こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


1980年8月発行の書籍

人気の作品

      大工よ、屋根の梁を高く上げよ

      J・D・サリンジャー , 野崎孝 , 井上謙治

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 【デリケートで、感受性が強く、優しすぎたお兄ちゃん】
         本作は、著者の『ナイン・ストーリーズ』や『フラニーとゾーイ』に登場する、グラス家の長兄、シーモアについて、次男のバディが綴った二つの文章を収録したものです。
         本国では何故か『ナイン・ストーリーズ』以外の短篇はサリンジャー本人によって封印されていて出版できないのだそうですが、日本では読めるんですね~。
         それは幸運なことなのでしょう。

         『シーモア序章』の方は、シーモアが自殺した後で、長兄を思い出してバディが綴った文章という形を取っていますが、いささか観念的で読みにくいと感じました。
         シーモアの人となりをうかがわせるシチュエーションが沢山出てくるのですけれど。

         ここでは『大工よ……』の方をご紹介します。
         この作品ではシーモアの結婚式の回想が綴られます。
         シーモアは、1942年(25歳の時になるのかな?)にミュリエルという大変な美人と結婚することになります。
         ところが、両親も含めてグラス家の面々は世界中のあちこちに散らばっており、ニューヨークで開かれる結婚式に参加できそうなのは次兄のバディしかいそうにもありません。
         バディも軍務に就いていて、しかも肋膜炎を患っていましたのでちと辛い状況にはあったのですが、妹のブー・ブーから絶対に「出席しなさいよね」という手紙をもらい、強引に休暇を取得して参列することにしたのです。

         ここで一大事が起きてしまうのですね。
         どうやらシーモアは結婚式をドタキャンしてしまったようで、式場に姿を見せなかったのです。
         花嫁は泣き崩れて会場を去っていきます。
         集まった参列者(花嫁側の関係者ばかりです)は、花嫁の家に向かうべく、用意された車に分乗していきます。

         バディとしては大変居心地の悪い状況になってしまったわけですが、どういう拍子か花嫁の関係者を満載したバスに乗り込んでしまったのです。
         さすがに自分からはシーモアの弟だとは言い出すことができず、適当に話を合わせてはいるのですが、険悪な空気です。
         そりゃそうですよね。

         バディにもどういう事情なのかはよく分からないのですが、どうもシーモアは結婚式の前夜に花嫁を呼び出し、自分はあまりにも幸せ過ぎるので、この幸福感がもう少し収まらないことには結婚式などできそうもない……などというよく分からない理由をこねて結婚式をボイコットしたらしいのです。

         参列者を乗せたバスは途中でパレードの交通規制とぶつかってしまいます。
         いつ動くか分からないバスの中で待たされ続けるのに業を煮やした面々は、近くの冷房が効いたお店で何か飲み物でも飲もうということで三々五々バスを降りていきます。
         何故か同行するバディ。

         ところがお目当てだった店は閉店中で、参列者のイライラは募ります。
         実は、この場所の近くに、シーモアとブー・ブーが使っていた部屋があったことから、バディは近くに休める部屋があり、電話もありますと申し出たのです。
         そこで数名の参列者はバディの案内で部屋に向かうことにしました。

         さて、この作品のタイトルって変わっていますよね。
         これは、バディが案内した部屋の洗面所の鏡に、ブー・ブーが書き残したシーモアの結婚式を祝う言葉の一節なのです。
         バディは、部屋にシーモアの荷物が残されていることに気付き、その荷物の中からこっそりと日記を取り出します。
         洗面所にこもって日記を読むバディ。
         その日記には、シーモアのミリュエルに対する真の思いが綴られていました。

         ミリュエル側の参列者たちは、シーモアは精神分裂症だとか男色家だとか言うわけですが、そんなことではないということが日記から分かります。
         この物語、一応目出度く(?)終わることになります。

