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1954年5月発行の書籍

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      蟹工船

      小林多喜二

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 全体の所感として、著者のその後も含めて歴史的には重要な作品かもしれませんが、それほど感銘は受けませんでした。以下は二作品それぞれについてです。

        <蟹工船>
        外界から隔離された船内において、極端な不衛生さと過酷な労働により落命するものも現れるほどの劣悪な労働環境下で、労働者たちの群像と資本家の手先として船内の権力者として頂点に立ち彼らをイジメ抜く監督を中心に描かれる、プロレタリア文学の代表作。資本家サイドの忠犬として非人道的な態度を貫く監督と、痛めつけられる労働者たちの姿が徹底して紋切型に表象されており、一歩間違えればナンセンスなドタバタ劇に転化してしまうのではないかという想像もしてしまいました。労働者たちが蜂起して以降の流れも、読み手をアジテートする意図がわかりやすく提示される展開となっています。

        多くは固有名も与えられない、労働者たちの群像は無個性で象徴的に描かれているように見受けられました。資本家に立ち向かうために綴られたであろう本書が、個々の労働者の顔を描くことを軽視しているとも取れる姿勢は、結局資本側の労働者たちへの眼差しと相似するものではないかと、本作の創作における著者の姿勢に疑問を持ちました。

        余談ですが良し悪しに関わらない部分で、擬音が相当に多用されていること、函館を出港しオホーツク海へ向かう船の労働者は周辺地域(北海道、青森、岩手、秋田)から集まっているため方言が用いられている点が気になったことを、備忘も兼ねて書き添えます。

        <党生活者>
        自身の経験をもとに、「赤狩り」の監視の目をかいくぐりながら共産党員としての地下活動に邁進する、軍需工場の労働者である男と仲間たちが描かれています。緊張感があってしかるべき物語の状況ですが、意図されたものかはともかく、読んだかぎりは微妙に間の抜けた空気感を感じました。
        >> 続きを読む

        2020/08/10 by ikawaArise

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