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1971年7月発行の書籍

人気の作品

      遠い声遠い部屋 (新潮文庫)

      カポーティ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • カポーティの処女長編。1948年の作品。カポーティの生まれが1924年なので、彼がまだ22歳の時に書いた作品だ。それでこの完成度の高い作品を書いてしまうのだから、すごいとしか言いようがない。

        父親がいるという辺鄙なヌーン・シティという町に辿り着いた13歳のジョエルは、そこで今までの街とはまるで違う体験をする。男の子みたいなアイダベルという少女、ジーサス・フィーバーというもはや墓に片足を突っ込んだような黒人の老人、その孫のズーという20歳のお手伝い、ランドルフというひきこもり気味の叔父さん、こういった人たちと日々を過ごしていく。
        いくつもの不思議な体験。移り住んだ家(ランディング)のある部屋の窓に幽霊のような女性の姿を見、近くにあるクラウドホテルという廃墟とそこに住むリトル・サンシャインという不思議な老人に出会ったり、なかなか会えなかった父親は実はランディングの一室に寝たきりで幽閉状態であったり。
        フィーバーの死、ズーとの別れ、アイダベルへの恋、雷に打たれて死線をさ迷う、そういった経験をへて、ジョエルは成長していく。

        読んでいると、作品の中の景色がなにか懐かしいような、どこかで見たような景色に思えてきて、さらに文章が幻想的なので、夢物語を見ているような錯覚に陥る。
        マジックリアリズムの作品を読んでいる時と同じ感覚がした。頭のなか全体にふわーっと霧がかかったような感じ、心地よい余韻がしばらく離れなかった。
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        2017/09/26 by Reo-1971

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      悪魔の手毬唄 (角川文庫)

      横溝 正史

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 『ひとり横溝正史フェア』、つづいては「悪魔の手毬唄」。
        こちらも有名な作品。

        金田一耕助は、鬼首村の外れの湯治場である亀の湯に磯川警部の紹介で逗留し、鬼首村のことを知って行く。
        村の勢力は由良家と仁礼家に大きく二分されており、かつては庄屋筋であった多々羅家は勢いを失ってしまっている。
        そんな村では戦前に農村の不況につけ込む詐欺が起きた。しかもその詐欺を働いた男、恩田は、詐欺を暴こうとする亀の湯の女将の夫を殴り殺して消えた。
        そして今、鬼首村に恩田の娘である人気歌手大空ゆかりが帰ってくる。
        すべての役者が揃い、鬼首村に再び惨劇の幕があがる。

        この作品でも横溝正史がよく扱う、閉鎖された村での貧富の差や差別といったものが描かれている。
        差別に関しては、現代のわたしには想像も出来ないほどの凄まじさが戦前戦後にはあったのだろうと思う。それも閉鎖された環境であれば、そこから脱け出すことも叶わず、人間らしい扱いをされないまま生きるしかないのだろう。その辛さや絶望、恨みや妬みなどは想像することも難しい。

        村に伝わる手毬唄になぞらえた見立て殺人がつづいて起きる。
        「獄門島」でも見立て殺人が起きていたが、こういったものやトリックは推理作品らしい派手さがある。
        ただ殺すだけでは足りず、死体を使って自分の思いを表そうとするというのは顕示欲の強い異常な心理だとは思うけれど、そこまで犯人を追い込むような何かがあったことが哀しい。

        この作品も映像化されており、口に漏斗を咥えさせられ枡から落ちる水を飲まされている死体など横溝正史らしい残酷シーンが満載だったような記憶がある。
        映像にすることを考えて書いた作品ではないだろうけれど、視覚への衝撃が強烈な作品が多いため映像化したときの効果は大きかった。

        この作品は金田一耕助に近い人物が書いている形で語られているのだが、誰がどのような気持ちで書いていたのかが最後の一行でわかる。
        その一行を読むと何とも切なさを感じる。

        横溝正史のラストは、金田一耕助の好みで犯人を見逃すといったものと、犯人には罰が下るものと大きく分けてふたつあるが、この作品では後の方の形で終わる。
        わたしはこういった終わり方の方が好みなので、切なさは残るものの良い終わり方と言える。
        やはりどんな理由があっても、ひとの命を奪っておいて何もなしは頂けない。
        罪は償わなければならないと思うのだ。
        >> 続きを読む

