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1979年7月発行の書籍

人気の作品

      風の歌を聴け

      村上春樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  大学1年生の頃に読んだ本です。
         こういってしまうと身も蓋もないけれど、これが村上春樹の最高傑作だと思っている村上ファンも多いのでは。

        「ひとつ質問していいかい?」
        「喜んで。」
        「君は何を学んだ?」
         大気がかすかに揺れ、風が笑った。そして再び永遠の静寂が火星の地表を被った。若者はポケットから拳銃を取り出し、銃口をこめかみにつけ、そっと引き金を引いた。

         長いこと、デレク・ハートフィールドを実在の作家と思い込んでいました。どうやら、ハードフィールド=庄司薫説もあるようですね。「赤頭巾ちゃん気をつけて」のレビューに月うさぎさんがコメントをつけていらっしゃいますが、村上春樹に対する庄司薫の影響みたいな話はけっこう有力説なんでしょうか。
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        2013/05/16 by 弁護士K

      • コメント 7件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ジェニィ

      古沢安二郎 , GallicoPaul

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 好意的な意見が大半を占める本書ではあるものの…………あえて言おう「駄作である」と

        ある少年(ピーター)が交通事故に遭い、猫世界へと転生します。
        いわゆる異世界転生もののはしりでしょうか。
        そこで、ヒロインであるジェニィと、様々な冒険や葛藤を経験し、ピーターとジェニィは成長する。
        にもかかわらず、意識を取り戻したピーターのラストの台詞は、

        あ・ま・り・に・も・子供っぽすぎます。

        あくまで夢の中での経験にすぎず、現在のピーターになんの影響も及ぼしていない、とするならば、構想としてあまりにお粗末。
        お粗末ならお粗末なりに、台詞をつけないという選択もあるはず。

        当時の日本では『日本婦道記』のような、女性かくあるべしといったプロパガンダ色の強い娯楽小説が出版されていた中、同時期の米国は、こういった現実と乖離したファンタジーを出すゆとりが充分にあった、という考察の一助になる程度。

        必読とは、とうてい思えぬ。

        …………と、我が家の猫が語ってますよ。
        >> 続きを読む

        2017/10/22 by 猫ですが

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)

      カート・ヴォネガット・ジュニア

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 【いや、いや、いや、猫なんてカンケーないっすから】
         なんてったってカート・ヴォネガット・ジュニアの作品ですからね。
         大体においておちゃらけているわけですよ。
         その辺のところ、よろしくお願いしますよ~。

         主人公であり、本作の語り手のジョーナは、『世界が週末をむかえる日』という本を書こうとしています。
         これは、広島に原爆が落とされた一日だけに焦点を当てた本になる予定でした。
         ジョーナは、原爆を生み出した科学者の一人であるハニカー博士のことを調べようと考え、博士の子供たちに取材の手紙を書き始めます。

         この辺りから始まる物語は、その後どんどん『ズレ』ていきます。
         亡くなったハニカー博士の3人の子供のうち2人は消息が判明するのですが、長男の行方だけが杳として知れないのです。
         調査を進めて行った結果、長男はカリブ海に浮かぶサン・ロレンゾ島(架空の島です)で、独裁者の補佐役である陸軍少将をしていることが判明します。

         このサン・ロレンゾ島というのがけったいな島で、ほとんど何の産業も無く、これまでの歴史上、時に気紛れのように他国に占領されることはあっても、何の価値も無い島であったため、すぐに放棄されるということが繰り返されてきたのでした。
         ところがどういうわけか、そんな島であるにもかかわらず、人口密度は高く、島には滑走路があって旅客機が就航しており、100も客室があるホテルが建っているというワケワカな状態にあります。

         ジョーナは、このサン・ロレンゾ島を訪れるのですが、島のパンフレットに写っていた美貌のモナという女性に一目惚れしてしまいます。
         ところが、モナは、近くハニカー博士の長男の少将と結婚する予定になっているとか。
         いきなり失恋するジョーナ。

         さて、ここで『ボコノン教』ですよ。
         ボコノン教というのは、サン・ロレンゾ島で生まれた宗教なのですが、まぁ、いい加減な宗教で、その教義が書かれた『ボコノンの書』には、「ここに書いてあることは嘘なんだから読むな」とか書かれているんです。
         教祖のボコノンは、島の独裁者から追放されて島の奥の森でひっそり暮らしているとか。
         島ではボコノン教は禁止されており、これに違反すると死刑に処せられるというのです。

         で、本書の冒頭に早々と書かれているのですが、主人公のジョーナはキリスト教の信仰を捨ててこのボコノン教に帰依してしまうのです。
         何故かって?
         それは……あー!何という理由!
         そして、ジョーナが書こうとしていた『世界が終末をむかえた日』が現実になっていくという、本当にどういう話なのかさっぱりつかみどころの無いヴォネガットらしいっちゃらしい作品なのです。

