混然としている様は、曼荼羅でもみているかのよう。

        確かに筒井康隆がゾッコンになる筈だ。

        「権力は魔物だ」というと、ありきたりな提言だと感じるだろう。しかし、この小説に描かれる権力は「魔物」そのものなのだ。
        独裁者が絶対権力を握るのではなく、「権力」が、己を表現する手段として選んだ道具が独裁者なのではないか、そう思えてくる。
        だから「独裁者」は側から見る限り滑稽に見える。ヒットラーもフセインもアメリカの誰かさんも隣の国の将軍さまも。どこかオモチャのように見えはしないか?しかしどこか大衆に愛される何かしらの要因を持っている。実は独裁者を大衆は求めているのだ。
        「族長の秋」の大統領も、恐怖政治かつ独裁政治をしき、横暴非情な行いをし、無教養で非知性的で、幼稚でマザコンでロリコンでサドマゾでどうしようもない男かと思うと、純情で思いやりがあり気前よく、全国民の一人ひとりを記憶してちゃんと苗字と名前で呼ぶという特技を持ち、チャーミングに思える部分も備えているのだ。
        産みの母「べンディシオン・アルバラド」への愛をこめた「おふくろよ」との呼びかけと、品がないが息子への盲目的愛に溢れた母親の言動にも、人間的温かみを覚えずにいられない。ユニークなこの二人を忘れることはないだろうとさえ思う。

        考えられない長寿を誇った大統領も老齢には逆らえない。やがて迎える虚しい死を、この小説では冒頭に持って来ている。いや、それどころではない。各章は常に大統領の死体の描写から始まるという構造になっている。死は何度も何度も繰り返される。
        独裁者がいつの世も死しては蘇るものだからかもしれない。

        名作はいつも、ラストの余韻が素晴らしい。
        一般大衆たる「われわれ」は、生の儚さ一回性を知り、自分が何者かを知り、愛を知り、リアルな命を生きている。その些細な幸せを抱きしめながら生き死んで行くのが生き物というものなのだよなあ。
        大統領よ。
        あなたは人の何倍も生きていたはずなのに、本当に生きてはいなかったのではないのか?

        ふと「象徴天皇」という言葉を思い出し、この物語の言わんとすることがようやく理解できた気がしてきた。

        「族長の秋」は、アンチヒーロー小説の金字塔として私の中におそらく永遠にとどまるだろう。
        >> 続きを読む

        2018/01/31 by 月うさぎ

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      カモメに飛ぶことを教えた猫

      SepulvedaLuis , 河野万里子

      4.3
      いいね!
      • 猫がカモメとの約束を守ろうと奔走する。
        仲間の力を借りて。
        猫のゾルバがとてもカッコイイ。
        こんな友だち、ほしいな。
        こんな友だちに自分はなれるだろうか。

        信用できる人間を猫たちが選ぶところ、
        考えさせられた。
        猫たちの選択は間違いがなく、
        それによって作戦は成功する。

        猫たちから選ばれるような、人でありたい。
        >> 続きを読む

        2018/12/15 by momo_love

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      ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯
      4.0
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      • 大学のスペイン文学の講義の課題本として読みました。
        ピカレスク小説の先駆けと言われている作品です。

        悲惨な人生を、暗さをまったく感じさせない明るい語り口で述べている点がよかったです。ラサリーリョと主人たちの悪知恵合戦はとても読みごたえがありました。
        >> 続きを読む

        2014/01/14 by ななせ

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      悪魔の涎・追い求める男 他八篇 コルタサル短篇集

      木村栄一 , CortázarJulio

      3.0
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        夕暮れの公園で何気なく撮った一枚の写真から、現実と非現実の交錯する不可思議な世界が生まれる「悪魔の涎」。薬物への耽溺とジャズの即興演奏のうちに彼岸を垣間見るサックス奏者を描いた「追い求める男」。斬新な実験性と幻想的な作風で、ラテンアメリカ文学界に独自の位置を占めるコルタサルの代表作10篇を収録。
        ---------------------------------------------------------------

        知人にお勧めされた本。
        国連加盟193か国の本を可能な限り読んでみたいというのが最近私が抱いている夢で、本書はアルゼンチンの作家の本。
        一昔前にラテンアメリカ文学のブームがあったらしく、そのときに注目された作品だそう。
        特にラテンアメリカ文学に注目して読んだことはなかったが、『百年の孤独』が私の読みたい本リストにあって、著者のガルシア・マルケスもその分類に属するという。


