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1959年5月発行の書籍

人気の作品

      ベンスン殺人事件

      ヴァン・ダイン

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【ファイロ・ヴァンス登場!】
         数々ある推理小説の中で、私が(いや、私だけではないはずです)10本の指に入ると考える名探偵の一人、ファイロ・ヴァンスが初めて登場したのが本作です。

         事件は非常にシンプルなものでした。
         ベンスンというウォール街の株式仲買人が、深夜、自宅で射殺されたのです。
         ベンスンの家には住み込みの家政婦がいましたが、彼女の話では、事件があった夜、ベンスンは外出したが、その帰宅前に自分は部屋に下がって寝ていたため、帰宅した時刻は分からない。
         深夜零時30分頃、暴発音のような音が聞こえたので目を覚ましたが、外の通りを走る車のバック・ファイアだろうと思い、そのまま再び寝入ってしまった。
         朝起きて1階の居間に行ったところ、その部屋のソファーにベンスンが座っており、頭を拳銃で撃たれて亡くなっていたというものでした。

         お馴染みの地方検事マーカム、警察の殺人課のヒース刑事部長が捜査に乗り出したのですが、ファイロ・ヴァンスは彼らが容疑をかける者を悉く無実であると証明してしまいます。
         それでは一体真犯人は誰だというのでしょうか?

         ファイロ・ヴァンスの捜査手法は極めて心理学的なものでした。
         作中では、アリバイや物的証拠など取るに足らないのだと豪語します。
         犯罪態様から知ることができる犯人像と合致する者こそが真犯人なのであるとし、みごと真犯人を推理するというスタイルを取っています。
         ちなみに、このような手法は、次作の「カナリヤ殺人事件」までは維持されるようですが、さすがに少々無理もあることから、その次の名作「グリーン家殺人事件」以後は変更されているということですが。

         このような捜査手法を中心に据えている作品のため、事件自体は何らのトリックも用いられていない、非常にシンプルなものになっています。
         他の推理小説のように、不可能犯罪の解明とか、あっと驚くトリックという点に重点があるわけではなく、いかにして真犯人を絞り込んでいくのかというその過程、推論の妙が本作の要になっているのですね。

         本作で生み出されたファイロ・ヴァンスという名探偵は、鼻につくほどにペダンティックであり、見方によっては相当に皮肉家であり嫌味な奴かもしれません。
         マーカムやヒースの方がどれほど人間的魅力があることでしょう。
         それでも、透徹な頭脳による明解な(いや、これは作者により明解であるように思わせられていると言う方が正しいでしょう)推理は大変に魅力があることもまた事実です。
         私は、結構ファイロ・ヴァンスって好きなんですよ。
        >> 続きを読む

        2019/05/07 by ef177

    • 3人が本棚登録しています
      カナリヤ殺人事件

      ヴァン・ダイン

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【カナリヤはもう囀らない】
         ファイロ・ヴァンス、第二の事件が本作です。
         ブロードウェイで大人気を博した美貌の女優が自室で絞殺されるという事件が起きました。
         被害者は、大好評を取った役柄から「カナリヤ」の名前で呼ばれていたのです。
         ですが、人気女優とは表の顔で、裏では裕福な男性と懇ろな交際をし、ゆすり、たかりを働いては優雅な生活をしていたというわけです。

         彼女が殺害されたのは自分の部屋でした。部屋は荒らされ、宝石箱はこじ開けられて空になっており、彼女が身につけていたはずの宝石類も根こそぎなくなっていました。
         その部屋がある建物への入り口は2か所だけ。
         表通りに面した正面玄関と、裏口だけです。
         全ての窓には鉄格子がはまっていて、侵入の痕跡はありません。

         裏口には午後6時には閂が下ろされており、死体が発見された朝も閂はかかったままでした(閂と訳されていますが、添えられている図によれば、サムターン錠と考えていただいた方が良いでしょう)。
         門番が午後6時に閂をかけ、翌朝閂がかかったままの状態であったということは真実であり、その点に偽りはありません。
         正面玄関から入った場合、24時間常駐している交換手(この当時の電話はこの交換手が取り次いでいたのですね)に見られないで入ることは不可能です。

         カナリヤは、事件当夜、午後7時過ぎ頃、金蔓の男の一人であるスポッツウードと共に出かけました。
         その夜、午後9時頃、スキールという女たらし(彼はカナリヤからゆすられていたのではなく、むしろカナリヤをゆすっていたのですが)が正面玄関からカナリヤを訪ねて来ており、交換手から「留守ですよ」と告げられたけれど、「確かめてみるさ」と言い、カナリヤの部屋まで行き、呼び鈴をならし、しばらくしてノックもしましたが応答が無いので、「確かに留守のようだね」と言い残して帰りました。
         
         午後11時頃、スポッツウードとカナリヤが帰ってきて、二人ともカナリヤの部屋に入りました。
         30分程してスポッツウードがカナリヤの部屋から出てきて、交換手にタクシーを呼んでくれと頼み、交換手と世間話などしながらタクシーを待っていました。
         すると、カナリヤの部屋から悲鳴が聞こえたのです。
         スポッツウードと交換手は慌ててカナリヤの部屋へ行き、ドアをノックして「大丈夫か?」と声をかけたところ、「何でもないの、大丈夫よ」という答が返ってきたため、居眠りでもしてうなされたのだろうと考え、そのまま部屋から離れました。
         そこへタクシーがやって来たので、スポッツウードはタクシーに乗って帰り、宿泊していたクラブの前で降りたところ、知人に出くわし、その後深夜までカードのつき合いをさせられていました。

         カナリヤにゆすられていた男はあと3人。
         実はその3人も、事件当夜、カナリヤの部屋がある建物を訪れていることが後に判明します(ただし、交換手は誰も見ていないと供述しています)。

         容疑者はこの5人に絞られました(後にそのうちの1人が殺されるので4人になりますが)。
         誰が犯人なのか。そして、犯人はどうやってカナリヤの部屋に入ったのか?(密室殺人になっています)

         デビュー作の「ベンスン殺人事件」と同様、ヴァンスは心理学的手法により犯人を絞り込みました。
         その山場がやってくるのが有名なポーカーのシーンです。
         容疑者達のゲーム運びから、ヴァンスは犯人を特定するのです。
         ですが、どうやって殺害したのか、そのトリックがどうしても解けません。
         最後の最後は、やや偶然と言える出来事により、決定的証拠をつかむことになるのですが……。

         ミステリとしてはやはり異例の部類に属するかもしれません。
         クィーンのように、あくまでも論理的思考により一分の隙もなく理詰めで犯人を推理するというわけではなく、心理学的方法により犯人を特定するという手法は斬新と言えば斬新です。
         密室のトリックは、ヴァンスがある物証を発見することによって解決しますが、最後まで残された謎については、先ほども書いたように偶然的発見により解決されるわけです。
         そして、それらのトリックも、今となっては陳腐ではあります。
         その点、不満が残るところもありますが、ミステリとしての魅力は十分に備えている作品ではないでしょうか。
        >> 続きを読む

        2019/05/22 by ef177

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