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1975年3月発行の書籍

人気の作品

      不信のとき (新潮文庫 あ 5-9)

      有吉 佐和子

      3.5
      いいね!
      • この小説ほど「男女の世界の違い」を描いているものは、あまり読んだ事はないです。

        人公の浅井は、本気の浮気が二度ばれているのですが、その度妻の道子は週刊誌に煽られてどんどん扇情的になっていきます。そこに以前から通っていたバーの粋なホステス、マチ子が誘いをかけてくるのですが、これが妻とは対照的に慎ましやかで丁度いい。浅井の二重生活が始まります。

        序盤でテーマになっているのは、素人女と玄人女を中心とした女全般。そこには浅井本人の見解にプラスして、著者の戦後フェミニズムへの思いも語られています。

        女から見たらお粗末な繕い方しかしないのに、「妻には知られていない」とか言っちゃう浅井さん。入れ込んでいないという自覚と、マチ子は理想の女であるという考えから自信満々なんでしょうね。こっちからしたらマチ子は底が知れなくて怖いんですけど。浅井さんは男尊女卑気味だから、浮気者仲間の小柳さんが言う「女は怖い」という言葉の意味を表面的にしか見てないのです。名前の通り、浅はかな男ですが、あくどい事ができる頭ではない分、微笑ましいです。

        中盤にでてくる富士山は、この本における女のメタファーだと思われます。浅井の反応は失笑を呼びました。

        前半イタイ妻でしかなかった道子の、職業婦人としての静かな快進撃と、それに伴う自信回復。子供。マチ子は結局どんな女なのか。怒濤の展開の後半は、ある意味王道です。なのに怖い。

        浅井に自己投影しちゃうとつまらないと思います。男の人のレヴューも見てみたい!
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        2017/02/12 by MaNaSo

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      蠅の王

      ウィリアム・ゴールディング

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 【恐ろしい寓意ですが、私達はそれを否定できるのだろうか?】
         無人島に漂流してしまった少年達の物語。
         それは、「十五少年漂流記」のようでもあるけれど、実はもっと凄絶な物語になっていきます。

         少年達にはリーダーが必要だったのかもしれません。
         導いてくれる大人達に代わるような。
         でも……そうだったんだろうか?

         取りあえずの危急に立ち上がったのは、ラーフとピギーの二人の少年。
         救出を待つ間にも、勝手なことをしていては立ちゆきません。
         ラーフらは、規則を作り、何とか「規律」を維持しようと努めます。

         その象徴が「ほら貝」です。
         「ほら貝」は、ともすれば銘々勝手なことを言いがちになる子供達に発言のルールを示すアイテムでもありました。
         「ほら貝」を持っている者の発言を聞かなければいけないと。
         「ほら貝」を吹いたら、みんなの意見を聞くために集まらなければならないと。

         そこには、「社会」が形成されていきます。
         人間は、一人では生きて行けません。
         ですが、そこには様々な考え方をもった者がいます。
         多くを集めようとすればするほど、考え方の相違も大きくなります。

         そして……分派。
         前からあんまりラーフとは合わなかったのでしょうかね。
         ジャックが、自分の「子飼い?」の子供達を連れて独自の行動を始めます。

         ジャック達は、「享楽的」な生活を始めます。
         それは、決して合理的では無いのかもしれませんが、規律の下にいるラーフ達の子供達にとっては魅力的に映りもします。

         これは、どこの社会にもある縮図です。
         高い視点から、全体の整合性、効率性、合理性を追求することは、時に、窮屈と感じる人を産みます。
         特に、その意思決定に関わらない、関わろうとしない人たちにとっては、「勝手なことをしている」としか映らないのでしょう。

         では、その享楽派は何をしたか?
         それは、仲間を殺してしまうのです。
         大した理由もなく、それは享楽の延長?
         それを律するものはそこには何もありません。

         ピギーは、いじめられっ子です。いじめる側からすればその理由は、「眼鏡デブ」だからですよ。だって、その名前からして、「豚」ですから。
         ピギーはラーフが守ってくれるたから、ラーフについていきました。
         
         でもね、そのピギーだって殺されてしまうのです。
         強度の近眼のピギーの眼鏡を奪い、壊され、もう何も見えなくなっているピギーを誰が殺したと思いますか?
         どうやって殺されたと思いますか?