        「続いている公園」☆☆☆
        「世にも奇妙な物語」にありそうと言ってしまったらレビューとして負けな気がするけれど、実際そうだから仕方ない。


        「パリにいる若い女性に宛てた手紙」☆☆☆
        口からウサギを生み出してしまう男の話。
        最後は自分の中で納得していたものの許容範囲を超えてしまったのか。
        解説によれば、いろいろとモチーフとして受け取れる小道具があったようだが、文学的な教養に乏しい私にはそこまで読み取ることができなかった。


        「占拠された屋敷」☆☆☆
        兄妹で暮らしている屋敷が何者かに少しずつ占拠されていってしまう。
        それがどういう存在なのかはわからず、兄妹も確かめようとしない奇妙な話。
        兄妹の距離がなんとなく近いなくらいには思っていたが、解説を読んで少し納得。


        「夜、あおむけにされて」☆☆☆
        夢の世界と現実の行き来を繰り返して、どちらが現実かわからなくなってしまう男の話。
        似たコンセプトの話としては最近読んだエドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』に収録されている短編「夢見る者の世界」の方が面白かったかな。
        ただ、コルタサルの方は改行や段落の変更がかなり少ないので、同じ段落中で場面転換が発生する。
        そのせいで、知らぬ間に夢の世界に入ってしまった(あるいは現実に戻ってきた)ような錯覚を覚えるのが面白い。


        「悪魔の涎」(原題"Las babas del diablo")☆☆☆
        コルタサルの作品の中で1、2を争う有名な作品で、イタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニによって『欲望』のタイトルで映画化されている。
        男が公園でのふとした光景を写真に撮り、それを家に帰って眺めていると写真が動き出し……という話。
        評価が高いようだが、コルタサルは個人の内面について描く作品が多い中で、本作ではあまり触れられず、私はあまり好みではなかった。
        空中に浮遊する蜘蛛の糸のことを悪魔の涎と呼ぶということがためになったくらいか。


        「追い求める男」☆☆
        天才的なサックスの才能を持ちながら精神を患い薬物に溺れてしまう男と、彼に振り回される人々の話。
        改行と段落変更のない構成と、詩的にかつ断片的に語られるサックスマンの内面を読むのがひたすらに辛かった。
        本書の複数の短編を読めば、コルタサルがかなり個人の内面の描写に寄せている作家だということはよくわかるが、この作品はその傾向がかなり強い。
        周囲の世界との関わり方から個人を描くのではなく、ただただ個人の内面を語る本作はコルタサルらしいとも言えるのかもしれない。
        しかし、薬物に侵され前後不覚の男の非現実的な話を続けられると気が滅入ってくる。
        人によって好みが極端に分かれそうだ。


        「南部高速道路」(原題"La autopista del sur")☆☆☆☆
        フランスの高速道路で深刻な渋滞が発生した。
        すぐに解消するかに思われた渋滞は長引き、日をまたぎ季節をまたいでいく。
        いつしか人々はグループを作り、役割を決め、水や食料を集め、路上でサバイバルをする。
        本書を勧めてくれた知人が一番推しており、私も最も気に入った作品。
        とんでもない奇想小説だが、グループの形成・運営などがリアル(現実でこうなるわけはないのだが)で、かつ文体が他の作品よりも読みやすいので万人がとっつきやすいと思う。
        ラストも皮肉っぽくて面白い。


        「正午の島」☆☆
        飛行機の中で働く男はいつも窓から見える島に行くことにあこがれており、とうとうその島に行くことを決意する。
        正直何を描きたいのかよくわからなかった。


        「ジョン・ハウエルへの指示」☆☆
        演劇を鑑賞しに来た男が突然舞台裏に呼ばれ、主人公役を演じることになってしまう話。
        演劇に口を挟む素人に対する皮肉だろうか。


        「すべての火は火」☆☆
        コロシアムが行われる古代と現代の話とが混ざりリンクする。
        夢と現実を行き来する「夜、あおむけにされて」を読んでいるので真新しさを感じられず。
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        2020/02/14 by しでのん

    • 3人が本棚登録しています
      汚辱の世界史

      BorgesJorge Luis , 中村健二

      3.0
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      • 実在した世界の悪党や無法者を題材とした短篇集。
        観念的な要素が少ないせいか「伝奇集」よりは読みやすかった。
        ギャング、詐欺師、女海賊などなど。初めて知る人物ばかりで新鮮だった。日本人では吉良上野介が取り上げられている。
        アンチヒーローの生き様はヒーローのそれと同じく、平凡ではありえず物語となる。エトセトラの中の作品も興味深かった。「学問の厳密さについて」は、10行たらずの短い作品だが強く印象に残った。
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        2014/07/26 by seimiya