         いや、シーモアは結婚後、花嫁と出かけた旅行先で自殺することになっていますので、結婚してもらわないと話が続かないのですけれど。

         『ナイン・ストーリーズ』や『フラニーとゾーイ』で断片的にしか語られていなかったシーモアの一端をうかがい知ることができる作品でした。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/04/19 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      戦国と幕末 乱世の男たち (角川文庫 い 8-17)

      池波 正太郎

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 人物にスポットを当てながら語られる戦国時代から幕末。

        魅力的な作品が合わさって戦国末期から幕末期を語る趣向が面白い。

        初めて天下統一が成った戦国時代末期。そこから長く続いた鎖国による独自の繁栄。
        その鎖国によりインパクトを増すことになった幕末期の混乱。

        それぞれの時代に生きた人物を取り上げて行くことで、時の流れが表現されており、個々の作品の読み応えとともに、全体を通じた趣向の面白さも楽しめる。

        時代が進むに連れ、武力自慢の人間の活躍の場が減り、頭脳と話術で勝負する人間が活躍する時流を感じる。
        社会の成熟に伴う良い傾向だとは思いつつも、人物伝としては、豪傑的エピソードを持つ前者と比較して、だんだん地味になって来るのが寂しい。

        人間は生れ落ちた時代により、大活躍出来る場合と不遇に見舞われることが有る。
        また、戦国時代にしろ、幕末期にしろ、どちらの勢力に付いたかで、その後の明暗が分かれるという分かりやすいが残酷な運命も有ると言えよう。

        本人の努力が大切なのは言うまでも無いが、限られた人間の人生の中で、大きなことを成し遂げるためには、時流に乗れる幸運を掴んでいる必要も有ると改めて認識した。

        幾つか大部分共通する記述が見受けられたりし、寄せ集め感が出ているのが残念。
        >> 続きを読む

        2012/07/26 by ice

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      絃の聖域

      栗本 薫

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • この栗本薫の名探偵・伊集院大介が初登場する「絃の聖域」は、雑誌「幻影城」に途中まで連載され、「ぼくらの気持」刊行後に完成した作品。

        若者の世界を描いた青春ミステリ「ぼくらシリーズ」とは全く対照的な作風は、当時の読者を驚かせたらしいですね。
        だが、著者の栗本薫本人は、昔ながらの探偵小説へオマージュを捧げた、こちらの路線こそが自分の本領に近いと考えていたようなんですね。

        長唄の安東流の家元・安東喜左衛門の邸で弟子の喜之菊が殺害された。
        安東家の一族は、世にも複雑な愛憎関係に絡め捕られているが、喜之菊を亡き者にする動機を持つ人物は見当たらない。

        やがて、喜左衛門の孫の塾の講師である我らが伊集院大介の予言通り、関係者の間で再び殺人事件が発生する。
        そして、安藤流大ざらえの日に向けて、悲劇は加速してゆく。
        それは、動かし難い運命なのか?-------。

        この小説を読み終えての印象は、横溝正史的な設定やガジェットが満載の、古風な様式美を極めた物語だなという感じですね。

        ダイイング・メッセージの扱いなどは、少し安易な印象は否めないものの、大詰めの悲劇に向けて畳みかけるような盛り上がりを見せるメロドラマ性と、最後に明かされる壮絶な動機は、やはり著者ならではの強烈な個性を感じてしまいます。

        この小説は、その後の著者が追求し続けている「芸に憑かれた人間の業」というテーマを、初めて描いた作品でもあると思う。

        >> 続きを読む

        2019/01/21 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      Dr.スランプ

      鳥山 明

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.5
      いいね!
      • んちゃ!

        なっつかし~  大~好きなマンガだよ~

        天真爛漫なアラレちゃんにドスケベだけど天才(って自分で言ってる、天災)の則巻せんべえ博士。

        ニコチャン大王もオボッチャマンも皿田きのこもスッパマンもウンチも動物たちも村人も太陽も月もみんな大好き。

        全18巻。4と12と16はbookoffにあったので即買った。(全巻ほしい~)

        のこりも久しぶりに借りて読んで、とお~っても楽しかったよ。

        アラレちゃんになりたいなあ(・・・ほよ!?)

