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1959年1月発行の書籍

人気の作品

      愛の妖精 (岩波文庫) プチット・ファデット

      ジョルジュ サンド

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • フランスの田舎を舞台にした恋愛物語。
        ジョルジュ・サンドといえば、ショパンを始め多くの男達と浮名を流した恋多き女性だ。
        しかし、自身の少女時代をモデルにしたという本作のヒロイン、ファデットは一途な性格なのが面白い。かの魔性の女の中にも、一皮むけば純情な少女の原像が眠っているということなのだろうか。

        それはさておき、田園ののどかな雰囲気や、いくつかの神秘、そして人物描写の妙がこの物語の魅力だ。
        主人公の双子は、元々はそっくりな二人だったが、時と共に個性の違いが鮮明になり、全く違った人生を歩むことになる。
        鼻つまみ者で男勝りだったヒロインのファデットは、恋によって美しく成長する。
        農村地帯の美しい自然や鷹揚な雰囲気が描かれ、夜には鬼火が飛んだりもする。

        個人的には、この鬼火に関する描写が印象深い。
        例えば、双子の弟ランドリーが鬼火に惑わされ恐怖を感じ、川を渡る途中で立ち往生してしまった場面がそうだ。
        そもそもヒロインのファデットという呼び名も、鬼火と関係がある。
        ファデットという呼び名は彼女の苗字ファデーから来ているのだが、作中では、
        「このファデーとかファルデーとかいうのは、ほかのところでは鬼火の精(フォレー)という人もあるが、なかなか人なつっこいくせに、少し悪戯気のある子鬼だ」
        とも書かれいている。

        ところで、ファデットの持つ感受性の豊かさや聡明さには読んでいて感じ入るところがあり、
        「花とか、草とか、石とか、虫とか、そういうこの世の秘密だけでもどんなにたくさんあるか知れないし、あたしの暇つぶしと気晴らしにはそれでたくさんだったはずよ」
        などという科白にはぐっときた。
        ファデットの持つ気質には素敵なものがあるように思う。
        そのような下地があるからこそ、「こうろぎ」と揶揄され魔法使いの娘とも目されていた子鬼の如きファデットが、恋の力によって美しく変貌を遂げられたのだろう。
        恋の力というのはとてつもなく偉大なものだが、その力の現れは恋を身に宿した者の持つ性質によって、差異があるのも事実だと思う。僭越ながら自分の経験に照らすと、恋によって美しくなった人も、醜くなってしまった人も見たことがある。
        ファデットは美しく変貌した。ファデットが村を出る折りにランドリーへ語った愛の告白には心動かされるものがあった。

        しかし、この小説には説教臭い一面もあり、ことに終盤はその説教臭さにいささかげんなりさせられた。
        双子の兄シルヴィネの柔弱さをこれでもかと描き、ランドリーと対比させ、終いにはファデットが彼を立ち直らせる。このような流れは押しつけがましく感じる部分もあり、また、数々の男を狂わせた美貌の才女ジョルジュ・サンドの姿が透けて見える思いもした。

        この小説は、総じていうと美しい恋物語で、一人の女性が運命を切り開く話でもある。
        それはサンド自身が言うように、「一時的な慰めに違いない」のかもしれないが、現代に生きる我々にも何かをもたらしてくれる慰めのように思う。
        >> 続きを読む

        2018/01/20 by solnian

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      英文をいかに読むか

      朱牟田 夏雄

      4.0
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      •  大学受験を終えたとき、ほんとうの勉強がはじまるとか人は言うけれど、受験で求められる基礎学力の多くは、専門的な知識や考え方を身につける土台となる。今回取り上げるのは参考書、おそらく最初で最後になると思う。
         小西甚一の古文の本にする選択肢もあったが、英語の方がわたし自身かなり苦労したし、もしかしたら何か役立つことが言えるのではと考え(そんなことはないと思うが)、朱牟田夏雄の『英文をいかに読むか』を選んだ。これとマーク・ピーターセンの『日本人の英語』の二冊がわたしの英語学習に大きな影響を与えた。
         この本には、むかしの作家や学者の英文がたくさん入っているし、さいごに、オルダス・ハクスリーのまとまったエッセイもある。ところで、岩波ジュニア新書の英語本を手掛ける行方昭夫さんは、朱牟田夏雄の弟子の一人で、『解釈につよくなる英文50』とこの本は当然ながら共通点が多い。易しい方がいい人は行方さんの方を。
         最後に、語彙を増やす方法について。わたしが実践したなかでいちばん良かったのは、英語圏の子ども向けにつくられた百科事典を三冊くらい読み込む方法(もちろん一冊でも可)。英英辞典よりはこちらの方が断然おぼえやすい。イラスト付きの書物で英英学習をし、つねに事物を英語で説明する意識を持って読むと英単語がけっこう身につく。あとはTEDカンファレンスや英語のニュースを楽しめば十分だ。
        >> 続きを読む

        2015/02/14 by 素頓狂

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