    • 1人が本棚登録しています
      密林の語り部

      西村英一郎 , Vargas LlosaMario

      3.0
      いいね!
      • 【濃密な物語】
         本作は、ノーベル文学賞作家である、リョサが、自身を主人公として描いた小説です。
         主軸となるのは南米ペルーの密林にひっそりと暮らす現地住民のマチゲンガ族。
         彼らは定住することなく、小さなグループに分かれて分散して生活しています。

         リョサは、ペルーの首都リマの大学に通っていた頃、サウル・スラータスというユダヤ系の学生と親しくなるのですが、物語は、このリマ等でのサウルらとのやりとりと、密林でのマチゲンンガ族の生活が交互に描かれていきます。

         マチゲンガ族には、『語り部』という存在があるようなのですが、その実態は秘密のベールに包まれたまま。
         リョサはこの『語り部』をテーマに小説を書こうとするのですが、どうにもまとまってくれません。
         他方、サウルは、一つの大きな決心をして、姿を消してしまいます。

         とまぁ、ざっと書くとこんな感じの物語なのですが、正直やや読みにくいかもしれません。
         リョサの作品は『チボの狂宴』を読んだことがあるのですが、こちらの方が筋立てもはっきりしており楽しめました。
         そういう類の面白さというのはあまり期待できないかもしれません。

         まるで『金枝篇』のフレイザーが描く民族伝承の様な物語が唐突に語られ続け、はたまた、そこに出てくる動物や神の名前なども何の解説もなくいきなり書かれているので、確かに読みにくい仕立てになっています。
         
         決して派手な作品ではありませんが、独特の味わいを感じました。
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        2021/05/26 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      族長の秋

      鼓直 , G・ガルシア=マルケス

      5.0
      いいね!
      • 現代アメリカ文学者が軒並み影響を受けた作家として挙げるガルシア=マルケス。『百年の孤独』も良かったけど、こっちもまたすごかったです。

        カリブ海のとある国の大統領である独裁者の死とその人生。語り手のいう「我々」が誰なのかも不明だけど、不明だからいいのだ。貧しかった母親の記憶、叶わなかった恋の記憶、妻にした女性の記憶、裏切った部下の記憶。すべてが独裁者の孤独につながっていく。

        もう年齢もわからない、いるのかいないのかわからない独裁者の寂しさや市井の人の無関心、愛されている証拠を求める独裁者と、裏で支持を演出する部下と。独裁者を愛さない女たちと、確実に愛していた唯一の存在の母と、利用するだけの部下と、あああたまらない。

        章だてはされていないものの、いくつかのかたまりに分かれてはいます。しかしそれ以外の改行が一切ない。その力強さと迫力がすごくて、なんというかもう、これがガルシア=マルケスなんですね。すごいなあ。
        読んでよかった。
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        2017/11/26 by ワルツ

    • 4人が本棚登録しています
      風の影

      木村裕美 , Ruiz ZafonCarlos

      3.5
      いいね!
      • 呪われてるとしか言いようのない展開

        終いには
        誰も幸せにならないのではないかと思った

        辛すぎた

        私の愛する人はこの人です

        私の子供はこの子らです

        堂々と宣言できる私の境遇は
        幸福な事なのだと思える

        ラストは
        それ迄の不幸が緩和されすぎた感はあるが
        読んでる間の悲惨な思いを
        余裕で振り返るご褒美と思っとく
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        2016/10/21 by 紫指導官

    • 5人が本棚登録しています
      戦場の画家

      木村裕美 , Pérez-ReverteArturo

      5.0
      いいね! Tukiwami

      • アルトゥーロ・ペレス・レベルテの「戦場の画家」は、画家と元民兵の男の対話劇で、二人の過去に何があるのかが、ひとりの女性カメラマンを介在させながら、ゆっくりと明らかになっていく。

        戦争を論じ、芸術論を繰り広げ、やがて失われた愛へと言及される。

        驚くのは、それらのすべてが、密室劇のボルテージを上げ、隠されたテーマや挿話と連携して、次第に運命の一日へと収斂していくことだ。

        登場人物は、ほとんどたった三人なのに、弛むことなく物語を進めていくストーリーテリングの巧さは、飛び抜けているし、その深い人生観・芸術観、洗練された方法意識、濃密な細部描写、人物たちの脈打つ、熱き感情には圧倒されてしまう。

