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1962年4月発行の書籍

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      ドリアン・グレイの肖像

      オスカー・ワイルド , 福田恒存

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 【まだ読んだことが無いという若い君のために】
         今さらながらのドリアン・グレイです
         オスカー・ワイルドの耽美性が非常に色濃く出ている作品だと思います。
         ワイルドは、童話も含めて大好きなのです。

         さて、あまりにも有名な作品なので、今さら粗筋も無いのですが、今、ここを読んで下さっている若い読者さんもいらっしゃるかもしれません。
         たまさか、何かの拍子で、このレビューにぶち当たってしまったという、まだ、ドリアン・グレイを読んでいないという若い読者さん。
         君のために、簡単な粗筋を書きましょう。
         そうして、君は、このレビューを読んだ後、必ず作品をちゃんと読まなければならないよ。

         ドリアン・グレイという若く、絶世の美貌を持つ青年がいました。
         彼はとても純粋で、世の中の悪など何も知りませんでした。
         彼に目をつけたのは、画家のバジル。
         ドリアンの若く美しく、瑞々しい姿を余すところ無く肖像画に捉えました。
         それは素晴らしく美しい青年を描いた傑作と言っても良い絵画だったのでしょう。

         ドリアンに近づいたもう一人の男性は、ヘンリー・ウォットン卿。
         彼は、既に成熟しており、世の中の酸いも甘いも十分に経験している男性でした。
         美徳も、悪徳も。
         ドリアンは、ウォットン卿から多大な影響を受けるようになります。
         純粋さが、汚されていく?

         さて、それはそう簡単に言えることなのでしょうか?
         ドリアンは恋をします。
         そのお相手は、場末のシェークスピア劇場に出ていた、可憐なシビルという少女でした。
         ドリアンは彼女の舞台を大変高く評価し、彼女と結婚の約束も交わします。
         そうして、晴れ晴れとした気持ちでバジルとウォットン卿を場末の劇場に案内します。
         「さあ、見て下さい。私が選んだ本当に素敵な女性なのです」と紹介して。

         シビルはというと、美貌のドリアンと婚約することができてすっかり舞い上がってしまいました。
         彼女は、本当に幸せの絶頂にいたのでしょうね。
         それを誰が責めることができますか?
         そんな幸せに浸りきったシビルの舞台は……とてもひどいものでした。
         今までは、本当に惨めな小屋で、それでも精一杯自分を輝かせようとしてきた演技、それこそがドリアンの胸を打ったのですが、今は、もうすっかり幸せに浸りきっていました。
         そんな今の彼女には、前の様な舞台を演じることはとてもできなかったのです。

         バジルも、ウォットン卿も、「これはひどい」と内心思いました。
         もちろん、ドリアンもそう思いました。
         ここがドリアンの短慮です。
         若い君たち、分かるかな?
         ドリアンはどうしたと思う?

         何と、シビルの楽屋に行き、婚約破棄を言い渡したんだ。
         僕に恥をかかせたと言ってね。
         若い女性の読者もいるかな?
         もし、君がそう言われたならどう思う?
         
         その後、シビルは自殺してしまうんです。

         さて、その後のドリアンは、どんどんウォットン卿の感化を受け、世の中の汚いこと、醜いことを経験していきます。
         彼は、絶世の美男子だからね。
         どんな女性でも思いのまま。お金だって自由になる。

         若い男性の読者諸君、それはうらやましいと思うかい?
         そりゃそうだ! というのは正直な感想かもしれないね。

         その時、一つの変化が現れたんだ。
         バジルが描いた、若く美しいドリアンの肖像画は、ドリアン自身が所有することになったのだけれど、ある時、ドリアンはその自分の美しい肖像画を見たんだね。
         そうしたらどうだろう、彼の美しい口元に、何だかいやらしい線が一本見えるようには思えないか?
         実物のドリアンは、もちろんそんないやらしい口元の線などないよ。
         いつまでも若く美しいドリアンのままなんだ。

         それはラッキーじゃないか!
         って、君は思うかな?
         そう、ラッキーかもね。
         だって、その後何年たっても、実物のドリアンは若く美しい美貌を保ったままなのだから。
         だからいつまで経っても、女性にもてまくるし、何の不自由もない。

         だけど、肖像画はどうだろう?
         その肖像画は、どんどん年老いて、醜くなっていくんだ。
         実物のドリアンの嫌らしいところを、全部肖像画が引き受けてくれているということだね。

         若い女性の方、そんなドリアンを、君は愛することができる?
         若い男性の方、君は、そんなドリアンのように年老いていきたい? いや、君自身はいつまでも若いままだよ。
         その方が良いかな?

         さて、私が紹介するのはここまで。
         君たちは、自分でこの物語を読まなければならない。
         そうしなければ、この物語の本当を味わったことにならないから。

         そうして、読み終えたら、もう一度考えてみて欲しい。
         君は、ドリアンになりたいか? 君はドリアンを愛したいか?
        >> 続きを読む

        2019/03/22 by ef177

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