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1979年12月発行の書籍

人気の作品

      セルーナの女神 (角川文庫 緑 375-21)

      半村 良

      3.0
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      • 表題作他八編を収録した短編集ですが、同じSF でも作風が違ったり、時代小説もありといったバラエティに富んだ作品が読めます。

        個人的にはそのなかでも時代小説に属する"子犬""伊勢屋おりん"が面白く読みましたけど、"子犬"の結末はある意味武士の美学と呼べるのかもしれませんが、犬好きの私には許せません。

        ということで、本書のベストは"伊勢屋おりん"です。最後のおりんの言葉、これが本音なら女性の強さ、そして怖さを痛感させられます。

        因みにブックオフで購入した本書。なかに挟まれてあったのは「メイン・テーマ]と「愛情物語」の広告案内。一見して私の自堕落な青春時代の記憶が甦りましたとさ😅
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        2017/10/26 by アーチャー

    • 1人が本棚登録しています
      ガラスの城 (講談社文庫 ま 1-11)

      松本 清張

      講談社
      4.0
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      • 東亜製鋼株式会社に勤める三上田鶴子は、社員旅行の夜、敏腕ぶりを恐れられている杉岡課長が、女子社員のうちの誰かと思われる女性と抱き合っている光景を目撃した。

        その夜から、杉岡は行方不明になり、数日後、首と両手を切断された他殺死体となって発見される。

        果たしてあの夜、杉岡と一緒にいたのは誰だったのか?
        事件の経緯と自分の推理を手記にしたためてゆく田鶴子。
        だが、この事件に関心を抱き、探索を開始した女子社員は他にもいたのだった-------。

        この松本清張の「ガラスの城」は、二部構成になっていて、それぞれが別の女子社員の手記のかたちをとっている。

        二人とも社内では敬遠され気味の存在だが、それだけに傍観者としての視線は鋭く、殊に社内の派閥力学や同性への観察は冷徹を極め、それが手記の客観性を裏打ちしている。

        その一方で、二人ともまだまだ女としては枯れてはいないので、無感動を装った記述の背後から、生々しい情念が図らずも見え隠れしているあたり、著者・松本清張の筆の冴えを十分、堪能できる。
        そして何よりも、手記の体裁を取っていること自体に仕掛けが潜んでいるという工夫も、実に見事だ。

        読み終えてみて、殺人の謎解きそのものとは別に、一種の心理的な伏線が結末において一気に収斂し、ある登場人物の真意が浮かび上がってくる際の、どこか悲哀を帯びたカタルシスがいつまでも心に残ります。

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        2019/03/22 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      瀕死の戦闘機隊 (ハヤカワ文庫 NV 213)

      ゲルト・ガイザー

      3.0
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      • 第二次世界大戦の後半において、ドイツ空軍はバトル・オブ・ブリテンに敗れて後、それまでの勢いを急速に失いつつあった。逆に力を増した連合国軍機が頻繁に襲来するようになっていた。

        本国から離れた前線基地。そこに駐屯する戦闘機隊。彼らは日ごとに悪化していく戦局にもかかわらず、敵機のある限り飛び立たねばならない。

        明日の命の保証はどこにもないのだ。不安、恐怖、焦燥、虚無感、安堵など、さまざまな感情が若い彼らを包み込む。

        戦争の罪悪感に悩む者もいる。日々の苦しさを酒の饗宴で紛らわそうとする者もいる。そしてみな同じように、狭く、動きの不自由なコックピットに押し込められ、敵を求め、敵を墜すために、自らを守るために、神経を張り詰め、戦闘機と一体となるのだった。

        そんな明日をも知れぬ不安定な日々の中で、彼らはいかに生き、そして散っていったのか?-------。

        この「瀕死の戦闘機隊」は、第二次世界大戦を背景に大空に生きた、あるドイツ戦闘機隊の若者たちの姿を描いた作品だ。

        そこには、特定の主人公はいないし、明確な筋もない。それがかえって、"戦争の悲劇"という、この世の不条理を鮮やかに浮き彫りにしていると思う。


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        2018/03/19 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      思考機械の事件溥 2 (創元推理文庫 176-2 シャーロック・ホームズのライヴァルたち)

      ジャック・フットレル

      3.0
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      • 【ミステリとは、説得の技術である】
         『思考機械』と異名を取るS・F・X・ヴァン・ドゥーセン教授を主人公とするミステリ短編集です。
         ヴァン・ドゥーセン教授シリーズは結構な数の作品が書かれていますが、最も有名なのは『13号独房の問題』でしょう。
         これはなかなか秀逸な作品で、独特の雰囲気も持った名作と言って良いのではないでしょうか。
         ところが、残念なことに『13号独房の問題』を越える、あるいはそれに並ぶ作品は書かれていないように思われます。
         他の作品は、申し訳ないのですが、一段も二段も劣る作品というのが私の評価になります。
         それではいつもの通り、収録作品の中からいくつかご紹介します。