         え?
         このレビュー、何を書いているのかよく分からないですって?
         だって、作品自体がよく分からないのですもの。
         もう、こんなレビューなんて読んでないで、作品自体をお読みいただくしかないと思いますよ~。
         ちなみに、タイトルになっている『猫のゆりかご』というのは、あやとりで作られる一つの形のことで、本物の猫は一切出てきませんのであしからず(私のようにタイトルにつられて読むと唖然とさせられます)。

         ヴォネガットは、コアなファンを持つ人気作家ですが、巻末解説によれば、当初はほとんど顧みられることのない作家だったそうです。
         そんなヴォネガットが注目され始めるきっかけとなった、いわば出世作が本作だったということです。
         まぁ……深読みすれば、これはあんなこととか、こんなことを寓意として著している……ホントか?
         う~ん、本作は確かにユーモラスな作品ではありますが(但し、日本人にはあまりピンとこないユーモアも多数ありです)、これで火がつくというのもすごいもんだねと思ってしまいました。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/09/02 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      金閣炎上

      水上 勉

      5.0
      いいね!
      • 水上さんは「ブンナよ、木からおりてこい」の作者。日本仏教と関わりが深い方のようです。

        三島由紀夫の「金閣寺」はあくまで三島由紀夫の物語だったのでしょう(途中までしか読んでないけど)。けれど、水上勉さんのこの作品は、炎上事件の真相を自らの足で何年もかけてくわしく取材したドキュメンタリー作品のようになっています。水上さんは「事実の八割どおりは書けたように思う」とあとがきに書いています。

        林青年の生い立ち、日本仏教やお寺のありかた、社会の、親子の人間関係などさまざまな視点から見れば、林青年がやったことはよくないけれども心情は理解できる気がします。放火しても(死のうとしていた)何もよくはならない。けれど、林青年がこの世に嫌気がさしてしまったとしてもそれは無智だった(「苦」を冷静に客観的に理性的に観ることができなかった)から、ただただ気の毒だったとしか言えない。

        この作品には水上さんから林青年へ「鎮魂の思いを捧げる」目的があったそうです。水上さんのやさしさですね。

        (ちなみに、日本仏教には魂とか霊魂とかの概念があるのかな?でも、「魂」に縛られると苦しいと思います。上座仏教で言われるように、魂というモノはなく、魂がさまよったり留まったりすることもなく、ただ、こころのエネルギーが「因果法則」によって変化生滅し続ける、大ざっぱに言えば、亡くなったらすぐに他の生命として生まれ変わると理解した方が理にかなってるかと思います。「鎮魂」と言うより、あなたのことをきちんと理解したいという「やさしさの回向(分かち合い)」のための作品と言った方がいいかもしれません)

        観光名所としての金閣寺。
        拝観料で多額の収入を得る会社のような組織になっているお寺。お寺にも上下がある。お釈迦様の教えや禅寺としての役割は、どこへ行ったのか(そもそも禅寺として建てられたわけではない)。お坊様も世間の煩悩を乗り越え悟りに至った人ではないし、もちろん使用人は普通の煩悩に満ちた人間。

        お寺なのに出世などという俗世間の仕組み。日本への伝来の仕方によって、さらに時代と共に変わっていった日本の仏教。政治に利用されてきた歴史があるので仕方がないのかもしれない。(世襲制だったり、檀家制度があったり日本独自のやりかた)

        林青年の生い立ちも。田舎の貧乏寺の住職である父親が結核で亡くなって、地元の寺に住むことができなくなる。村から疎まれた母は実家に帰る。林青年には故郷がなくなる。自身も、吃音の障害と父からもらった結核。出世の見込みもないだろう(出世という欲の概念に執着した時点で仏教ではないね)。

        仏教の勉強も途中でやる気をなくした林青年が、現実(苦)をありのまま受け入れ、そこから冷静に苦を乗り越えるべく精進しようという気になれなかったのは、どうしようもなかったか・・・。だって人間だもの・・・。

        仏教の基本である真理、「四聖諦(苦集滅道)」だけでも、きちんと学んでたら、、、悲観的になることはなかっただろうなあ。

        太平洋戦争の学ぶ余裕のない時代だったのも原因の一つだろう。若いお坊さんは戦争に取られたり学徒動員で作業させられたり、それどころじゃなかった…。



        仏教をきちんと学ぶには、今はいい時代だと思う。今のうちだね。
        ありのままの現実(苦)をきちんと受け止め、受け流し、乗り越え、小さな苦を楽に変えながら自分の人生を有意義に明るく生きたいと思います。

        人は苦の中で生きています。苦があるから、苦だから生きているという事実。苦を乗り越えるためには個々の智慧が必要です。人間を含めた生命同士が助け合うこと、慈悲の心が必要です。智慧と慈悲を身につける方法はあるのです。絶望せずに精進しようと思うだけでも、幸福への道を一歩前進したことになるのです。幸福への道を歩く(精進する)のは楽しいものです。

        仏教は明るいのですよ。
        林青年には、お釈迦様の教えを知ってもらいたかったなあ。
        >> 続きを読む

        2018/05/02 by バカボン

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