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1980年11月発行の書籍

人気の作品

      ゲイルズバーグの春を愛す

      ジャック・フィニイ

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【ノスタルジックな幻想譚】

         ジャック・フィニイの作品は、SFに分類されることも多く、本短編集に収録されている作品のいくつかも、いわゆるタイムスリップ物ですので確かにSF的要素はあるのですが、全体的な印象としては、むしろファンタジー色の方が強いかもしれません。
         そう、たとえば、ブラッドベリなんかに近いかもしれませんね。
         あるいは、本短編集に収録されている作品のうちいくつかは、O・ヘンリーやサキ(それほど毒はないですが)のようなテイストもあります。
         それでは、収録作からいくつかご紹介。

        ○ ゲイルズバーグの春を愛す
         表題作です。
         イリノイ州のゲイルズバーグという町を舞台にしたタイムスリップ物。
         この町では、時々過去と現在が交錯することがあるようです。
         ゲイルズバーグという町がどういう町なのかは知らないのですが、きっとそんなことがあっても不思議じゃないような雰囲気を持った町なのかもしれませんね。

        ○ 悪の魔力
         とあるマジック・ショップで売っていた奇妙な品物に思いがけない魔力が込められていたというお話です。
         この物語に出てくる素通しの眼鏡は、それをかけると女性の衣服が透けて下着姿が見えるというもので(魔力がそれ程強力ではないため、下着までは透けないようです)、主人公の男性は大喜びしてしまうのです。
         ……でも、ということは男性だってそういう姿に見えるんじゃないの?

        ○ クルーエット夫妻の家
         家の中には、住人を喜ばせようとして快適に過ごさせてくれる家があるのだそうです。
         設計事務所に新築家屋の設計を依頼しにやって来たクルーエット夫妻が選んだのは、古い設計図に描かれたヴィクトリア朝時代の家でした。
         何もこの家に住むというつもりではなく、商売でやっているヨット販売のために、客の目をひくような建物であれば良いということで選んだのですが、いざできあがってみると……。

        ○ 時に境界なし
         ちょっと犯罪小説テイストのあるタイムスリップ物です。
         主人公である物理学教授は、警察が追っている犯人を過去の時代に逃がしてやっていました。
         これに気付いた警部は、何としてでも現代に呼び戻せと教授に迫るのですが、既に過去の時代に行ってしまった犯罪者と接触する術はなく、それは不可能なことでした。
         しかし、執念の固まりの警部は、犯人を逮捕するある方法を思いつきます。
         その方法とは? そしてその思惑通りになるのか?

        ○ 愛の手紙
         この作品集の中で私が一番好きな作品です。
         この度再読したわけですが、再読する前からこの作品は記憶に残っていました。
         物語は、若い男性が骨董品店で買ってきた古い机のお話です。
         その机には隠し引き出しがあり、その中にこの机を使っていたであろう、昔の女性が書いた手紙、しかも出されなかった手紙が入っていたのです。
         それは恋人に愛を告げる手紙でした。
         主人公は、この手紙の主に惹かれ、隠し引き出しに入っていた古い便せんに古いインクを使って返事を書きました。
         そして、コレクションしていた古切手を貼って、この手紙の主が生きていた頃から町にあった古い郵便局に行ってその手紙を投函したのです。
         1週間後、2番目の隠し引き出しを開けたところ、何と、あの女性からの返事が届いているではないですか。
         隠し引き出しはもう一つだけあります。
         あと、もう一度だけ手紙のやり取りができるはず。
         これもタイムスリップ物ですね。

         作家には、その作家特有の雰囲気、文体、味があります。
         私も、ジャック・フィニイにはそんな独特の味を感じます。
         というのは、これも大分以前の事なんですが、早川書房から出ている『異色作家短編集』というシリーズの一冊、『レベル3』という本を読んだ時、本作のことはすっかり忘れていたのですが、どうもどこかで読んだような味わいだと感じたのです。
         そして、『レベル3』の巻末解説を読んだところ、「あ!あの『ゲイルズバーグの春を愛す』の著者だったんだ!」と初めて気がついたという次第。
         すごく納得しました。
        >> 続きを読む

        2019/04/20 by ef177

    • 他7人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      ちいさいモモちゃん

      松谷 みよ子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 小学生の頃、図書館でリピートしていたお気に入りの本です。懐かしく再読。
        モモちゃん誕生の夏の日から3歳になって赤ちゃん卒業までの日々を生活感たっぷりに、でも童話らしい虚構と詩的な情景をもって描いた小説です。

        モモちゃんは赤ちゃんなので、その世界を構築するものも赤ちゃん目線。
        ガーゼのおべべを、きせてもらうなど、今時あまりお目にかからない赤ちゃん言葉も多用されていて、びっくり。
        こんなだったっけ?

        大人になって読むと、モモちゃんのママはお仕事をしている女性なんですね。
        モモちゃんは0歳から保育園育ち。
        0から3歳までは「あかちゃんのうち」に預けられています。3歳からは保育園の「ひよこ組」に入るのです。
        私が子供の頃は自営業でなく、外でお勤めしている子育て女性は、教員以外には滅多にいない印象でした。

        これはもっと前の時代なのだから、モモちゃんママは大変だっただろうな。などと、余計なことばかり考えてしまいました。

        さて、子供の頃の私はなぜ、この本を気に入っていたのでしょう?

