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1978年3月発行の書籍

人気の作品

      零式戦闘機

      吉村 昭

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【悲惨としか言いようがない】
         吉村昭氏による、零式(艦上)戦闘機の開発及びその戦闘を描いた作品です。
         あとがきにもありますが、零式戦闘機を描くということは、結局第二次世界大戦を通覧するということにもなります。
         本書も、まさにそのような構成を取っています。

         零式戦闘機は、当時として極めて優秀な機体であったことは間違いありません。
         軍部の不可能とも言える性能要求をクリアして生み出された傑作戦闘機『ゼロ戦』は、長い間他の戦闘機の追従を許さない絶対的な強さを誇っていました。
         でも、それは、長過ぎる位に……。

         当初は、日本の航空機開発能力を見くびっていたところが連合国側にあったようですが、程なくして零式戦闘機の性能を目の当たりにし、特に初期はなすすべもなく敗れ去って行きました。
         この様な優秀な機体を開発していく過程は、まさに『プロジェクトX』なわけです。

         もちろん、特に米において、墜落した零式戦闘機を入手した後は、徹底的にその機体を分析し、零式戦闘機に対抗し得る性能を有する戦闘機を開発していったのです。
         しかし、開発された高性能の戦闘機をもってしても、やはり完全に零式戦闘機を圧倒するところまではいかず、結局、零式戦闘機が苦手とする弱点を複数の戦闘機で突くという作戦に依らざるを得ず、決して1対1で闘うことは最後までしなかったとのことです。

         でも、やはり、零式戦闘機が主力を担う時間は長過ぎたのです。
         本来であれば、その後継機が開発、投入されてこなければならないはずなのに、日本にはその余力はなく、いつまで経っても零式戦闘機に頼らざるを得なかったのですね。

         そもそも、どう考えても物資量、工業力で圧倒的に劣っているというのに、何故開戦などと言う無謀な路を選んだのかについても、本書ではその理由の一つとして零式戦闘機の存在を指摘しています。
         余りにも優秀で無敵の戦闘機を手に入れてしまったがために、どう考えても勝てない戦いであるのに、零式戦闘機に唯一の勝機を託してしまったのではないのかと。

         そして、零式戦闘機の最後は、特攻でした。
         悲惨です。

         もうすぐ終戦の日を迎えます。
         誰だって戦争など二度としたくはありません。
         当時の日本人だって、好きこのんで戦争をしていた者などわずかであったと思いたい。
         そんな思いをかみしめるためにも、そういう読み方ができる作品ではないかと思います。

         吉村氏の筆致は、相変わらずドライで透徹なものです。
         そこがつまらないという評価もあるようですが、ドキュメンタリーのように、冷静に語られる物語は、私には好ましいものと感じられました。
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        2019/07/18 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      愛の年代記 (新潮文庫)

      塩野 七生

      4.5
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      • 『海の都の物語』で塩野さんブームが到来しました。海の都は2巻が予約待ちなので、シリーズでないものを、と思って、借りてみました。ヴェネツィアの話も出てきます。

        面白かったです!塩野さんって、視点が独特なのがいいんですよね。男と女の話ばかりなのですが、ヨーロッパ映画でも見ている気分で読んでいました。セクシー!
        以前山田詠美が塩野七海と会ったときの印象を書いた文章を読んだことがあるのですが、チャーミングでセクシーで素敵な人だったと言っていました。そんな感じなんだろうなぁ。文は人なり。

        本に話を戻すと、ここには全部で9編の短編が収められています。
        女って恐ろしいなぁと思いながら読んでいましたが、一番面白かったのは最後の『女法王ジョヴァンナ』でしょうか。塩野節がよく炸裂していました。あぁでも『エメラルド色の海』もロマンチックでよかったなぁ。まるでハーレクインのようだった。『フィリッポ伯の復讐』もヨーロッパっぽくてぞっとする。

        塩野さんは「中世では~」など、当時のイタリアの感覚を説明して書いている一方、決してその価値観自体を擁護するのではなく、ちょっとからかうような文章になっていたりするのがとても魅力的だと思います。
        塩野ブーム、しばらく続きそうです。
        >> 続きを読む

