こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1970年1月発行の書籍

人気の作品

      近代の政治思想 その現実的・理論的諸前提

      福田 歓一

      岩波書店
      カテゴリー:政治学、政治思想
      5.0
      いいね!
      • ひさしぶりに読み直してみたら、とても面白かった。

        「暴力装置」という言葉は最近、菅政権当時の仙谷官房長官の発言でとみに注目を浴びていたけれど、本書はその分析から叙述を説き起こしていて、四十年前に出された本にもかかわらず、あらためてとても新鮮だった。

        著者が言うには、軍隊と言うのは結局は思想によって構成されている。
        なぜならば、どんなに下っ端の兵隊も、年寄りの司令官よりは腕力に強い若者であれば、物理的には十分に対抗できるわけであり、どんなに「暴力装置」などと物理的手段のように思われていても、実際は要員が組織としての規律に服するかどうか、受領したメッセージ通り行動するかどうか、その軍隊を一つの組織として成り立たせている思想がなければ成り立たないからである。

        そのように、国家というものも、実は自然に与えられたものではなく、人間が構成しているもの、なんらかの思想的契機によって、人間の能力によって構成されているのが国家であり政治社会である。

        そのように説き起こし、その政治社会が人間による構成の産物だということについて最も徹底した自覚が行われたのが近代ヨーロッパの政治思想だったことを指摘し、国家や社会が「自然」としてなんら疑いも自覚もなく考えられて人々がその中に埋没していた中世から、いかにして自覚的に人間や社会が認識され、理論的に構成する営みが行われたかを歴史を辿ってとてもわかりやすく説き明かしてある。

        さらに、その理論的な到達点として、ホッブズ・ロック・ルソーの三名についてスポットを当ててある。

        「社会が自然のように人間に与えられたものではなくて、人間のつくりあげた組織であり、したがって人間の必要をみたすようにつくることができる。」
        (149頁)

        「社会を与えられたものと見ないで、人間のつくりあげる一つの文化としてとらえ」る。
        (152頁)

        「権力の物理性の分解 …(略)… 権力の暴力的契機がどんなに物理的に見えても、なお思想に依存する」
        (169頁)

        「政治社会を人間にまで還元すること、人間のどのような能力が政治社会を可能にするかを問うこと」
        (173頁)

        などなどのメッセージは、四十年の時を超えて、今もとても新鮮な問題意識だと思う。

        民主党がせっかく政権交代を果たしたのに、いまいち政治力に乏しかったは、政治における思想的契機の重要性をあまり理解せず、言葉を発信する作業を怠り、十分な論理や思想を持たず深めないできたことにも一因があるように、この本を読むほどに思えた。

        また、庶民の側も、ともすれば政治をあまり自分に関係のない現象ととらえ、自分たちが構成するものだという意識が乏しかったことが、かつて全く政権交代がない時代にもあったかもしれないし、政権交代実現後の今もいまもって根強く持っているのかもしれない。

        政治における思想的契機の重要性と、人間がいかに自覚的に社会をとらえ、社会を自覚的に構成するかということを政治思想史の流れの中で明晰にわかりやすく説き明かした本書は、今も本当に鮮烈な、できれば繰り返し多くの人に読まれるべき名著だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      ヘレン・ケラー―三重苦をのりこえた愛の人 (児童伝記シリーズ (6))

      徳永 寿美子

      5.0
      いいね!
      • なんかね、ふと読みたくなって母の本棚を探したらあったので読んでみました。

        気がついたら読み終わっていました。
        この本は自分が小学生のときに全校生徒が買った(まあ、厳密に言うと買わされた)本でよく母に、あんた、ヘレン・ケラー読んだの?こういう本は身になるから読みなさい!と言われ続け、でも、結局読むことなく母の本棚にずっと仕舞われていました。そういうふうに諭してくれた母も亡くなり存在自体忘れていましたが、何故か今日読みたくなって読み、今に至るというところです。

        内容…実はヘレン・ケラーの生涯とかどんな仕事を成したかとか、知らなくて💦
        で、読んでみたら、まあ、本当に陳腐な言葉になってしまうけれど、凄い、壮絶な人生だったんだな、と。三重苦の中、良き師に出会い勉学に励み、悩み苦しんでいる人達の為に命を遣う…本当に崇高で逞しい人なんだな、と思いました。

        果たして、自分が同じ境遇だったら同じことができるか?途中からはヘレン・ケラーの人生を自分に置き換えて読んでいました。自分も確かに障害を負い毎日大変だー、大変だーと愚痴りながら生活していますが、ヘレン・ケラーはその比ではない、もっと、もっと大変な状況の中希望を見つけて突き進んでいったわけで。

        今、自分もたくさん悩み事とかあるけど、それを嘆くのではなく、しっかりとやり遂げて自信に繋げていきたい!と強く思いました!

        ヘレン・ケラーの師のサリバン先生も若干20歳という年齢でヘレン・ケラーという難しい子の教師を務め生涯をヘレン・ケラーに捧げたことも凄いな、と。その想いをしっかりヘレン・ケラーも抱き留め後世に語り継いでいっているのも凄いな、と。

        確かに、この本は小学生向けに書かれているけど、大人が読んでも楽しみながら身になり希望を抱ける稀有な作品だなぁとも思いました。

        このタイミングで読めて良かった…ちなみに明日祖母の誕生日なんですよね。生きていたら丁度100歳。もしかしたら、祖母が読ませてくれたのかな?なんても思いました。

        本当に読めて良かったです!

        今回も良い読書が出来ました!!
        >> 続きを読む

        2020/02/01 by 澄美空

    • 1人が本棚登録しています

出版年月 - 1970年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

生きることと自己肯定感