         この作品は、人間のエゴをむき出しに描いたとても残酷な作品です。
         何故、残酷と私が言うかと言えば、その残忍さが、私の中にもあるからです。
         ええ、もしかしたら、このレビューを読んでいるあなたの中にもあるかもしれません。
         そういう、人間の醜さを突きつけられるショックがあります。

         それは、「正しい」、「正しくない」ということではないのかもしれません。
         あぁ、私達の中には、一体何があるのでしょう。
         ……と、自分が恐くなってしまう傑作だと思います。
        >> 続きを読む

        2019/04/10 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ふたりのロッテ

      エーリッヒ・ケストナー

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! Moffy
      • 子供の頃、『The Parent Trap』という映画を観たことがあり、離れ離れだった双子がキャンプ場で奇跡にめぐり合い、離婚した両親を元どおりにした、というお話しで、とても印象深かった。(その後しばらく双子の姉妹があることに憧れた)
        しばらくその映画の事を忘れていたが、この本のあらすじを読み、「これは!」と思い、迷わず借りて読んだ。
        それで、この本がその映画の原作である事を知った。なんという巡り会い!

        また驚いたのは、この作品は『飛ぶ教室』と同く、ケストナー氏によるものだということ。
        本当にケストナー氏は子供の心を描くのが上手だと思う。
        子供だからこその勇気と奇跡があり、子供だからこそ動かせるストーリーがある。
        それは、経験やトラウマに縛られた大人の心では到底出来ないことばかり。
        奇想天外な事をしても、子供でもちゃんとしては良い、いけないを考える。やっていけないことに対してもちろん躊躇うこともあるが、それは「身動き出来ない」とはまた違う。
        ルールを守り、かつ純粋な勇気を持つこと。
        それは時に、莫大な力を持つ。
        >> 続きを読む

        2017/09/11 by deco

    • 2人が本棚登録しています
      小泉八雲集

      上田和夫 , HearnLafcadio

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 内田百閒さんの『恋文』を読んでいたのだが、読んでも読んでも今ひとつ真剣になれず、読んでは戻り戻っては進みしているうちにこんなに時間が経ってしまった。
        で、結局読了したかと言うとそうではない。
        本棚の脇に追いやってしまっただけの事である。

        で、こういった結末になるのであれば、早く諦めれば良かったものを諦め切れなかった自分が愚かなだけである。

        少し読んでみて、『・・・・無理かな・・・・』と思ったら、すぐ諦める事が肝要であるとつくづく思い知らされた訳である。

        で、手にとったのが『小泉八雲集』

        『小泉』と言えば、『小泉今日子』『小泉ソーリ』と連想してしまいがちであるが、本家本元の『小泉』はこちらの『小泉八雲』さんである。

        なんせ、手の届かぬ芸能人でもなければ、訳のわからぬ事を断言したままどっかに行ってしまったりする『小泉』さんではないのであるから。

        つまり、こういうのが、深く考えなくていいという結論である。

        『お~怖っ!!』とか『そんな訳ないだろ』とか簡単なリアクションで愉しく読み進める事が出来るからである。

        これを良い機会にして、また再々ここにお邪魔したいと思っているところである。
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        2013/05/20 by <しおつ>

      • コメント 12件
    • 2人が本棚登録しています
      真田幸村 (文春文庫 柴錬立川文庫)

      柴田 錬三郎

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 真田幸村と真田十勇士の活躍。

        忍者の奔放な活躍は爽快だが、深みに欠ける。

        真田幸村には最近興味を持ち始めた段階で、実はほとんど知識が無い。

        真田十勇士の活躍についても、予備知識はほとんど無い状態であったが十分楽しむことが出来た。

        ただし、それぞれ魅力的なキャラクタでは有るのだが、書き込みが甘いため完全には感情移入出来なかったのが残念。

        猿飛佐助などは別の作品として設けられているようなので、それらを読んだ後、しっかりとキャラが立った状態で本作品に向き合えば、文句無く楽しめると思われる。

        日本人好みと言われる真田幸村の境遇。大いに頷ける。
        >> 続きを読む

        2011/07/14 by ice

      • コメント 1件
    • 3人が本棚登録しています
      いろいろへんないろのはじまり

      アーノルド・ローベル

      (有)冨山房
      3.5
      いいね!
      • ずっと昔、世界には色というものはなく、すべては白黒灰色のモノトーンでした。
        魔法使いがある時偶然青の絵の具を発明して、人々は世界を青に塗り替えました。
        初めはステキだと思ったのですが、青一色の世界で暮らしているうちに人々はだんだんブルーな気分になってしまいました。
        (青=憂鬱 いかにも英語圏の人のイメージですよね?)
        次に黄色、その次は赤に世界を塗り替えますが、一つの色の世界は、なんだか落ち着きません。
        悩んだ魔法使いは……