        2016/05/15 by ワルツ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      妄想銀行

      星新一

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 星さん熱が止まらない。

        「妄想銀行」をタイトルに持ってくるだけあって、お金が絡むお話が多く収録されています。
        表題作や名作「鍵」を含むショート・ショート32編。


        最近読んだ星さん本の中で一番好みでした。
        たしか初読時は10代だったと思うのですが、その時の感想はあまり記憶に残っていません。
        さらっと読んで終わってしまったような気がします。
        社会の荒波に揉まれ、昔と考え方が変わってきたのでしょうか。
        ・・・お金の話を好むなんて、あの頃より心が汚れてしまった感があるなぁ。

        それから読み方にも変化が。
        星さん本、昔はさらさら読んでいたのに今は1冊を読了するのにものすごい時間がかかっています。

        今さらながらショート・ショートの奥深さを感じています。


        *信念
        主人公は善良であることを捨て、いつかの日に備え信頼される社員として過ごしている。

        「ボッコちゃん」に収録されている「雄大な計画」と似ていますね。
        あちらはスパイでしたが、自分の信念を持って会社に勤めていました。
        似ていると感じてもワクワクしながら読むことができ、決して期待を裏切らない星さんのショート・ショートは極上。

        *味ラジオ
        装置が発生する微妙な振動と電波は、口の中の神経を刺激し、あらゆる味をもたらせてくれる。
        味ラジオに依存している未来の人々。
        読了後は口の中に嫌なものが広がります。


        *妄想銀行
        妄想銀行とは、妄想によって成り立っている銀行。
        今日も妄想に悩んでいる人が、博士のもとを訪れます。
        最近の私、妄想が酷いんですよね・・・
        一度妄想銀行で手放してしまいたい。


        *鍵
        男はある夜、道ばたでひとつの鍵を拾った。
        なにかすばらしく価値のあるもののように思えてきたが、どこの鍵なのか。
        名作。
        男の最後の言葉が、胸を熱くさせます。



        最後に、かすかに覚えている昔好きだったお話。
        どうやら恋愛ものが好きだったようで。


        *さまよう犬
        若い女は犬の夢を見る。現れる犬は、いつも同じ。
        将来のパートナーにあこがれを抱きました♪

        *女神
        道子があこがれ、嫉妬心のはけ口にもしてしまうフランス人形。
        これを読みながら昔遊んでいたお人形たちのことを考え、ちょっとドキっとしてしまった思い出。

        *海のハープ
        亜紀子は男を惹き寄せる、不思議なハープを手に入れる。
        真実の愛っていいなぁと素直に思いました。
        >> 続きを読む

        2016/03/24 by あすか

      • コメント 8件
    • 9人が本棚登録しています
      バルザック―天才と俗物の間 (中公新書)

      霧生和夫

      3.0
      いいね!
      • トロワイヤ等の伝記があるが、天才の生涯に取り敢えず触れるのには、これで充分。引用も適切である。 >> 続きを読む

        2015/10/14 by aaa

    • 1人が本棚登録しています
      電話魔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-13)

      エド・マクベイン

      3.0
      いいね!
      • 87分署シリーズのなかでも、割りとスケールが大きい犯罪が描かれていると同時に"デフマン"と呼ばれる犯罪者が初めて登場する作品です。

        本書の後にもセミ・レギュラーのように登場するデフ・マンですが、ハッキリ言って私は彼が登場するシリーズ作あまり好きじゃないんです。

        キャレラ刑事達に逮捕寸前に逃げおおすのは良いとしても、結局は自分の犯罪計画の失敗率も高いですからね。

        まあ本書はデフ・マンも初登場作ですから、私も初めて読んだときには(数十年前のことですが)、彼が度々登場するなんて思わなかったし、それは著者のマクベインも同じ考えだったんじゃないのかな?

        なのでデフ・マン登場のシリーズ作では本書が最高の出来。次は彼の退場作「耳を傾けよ」が面白かったです。

        因みに本書は1970年代に「複数犯罪」というタイトルで映画化され、デフ・マンをユル・ブリンナー(知ってる?)が演じて、普通に面白い出来でしたよ。
        >> 続きを読む

        2017/08/26 by アーチャー

      • コメント 2件
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