        じいちゃんもばあちゃんもおとなもこどもも、

        キーーーーン


        み~んな元気になるよ。姪達も面白いって言ってるよ。

        文句なしの星5つ
        >> 続きを読む

        2014/09/11 by バカボン

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      味な旅 舌の旅 (中公文庫)

      宇能 鴻一郎

      3.0
      いいね!
      •  食べることは如何なる場合でも愉しみだ。まして全国あちこちの街を巡り美女とも会えるとなれば、羨ましい限り。 >> 続きを読む

        2017/12/23 by ken

    • 1人が本棚登録しています
      ショージ君の青春記 (文春文庫 177-5)

      東海林 さだお

      5.0
      いいね!
      • 活字を読んで、涙がでるほど笑ったのは初めてだ。

        昔の古き良き時代描写も素敵で、そんな時代に生まれていないのにどこか懐かしく感じた。

        ショージ君は純粋すぎて自意識過剰で憎めない、そして応援したくなるが彼はいつも自分の自意識に裏切られる。

        モテたいがために、興味のない早稲田の露文に入学するが、やはり興味がないために勉学に励めず中退してしまう。
        もちろんモテることも一度もなかった。

        こういう行動、一度は誰でもあるんじゃないかと思うし、私も過去にそういうことがあったと思う。

        彼は途方にくれる。
        しかしまだまだ若い彼は、体力の行き場や使い道を毎日酔った勢いで、道端の店の看板や、道路標識を引き抜いて下宿先に持ち帰る行動をとる。
        とても謎だ!

        最後は心から感動した。
        本当によかったなぁと思った。
        >> 続きを読む

        2015/03/06 by snoopo

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      南の島の白い花

      久冨 正美

      葦書房
      4.0
      いいね!
      • 心に残る、良い絵本だった。

        親戚の優しいお兄さんは、蝶を集めて標本をつくるのが好きで、主人公の女の子と一緒にとりにいき、夕顔の白い花も愛する心優しい人だった。

        しかし、戦争で、少年航空隊となって出征してしまう。

        やがて、女の子の家も空襲にあい、炎にまかれるが、その時に、燃えた標本から火が蝶のような形に舞い、夕顔の花びらから水のしずくをそのお兄さんが飲ませてくれたような幻を見て、奇跡的に命が助かる。

        はっきりはこの絵本では書かれないが、おそらくお兄さんは帰ってこなかったのだろう。

        出征の時に、夕顔の種を主人公にも渡してくれたが、おそらくお兄さんは自分でも種を持って行って、今は南の島に夕顔の白い花が日本と同じく咲いている。
        そう主人公は思う。

        それにしても、途中、蝶を取ろうとしているお兄さんを、軍人が見つけて非国民とののしり、網をへし折る箇所は、当時はそのようなことが多くあったのだろうけれど、なんとも胸が痛む。

        蝶や花を自由に愛でることができる世の中というのは、本当にかけがえがないと、あらためて思った。
        >> 続きを読む

        2013/05/24 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      とうさんとこえた海 (絵本・語りつぐ戦争)

      門司秀子長野ヒデ子

      葦書房
      4.0
      いいね!
      • 敗戦後、多くの日本人が大陸から日本に引きあげた。

        この絵本は、その物語。

        実は、うちの母方の祖父母も、北京からの引きあげで、この絵本に乗っている無蓋列車やLSTの話は生前何度か聴いたことがある。

        その意味で、とても私には心に響くし、興味深い絵本だった。

        さぞかし、どの人々も、特に子どもなどは、心細く大変な旅路だったろう。

        引きあげの苦労から、再び立ち上がり、戦後の暮らしを築いていった人々は、本当に偉大だと思う。
        >> 続きを読む

        2013/05/26 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています

出版年月 - 1980年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本