        2016/04/06 by jhm

    • 5人が本棚登録しています
      歳月

      司馬遼太郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 佐賀藩士江藤新平の壮絶な人生を描いた本です。私は4回程精読しました(笑)
        若くして苦学を重ね、佐賀藩士初の脱藩者として京都へ出て、政治情勢を分析し、それを一冊の観察記録本として残した。この記録本が藩主「鍋島閑叟」の目にとまり、彼の表舞台が用意されることになります。明治維新後は初の司法大臣としてその辣腕を示します。日本の法律を作成するため、毎日4時間も眠らなかったと言います。「君たちもナポレオンを見習え!!」と、部下を鼓舞していたようです。その後、征韓論に敗れて故郷の佐賀へ帰郷し、士族に担がれて佐賀の乱の党首にされてしまいます。もちろん、戦に関しては素人です。あえなく政府軍に鎮圧され土佐まで逃避しましたが、自らが作り出した警察組織のため捕縛されてしまいます。この自分が作り出した警察組織に捕縛されたことに対しては、満足していたようです。最後は大久保による個人の怨恨とも言える臨時裁判であっさりと斬首されてしまいました。しかし、司法において、正義を貫きとおすその姿はとても感心できます。なぜならば明治維新後の政治は薩長役人によって汚職にまみれていたからです。私個人の意見としてはもう少し、司法大臣としての江藤のその後の活躍を見てみたかったと思います。
        やはり、ハングリー精神からなるパワーをいうものはすごいものがあり、苦労しないとわからない点が山ほどあるということです。
        現在の二世議員や三世議員の方々はいかがなものでしょうかね。
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        2012/11/20 by hide_sato

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      夏の夜の夢

      ウィリアム・シェイクスピア , 福田恒存

      新潮社
      カテゴリー:戯曲
      3.5
      いいね!
      •  シェイクスピアの喜劇2作。新潮文庫のシェイクスピアを訳している故福田恒存氏について調べてみたが、文壇の中でも目立ち、随分活躍された方だった。訳文自体は50年以上前のもので、他の訳に比べて固い気もしないでもないが、シェイクスピアの文章の威厳、当時の中、上流階級の教養主義的な側面を表すには最適な訳だろう。「夏の夜の夢」、「あらし(テンペスト)」はいずれも有名だがどちらも初見だった。両者も喜劇で楽しく読めたが、文章の時々に、様々な場所で引用されるような、物事の核心をつくようなセリフやソネットが散らばっており、さすが遥か極東の国でも500年間以上語り継がれる物語である。最後に、特に気に入った、有名な一節を引用したい。

        「We are such stuff as dreams are made on, and our little life is rounded with a sleep.」

        「吾らは夢と同じ糸で織られているのだ、ささやかな一生は眠りによってその輪を閉じる」
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        2017/07/15 by shinshi

    • 6人が本棚登録しています
      大宇宙を継ぐ者 (ハヤカワ文庫 SF 32 宇宙英雄ローダン・シリーズ 1)

      K.H.シェールクラーク・ダールトン

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • "宇宙英雄ローダン・シリーズ"が発売されたのは1971年のこと。そして本書がシリーズの記念すべき一冊目です。

        シリーズは一冊に二作品を収録、翻訳者の数も増え、挿し絵担当者も交代していますが、月二冊刊行というペース、初版のみという形態で現在500冊以上発売されています。

        シリーズ初期は様々なキャラクターと未開の惑星が登場して、展開もスピーディー。それに生命維持装置なる人間を不死にする機械も存在しなかったので、重要人物が突然死んだりするエピソードもあって面白かったです。

        正直ハズレのエピソードの場合もあるので、もう読むのはやめようかなって思うこともありますが、たまに面白い佳作もあるので、なかなか踏ん切りがつかないんですよね。

        というわけで、ローダン・シリーズ未読の人に"一冊目から読んでね"なんて安易なことは言えませんし、実際シリーズの多くは絶版のため入手困難なので、どうオススメして良いのか分かりません。

        ただ、書店でシリーズ最新刊を見かけて興味を抱けたら購入して、気長にお付き合いするのが良いかと思います。

        因みにローダン・シリーズは収録された二作品どちらかのタイトルで発売されるのですが、本書だけはシリーズで唯一独自のタイトルで発売された作品です。





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        2018/05/16 by アーチャー

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      ふしぎの国のアリス

      ルイス・キャロル

      福音館書店
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! Minnie
      • 子供の頃、誕生日プレゼントかクリスマスプレゼントにこの本をもらったのですが、当時は見た目が地味な感じがして実はあまり好きではありませんでした。でも今はこの装丁、そしてテニエルの挿絵が大好きです。

        沢山の方が訳されていますが、子供の時に最初に読んだ本がこれだったので、私にとってのアリスはこの本の中のアリスです。

        アリスが出会う不可解な出来事や奇妙な人々。先の見えない、説明のつかない冒険。ファンタジーとしては未熟と評価する人もいますが、私はこの世界観に強烈に惹きつけられます。

        言葉遊びが散りばめられているキャロルの作品はいつか原文で読みたいと思っているのですが、いまだに読んでいません。
        >> 続きを読む

        2012/11/01 by Minnie

      • コメント 6件
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