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1969年10月発行の書籍

人気の作品

      宗教的経験の諸相

      W.ジェイムズ

      岩波書店
      カテゴリー:近代哲学
      4.0
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      •  本書は個々の宗教の教義などについて書いている本ではない。宗教的な経験とはどういう種類のものがあり、それは人間のどういう心理作用から生まれ、どのような実際的な効果をもたらすのかを科学的なアプローチで解明しようとした本である。1902年に刊行された本書には、時代背景として科学信仰、宗教の凋落への危機感があるようだ。科学的な体裁をとっているのも、読者としてそうした背景が念頭に置かれているのだと思われる。

         作者のW・ジェイムズは心理学者であり、本書は宗教心理学の草分けに位置づけられる。もともとはイギリスのエディンバラ大学での講義が元になっている。

         本当に多くの体験例が引用され、宗教的経験の諸相が非常に広い分野に渡るものであることを教えてくれる。筆者の立場は「宗教的経験」に主眼が置かれているため、それがどのような現象から引き起こされたものであるかを問わない。極端な話、薬物から引き起こされた異常な心理状態であっても構わない。「神秘主義」に関する論考における多くの実例は、理性を重んじる知識人からは非難されかねないような内容のものもある。筆者は宗教的経験をした人々を様々なカテゴリーに分けて詳細に分析を加えている。なかでも興味深いには、「一度生まれ」と「二度生まれ」に関する部分で、私が本書を読むきっかけとなった『続・悩む力』(姜尚中)にもこの部分が引用されている。二度生まれの人間は、精神的に一度死に、苦難と絶望の淵から甦り、精神的な新生を遂げる。そのことでより一層深い人間理解に至る。姜尚中は、漱石やウェーバー、フランクルを二度生まれの人間として考察している。一度生まれの人間は、二度生まれの人間から見るとあまりに楽観的で、罪の苦しみも感じないような人として見えるという。しかしジェイムスは一度生まれにも二度生まれにもそれぞれに宗教的経験があり、その実例も示している。

         ジェイムスの生まれ育ちにより、実例がキリスト教やアメリカの新宗教に偏っているのは仕方ないが、ジェイムスの試みとしては、宗教的経験の共通項を見つけ出し、普遍的な部分を抽出することにあるようだ。最終部分はそこに費やされているが正直ちょっとわかりにくい。グローバル化の限界が見え始め、普遍性を追求することをそう無邪気には考えられない現代の私たちからすると、ジェイムスの言っていることは楽観的に感じられる。また、精神・理性の優位にも懐疑的になっている私たちからすると、ジェイムズが闘っている前提が変わっていて、むしろ宗教的経験が何から発していようと、「よい」効果をもたらすものであるなら受け入れようとする傾向は現代の方が強いのではないかと思う。それが非常識だと感じるよりは、そうした人間の理解のできない領域があって、人間の理解している部分よりもずっと広く、実はそちらの方が主で、見えている部分、分かっている部分の方が従なのだというような感覚は現代の日本人にはあまり違和感なく受け入れることができるのではないだろうか。これは日本人だから殊更に感じるのか、3・11を超えてしまった私たちだからなのか、いずれにしても霊・魂の復権は近いと感じる。
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        2012/11/02 by nekotaka

      • コメント 2件
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      銀河帝国の興亡 2 (創元推理文庫 604-2)

      アイザック・アシモフ

      5.0
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      • 【ミュール登場!】
         ハリ・セルダンによって極められた未来を予測できる科学、心理歴史学により、強大な銀河帝国の衰退が予測されました。
         その後に訪れるであろう3万年の暗黒時代を1.000年程度に短縮すべく、宇宙の両端に2つのファウンデーションが建設されたというのが第1巻までのお話。

         ハリ・セルダンの予測は悉く的中し、銀河帝国は衰退の道を歩き始めます。
         かつては普通に使われていた原子力も失われ、文明は退化していきました。
         しかし、惑星テルミナスに建設された第1ファウンデーションでは文明が保持されていたため、その科学力を使って周囲の惑星を配下に収めることに成功していったのですね。

         ところが、これまで未来を見事に予測してきたハリ・セルダンにも予測できなかった事態が発生しました。
         それがミュールというミュータント(突然変異体)だったのです。
         心理歴史学は、十分に巨大な数の人間の振る舞いを予測することは可能でしたが、個々の人間の行動までは予測できません。
         ミュールの様な、極めて特異な人間が登場することまではさすがのハリ・セルダンにも予測できなかったのです。

         しかも、ミュールは悪いことにとある特殊能力を身につけていたのですね。
         あっという間に、特段の抵抗もしない内に、次々と星系がミュールに降伏していくのでした。
         一体何故?
         そして、ミュールの攻撃は、ついに第1ファウンデーションにも及び、しかもあろうことか、第1ファウンデーションまで陥落してしまったのです。

         ハリ・セルダンの予測は完全に外れてしまったのか?

         しかし、ここに第2ファウンデーションという存在があります(いや、あると言われています)。
         ですが、その場所は極秘とされており、誰にも発見されていないのですね。
         本当に第2ファウンデーションなどあるのか?

         物語はどんどん盛り上がって参りました。
        >> 続きを読む

        2019/03/02 by ef177

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