        あとがきで寺村輝夫さんが解説されていますが、この本は「赤ちゃん本」ではありません。
        読者は小学校4〜5年に集中しているのだそうです。確かに私がリピートしていたのも2年〜4年生まででした。
        なぜならば、赤ちゃんが赤ちゃんのことを書いた本を面白がると思いますか?
        赤ちゃんの世界で当たり前のことを笑えると思いますか?
        赤ちゃんから遠く離れた(と、自分では思っている)ため、客観的な赤ちゃんという存在を受け入れ愛おしみ、それを通して自分の赤ちゃん期をおさらいし、愛を確認し、自分の成長を自覚するのです。
        モモちゃんには黒猫のプーという相棒がいます。このプーはおしゃべりができるのですが。プーこそが読者の子供達の立ち位置なのです。

        子供の頃、自分の赤ちゃんの時の写真を眺めるのが好きでした。
        それと似たような心持ちがあったかも

        モモちゃんにはこの後もシリーズで数作の本が続きます。でも最初のこの本。
        赤ちゃんのモモちゃんのお話が一番好きでした。

        そしてもちろんですが、ここには愛があるのです。
        ママの、パパの、猫のプーの、赤ちゃんの家の保母さんたちの、じゃがいもさんやにんじんさん達の、あたたかい愛がね。
        >> 続きを読む

        2019/09/30 by 月うさぎ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      クレヨン王国の十二カ月

      三木 由記子福永 令三

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 子どもの時、アニメにはまりました。
        中学生くらいの時に原作本を読んですごくおもしろかった記憶が…! >> 続きを読む

        2015/11/01 by azure

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      思い出のマーニー (上) (岩波少年文庫 (2091))

      ジョーン・ロビンソン

      5.0
      いいね!
      • 映画を見たので、遅ればせながら原作を読んだ。
        上下巻に分かれているだけあり分量があって、主人公の思考、感情描写が詳しく、人物の行動にも納得しながら読み進められた。
        ゆっくり時間が進むにつれじっくりと物語が展開していくので、安心して読んだ。
        外国の児童文学を和訳したゆえの独特の言い回しによる独特の空気感があった。映画における特徴的な台詞も、この文庫の訳のバージョンからきたのだろうなあと感じる箇所が多々あった。
        ただ、訳があまりうまくない文があり少し残念だった。英文だからこその表現をそのまま翻訳し後から注釈で説明するのはあまりスマートではないように思う。
        >> 続きを読む

        2014/11/12 by sh11083

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ノンタンのたんじょうび (ノンタンあそぼうよ (9))

      キヨノ サチコ

      偕成社
      4.5
      いいね!
      • ノンタンを知ったのは絵本ではなくてテレビアニメでした。
        「ウゴウゴルーガ」の枠中で放送されていたもので、
        主題歌とノンタン役の声優は千秋、ナレーションは平野文。
        これがなかなか傑作だったのです。

        その後に読んだノンタンシリーズの絵本の中で
        一番好きなのがこれです。
        …といっても全巻読んではいないのですが(^。^;)


        小さい子供への読み聞かせに最適。

        「誕生日のうた」は子供と一緒に歌いましょう。

        ストーリーはお誕生日のびっくりパーティーのお話ですが、
        私が気に入っている理由のひとつは「悪口」です。

        ノンタンの悪口のバリエーションが、昔懐かしい悪口なのです。

        「どてかぼちゃ」
        「とうへんぼく」
        「おたんこなす」
        「へちゃむくれ」

        どれも、今の子供が口にしそうもない言葉です。

        でも、どれもちょっとくすっと笑ってしまうような
        そんな悪口だと思いませんか?

        何でも「シネ」「キモイ」のワンフレーズで気持ちを表現するのは
        非常に心配なことだと思うのです。

        言葉の豊かさはイコール心の豊かさです。

        ですから、豊かな、そして相手が心底は傷つかない悪口を
        仕入れておくのはいいことじゃないかな。

        おまけにノンタンクッキーの作り方のレシピも載っています。
        >> 続きを読む

        2012/06/02 by 月うさぎ

      • コメント 8件
    • 3人が本棚登録しています
      女たち (中公文庫 A 88-6)

      中村 真一郎

      5.0
      いいね!
      • 久々の読書レビュー。

        女たち、とても面白かった。
        色々な女が出てくるが、女って怖いなぁと思った。

        私は計算したくても、そんな器用な行動ができないタイプなのだが、この小説にでてくる女は、男の気を向けさせようとあの手この手を使う。
        それがとても恐ろしく感じた。

        しかし実際に男が追いかけるのは、ただ純粋に夢を追ってる女なのだ。
        彼女は何も計算しない。ただ真っ直ぐ生きているだけ。

        私の友人にとても駆け引きが器用な女性がいるが、私が彼女の真似をしても全くうまくいかない、すべて裏目にでてしまうのだ。

        諦めて、真っ直ぐ生きることだけにした。
        その方が自分がとても楽なことに気づいた。

        そしてこれからもそういう女であり続けようと思った。
        >> 続きを読む

        2015/09/17 by snoopo

      • コメント 1件
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