        イタリアとフランスの文学賞に輝いたのも納得の、純文学ミステリの秀作だと思う。

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        2019/07/08 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      百年の孤独

      G.ガルシア=マルケス

      3.0
      いいね!
      • 2006年出版版もあるようだが、わたしがタイトルに惹かれて約20年前に購入したのはこの1972年出版版なので、こちらを本棚に追加した。ノーベル文学賞とか全然興味がないし、ラテンアメリカ文学とか全く知らなかったけれど、とにかくタイトルに惹かれて買ってみた。買ったものの、それだけで満足し、ずっと本棚に眠ったままだった(そんな本がいくつもある)。こういった眠っている本に日の目を当てることが、読書ログに登録した目的のひとつである。

        最初はその独特な世界感に戸惑ったが、慣れてしまうと興味深く読み進めることができた。あとがきの翻訳者の言葉にあるように「要約などは徒労としか思えない無数の挿話がからんでい」て、どのエピソードも面白い。コロンビアという国の歴史や文化について知っていれば、もっと深く楽しめるのかもしれないのが残念だ。

        なんせボリュームがあって、普段娯楽作品ばかり読んでいるわたしにとって、その世界観に浸れるまでに時間がかかり、読破するのに1週間ほどかかった。読んでいて困ったのは、登場人物がだんだんごちゃごちゃになってくること。外国の名前は覚えにくいうえに、繰り返し同じ名前が出てくるのだ(産まれてくる男子には、ことごとくアルカディオかアウレリャーノと命名)。登場人物を簡単に覚えられる人ならいいが、わたしのように混乱する人は、読みながら自分で人物リストを作成するか、ウィキの説明を参考にするとわかりやすい・・・かも(苦笑)

        最後にひとこと。
        個性的な登場人物たちに翻弄されながらも肝っ玉かーちゃんとして一家を支え続けたウルスラばーちゃん、よく頑張った!
        >> 続きを読む

        2017/08/06 by 三毛犬

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      予告された殺人の記録

      旦敬介 , 野谷文昭 , G・ガルシア=マルケス

      3.0
      いいね!
      • 『予告された殺人の記録』は、日本人にはなじみの薄い「名誉殺人」を扱った小説である。小説を書く前には新聞記者として活動していた著者が、身近にあった実際の事件を題材にしているだけあって、ノンフィクションのような生々しさがあった。

        舞台はコロンビアの小さな町で、アンヘラ・ビカリオとバヤルド・サン・ロマンの婚礼の祭りの翌日、つまりサンディアゴ・ナサールが殺される日から物語ははじまる。

        アンヘラは貧乏な家の末娘で、一方のバヤルドは旅をしながらこの町にやってきたよそ者だった。彼は当初は警戒されていたものの、内戦の英雄である父をはじめとする家族を連れてきたことで町の人々の信頼を獲得し、アンヘラとの結婚にこぎつける。
        しかしアンヘラが生娘でないことが分かり、結婚は初夜で破談となってしまう。ここでアンヘラの証言によって凌辱の罪を負うことになったのが、サンディアゴ・ナサールである。

        殺害を実行したアンヘラの二人の兄たちは会う人すべてに犯行を予告していた。時には誰かが犯行を阻止してくれることを願って言いふらしていたかのような記述も見られるが、宣言することでかえって後に引けなくなったのかもしれない。町じゅうの人が犯行予告を知っていたため証言の数も多いが、彼らは一様に思い込みや勘違いをしていて、そのことが事件の曖昧さを際立たせている。

        サンディアゴ・ナサールはハンサムで金持ちな、アラブ系移民の若者だった。性格は明るく穏やかで、やんちゃな一面もあったようだ。町の人々は、彼が殺されるとまではいかなくとも、どこかで痛い目にあえばいいという嫉妬の気持ちがあって、あえてビカリオ兄弟の凶行を止めようとはしなかったのかもしれない。意図的なものではないが、権力と財産をもっていて同じく嫉妬の対象となりそうなバヤルドもまた、婚礼を境に不運に見舞われた被害者になっている。

        なお、この事件の最大の謎は最後まで明かされることはない。
        凌辱の罪をおかしたのは、本当にサンディアゴ・ナサールだったのか??

