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1971年9月発行の書籍

人気の作品

      ロビンソン・クルーソー

      デフォー

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 上巻ですでに無人島を脱出し、イギリスに帰国してしまったクルーソー氏のその後はいかに、な下巻です。

        解説によれば、いわゆる漂流記である『ロビンソン・クルーソーの生涯と冒険』は上巻部分のみであって、下巻部分はその続きである『ロビンソン・クルーソーのその後の冒険』に該当するそうです。『障害と冒険』が売れたので、続きを書いたようで、つまり、上巻と下巻は別の話なんですね。実はこれは全三部作で、『~その後の冒険』に続く『ロビンソン・クルーソー反省録』というのもあるらしいのですが、これはどこで読めるのか…。
        解説には、第三部は小説ではなく「ロビンソンという人間の口をかりて作者デフォーが自分の信仰・倫理・社会等に関する思索をのべたもの」とのことで、面白そうなんですけどね。

        まぁそれはとにかく、下巻です。
        英国に戻ってきたクルーソー氏は、齢60を超えて再び海へ乗り出します。懐かしの島に戻ったり、中国からロシア経由でイギリスに帰国したり。
        いろんな話の小ネタ集って感じでした。当然ながら、上巻とは少し趣向が異なります。でもやっぱり、冒険小説ではなく啓蒙小説ですね。

        下巻でクルーソー氏が遭遇する主な出来事は以下です。

        ・餓死寸前の人を載せた難破船を助ける
        ・懐かしの島で自分が去った後の歴史を聞く(身内争いなど)
        ・懐かしの島の人々との交流(キリスト教についての話)
        ・難破船で餓死しかけた女性の体験談
        ・現地人との戦い
        ・中国から砂漠を抜けてロシアに入り、さらにイギリスを目指す

        だいぶ端折った部分もありますが、こんな感じでした。
        そして、かなり宗教的な内容でした。
        島に新しくやってきた現地の女性にキリスト教を布教するにあたって、これまでさんざんブイブイ言わせてきた男が悔い改める場面なんかは面白かったです。悔い改めって、盛り上がるテーマですよね。

        イギリスはプロテスタントの国(特にピューリタン、清教徒)ですが、スペインやフランスなどはカトリックなんですよね。その辺の違いなんか当時はデリケートな問題だったらしいのですが、面白く読めました。私の好きなテーマだ。

        しかしクルーソーさんは現地民には寛大なんですが(キリスト教徒じゃなくても)、中国には厳しいように思います(日本人もちょっとだけ出てきましたが、友情出演程度のものです)。厳しいというか、あからさまに目下に見ている感じが…

        ほんとに、腹が立つほどの扱いなんですよ!現地民とは物物交換で物資を入手できるから敬意を払うのか?キリスト教徒ではなくても、捕虜を食する習慣があっても、友好的な相手ならクルーソーさんも友好的に振る舞い、無用な殺人は避けようとします。
        しかし普通に阿片で儲けてますからね。アヘン戦争よりもずっと前の時代とはいえ、本当にまぁ。広い領土を持ち、中華思想を背景に世界の王者のようにふるまうさまが我慢ならなかったのかもしれません。つまり、怖かったのか。

        キリスト教至上主義も西洋上位の思想も鼻につきますが、そういう時代だったので仕方ないと言えば仕方ない。デフォーさんは17世紀後半から18世紀前半のお人です。wikiをのぞいたらモーツァルトとかモンテスキューみたいなカツラしてました。モンテスキューと同年代らしいですね。
        パックス・ブリタニカと呼ばれたあの時代よりは前、グレートブリテン王国を作った時代に政府寄りの活動をしていたようですね、デフォーさん。だからか、英国優位が鼻につくのです。日本人としては、デフォーさんの書くキリスト教絶対の思想や現地人との上から目線な交流ごっこ(時代とはいえ、当然のように捕虜は奴隷として扱う)なんかは、納得いかない気分が残ります。今の時代にこれを読むイギリス人はどう感じるのか、ちょっと興味ありますね。

        デフォーさんは『ロビンソン・クルーソー』を出す前に政府の広報係やスパイ活動もしていたとのことです。『ロビンソン・クルーソー』には悪いイギリス人も出てくるのでイギリス広報本ではないのでしょうけど、イギリス国民であること、清教徒であることの驕りは感じました。経済書、宗教書としても評価が高いとのことですが、どうでしょうね。キリスト教ありきで語るならハッピーエンドなので適しているでしょうけれど、キリスト教以外の選択肢も正解に含めた時代ではどうかなって思います。問題提起にはいいのでしょうけれど。

        なので第三部の『反省録』で彼の思想を見てみたいのですが、どこで読めるのか…
        キリスト教以外の答えなんか考えたこともない!って時代だったんですかね。それが幸せなのかどうかは別の話ですが。
        >> 続きを読む

        2016/08/22 by ワルツ

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      王城の護衛者 (講談社文庫 (し1-2))

      司馬 遼太郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 幕末・維新の時代に活躍した男達を描いた短編集ですが、中では幕末の会津藩主・松平容保を描いた表題作の「王城の護衛者」が特に面白い内容です。会津藩の藩祖の保科正之は、二代将軍・徳川秀忠が側室に産ませた四男ですが、非常に名君であり、しかも会津(保科)藩の家訓に「将軍家に二心無きよう仕える」ということを家臣達にも厳しく徹底させたぐらいの非常な「忠誠心」の持ち主でした。
         よって、若き藩主松平容保も藩祖から受け継がれてきたこの教え(家訓)を実直に踏襲していった。幕閣達から推挙され「京都守護職」という重責に就任した当時の京都(王城)は、勤王派と称する所謂志士達が横暴に振舞う無政府状態に近い危険があり、まさに「火中のクリを拾う」ような苦悩と時代の流れに翻弄された姿が良く描かれています。
         その他、維新の元勲の一人・岩倉具視の補佐役として活躍した勤王国学者玉松操のことを描いた「加茂の水」も面白い内容です。ちなみに「王政復古の大号令」の渙発(かんぱつ)、神武(じんむ)創業への復帰の大方針はまさに玉松の意見に基づくものと言われています。
        >> 続きを読む

        2011/08/12 by toshi

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