        ○ 呪われた鉦
         巻末解説では優れた作品として紹介されていますが、どうでしょうねぇ。
         実業家のフィリップス氏は、妻が骨董店で買ってきたという日本製の六連の鉦の飾り物を部屋に吊していました。
         この鉦が不思議な鉦で、時々、全くランダムにひとりでに鳴り出すことがあるのです。
         鳴る回数も一定していません。
         手も触れていないのに勝手に鳴り出すため、不思議に思ったフィリップス氏は、妻にどこの店で買ってきたのかを聞き出し、その店に行ってみました。
         ところが、偏屈そうな店主はそんな鉦など売ったことはないと言い張るのです。
         それにも関わらず、しばらくするとその店主から高値で鉦を買い戻したいと書かれた手紙が届くではないですか。
         売ったことはないと言い張るくせに何だと思い、フィリップス氏は買い戻しに応じようとはしませんでした。
        そうしたところ、ある日、鉦が吊されている部屋でその骨董店の店主が刺し殺されているという事件が発生しました。
         部屋のドアには外側から鍵が掛けられており、窓が開いていましたので、骨董店店主も殺人犯も窓から侵入して、犯人は殺害後窓から逃げたと思われます。
         骨董店店主は鉦を盗みに来たのでしょうか?
         その後、フィリップス氏に脅迫状が届きます。
         その封筒には鉦が11回鳴った時に開けと書かれており、殺人をほのめかす内容の手紙が同封されていました。
         これはどういうことなんでしょう?

        ○ 幽霊自動車
         自動車の速度取り締まりのいわゆるネズミ捕りのようなことが行われている現場が舞台になります。
         二人の警察官が離れた場所にそれぞれ待機し、その道をやって来る車がスピード違反をしていると認めると、先にいる警察官に連絡して取り締まりをするというわけです。
         その道は一本道で、二人の警察官が立っている場所の間には脇道はありません。
         ある夜、ものすごいスピードで走ってくるトラックを認めたため、先の場所に待機している警察官に連絡をしたのですが、いつまで経ってもトラックはやって来ないというのです。
         そんな馬鹿なことがあるわけがありません。
         毎晩そのトラックは猛スピードでやってくるので、何度も確認し、あるいは警察官がそれぞれの持ち場を交換して確かめるのですが、いつもトラックは警察官の間で消えてしまうのです。
         このトリックは気がつかなくも無かったのですが、あまりにもナンセンスであり、しかも現実にはこれは気付かれてしまうと思うのですが……。

        ○ 百万長者ベイビー・ブレイク誘拐事件
         生後14か月目のベイビー・ブレイクという子供が誘拐される事件です。
         その日は庭に雪が降り積もっており、どうやらベイビー・ブレイクは親たちの目を盗んで一人でドアを開けて庭に出て行ったようなのです。
         家から庭の途中まで、ベイビー・ブレイクの足跡が残っていました。
         しかし、足跡は途中でぷっつりと途切れており、その周囲には他の足跡は何も残されておらず、またどこかつかまることができるような場所もありません。
         まるで子供が空中に飛んでいったかのようです。
         著者のジャック・フレットルは、おそらくミステリの古典のあの作品をヒントにこの作品を書いたのではないかと想像しますが、それにしても無理がありすぎます。

        ○ 幻の家
         ジャック・フレットルの奥さんも作家なのですが、この作品は、まず奥さんが『嗤う神像』という問題編を書き、その後ジャック・フレットルがその謎を解決する『家ありき』という作品を書いたという構成になっています。
         奥さんが提示した謎は以下のようなものでした。
         ある嵐の夜、一人の男が車を走らせていました。
         男は、ガソリンを売っている店でガソリンを給油した後、近くの町へ向かって嵐から逃げるように走り出したのです。
         ガソリン店から近くの町までは一本道で、地図にもそのように書かれているのですが、どうしたわけか、道が二股に分かれているではないですか。
         また、嵐をつくようにして女性の悲鳴のような声が聞こえ、また白っぽい物がちらちらと見えたりもします。
         恐ろしくなった男は、左側の道を選んで逃げるように車を飛ばしていたところ、一軒の農家が見つかります。
         嵐を避けるためにその農家を訪ねたところ、家には一人の老人がいるのですが、男のことは全く眼中に無いようで、話しかけても何も答えませんし、まるで男がいないかのように振る舞うのです。
         そのうち、農家の2階から再び女性の悲鳴のような声が聞こえ、また農家から火事が出てしまいます。
         無我夢中で逃げ出した男は、気を失ってしまい、気がつくと病院に運び込まれていました。
         男は幻覚でも見たのではないかとも思うのですが、ポケットの中には農家から持ってきた神像が入っており、確かに農家での出来事はあったとしか思えません。
         さて、ジャック・フレットルは一応の解決を示すのですが、まあ、そういうことも無いとは言い切れないものの、やはりちょっと説得力に欠けるのではないでしょうか。

         ジャック・フレットルの一連の作品は、かなり無理のあるトリックが目立つように思われます。
         もっとも、ミステリというものは、意外性を追求すればするほど、そのトリックは荒唐無稽なものになりがちだという点はあるのでしょう。
         問題は、その一見荒唐無稽とも思われるトリックを、いかに説得力を持って、現実的に描けるかという筆力にあると思うのですね。
         良いミステリというのは、到底ありそうもないと思えるようなトリックでも、それなりに自然に感じさせてしまうだけの作者の力量があるのだろうと思います。
         そういう観点から見た時、残念ながらジャック・フレットルの作品はそこまでの域には達していないように思えてなりませんでした。
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        2020/03/18 by ef177

    • 1人が本棚登録しています

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