        余談ですが、本書にはガルシア=マルケスのノーベル文学賞受賞講演のテキストが収録されています。作家やラテン・アメリカ文学に興味があれば、かなり楽しめると思います。
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        2017/07/09 by カレル橋

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      コレラの時代の愛

      木村栄一 , G・ガルシア=マルケス

      5.0
      いいね!
      • こんなレヴューの書き方は良いのか悪いのか逡巡したのですが、、、

        昨日、花見に行った公園、地元みたなものなのですが、その有料植物園にアーモンドの木があり桜のような花がいっぱい咲いていてびっくり。

        で、

        「コレラの時代の愛」のレビューなのですが、

        私は生涯の小説ベスト3にこの作品が脳裏にいつもあるのですが、もう過去に読み、そう書いてはいる反面、内容は長編という事もあり結構忘れているのです・・・

        なのによく覚えてる描写に、

        (アーモンドの木の下で読書をするフリをする)

        描写があり、すごくアーモンドの木を花を実物を見たい衝動に当時駆られ、ゴッホの「アーモンドの花」のポスターを買って部屋飾ったり、、、県外に季節外れの時期にアーモンドの木を見にいったり。だから今回、満開の花と灯台下暗しって事でまたこの作品を引っ張り出しこうして書いているわけです。

        本自体は恋愛ストーリーで、とても長く、またガルシア・マルケスさん独特の描写はねっとりまとわりつく?!感じの描写で読むペースはかなり自分的にはゆっくり確実に熟読玩味しないと頭にスラスラ画像が描写処理が大変だった記憶があります。他の作品も何冊か読んだけどそんな感じでした。

        この作品に限らす、小説読んでいたら、その描写に刺激を受けて、たばこだったり、酒だったり、音楽だったり、現実にマネした事があります。皆さんもきっとそんな経験あると思うのです!

        って感じで思わず、過去に読んだ作品のレビュを書いたわけです。

        桜もよいですが、皆さまも機会があればアーモンドの花も今見ごたえで綺麗なので、ぜひ!おススメです。

        映画の実写もよかったです!

        私は作品を2度読み返す事はないのですが、また読み返してみたい作品です!

        結構アーモンドの木の情景描写がでた記憶ありますが、海外の作品には国内小説にない世界がまた刺激的で好きですね!

        おわり。
        >> 続きを読む

        2018/04/04 by ジュディス

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      アミ小さな宇宙人

      石原彰二 , BarriosEnrique

      5.0
      いいね!
      • 読んだのはもう十年以上前。小学生の頃、自分のお小遣いで初めて買った本がこの作品でした。私にとってとても重要な1冊です。

        手元にないので詳細があいまいですが、ご了承ください。

        主人公の少年ベドゥリートは、ゲームもするし、いたずらもする、嫌いな食べ物はこっそり残す、どこにでもいる元気な少年。そんな少年が宇宙人のアミと一緒に宇宙の星々をめぐる旅に出かけます。
        訪れる星々には多種多様な姿かたちの宇宙人たちがいて、彼らの文明は地球とは比べ物にならないほど発達しています。アミに言わせれば地球は未開の惑星で、地球人はまだまだ野蛮な種族です。
        旅の中で出会う様々な出来事を通して、ベドゥリートは『本当の愛』を知っていきます。

        本当に優しく温かい物語です。
        小学生の私が理解できたほど、文章はすごく簡単な言葉で書かれています。けれど、簡単な言葉だからこそ、そこに込められた作者の伝えたいものが、すとんと胸に響いてじんわり広がる、そんな作品だと思います。

        続編あたりで、ベドゥリートの友だちの女の子が旅に加わったりもするのですが、アミは、あまりにも発展途上の地球人とほかの星の住人達が接触するのを避けるため、やむ終えずその星に着陸するときはベドゥリートたちに変装をさせます。そのとき、ベドゥリートも女の子も自分の体のコンプレックスをあげて、それを変えてとアミに頼みます。たとえば「鼻をちょっと高くして」とか「足を太くして」だとか。それを聞いて、アミは渋い顔をするのです。
        自分の持っているものを、なぜ否定して変えたがるのか、と。

        自分を認めること、他人を受け入れること、それが世界を愛することになる。
        優しく、優しく、温かく―――――

        そんなことを、幼い私に教えてくれた作品です。レビューを書きながら、また読みたくなりました。
        年齢、性別問わず、いろんな人に読んでもらいたいなと思います。
        >> 続きを読む

        2014/11/12 by ぶっちょ

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