        繰り返しのパターンと、対する変化が楽しい絵本です。

        英語のタイトルは『THE GREAT BLUENESS AND OTHER PREDICAMENTS』
        すごい青色とその他の困難? って訳すのかしら?
        原題も邦題も、ちょっと不思議ですね。


        「あお、きいろ、あかをそれぞれ混ぜたら何色になる?」と
        子ども達に尋ねながら読み聞かせたりして、色の3原色のお勉強にもなりますよ。
        d(⌒ー⌒) グッ!!

        幼いころに白黒写真や白黒テレビを見ていた記憶のある私には、
        「フルカラー」の世界の感動は説明なしにわかりますが、
        カラーの映画やテレビが当たり前の時代の方には、この絵本は新鮮でしょうね。
        こういう絵本がないと、色のない世界が想像できないのではないかしら?

        ようやくたどり着く色に溢れた世界の美しさに嬉しくなることでしょう。
        淡く柔らかな色調で描かれていて、原色といっても優しく素朴な印象の絵柄です。


        モノカラーの世界はつまらないよ。
        いろいろな色があって、みんなそれぞれがきれいで、みんな違っていて
        それらが集まってハーモニーができて、そういう世界が一番きれいなんだよ。
        (人だってそうだよね)
        そんなメッセージも感じますね。

        画面いっぱいに描かれた人々の姿がユーモラスで楽しいです。ゆっくりとご覧ください。
        >> 続きを読む

        2014/04/11 by 月うさぎ

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      ぞうのボタン-字のない絵本- 字のない絵本

      うえののりこ

      (有)冨山房
      4.0
      いいね!
      • ぞうがいます。おなかにボタンを4つつけています。
        そのボタンをはずすと…?

        最初にこの本を見た印象は、とてもシュール、そして     
              「怖っ!!!」   でありました。

        かわいい。おもしろい。意外性がある。
        でもわたしにはちょっと気持ち悪かったんです。
        う~~ん。
        何か、死を感じたというか…。

        でもインパクトがあったことは確かで、トラウマのごとく、記憶に刻まれましたね~(^^)


        実は「ELPHANT BUTTONS」というタイトルで日本より先に、アメリカで出版されていた本です。
        日本で大手出版社に持ち込んだところ、散々な扱いを受けたそうです。
        それで大胆にもニューヨークに持っていったのだとか。

        だから、この「ぞうのボタン」は逆輸入本です。

        おそらく「ねずみくんのチョッキ」が人気になったことにより、
        この本も日本で日の目をみたのでしょう。

        そういえば、両方とも大手出版社から出てはいませんね。


        子供に媚びる絵本ではありません。

        こういう作家の個性がはっきりしている本は、日本では確かに珍しいです。
        ブラックユーモアに近い展開、不思議な表情、生命感とぬいぐるみ感の
        微妙な交錯などが見て取れます。

        字のない絵本なのでごく小さいこども向きとされていますが、
        この皮肉なシュールさには大人でも、いえ、大人の方が衝撃を受けるはずです。
        そう、大人は常識を生きているから、子供にとって気にならないことも
        大人にはとても考えられないことだからです。

        『本は、楽しく、明るければいいものではなく。楽しみながら、考える、テーマのあるものが良いと思います。
        私は、そのような絵本を目指して作っていきたいと思っています。』
        上野さんの言葉より。


        【おまけ】
        このお話にもねずみはでてきますが、そして、私はそれを「ねずみくん」だと思っていたのですが、
        (こちらを先に読んでいたもので…)
        作者曰く、別ものだそうです。
        >> 続きを読む

        2013/06/30 by 月うさぎ

      • コメント 6件
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      いかにして問題をとくか

      George Polya , 柿内賢信

      丸善出版
      カテゴリー:数学
      5.0
      いいね!
      • 高校時代に読んだ本。高校レベルの数学を題材として、汎用性の高いものの考え方を学ぶことができる。何度でも読み返したくなる、読み返すごとに学びのある良書。 >> 続きを読む

        2015/11/25 by niejoe

    • 4人が本棚登録しています

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